転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ

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第13話 昇華

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 股間がガキンガキンだ。
 早朝にアリーチェとガキンガキンしていたら股間がマジでガキンガキンだ。

 これはまずい!
 スタミナが有り余っているせいか!
 能力値が上がるデメリットがこんなところで出てくるとは!

 今アリーチェと一緒にいたらまずい事になる。
 完全なる覚醒を迎えてしまうだろう。

 俺の心は熱くても構わない。
 だが股間だけはクールに行きたい。
 俺はアリーチェと別れて両親の経営する商店に向かった。

 アリーチェの家にある売店を眺める。
 家族経営で雑貨から大きな家具、食料品まで何でも売っている。

 お客さんのおばあちゃんが笑顔でパンを差し出した。

「はいよ、お食べ」
「あ、いくらでしょうか?」
「お金はいいよ」

「クレアおばあちゃんはあげたくて渡してくれているのよ。受け取りましょう」
「受け取らないのも失礼だよ」

 アリーチェの両親に促され、俺はパンを受け取る。
 パンは大きめで黒っぽく、楕円型のシンプルな形をしていた。
 ちぎると固めで、口に入れると麦本来の甘みとうまさが口に広がった。
 噛み応えがあってうまい。

 俺は大きめのパンをその場で食べきった。

「美味しそうに食べてくれると作った甲斐があるわ」

 クレアおばあちゃんを見ると疲れているように見えた。

「美味しいです。クレアおばあちゃん、何か手伝えることはありませんか?」
「荷車にクレアおばあちゃんと買い物を乗せて高台の家まで運ぶのを頼めるかな?」

 アリーチェの父さんがさりげなく声をかけてくれた。

「分かりました!」
「いいよ、悪いから」
「クレアおばあちゃん、ユウタ君は今幸運値も上げているのよ?」
「はい!善行を積んで幸運値を上げたいです!」
「若いのに信心深いんだねえ。それじゃあ、お願いするかね」
「任せてください!」

 善行による幸運値のアップ=女神ティアへの信仰心なのだ。
 これは宗教的な意味合いが強く、それが街のみんなの常識でもある。

 俺はクレアおばあちゃんと買い物を荷車に乗せて出発した。
 荷車を引きながら街のみんなと挨拶をして歩く。

「おう!ユウタとクレアばあ、珍しい組み合わせだな!」
「おはようございます!貰ったパンのお礼をしたくて」
「おはよう、運んでもらえて助かってるよ」

「ユウタ様、クレアおばあちゃん、おはようございます」

 若い女性が笑顔で話しかけて来た。

「おはようございます!」
「おはよう!」

 挨拶だけをすると俺は黙々と荷車を引く。
 今若くて美人な女性は危険だ。
 やっと収まって来たガキンガキンが復活してしまう。

 街のみんなは敬語だったりため口だったりと様々だ。
 識字率が高くない為教育水準も人によって違い、礼儀の教育レベルも人それぞれなのだ。
 おばあちゃんは会った人全員にパンを配っている。
 どれだけ焼いて担いできたんだ?
 しかも高台が結構な坂だ。
 重いパンを背負って来たなら疲れるよな。
 クレアおばあちゃんの家に荷物を置くと、クレアおばあちゃんは冷ましてあるパンを手に取った。

「またお願いしてもいいかい?」
「どうぞ!」
「パンを作りすぎてね。孤児院に行ってもいいかい?」
「はい、行きましょう」

 孤児院に着くとおばあちゃんがシスターにパンを渡す。
 そして高台を目指そうとすると孤児院の子供が3人荷車に乗って遊んでいた。

「出発するから降りて欲しい」
「しゅっぱつー!」
「おばあちゃんのおうちにいくの」
「良かったら乗せてあげて」
「分かりました」

 自由だな。
 ほのぼのする。

 俺は4人を乗せておばあちゃんのお家に到着した。
 子供たちはおばあちゃんのお家で遊んでいる。

「他に何か出来る事はありませんか?」
「おばあちゃんはねえ、みずをはこんでもらってるんだよ」
「おばあちゃんはまどうぐをつかわないんだよ」

 子供が指差した方向を見ると大きいつぼが4つある。
 川まで水を汲んでここまで持って来るのか?
 大変だろう。

「そこまでしてもらうのは悪いから、もう充分だよ」
「いえ、川で汲んできます!」

 俺はつぼを荷車に乗せて出発しようとすると子供が3人乗って来た。
 つぼに水を汲むと子供がはしゃいでつぼを覗き込む。

「さかないる?」
「はいってないね」
「ざんねん」

 おばあちゃんの家につぼを置くと良い匂いがした。

「食事を作ったから食べてって」
 
 俺と3人の子供は食事をごちそうになった。


「ご馳走様でした。美味しかったです。何か他に困っている事はありませんか?」
「おばあちゃんねえ、タンスをかいかえたいんだよ」
「おばあちゃんがまえいってた!」

「もう充分だよ。それにどれを選ぶか決めてもいないからねえ」
「行きましょう。アリーチェの家でいいんですかね?お気に入りが無ければ買わなくてもいいですし」
「悪いからいいよ」

「いえ、アリーチェにもその両親にもお世話になっています。お得意様を贔屓にしておかないと。あ、お金ならありますので、良ければ僕が出しますよ」
「いいよ、お金はあるから。でも、時間はいいのかい?」
「大丈夫です!幸運値を上げたいです!」
「本当に信心深いねえ。それじゃあ、お願いしようかねえ。ありがとうね」

 俺は4人を乗せて商店に戻った。
 おばあちゃんはお気に入りのタンスが見つかったようだ。
 俺はタンスと4人を乗せておばあちゃんのいる高台に荷車を引いて登る。
 そしてタンスを設置して古いタンスを下取りの為商店に運ぶと銀貨3枚になった。

 銀貨3枚を持って子供を荷車に乗せたままクレアおばあちゃんに渡そうとすると首を横に振った。
 おばあちゃんは俺に銀貨をあげようとしてきたが断ると今度は銀貨を子供にあげた。

「シスターに渡して」
「「わかった!」」

 俺は3人の子供を孤児院まで乗せていく。
 大分静まって来た。
 ガキンガキンがガキンになって来た。
 邪念が静まって来た。

 何とかなりそうだ。
 長い戦いが終わろうとしている。

「まあ!ありがとうございます!」

 シスターが俺の手を取って胸に引き寄せる。
 俺の股間が元気になって来た。
 シスターの不意打ちだと!
 くう!油断した!

「どうされました?」
「い、いえ!な、ナニか、いえ、何か1人で出来る力仕事はありませんか!?1人で黙々と出来る何かがしたいです!ボランティアがしたいです!」
「まあ!素敵です!」
 
 シスターが胸に俺の手をさらに引き寄せた。

「そうですねえ……あ、薪割りなんてどうでしょう?」
「いいですね!薪割り!やってみたいです!」

 俺は孤児院の離れにある小屋の前で薪割りを始めた。

 パカーン!

 斧を持って腕を振るだけでも薪が割れるが、腕の力だけじゃ駄目な気がする。
 腕を降ろす瞬間に腰を落とす感じにして、こうだ!

 パカーン!

 おお!うまく割れた、力はそんなにいらない、全身の運動をタイミングよく、こうか!

 パカーン!

 若い女性は駄目だ、木を見ろ!
 全身の動きに集中しろ!
 工夫しろ!
 邪念を追い出す!
 俺は没頭した。

 パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!

 
 ◇


 パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!パカーン!

 シスターがやって来た。

「ええ!こ、こんなに割って!すいません!暗くなるまで気づかなくて」
「あ、シスター、そう言えば、暗くなっていますね」
「ああ、すいません」

 またシスターが俺の手を握り胸に引き寄せる。
 ……邪念は去った。
 俺はほっとした。

「本当にお疲れさまでした。でも無理はなさらないでください」
「いえ、明日も来ていいですか?薪を割ったままにしているので片付けたいです。次の薪はまだありますし」
「助かりますけど、何も返せる物はありませんよ?」
「いいんです。薪割りは心にある邪念を消してくれます。明日も来ますね」

 俺は銭湯に入り、家に帰ってその日はぐっすり眠った。


【次の日】

 アリーシャと打ち合う。

 ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!
 ポヨンポヨンポヨンポヨン!

 また邪念、だと!
 そうだ、薪割り!
 善行、善行だ!

 俺は早朝訓練が終わると薪割りをする為走った。



【街の食堂】

 職業、性別、年齢もバラバラな客が話をする。

「ユウタが最近何かに憑りつかれたように人助けをしているらしいぜ」
「私が話しかけてもまっすぐ前を向いて黙々とみんなを助けていたわ!かっこいい!」
「美人のあんたが話しかけてもまっすぐ前を向くか」

「子供や老人を助けているみたいだね。心まで男前じゃないかい」
「本当にかっこいいのよ!ユウタ様は本当に素敵だわ!」
「遊び人なのに若い娘を贔屓しないなんて!きっとすごく誠実なのよ!」

「困っている人を見て見ぬふりが出来ないんだろうな」
「鬼気迫るような必死さがあったわ!」
「ユウタの幸運はどれだけ伸びてるんだろうな?」
「無償で皆を助けているんだろ?」

「シスターの話じゃ、薪を割り続けて、クレアばあの所に持って行って、今度は木を切って運んで来たらしい。あのシスターがユウタを気に入ってたぜ」
「シスターまで落とすとは、男前だねえ」

「所で、副兵士長のパーティーを手伝う話はどうなったんだ?」
「それがよお、副兵士長は言い出せないでいるらしい、なんせユウタはみんなを助けてるんだからなあ」
「遊ばぬ遊び人ユウタか。狡猾なロックショットを追い払い、人をたすける不思議な存在。もうこの街で知らない人はいないんじゃないか?」

 ユウタは邪念を払う為狂ったように善行を積み重ねた。
 そして街中にユウタの噂が広がった。
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