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第26話

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 チュンチュンチュンチュンチュン!

 俺は、2人を狂わせるようにヤッた。
 血を飲んで体力は完全に回復し、ヤッた事で衝動も収まった。

 2人は俺の横で寝息を立てている。
 窓を開けて外を見ると、キューブでユウキと偉い人が話をしている。

『時間が無い、早く力を取り戻すのだ!』
「カゲオ達の余裕が無いんだ!倒れかけていたのを見ていたはずだよ!」

「ユウキ、今日は30階に降りよう。ただ、ソフィアとホノカの血を吸い過ぎたから、2人で護衛をする余力は無いと思う」
「な!無茶だよ!昨日は倒れかけていたじゃないか!」

「俺は血を吸って完全に回復した。問題は2人だ。もう少し2人を眠らせて欲しい。その後すぐに出発できる」
『カゲオがこう言っている。決まりだな』

 通信が切れた。
 そして配信が始まる。

 ユウキの後ろには勇者チームが揃っていた。
 そして全員が俺に頭を下げた。

 いやいやいやいや!
 俺は3人でヤリにヤッテいただけだ。
 みんなは昨日俺が苦しんでいたと誤解している。

「俺は昨日血が足りなかっただけで苦しかったわけじゃないんだ」
「もういいんだ!僕たちを気遣うのはやめてくれ!僕とカゲオは命を預け合った戦友だよ!」
「そうだ!」
「そうよ!その通りだわ!気を使わないで!」
「そんなに気を使われるとこっちが心配になって来るぜ!」

『何だ!何が起きている!』
『配信が始まった瞬間にみんながカゲオに頭を下げている!』
『カゲオに負担がかかりすぎたからだろう。皆真面目だからな』

 配信を視聴する人数が増えてきたのかコメントがどんどん増えていく。

「カゲオは昨日ボロボロになりながら戦ったんだ!今日はまだ本調子じゃないはずなのに僕たちをダンジョンの30階に導こうとしている!」

 ユウヤが涙を流した。
 他の勇者チームも何人かが泣いている。
 配信はただならぬ雰囲気を醸し出しつつあった。

『カゲオ、俺はお前の事をクレイジーゴミ野郎だと思っていた。許してくれ』
『俺はゴキ、いや、黒光りするGと言ってバカにし続けてきた。でもこれからもGと呼ぶ』

 今の状況はおかしいけどクレイジーゴミ野郎も無いわ。
 黒光りするGも無い。

「俺より血を吸った2人が疲れている」

 ソフィアとホノカが身なりを整えてミミックハウスから出て来た。

「私は大丈夫よ。確かに護衛は厳しいわ。でも自分の身を自分で守るくらいなら大丈夫よ!30階に行きましょう」
「私も大丈夫だよ。でも、カゲオは30階に着いたらすぐに血を吸わないと駄目だよ」

『やっぱりか、ギリギリの状態で無理してたのか』
『カゲオ、やっぱりお前良いやつだったんだな』

 ユウヤの言葉で流れが変わりつつある。
 俺はエロい衝動が抑えられない、それだけだ。
 でもそれを言う事は出来ない。

「み、皆が出発できるならすぐに出発したい」

 みんながもう一度頭を下げた。

 ホノカとソフィアも頭を下げた。
 いやお前らが頭を下げるのはおかしいだろ!

 こうして俺達は30階を目指して進んだ。

カナタ『カゲオ君、進化しましたよね?』
「そう、だな」

『おお!ステータスを見せてくれ!』
『やめておけ、今カゲオに余裕はない』
『そうだ、今だけはゴミムシを気遣ってやれ』

「はやく30階に行きたい」
カナタ『休むのが好きですか?早く休みたいですか?』

 カナタの機嫌が悪い。
 俺の事をジト目で見てきた。
 カナタは絶対にヤッテいる事を分かっている。
 分かった上でミミックハウスで抱き合っている事には触れずに聞いてきた。

「俺はサボりたい人間だ。正直今回もすぐ帰ると思っていたし、40階まで登れるとも思っていなかったんだ」

 俺は目を逸らし、話を逸らした。

カナタ『……』

『今日はカナタタンの機嫌が悪い』
『馬鹿、女の子の日だろ、察しろって』
『お前言うなよ。俺も思っていて言わなかったんだから』

 水着姿のカナタが赤くなった。

『カナタタンの肌がピンク色になった』
『かわええなあ』
『清楚な感じがして好き』
『無理して恥ずかしがりながら水着になっているのが可愛すぎる』

 カナタは更に赤くなっていき、何も言わなくなった。
 


 ◇



【30階】

 タンクのレベルが思ったより上がった為勇者チームはここでレベル上げをする事になった。
 そして俺はエロい衝動が抑えられずミミックハウスに入る。
 みんなは俺が苦しんでいると思い込み勘違いしている。

 ミミックハウスに入るとまた、服を脱いで今度は風呂に入った。



 ◇



「はあ、はあ、だめ、もう、立っていられないわ!」

 ソフィアが俺の方を向いて抱きつく。

「そろそろあがろうよ。食事を温めるね」

 そして食べてベッドに向かう。



 ◇



「あ、あああ!もう、カゲオに操られてるよ!あああああ!」

 ホノカが声をあげる。



 俺達は3日間ミミックハウスで過ごした。

 ミミックハウスから出るとユウヤが言った。

「3人共元気になったね。カゲオの顔色が良くなったよ」

 ユウヤの隣にいた女性も言った。

「ソフィアとホノカの肌がプルプルしているわ。ちゃんと寝た証拠よ」

 違う意味で寝ている。
 エチエチ効果によるものだ。
 だが言えない。

 罪悪感が発生した。
 この感情込みでホノカとソフィアが仲間になったのか?
 予言者はどこまで俺の行動を読んでいるんだ?

 そろそろ魔物を狩ってレベルを上げよう。

 俺は配信を始めた。

カナタ『今すぐ全員でダンジョン1階に向かってください!』

「44階のマザーファントムを倒すのは後でいいんだな?」

カナタ『はい!1階の下層でスタンピードが発生します!複数の予言者が同じ予言をしました!』

 複数の予言者が同じ予言をした。
 ほぼ的中するだろう。
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