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第49話
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「カナタ、実際に会うのは3回目か」
「そうですね」
「顔が赤い。熱があるのか?」
「い、いえ、緊張しているだけです」
「いつも話して」
プップーーーーー!
トラックのクラクションが鳴って会話が中断される。
「早く荷物を受け入れて決済してくれねーか!後ろにも控えてんだ!」
「ストレージ持ちもいるんだ!早く帰って眠りたい!」
「おい!待たせるなよ!」
トラックの運ちゃんとストレージ持ちの運び屋が俺をせかした。
ただでさえ気が荒い運ちゃんがレッドハットの出現により苛立っている。
「はい、今すぐに!」
「ユウヤ君はどこ?握手したいわあ」
予言者の服を着た女性が前に出た。
一見清楚に見えるが、いやな予感がした。
ユウヤに任せよう。
ユウヤは癖がある人間でも仲良く出来る人格者だ。
「あっちですよ」
俺はユウヤのいる方に女性を誘導した。
「カナタ、悪い。話は後でだ」
「あ、その前に、配信をしましょう」
「この食料を爆買いしてるだけのつまらない配信をか?」
「はい、その方がいいと思います」
きっと後で効果があるんだろう。
「分かった。配信開始!よう!今トラックの運ちゃんとストレージ持ちの運び屋さんから食料を買っている」
俺はそう言ってから配信の音声コメントを無視して食料や物資を受け入れていく。
『あいつ、あんなに食料を買って何してんだろ?』
『クレイジーのやる事だ。俺達には分からん』
『待て待て、考えるんだ。カゲオは英雄法で急にダンジョンに閉じ込められて、その後メディアの大バッシングを受けてダンジョンに数か月引きこもった。そして愛の無い両親の元で育てられた。不安なんだよ』
『また閉じ込められるの怖い。僕黒光りするGだからまた閉じ込められる!怖い!食べ物集めとこ!!』
『ちょ!面白過ぎるwwwwwww』
『クレイジーカゲオならまた閉じ込められる可能性は十分にあって草』
『あのトラックの数の多さよ』
『カゲオ、お前怖がる前にそのクレイジーさを直せよ』
『自分がクレイジーである事すら分からないからクレイジーなんだろ?』
『確かにwwwwwww』
『カゲオを見ろよ。真剣に荷物を受け入れているぜwwwwwwww』
『真剣なまなざしがウケる』
『だんだん癖になってきた。笑いすぎて腹が痛い』
俺はコメントが続く中荷物を受け入れ続けた。
コメントをする奴らは無視でいい。
こいつらは日本人の下位数%だろう。
でも、荷物を運んでくれたみんなには早く休んで欲しい。
特にトラックの運ちゃんはレッドハットに襲撃を受けるリスクがあってそれでも仕事をしている。
しかし、今この配信を見てバカにしてくるやつらは、戦闘訓練をしていないのか?
してない人が多いんだろうな。
日本人の多くはまともでも残り数%のヤバイ奴らは厄介だ、そう思っている。
自分では何もせずストレス発散の為にコメントしている感じがする。
レッドハットの影響で限界集落は消えた。
次は農地や酪農の牧場が多い田舎が狙われるのは予想できる。
つまり食料の値段は高騰する。
その事はニュースでちょっとはやっているけど、それすら分からないのか?
いや、人の批判をする事にエネルギーを使い自分の生活を良くすることに使っていないこいつらに言っても無駄か。
まだ余裕があるんだろう。
「カゲオ君、その目はやめましょう」
「ん?ああ、ゴミを見るような目でキューブを見てしまった」
『おお!カナタタン!軟禁生活解放おめでとう!』
『おお!生カナタだ!』
『画面越しだから生じゃないんだよなあ』
『水着じゃないのか。残念』
「カナタ、向こうに休憩所があるから休んでていいぞ。結構時間がかかる」
「まだ、トラックが集まってますね」
「そんなわけでお菓子もあるからのんびりしててくれ」
「分かりました」
俺は受け入れ作業に戻った。
先の事を見越した行動の早い上位1%の日本人はカゲオダンジョンに引っ越してセーフゾーンに住んでいるけど、その事も分かっていないようだ。
すでにダンジョン内では農業が始まっているんだよなあ。
……ニュースではレッドハットによる死者について大きく取り上げられている。
ちなみに死者数は少ない。
問題はそこよりも後から来る食料の高騰だ。
待てよ?コメントをしていない人の中にはまともな人もいるはずだ。
乗り気はしないけど話はしておこうか。
「お前ら、このままだと食料がもっと高くなるぞ?」
『カゲオ、ビビりすぎ乙~!』
『今だって高いだろ?今更だ』
『それよりもレッドハットを何とかしろG野郎が!』
『備蓄する暇があるなら魔物を倒してくれませんか?クレイジーカゲオ君』
うん、予想通りコメントをする奴には伝わらないか。
「レッドハットは過疎地を襲った。次は農地や牧場のある田舎の村が狙われる。食料は備蓄しておいた方がいい。今までのように安く買える事は無くなるかもしれない」
『カゲオ、お前がレッドハットを倒せよ』
『英雄法の使命を果たしてくれない?口だけなの?』
『荷物の受け入れをする暇があるなら魔物を倒せよ』
まったく関係のないコメントが聞こえ続けたが俺は無視して荷物の受け入れを続けた。
数日にわたって配信を続けながら、財産を使い切るように物資を買い続けたが、コメントの質は変わらないようだ。
「そうですね」
「顔が赤い。熱があるのか?」
「い、いえ、緊張しているだけです」
「いつも話して」
プップーーーーー!
トラックのクラクションが鳴って会話が中断される。
「早く荷物を受け入れて決済してくれねーか!後ろにも控えてんだ!」
「ストレージ持ちもいるんだ!早く帰って眠りたい!」
「おい!待たせるなよ!」
トラックの運ちゃんとストレージ持ちの運び屋が俺をせかした。
ただでさえ気が荒い運ちゃんがレッドハットの出現により苛立っている。
「はい、今すぐに!」
「ユウヤ君はどこ?握手したいわあ」
予言者の服を着た女性が前に出た。
一見清楚に見えるが、いやな予感がした。
ユウヤに任せよう。
ユウヤは癖がある人間でも仲良く出来る人格者だ。
「あっちですよ」
俺はユウヤのいる方に女性を誘導した。
「カナタ、悪い。話は後でだ」
「あ、その前に、配信をしましょう」
「この食料を爆買いしてるだけのつまらない配信をか?」
「はい、その方がいいと思います」
きっと後で効果があるんだろう。
「分かった。配信開始!よう!今トラックの運ちゃんとストレージ持ちの運び屋さんから食料を買っている」
俺はそう言ってから配信の音声コメントを無視して食料や物資を受け入れていく。
『あいつ、あんなに食料を買って何してんだろ?』
『クレイジーのやる事だ。俺達には分からん』
『待て待て、考えるんだ。カゲオは英雄法で急にダンジョンに閉じ込められて、その後メディアの大バッシングを受けてダンジョンに数か月引きこもった。そして愛の無い両親の元で育てられた。不安なんだよ』
『また閉じ込められるの怖い。僕黒光りするGだからまた閉じ込められる!怖い!食べ物集めとこ!!』
『ちょ!面白過ぎるwwwwwww』
『クレイジーカゲオならまた閉じ込められる可能性は十分にあって草』
『あのトラックの数の多さよ』
『カゲオ、お前怖がる前にそのクレイジーさを直せよ』
『自分がクレイジーである事すら分からないからクレイジーなんだろ?』
『確かにwwwwwww』
『カゲオを見ろよ。真剣に荷物を受け入れているぜwwwwwwww』
『真剣なまなざしがウケる』
『だんだん癖になってきた。笑いすぎて腹が痛い』
俺はコメントが続く中荷物を受け入れ続けた。
コメントをする奴らは無視でいい。
こいつらは日本人の下位数%だろう。
でも、荷物を運んでくれたみんなには早く休んで欲しい。
特にトラックの運ちゃんはレッドハットに襲撃を受けるリスクがあってそれでも仕事をしている。
しかし、今この配信を見てバカにしてくるやつらは、戦闘訓練をしていないのか?
してない人が多いんだろうな。
日本人の多くはまともでも残り数%のヤバイ奴らは厄介だ、そう思っている。
自分では何もせずストレス発散の為にコメントしている感じがする。
レッドハットの影響で限界集落は消えた。
次は農地や酪農の牧場が多い田舎が狙われるのは予想できる。
つまり食料の値段は高騰する。
その事はニュースでちょっとはやっているけど、それすら分からないのか?
いや、人の批判をする事にエネルギーを使い自分の生活を良くすることに使っていないこいつらに言っても無駄か。
まだ余裕があるんだろう。
「カゲオ君、その目はやめましょう」
「ん?ああ、ゴミを見るような目でキューブを見てしまった」
『おお!カナタタン!軟禁生活解放おめでとう!』
『おお!生カナタだ!』
『画面越しだから生じゃないんだよなあ』
『水着じゃないのか。残念』
「カナタ、向こうに休憩所があるから休んでていいぞ。結構時間がかかる」
「まだ、トラックが集まってますね」
「そんなわけでお菓子もあるからのんびりしててくれ」
「分かりました」
俺は受け入れ作業に戻った。
先の事を見越した行動の早い上位1%の日本人はカゲオダンジョンに引っ越してセーフゾーンに住んでいるけど、その事も分かっていないようだ。
すでにダンジョン内では農業が始まっているんだよなあ。
……ニュースではレッドハットによる死者について大きく取り上げられている。
ちなみに死者数は少ない。
問題はそこよりも後から来る食料の高騰だ。
待てよ?コメントをしていない人の中にはまともな人もいるはずだ。
乗り気はしないけど話はしておこうか。
「お前ら、このままだと食料がもっと高くなるぞ?」
『カゲオ、ビビりすぎ乙~!』
『今だって高いだろ?今更だ』
『それよりもレッドハットを何とかしろG野郎が!』
『備蓄する暇があるなら魔物を倒してくれませんか?クレイジーカゲオ君』
うん、予想通りコメントをする奴には伝わらないか。
「レッドハットは過疎地を襲った。次は農地や牧場のある田舎の村が狙われる。食料は備蓄しておいた方がいい。今までのように安く買える事は無くなるかもしれない」
『カゲオ、お前がレッドハットを倒せよ』
『英雄法の使命を果たしてくれない?口だけなの?』
『荷物の受け入れをする暇があるなら魔物を倒せよ』
まったく関係のないコメントが聞こえ続けたが俺は無視して荷物の受け入れを続けた。
数日にわたって配信を続けながら、財産を使い切るように物資を買い続けたが、コメントの質は変わらないようだ。
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