転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ

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第24話 読めないおさわりじじい

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 おさわりじじいとセリアが言い合いをしている。
 その周りには若い年頃の女性が集まっていた。

「セリア、なぜ邪魔するんじゃ!」
「皆を扇動して若い子を集めるのはやめてください!」
「これはユウタの修行の為に必要なんじゃ!」
「じゃあ何で皆におさわりをしようとしたんですか!そう言う事は娼館でお金を払ってやってください!」

「それはそれ!これはこれじゃ!」
「ふざけないでください!」

 うわあ、セリアが怒ってる。
 めっちゃ怒ってるやん!

「大体、ここにいるみんなは魔物狩りをしている人も働いている人もいるんです!みんなの邪魔をしないでください!ユウタがいないのに何で呼んだんですか!全然関係有りませんよね!」
「待ってくれ!一旦ストップだ!」

「おお!良い所にきたのう!ひゃっひゃっひゃ、ユウタ、お前は誰が好みじゃ?言ってみるんじゃ」

 おさわりじじいは遊んでいる。
 魔物狩りをしている兵士も、冒険者も、シスターもエマさんも皆集めたのか。
 今魔物が多くなってるのに。
 それにレンガ工房の受付だったり、忙しい所からも若い女性を全部集めている。

 今までセリアにやって来た積もり積もった事が重なって今の事態になったんだろうな。

「おさわりじじい、選んだらみんなを帰してくれるのか?もう二度とやらないと言えるのか?」
「せんわいせんわい!わしは紳士中の紳士じゃ!」
「信頼できないけど選ぶ。選んだらすぐに解散だ!」

「好みの娘を10人じゃ、10人選ぶんじゃ」

 俺は周りを見渡した。

「アリーチェ、サーラ、セリア、来てくれ」
「ひょっひょっひょ、いいのいいのう!後7人は誰を選ぶ?」
「一緒にいて今、本当にドキドキするのはこの3人だ。10人選べと言ったけど3人だ」

 俺の今の正直な気持ちを言った。
 10人選べと言われても、俺の気持ちはそうなのだ。

「……しょうがないのう。本心なようじゃ」
「解散です!おさわりじじいの招集は終わりました。みんな帰ってください!」

 帰る人間もいた。
 だが、思ったよりも帰らない、だと!

 そうか、皆何か面白い事が起こると、そう思っているんだ。
 おさわりじじいの危険より娯楽を取るのか。

「ではセリア、横になり、ユウタとワシのマッサージを受けるんじゃ」
「嫌です!」
「ユウタのスキルアップには意味がある!協力するんじゃ!」
「なんでおさわりじじいも混ざってるんですか!関係ないじゃないですか!」
「ワシの美技を見せた後でユウタに実践してもらう!それがレベルアップを早めるんじゃ!」

 2人の言い合いが再開された。


 ◇


「……帰ろう。昼食がまだだ」
「待つんじゃ!修行の成果を見せるんじゃ!」

 俺はステータスを開示した。


 ユウタ・男・15才
 ジョブ:遊び人
 体力:  39→42
 魔力:  34→36
 速力:  42→44
 器用:  63→69
 幸運:232
 スキル:ステッキレベル9、曲芸レベル8、おさわりレベル1→5、ギャンブルレベル3【NEW!】
 固有スキル:???

 おさわりは魔力を流しながらマッサージする事で対象の治癒力を高める、更に異性には快楽を与える魔力を流す事も可能だ。

 ギャンブルはカジノのディーラーとしての手際を良くして、幸運を底上げする力があるらしい。
 

「ワシの修行によりユウタのおさわりスキルは1から5に上がった!そしてギャンブルのスキルを覚え、レベル3に上がった!ワシでなければここまで早く成長させることは出来なかったじゃろう、む、ギャンブルのレベルが上がった分娼館のチケットを持って来るんじゃ!」

「今からサーラと一緒に副兵士長と用事がある」
「わたくしは後でいいですわ」

「これを見て遊び人のスキルアップと世界の命運にどうつながるのか?と、そう思っておらんか?だとしたら分かっとらん!」

 おさわりじじいはステッキを出現させた。

「ステッキのスキルは空気中にある魔力を吸収してそれを物質化する力じゃ、そして曲芸は吸い上げる魔力を感知して半径10メートルの空間を把握する能力、すなわち立体的に空間を把握し、自分自身ですら客観的に感知することで曲芸のような動きが可能となるんじゃ」

「おさわりは空気中にある魔力を吸って対象者に流し込む力とマッサージの技量、ギャンブルは幸運の上昇、すなわち空気中にある魔力を読み取ることで運命を引き当てる力じゃ、遊び人の力の本質は分かるかの?そこの青い服を着たお姉さん」

「えっと、魔力を吸ったり出したり?」
「う~ん、おしいのお。正解は魔力の操作じゃ、すべてのスキルは繋がっておる。別々のものではないんじゃ!偏ってスキルを覚えて行ってもいずれ行き詰まる。まんべんなくスキルのレベルを上げる事は他のスキルレベルを上げる役にも立つんじゃ!」

 周りにいるみんながおさわりじじいの話を聞いている。
 そう言う根幹の話は早く聞きたかった。
 なんで今まで言わなかった?

 後、何で俺のスキル上げが世界の命運に繋がるかの話だった。
 いつの間にか話がすり替わっているし世界の命運に対する答えが無い。

「ワシは後悔しておる。もっと曲芸のスキルを極めておけばよかったと、人生の時間は短い。ワシも後50年ほどで死ぬ老い先短い身じゃ」

 いや、十分長いだろ。
 後曲芸のスキルをおさわりじじいが極めていたらエースしか止められない。
 下手をすれば誰にも止められないんじゃないか?
 やばいやつのリミッターが解放されるようなものだ。
 おさわりじじいの話が飛んで飛んで全然関係のない話に行ってないか?

「と、言うわけでじゃ。10日後ワシの弟子ユウタと賢者のセリアにはおさわりバトルをして貰う!」
「ええええええええええええええええええ!」

 何何!?訳が分からない!
 どういうわけでどうなった?
 俺?
 最初はセリアとおさわりじじいが喧嘩をしてて止めに入ったら俺とセリアがおさわりバトル!?

 おかしいおかしい、これはさすがにおかしいだろ!
 後おさわりバトルってなんだ?
 さすがにこれは無理があるだろう!
 誰も納得しない!

 周りを見ると女性がなぜか納得している。

「ユウタ様の成長をさせたいって事?」
「賢者のセリアさんとユウタさんが戦う事でユウタさんの覚醒が始まるのかも」
「おさわりじじいの試練なのよ」
「よく分からないけど、王様がおさわりじじいを師匠に任命したのよね?きっと何か意味があるんだわ」

 みんなで行間を予想して埋めすぎじゃないか?
 
「おさわりバトルって何ですか!私はやりませんからね!?」
「ひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!そうかそうか、逃げるか。いやあ、ゆかいゆかい!まさかエースにして賢者のセリアと言われたお前さんがまたもや逃げるか!ワシから逃げ続け、ワシの弟子であるユウタとの対決すら逃げるとはの!賢者様はずる賢く逃げるのだけは得意らしい!ひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!」

 おさわりじじいはセリアを挑発するように笑い続けた。

「賢い賢者のセリア様はワシの協力は一切受けず、ワシをいじめてばかりのようじゃ。ああ、分かるわい、自分が責任をおったり、負けるのが怖いんじゃな!いやあ立派立派!賢者のセリアは口だけは一級品じゃ!ひゃっひゃっひゃ!」

 論理をすり替えてセリアが逃げているような雰囲気を醸し出していく。

「セリア様はいつも逃げてるの?」
「でも、確かに今逃げているように見えるわ」
「ルールを聞きもしないで勝負から逃げているように見えるわ」

 セリアが叫ぶ。

「皆騙されています!おさわりじじいは論理をすり替えています!」

 セリア、俺はその意味が分かるけど、皆には分からないだろう。
 教育を受けた者と受けていない者で物の取り方が変わるんだ。
 この世界に来てから俺は良い意味で誤解される事が多かった。
 正論を言っても分かって貰えない場合があるんだ。

「逃げるがいい。ワシには小姑のように口やかましくして自分が対決するとなれば逃げる。賢者のセリアはそう言う人間なんじゃろう!」
「やりますよ!受けて立ってあげます!ですがおかしなルールは駄目ですからね!私が勝ったらおさわりじじいはミノムシスモークの刑です!」

 こう、なるのか。
 マジでか!
 セリアが挑発に乗ったのか!

 おさわりじじいが新興宗教の教祖のように見えて来た。
 さっきから流れを止める策が無いか考えたけど、思いつかない。
 
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