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第12話 揺れる心

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 サーカスショーは早めに終わりみんなは今日も賭けと酒、女遊びに出かけて行った。

 お客様が増えるほど貰える銀貨も多くなる。
 

 俺はアリーチェに頼んで訓練を続けた。
 ロックショットに負けない力が欲しい。

 アリーチェをおんぶして階段を駆け上がり、そして走って下に降りる。
 アリーチェの胸が温かい。
 アリーチェに乗って貰い腕立てをしてアリーチェと両手を上に上げ、手を組んで力比べをし、今はアリーチェをお姫様抱っこして走る。

 ポヨンポヨンポヨン!

「ユウタは本当に立派になったわね」

 俺はアリーチェの胸を目の端で見ながら言葉を交わす。

「アリーチェほど立派ではないさ」
「ううん、そんな事無いわ。ユウタは本当に強くなったわよ」
「アリーチェの素振りはとてもきれいだ。ぽよんげふんげふん。動きがきれいなのは無駄がない証拠だ」
「ユウタを見て私ももっと頑張ろうと思ったのよ」

「こ、これ以上膨らむのか!」
「膨らむ?」
「い、いや、これ以上体力をつけるのかと思って」
「大げさね。私よりユウタの方が体力があるでしょ?」
「体力はそうだけど、戦士は体力と速度がアップするからまだ追いついてはいないだろ?」

 俺はアリーチェの胸を見て言った。

「アリーチェは今でも俺の目標だ」
「決めたわ、私ももっと頑張るわね」
「ああ、お互い目標を持って頑張ろう!」

 その日から俺はサーカスショーのピエロが終わるとアリーチェと修行をして過ごした。


 ◇


「もうお客様の混雑は無くなった。ユウタ、サーカス団卒業だ!」
「今までありがとうございました!」
「それと、このナイフを受け取ってくれ。投げるのに向いている。皆で金を出し合って買った!」

「これ、かなり質がいいですよ」
「ああ、ユウタならこのくらいの物は持たねえとな」

 みんなが笑顔を見せて、俺は皆に頭を下げ、腰にナイフを装備した。

「ユウタ、アリーチェが待っているわよ」
「はい!アリーチェ、帰ろう」

 2人でアリーチェの家に帰る。


 家に帰るとアリーチェの両親が出迎えた。
 人型のゴーレムも一緒に出迎える。

 人型ゴーレムは商人のスキルだ。

「お帰りなさい。ご馳走を用意してるのよ」
「ゴーレム、店番は頼む。さあ、中に上がって」

 温かいアリーチェの両親に迎えられて食事を囲んだ。
 食事が終わるとアリーチェの目がとろんとしている。
 とても眠そうだ。

「アリーチェ、無理せず眠っていいんだぞ。いつも朝から剣を振っているんだろ?」
「……そうね、今日は眠らせてもらうわ」

 アリーチェが立ち上がって部屋に向かった。

「アリーチェは今日張り切っていたのよ。いつもより早く起きて剣の訓練をして、その後は家をくまなく掃除してユウタ君を迎える準備をしていたのよ」
「アリーチェは分かりやすい。所でユウタ君、アリーチェは私の本当の子供ではないんだ」

「……え?」
「アリーチェは妹の子だ。アリーチェの両親はゴブリンに殺されたんだ」

 そうか、ゴブリンと闘う時にアリーチェがやけに好戦的だったのはそう言う理由があったのか。

「実の子でなくてもアリーチェは大事な2人の子だ。ユウタ君、アリーチェをどうか末永くよろしく頼む」
「……え?それって結婚」

「お父さん、急ぎすぎよ。ナニかあったらナニで良いけれどアリーチェと仲良くしてあげてね?」

 意味が分からない、ナニってなんのナニなんだ?
 アレな想像をしたが、急ぎすぎとも言った、訳が分からない。
 どこからが冗談でどこまでが本気なんだ?

「母さんだって急ぎ過ぎだ。ユウタ君、深く考えず、仲良くしてやって欲しい」
「はい、それはもう僕も仲良くやっていきたいです。明日も一緒に訓練を頑張ります!」


【次の日・早朝】

 俺はアリーチェと打ち合う。
 腕や剣ではなく胸を見る。

 ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!

 ポヨン!ポヨン!ポヨン!ポヨン!ポヨン!

「やるわね!」
「アリーチェこそ!」

 素晴らしいポヨンの動きだ。

「本当に凄いわ、私の小手先の動きに惑わされないのね。体の芯を捕えられている証拠よ」
「小手先だけじゃなく体も見るようにしているからな!」

 ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!

 ポヨン!ポヨン!ポヨン!ポヨン!ポヨン!

「私ももっと成長するわ!」
「そうか、楽しみだ!」

 ポヨンの更に上位があるのか? 
 いや待て、太ももや尻が成長する可能性もある。
 アリーチェの言葉を思い出せ!
 小手先に惑わされるな、体の芯をよく見ろ!
 
 ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!

『器用42→45』

「く、急に成長したの!」

 これが芯を捕えるという事か!アリーチェの剣が動く前に体が動く、その動きを全体的に捕らえる!アリーチェの動きすべてが剣の動きになって現れる!そういう事か!
 まだだ!まだ足りない!

 アリーチェの胸が俺に動きを教えてくれる。

『器用45→47』

 アリーチェの太ももが俺に危機を知らせる。

『器用47→49』

 アリーチェの尻が俺の初動をほんの僅かに早めていく!

『器用49→50』
『曲芸レベル6→7』

「そんな!押し返せない!急に成長したの!」
「アリーチェのおかげで強くなれた、何かを掴めそうだ」
「もう、掴んでるじゃない」
「いや、あの時のように掴めてはいないんだ。でも、アリーチェ、ありがとう!」

 俺はアリーチェの両手を取ってブンブンと振った。

 ポヨン!ポヨン!ポヨン!


 ユウタ・男・15才
 ジョブ:遊び人
 体力:  35
 魔力:  31
 速力:  39
 器用:  42→50
 幸運:100
 スキル:ステッキレベル9、曲芸レベル6→7、おさわりレベル1
 固有スキル:???




 あとがき
 日本語って曖昧で本当に難しいですよね。
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感想 23

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