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第21話

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 俺は米国基地に来ていた。

 ソフィア・セイントと試合が出来るらしい。
 負けてもいい思い出になるだろう。
 彼女は冒険者として人気で、しかも上級冒険者+だ。

 冒険者は見習い冒険者から始まり中級・上級・特級と上がっていく。
 更に中級・上級・特級には+・無印・マイナスとあり実質10のランクに分けられている。
 上級冒険者の場合強い順に次のように表記する。

 上級冒険者+
 上級冒険者無印
 上級冒険者-

 ソフィア・セイントは高校生にして上から4番目の資格を持っているのだ。
 今日はホノカと抱き合い、性欲は発散して来た。

 すべて問題無しだ!

 ソフィアが走って来る。

「はーい!カゲオ!初めまして!」
「初めまして」

 俺の両手を握って腕を振る。

 ビキニアーマーな上に握手で腕を振る度に胸がぽよんぽよんと揺れた。
 早速吸血衝動が起き始めた。

「すまない、早く始めたいんだ」

 早く終わらせないとまずい!

「OK!楽しみね!カゲオに負けたらパーティーに入るわ。でも、負ける気は無いわ!」

「では早速始める!バトルフィールドを展開する!両者試合に同意してくれ」

 バトルフィールドは戦闘後に傷が回復する。
 戦闘による死者を出さない為のスキルだ。
 お互いの同意を必要とする。

「同意する」
「OK!」
「それでは試合開始!」

 ソフィアは右手に大楯、左手にショートソードを装備したタンクタイプでジョブはパラディンだ。
 利き腕に盾を持つのは一般的なのだ。

「カゲオ!私はしぶといわよ!」
「知っている!」

 刀で斬りかかるが大楯で防がれた。
 そう、ソフィアは大楯の扱いがうまい。

 ソフィアが大楯を払い刀を弾こうとするが俺は素早く刀を引いた。
 大楯を振った瞬間に刀を突き刺す。
 ソフィアの肩に刀が突き刺さった。
 攻撃が浅い!やはり防御力が高いか!

 お互いに後ろに飛んだ。
 
「わお!さっそく攻撃を受けたわ!凄いのね!でも私はしぶといわ。ヒール!」

 ソフィアの防御力は高い。
 更にビキニアーマーに編み込まれた紋章で全身が防御コーティングされている。
 ビキニアーマーは飾りではないのだ。
 その為盾を突破して攻撃を当てても致命傷になりにくい。
 そして傷を受けてもヒール(回復魔法)で治療される。


「カゲオは危険ね。温存は無しよ。プロテクトタイム!」

 一定時間防御力を上げるスキルだ。

 これがソフィアの能力だ。
 レアジョブのパラディンを持ち、更に努力もする。
 何重にも防壁を張られたような威圧感がある。

「ソフィアの動画は何度も見ている。しぶといのは分かっている」

 中々ダメージを与えられず、与えても仕留めきれない。
 すぐに回復魔法で回復されてまた仕切り直しとなる。
 ソフィアの戦いは綺麗で基本に忠実だ。
 タンクの教科書として参考にされるほどだ。

 俺は全力で走った。
 見切りのスキルが俺の命中率と回避率を上げる。

 連撃をお見舞いした。

「く!でもその攻撃はスタミナを削るわ!私を倒す前にカゲオが力尽きるわ!」

 連撃でソフィアに浅い傷をつけていくがヒールで回復される。
 何度もサイドにステップを踏んで左右に揺さぶる。

 ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!

 ソフィアの顔を狙った攻撃を盾で防がれた。
 だがその瞬間ソフィアの視界が盾で隠れた。

 俺は翼を出して飛び上がり、後ろに回り込んだ。
 サイドに揺さぶったのは上の警戒を逸らす為だ。

 ソフィアの背中に連撃を加える。

 振り返ろうとするがその前にソフィアの足を斬り、動きを制限した。
 これにより一気に流れが変わった。

 ソフィアが振り返っても俺の一方的な攻撃が続いた。
 サイドのステップで簡単に切り崩せるようになり、ソフィアの回復魔法を使う余裕を無くするほどの連撃を続けた。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 ソフィアのダメージが蓄積していく。

「そこだ!」

 大楯を持つ腕に攻撃を与えてソフィアの持つ盾が落ちた。
 そしてソフィアが連撃を受ける。

 ソフィアが倒れてバトルフィールドが解除された。
 俺とソフィアが弾き飛ばされた。
 バトルフィールドが解除された。

「え?うそ!」

「勝者カゲオ!」

 ソフィアが悲しそうな顔をした。

「ソフィア、カゲオのパーティーに入って貰う約束だ」



 こうしてソフィアと一緒に車に乗ってホテルに向かう。

「私は、カゲオに負けたのね」

 ソフィアの目から涙が流れた。

「す、すまない。泣かせるつもりはなかった」
「わお、あ、あれ?ふぇ!」

 ソフィアが泣くとは思わなかった。
 でも、ソフィアは負けず嫌いな所はあった。

 思っていた以上に負けず嫌いなのかもしれない。



【ホテル】

 ホテルに入ると黒服が書類を読み上げた。

「ソフィア・セイント、君は英雄法によりカゲオに吸血される義務、そして同じパーティーの仲間になる義務が発生した。まずは血を差し出す所から少しずつ実践して欲しい。それと、男女の関係になった場合、内密にするように頼む」

「……OK、分かったわ。さあ、部屋で血を吸いましょう」

 ソフィアが俺の腕を掴んだ。

「カゲオ、部屋に案内して」
「分かった」

 俺はソフィアを連れて部屋に入った。
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