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第11話 急成長

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 サーカス会場でピエロとしてステージに立つ。
 客席は満員だ。
 客席にはアリーチェと副兵士長もいた。

 ピエール団長が蝶ネクタイのタキシードを着てショーを進行する。

「本日はお集まりいただきありがとうございます!今日のショーは幸運を呼ぶユウタのピエロショーです!」

「「わあああああああああああ!」」

 ショーが始まるといつもの流れでエマさんに抱き着く。
 だがここからが違う。
 ピエール団長以外のサーカス団全員がナイフを構える。

 俺は6人に囲まれ、飛んでくるナイフを躱していく。
 ピエール団長が冗談を挟んで場を盛り上げる。

 更にピエール団長が場を盛り上げた。

「おっとおお!怒ったバニーガールが魔法のナイフを飛ばそうとしている!」

 エマさんにやれと言っている。
 エマさんはステッキを出して全力で魔法のナイフを飛ばして来た。
 俺はなんとかそれを躱す。

「さらにいいいい!男がパラソルで突撃しようとしているううう!」

 ホビーさんがパラソルを発動させて俺に突撃して来た。
 ホビーさんも全力だ!
 俺はバランスを崩しつつもパラソルを避けた。

「その隙にみんながナイフを取り出した!これはピンチだあああ!!」

 みんながナイフを投げつけてくる。
 俺は避けきれずステッキを出現させてすべてを叩き落した。
 体が軽い。
 
 ここで客席から歓声が上がった。

「おいおいおいおい!あれを全部叩き落すのかよ!」
「だが、狡猾なロックショットと闘って攻撃を一切食らっていなかった。そう考えると出来て不思議じゃないぜ!」
「遊び人なのに毎日頑張ってるのよね?凄いわ!」

 まるで不良が犬を助けたから優しいみたいになっている。


「最初は遊び人が転生して来ておかしいと思っていました。ですが結果を見て女神ティアのやさしさが、思いが少しだけ分かった気がします」

 そう言ってお客様が俺に祈った。

「ユウタ様ありがとうございます!」

 他のお客様も俺に対して祈り始めた。

「すごいすごい!ぼくもあれやりたい!」
「ダメよ!危ないわ!苦しい思いをして頑張らないとできないのよ!」


 歓声を送るお客様、祈るお客様、喜ぶお客様と様々だが、ショーは大成功を収めた。
 全員で礼をし、ショーが終わると俺とピエールさん以外が地面に座り込んだ。

「も、もう駄目、もう動きたくない」
「息が、くるしい、っす」

 ショーが終わっても客席にいるお客様は帰らず俺達を見ていた。

「大丈夫、ですか?」
「はあ、はあ、ピエロなのに、元気そうね」

 ピエロは負担が大きい役割なのだ。

「もう、すっかり、追い越されたっす」
「ユウタ、いやじゃなければでいいんだが、ステータスを見せてくれないか?」

 ピエールさんが言った瞬間に副兵士長が前に出た。

「私も興味がある。是非見せて欲しい」

 客席からも声が上がる。

「みせてー!」
「ユウタ様のステータスを見せてー!」

 歓声が鳴りやまない。
 俺はステッキをマイクに変えた。

「みなさん、今からステータスをお見せしますが、出来ればアリーチェのステータスも一緒に見たいです!僕はアリーチェを目標に修行してきたからです」

「わ、私!」

 アリーチェがお客様に押されて前に出るが何故か焦っている。

「アリーチェ?どうしたんだ?」
「こ、固有スキルの事は答えないわよ」
「分かった。追及しないしさせない。私が約束しよう!」

 副兵士長が大きな声で言った。
 俺とアリーチェはピエールさんの合図でステータスを表示した。

「「ステータス開示」」


 ユウタ・男・15才
 ジョブ:遊び人
 体力:16→35
 魔力:13→31
 速力:21→39
 器用:12→42
 幸運:25→100
 スキル:ステッキレベル9、曲芸レベル3→6、おさわりレベル1【NEW!】
 固有スキル:???

 アリーチェ・女・15才
 ジョブ:戦士
 体力:30→31
 魔力:  8
 速力:25 →26
 器用:16 →21
 幸運:12 →14
 スキル:戦士の心レベル4→5
 固有スキル:無し→乙女の接吻【NEW!】

 
「全部30越え、成長が早すぎるぜ!」
「命を賭けた善行が幸運値を引き上げたか」

「おさわりを覚えたか、スキルは、俺に教えられることはねえな」
「ユウタ殿、兵士長に相談し次の師匠を呼ぶ手配をしたいのだが構わないかな?」
「お願いします」

 客席もざわついた。

「おとめのせっぷん……ぼくよめるよ!いみもわかるよ!アリーチェおねえちゃんはユウタのことがすきなんだよね!」
「しー!言っちゃ駄目!可哀そうでしょ!」

 子供がお母さんに口を押えられていた。
 アリーチェが真っ赤になっている。
 エマさんが笑うと、アリーチェはエマさんを睨んでいた。

「おほん!ユウタ殿、サーカスが落ち着いてからでいい。アリーチェと共に私のパーティーに入り魔物狩りを手伝ってくれないだろうか?」

 客席からまた声が上がる。

「おいおいおいおいおい!なんてこった!副兵士長のパーティーだと!」
「兵士団最強のパーティーじゃねえか!」
「帰って皆に話せる!いい酒の肴になるぜ!」

「まずはお世話になったサーカス団のみんなに恩返しがしたいです。繁盛が収まるまでサーカス団で働いてそれから考えるでいいでしょうか?」
「ああ、それで構わない。ユウタ殿はいい意味で遊び人とは違うな」

 副兵士長は素朴な笑顔を見せた。
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