49 / 80
第49話
しおりを挟む
「カナタ、実際に会うのは3回目か」
「そうですね」
「顔が赤い。熱があるのか?」
「い、いえ、緊張しているだけです」
「いつも話して」
プップーーーーー!
トラックのクラクションが鳴って会話が中断される。
「早く荷物を受け入れて決済してくれねーか!後ろにも控えてんだ!」
「ストレージ持ちもいるんだ!早く帰って眠りたい!」
「おい!待たせるなよ!」
トラックの運ちゃんとストレージ持ちの運び屋が俺をせかした。
ただでさえ気が荒い運ちゃんがレッドハットの出現により苛立っている。
「はい、今すぐに!」
「ユウヤ君はどこ?握手したいわあ」
予言者の服を着た女性が前に出た。
一見清楚に見えるが、いやな予感がした。
ユウヤに任せよう。
ユウヤは癖がある人間でも仲良く出来る人格者だ。
「あっちですよ」
俺はユウヤのいる方に女性を誘導した。
「カナタ、悪い。話は後でだ」
「あ、その前に、配信をしましょう」
「この食料を爆買いしてるだけのつまらない配信をか?」
「はい、その方がいいと思います」
きっと後で効果があるんだろう。
「分かった。配信開始!よう!今トラックの運ちゃんとストレージ持ちの運び屋さんから食料を買っている」
俺はそう言ってから配信の音声コメントを無視して食料や物資を受け入れていく。
『あいつ、あんなに食料を買って何してんだろ?』
『クレイジーのやる事だ。俺達には分からん』
『待て待て、考えるんだ。カゲオは英雄法で急にダンジョンに閉じ込められて、その後メディアの大バッシングを受けてダンジョンに数か月引きこもった。そして愛の無い両親の元で育てられた。不安なんだよ』
『また閉じ込められるの怖い。僕黒光りするGだからまた閉じ込められる!怖い!食べ物集めとこ!!』
『ちょ!面白過ぎるwwwwwww』
『クレイジーカゲオならまた閉じ込められる可能性は十分にあって草』
『あのトラックの数の多さよ』
『カゲオ、お前怖がる前にそのクレイジーさを直せよ』
『自分がクレイジーである事すら分からないからクレイジーなんだろ?』
『確かにwwwwwww』
『カゲオを見ろよ。真剣に荷物を受け入れているぜwwwwwwww』
『真剣なまなざしがウケる』
『だんだん癖になってきた。笑いすぎて腹が痛い』
俺はコメントが続く中荷物を受け入れ続けた。
コメントをする奴らは無視でいい。
こいつらは日本人の下位数%だろう。
でも、荷物を運んでくれたみんなには早く休んで欲しい。
特にトラックの運ちゃんはレッドハットに襲撃を受けるリスクがあってそれでも仕事をしている。
しかし、今この配信を見てバカにしてくるやつらは、戦闘訓練をしていないのか?
してない人が多いんだろうな。
日本人の多くはまともでも残り数%のヤバイ奴らは厄介だ、そう思っている。
自分では何もせずストレス発散の為にコメントしている感じがする。
レッドハットの影響で限界集落は消えた。
次は農地や酪農の牧場が多い田舎が狙われるのは予想できる。
つまり食料の値段は高騰する。
その事はニュースでちょっとはやっているけど、それすら分からないのか?
いや、人の批判をする事にエネルギーを使い自分の生活を良くすることに使っていないこいつらに言っても無駄か。
まだ余裕があるんだろう。
「カゲオ君、その目はやめましょう」
「ん?ああ、ゴミを見るような目でキューブを見てしまった」
『おお!カナタタン!軟禁生活解放おめでとう!』
『おお!生カナタだ!』
『画面越しだから生じゃないんだよなあ』
『水着じゃないのか。残念』
「カナタ、向こうに休憩所があるから休んでていいぞ。結構時間がかかる」
「まだ、トラックが集まってますね」
「そんなわけでお菓子もあるからのんびりしててくれ」
「分かりました」
俺は受け入れ作業に戻った。
先の事を見越した行動の早い上位1%の日本人はカゲオダンジョンに引っ越してセーフゾーンに住んでいるけど、その事も分かっていないようだ。
すでにダンジョン内では農業が始まっているんだよなあ。
……ニュースではレッドハットによる死者について大きく取り上げられている。
ちなみに死者数は少ない。
問題はそこよりも後から来る食料の高騰だ。
待てよ?コメントをしていない人の中にはまともな人もいるはずだ。
乗り気はしないけど話はしておこうか。
「お前ら、このままだと食料がもっと高くなるぞ?」
『カゲオ、ビビりすぎ乙~!』
『今だって高いだろ?今更だ』
『それよりもレッドハットを何とかしろG野郎が!』
『備蓄する暇があるなら魔物を倒してくれませんか?クレイジーカゲオ君』
うん、予想通りコメントをする奴には伝わらないか。
「レッドハットは過疎地を襲った。次は農地や牧場のある田舎の村が狙われる。食料は備蓄しておいた方がいい。今までのように安く買える事は無くなるかもしれない」
『カゲオ、お前がレッドハットを倒せよ』
『英雄法の使命を果たしてくれない?口だけなの?』
『荷物の受け入れをする暇があるなら魔物を倒せよ』
まったく関係のないコメントが聞こえ続けたが俺は無視して荷物の受け入れを続けた。
数日にわたって配信を続けながら、財産を使い切るように物資を買い続けたが、コメントの質は変わらないようだ。
「そうですね」
「顔が赤い。熱があるのか?」
「い、いえ、緊張しているだけです」
「いつも話して」
プップーーーーー!
トラックのクラクションが鳴って会話が中断される。
「早く荷物を受け入れて決済してくれねーか!後ろにも控えてんだ!」
「ストレージ持ちもいるんだ!早く帰って眠りたい!」
「おい!待たせるなよ!」
トラックの運ちゃんとストレージ持ちの運び屋が俺をせかした。
ただでさえ気が荒い運ちゃんがレッドハットの出現により苛立っている。
「はい、今すぐに!」
「ユウヤ君はどこ?握手したいわあ」
予言者の服を着た女性が前に出た。
一見清楚に見えるが、いやな予感がした。
ユウヤに任せよう。
ユウヤは癖がある人間でも仲良く出来る人格者だ。
「あっちですよ」
俺はユウヤのいる方に女性を誘導した。
「カナタ、悪い。話は後でだ」
「あ、その前に、配信をしましょう」
「この食料を爆買いしてるだけのつまらない配信をか?」
「はい、その方がいいと思います」
きっと後で効果があるんだろう。
「分かった。配信開始!よう!今トラックの運ちゃんとストレージ持ちの運び屋さんから食料を買っている」
俺はそう言ってから配信の音声コメントを無視して食料や物資を受け入れていく。
『あいつ、あんなに食料を買って何してんだろ?』
『クレイジーのやる事だ。俺達には分からん』
『待て待て、考えるんだ。カゲオは英雄法で急にダンジョンに閉じ込められて、その後メディアの大バッシングを受けてダンジョンに数か月引きこもった。そして愛の無い両親の元で育てられた。不安なんだよ』
『また閉じ込められるの怖い。僕黒光りするGだからまた閉じ込められる!怖い!食べ物集めとこ!!』
『ちょ!面白過ぎるwwwwwww』
『クレイジーカゲオならまた閉じ込められる可能性は十分にあって草』
『あのトラックの数の多さよ』
『カゲオ、お前怖がる前にそのクレイジーさを直せよ』
『自分がクレイジーである事すら分からないからクレイジーなんだろ?』
『確かにwwwwwww』
『カゲオを見ろよ。真剣に荷物を受け入れているぜwwwwwwww』
『真剣なまなざしがウケる』
『だんだん癖になってきた。笑いすぎて腹が痛い』
俺はコメントが続く中荷物を受け入れ続けた。
コメントをする奴らは無視でいい。
こいつらは日本人の下位数%だろう。
でも、荷物を運んでくれたみんなには早く休んで欲しい。
特にトラックの運ちゃんはレッドハットに襲撃を受けるリスクがあってそれでも仕事をしている。
しかし、今この配信を見てバカにしてくるやつらは、戦闘訓練をしていないのか?
してない人が多いんだろうな。
日本人の多くはまともでも残り数%のヤバイ奴らは厄介だ、そう思っている。
自分では何もせずストレス発散の為にコメントしている感じがする。
レッドハットの影響で限界集落は消えた。
次は農地や酪農の牧場が多い田舎が狙われるのは予想できる。
つまり食料の値段は高騰する。
その事はニュースでちょっとはやっているけど、それすら分からないのか?
いや、人の批判をする事にエネルギーを使い自分の生活を良くすることに使っていないこいつらに言っても無駄か。
まだ余裕があるんだろう。
「カゲオ君、その目はやめましょう」
「ん?ああ、ゴミを見るような目でキューブを見てしまった」
『おお!カナタタン!軟禁生活解放おめでとう!』
『おお!生カナタだ!』
『画面越しだから生じゃないんだよなあ』
『水着じゃないのか。残念』
「カナタ、向こうに休憩所があるから休んでていいぞ。結構時間がかかる」
「まだ、トラックが集まってますね」
「そんなわけでお菓子もあるからのんびりしててくれ」
「分かりました」
俺は受け入れ作業に戻った。
先の事を見越した行動の早い上位1%の日本人はカゲオダンジョンに引っ越してセーフゾーンに住んでいるけど、その事も分かっていないようだ。
すでにダンジョン内では農業が始まっているんだよなあ。
……ニュースではレッドハットによる死者について大きく取り上げられている。
ちなみに死者数は少ない。
問題はそこよりも後から来る食料の高騰だ。
待てよ?コメントをしていない人の中にはまともな人もいるはずだ。
乗り気はしないけど話はしておこうか。
「お前ら、このままだと食料がもっと高くなるぞ?」
『カゲオ、ビビりすぎ乙~!』
『今だって高いだろ?今更だ』
『それよりもレッドハットを何とかしろG野郎が!』
『備蓄する暇があるなら魔物を倒してくれませんか?クレイジーカゲオ君』
うん、予想通りコメントをする奴には伝わらないか。
「レッドハットは過疎地を襲った。次は農地や牧場のある田舎の村が狙われる。食料は備蓄しておいた方がいい。今までのように安く買える事は無くなるかもしれない」
『カゲオ、お前がレッドハットを倒せよ』
『英雄法の使命を果たしてくれない?口だけなの?』
『荷物の受け入れをする暇があるなら魔物を倒せよ』
まったく関係のないコメントが聞こえ続けたが俺は無視して荷物の受け入れを続けた。
数日にわたって配信を続けながら、財産を使い切るように物資を買い続けたが、コメントの質は変わらないようだ。
2
お気に入りに追加
438
あなたにおすすめの小説
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
身バレしないように奴隷少女を買ってダンジョン配信させるが全部バレて俺がバズる
ぐうのすけ
ファンタジー
呪いを受けて冒険者を休業した俺は閃いた。
安い少女奴隷を購入し冒険者としてダンジョンに送り込みその様子を配信する。
そう、数年で美女になるであろう奴隷は配信で人気が出るはずだ。
もしそうならなくともダンジョンで魔物を狩らせれば稼ぎになる。
俺は偽装の仮面を持っている。
この魔道具があれば顔の認識を阻害し更に女の声に変える事が出来る。
身バレ対策しつつ収入を得られる。
だが現実は違った。
「ご主人様は男の人の匂いがします」
「こいつ面倒見良すぎじゃねwwwお母さんかよwwww」
俺の性別がバレ、身バレし、更には俺が金に困っていない事もバレて元英雄な事もバレた。
面倒見が良いためお母さんと呼ばれてネタにされるようになった。
おかしい、俺はそこまで配信していないのに奴隷より登録者数が伸びている。
思っていたのと違う!
俺の計画は破綻しバズっていく。
ゲーム序盤で死ぬモブ炎使いに転生したので、主人公に先回りしてイベントをクリアしたらヒロインが俺について来た
ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで日間・週間・月間総合1位獲得!ありがとうございます。
社畜として働き、いつものように寝て起きると、俺はゲーム『ブレイブクエストファンタジー』とよく似た世界のモブ『ゲット』に転生していた。俺は物語序盤で盗賊に襲われて死ぬ運命だ。しかも主人公のダストは俺を手下のようにこき使う。
「主人公にこき使われるのはもうごめんだ!死ぬのもごめんだ!俺がゲームのストーリーを覆してやる!」
幼いころから努力を続けていると、ゲームヒロインが俺に好意を寄せている?
いや、気のせいだ。俺はしょせんモブ!
今は死亡フラグを解決する!そして次のステップに進む!
一方、同じく転生したダストは主人公キャラを利用して成り上がろうとするが、ダンジョンのお宝はすでに無く、仲間にするはずの美人キャラには見限られ、努力を嫌ったことでどんどん衰退していく。
英雄に幼馴染を寝取られたが、物語の完璧美少女メインヒロインに溺愛されてしまった自称脇役の青年の恋愛事情
灰色の鼠
ファンタジー
・他サイト総合日間ランキング1位!
・総合週間ランキング1位!
・ラブコメ日間ランキング1位!
・ラブコメ週間ランキング1位!
・ラブコメ月間ランキング1位獲得!
魔王を討ちとったハーレム主人公のような英雄リュートに結婚を誓い合った幼馴染を奪い取られてしまった脇役ヘリオス。
幼いころから何かの主人公になりたいと願っていたが、どんなに努力をしても自分は舞台上で活躍するような英雄にはなれないことを認め、絶望する。
そんな彼のことを、主人公リュートと結ばれなければならない物語のメインヒロインが異様なまでに執着するようになり、いつしか溺愛されてしまう。
これは脇役モブと、美少女メインヒロインを中心に起きる様々なトラブルを描いたラブコメである———
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる