116 / 116
第116話 光の妖精
しおりを挟む
【リツカ視点】
アキラが気を失ったけら3日が経った。
今は私の家で寝ている。
それでもアキラは起きない。
「ヒール!」
毎日ヒールを使うのが日課になった。
六角と戦ったあの時、私はアキラに恋をした。
強引で、優しくて、無理をして前に出て私を守ろうとするその姿に私は惹かれた。
もっと前から意識をしていて、前からアキラの事が好きだったのかもしれない。
アキラの唇にキスをした。
「きゅう、少し休もう」
「……」
きゅうがアキラのそばから離れない。
胸騒ぎがした。
良くない事が起きる胸騒ぎ。
きゅうを見ていると悲しくなってくる。
私は、部屋を出た。
【マナ視点・アキラが倒れてから7日目】
「アキラ、きゅうも、おはよう」
きゅうはアキラから離れる様子が無い。
アキラが目覚める様子もない。
「ねえ、武器を、剣を新しく作ったの、グレイブレイブは後先考えない攻撃特化の剣でしょ? この剣はね、自己修復機能を追加して頑丈さをアップしたの、折れにくいアキラを守るための剣よ」
「……」
「……」
「アキラ、起きるって信じてるから。ボロボロになった剣じゃなくてこの剣を使って、また一緒にゲートに行きましょう」
「……」
「……」
私はアキラにキスをして部屋を出た。
【メイ視点・アキラが倒れてから9日目】
「きゅう、アキラ、おはようございます☆ チャクラヒール☆」
アキラは目覚めず、きゅうはアキラから離れない。
「アキラ、覚えていますか? アキラとキドウ、3人でウサギのゲートに行く時の事を。私が蹴り強化のレアアイテムが欲しいと言ったら、アキラはその日からいつもウサギのゲートに行こうと言ってくれましたよね? 私は、蹴り強化のアイテムが取れると思っていなかったです。でもアキラは取りました。そして私に使ってくれて、アキラは皆に希望を与えました」
私はアキラの手を握った。
「アキラ、目覚めてください。皆を救って、それで目が覚めなかったら、何のために、ううううう」
涙が溢れ出す。
私はアキラの唇にキスをした。
そして頬を優しくなでる。
ガチャリ!
リツカとマナが入ってきた。
「うう、ひっく、まだ、目覚めません。もう、9日経って、まだ目覚めません」
リツカとマナが無言で私を慰めた。
そして3人、無言で部屋を出た。
【アキラ視点】
体が寒い。
俺の熱が無くなってきている。
でも、近くに温かい光を感じる。
きゅうが、俺の前に現れた。
これは夢なのか?
現実なのか?
意識がおぼろげだ。
俺の光が消えていく。
きゅう俺の胸にふわっと止まる。
きゅうから暖かい光が流れ込んできた。
「やめろ、それをやったらきゅうが」
きゅうの光が俺に熱を与えてくれる。
「やめろ、きゅうが、消えるぞ」
きゅうが小さくなっていった。
きゅうを抱きしめようとする。
きゅうが、片手で握れるほど小さくなった。
「もういいんだ」
きゅうが笑顔を向けながら光になっていく。
そして俺に吸い込まれるように消えた。
目を開けるとリツカ・マナ・メイが俺を囲んでいた。
3人が俺に抱き着いた。
でも、きゅうがいない。
目覚める前から分かっていた、きゅうは命を俺にくれたんだ。
俺の中に、きゅうを感じる。
俺は決断した。
東高校の体育館にみんなが集まって、俺は壇上で卒業証書を受け取った。
「卒業証書、イナセアキラ君、高校生の全課程を終業します」
パチパチパチパチ!
全高朝礼の最後に5分だけ行われた俺だけの卒業式を終えて学校の校舎を出た。
交流のあった生徒や先生が外に集まってくれた。
「イナセ先輩、先輩のおかげで1人でやっていく事が出来ました」
「アキラ君のおかげで剣の腕が上がったよ。ありがとう、ありがとう!」
「イナセ君、教師の立場でしたが、イナセ君から魔法を学びました。本当に感謝しています」
「僕こそ、皆さんにはよくしてもらい、そのおかげで高校のイメージが良いモノに変わりました。皆さん本当にありがとうございます」
リツカ・マナ・メイも俺を見送る。
1人で学校を出た。
「きゅう、希望を集めに行こう」
胸に手を当てるときゅうを感じる。
妖精は六角とは真逆の存在だ。
人々の良心から生まれるのが妖精だと今なら分かる。
「でも、もう少しだけ、訓練をしてからだ」
グレイブレイブを手に持ち、4つある宝石を見つめる。
4つの内3つが輝いている。
全部を輝かせる。
そして、皆に希望をもたらす。
それできゅうが蘇る保証はない。
もしかしたら何も起きないかもしれない。
何も変わらないかもしれない。
『やれることがあるなら全部やれ』
クラックの声が聞こえたような気がした。
温かい風が優しく頬を撫でた。
俺は第7ゲート市に向かって歩き出す。
終わり
あとがき
これで終わりです。
皆様に読んでいただける作品では無かったようです。
気持ちを切り替えて違う作品を作っていきます。
最後までお読みいただいた方は、本当にありがとうございました。
追記
ノクターンの方で連載中の作品があります。
お読みいただければ嬉しいです。
https://novel18.syosetu.com/n1062ip/
アキラが気を失ったけら3日が経った。
今は私の家で寝ている。
それでもアキラは起きない。
「ヒール!」
毎日ヒールを使うのが日課になった。
六角と戦ったあの時、私はアキラに恋をした。
強引で、優しくて、無理をして前に出て私を守ろうとするその姿に私は惹かれた。
もっと前から意識をしていて、前からアキラの事が好きだったのかもしれない。
アキラの唇にキスをした。
「きゅう、少し休もう」
「……」
きゅうがアキラのそばから離れない。
胸騒ぎがした。
良くない事が起きる胸騒ぎ。
きゅうを見ていると悲しくなってくる。
私は、部屋を出た。
【マナ視点・アキラが倒れてから7日目】
「アキラ、きゅうも、おはよう」
きゅうはアキラから離れる様子が無い。
アキラが目覚める様子もない。
「ねえ、武器を、剣を新しく作ったの、グレイブレイブは後先考えない攻撃特化の剣でしょ? この剣はね、自己修復機能を追加して頑丈さをアップしたの、折れにくいアキラを守るための剣よ」
「……」
「……」
「アキラ、起きるって信じてるから。ボロボロになった剣じゃなくてこの剣を使って、また一緒にゲートに行きましょう」
「……」
「……」
私はアキラにキスをして部屋を出た。
【メイ視点・アキラが倒れてから9日目】
「きゅう、アキラ、おはようございます☆ チャクラヒール☆」
アキラは目覚めず、きゅうはアキラから離れない。
「アキラ、覚えていますか? アキラとキドウ、3人でウサギのゲートに行く時の事を。私が蹴り強化のレアアイテムが欲しいと言ったら、アキラはその日からいつもウサギのゲートに行こうと言ってくれましたよね? 私は、蹴り強化のアイテムが取れると思っていなかったです。でもアキラは取りました。そして私に使ってくれて、アキラは皆に希望を与えました」
私はアキラの手を握った。
「アキラ、目覚めてください。皆を救って、それで目が覚めなかったら、何のために、ううううう」
涙が溢れ出す。
私はアキラの唇にキスをした。
そして頬を優しくなでる。
ガチャリ!
リツカとマナが入ってきた。
「うう、ひっく、まだ、目覚めません。もう、9日経って、まだ目覚めません」
リツカとマナが無言で私を慰めた。
そして3人、無言で部屋を出た。
【アキラ視点】
体が寒い。
俺の熱が無くなってきている。
でも、近くに温かい光を感じる。
きゅうが、俺の前に現れた。
これは夢なのか?
現実なのか?
意識がおぼろげだ。
俺の光が消えていく。
きゅう俺の胸にふわっと止まる。
きゅうから暖かい光が流れ込んできた。
「やめろ、それをやったらきゅうが」
きゅうの光が俺に熱を与えてくれる。
「やめろ、きゅうが、消えるぞ」
きゅうが小さくなっていった。
きゅうを抱きしめようとする。
きゅうが、片手で握れるほど小さくなった。
「もういいんだ」
きゅうが笑顔を向けながら光になっていく。
そして俺に吸い込まれるように消えた。
目を開けるとリツカ・マナ・メイが俺を囲んでいた。
3人が俺に抱き着いた。
でも、きゅうがいない。
目覚める前から分かっていた、きゅうは命を俺にくれたんだ。
俺の中に、きゅうを感じる。
俺は決断した。
東高校の体育館にみんなが集まって、俺は壇上で卒業証書を受け取った。
「卒業証書、イナセアキラ君、高校生の全課程を終業します」
パチパチパチパチ!
全高朝礼の最後に5分だけ行われた俺だけの卒業式を終えて学校の校舎を出た。
交流のあった生徒や先生が外に集まってくれた。
「イナセ先輩、先輩のおかげで1人でやっていく事が出来ました」
「アキラ君のおかげで剣の腕が上がったよ。ありがとう、ありがとう!」
「イナセ君、教師の立場でしたが、イナセ君から魔法を学びました。本当に感謝しています」
「僕こそ、皆さんにはよくしてもらい、そのおかげで高校のイメージが良いモノに変わりました。皆さん本当にありがとうございます」
リツカ・マナ・メイも俺を見送る。
1人で学校を出た。
「きゅう、希望を集めに行こう」
胸に手を当てるときゅうを感じる。
妖精は六角とは真逆の存在だ。
人々の良心から生まれるのが妖精だと今なら分かる。
「でも、もう少しだけ、訓練をしてからだ」
グレイブレイブを手に持ち、4つある宝石を見つめる。
4つの内3つが輝いている。
全部を輝かせる。
そして、皆に希望をもたらす。
それできゅうが蘇る保証はない。
もしかしたら何も起きないかもしれない。
何も変わらないかもしれない。
『やれることがあるなら全部やれ』
クラックの声が聞こえたような気がした。
温かい風が優しく頬を撫でた。
俺は第7ゲート市に向かって歩き出す。
終わり
あとがき
これで終わりです。
皆様に読んでいただける作品では無かったようです。
気持ちを切り替えて違う作品を作っていきます。
最後までお読みいただいた方は、本当にありがとうございました。
追記
ノクターンの方で連載中の作品があります。
お読みいただければ嬉しいです。
https://novel18.syosetu.com/n1062ip/
0
お気に入りに追加
71
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる