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第112話 外れのソウルスキル
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【古谷浩平視点】
「向こうが気になるか? お前がどんなに頑張ってもこの盾の刃に斬り刻まれて死ぬだけだ。向こうがどんなに頑張ってもスケルトンの数に押しつぶされて死ぬだけだ」
「悪いけど、あきらめが悪いもんで。それに死にたくは無いわ~」
「ふん、大した力が無い割に余裕なのかバカなのか、気の抜けた奴だ」
「やる気が無いは良く言われるねえ」
「腕の傷が痛そうだな」
「え? 心配してくれる?」
「いや? 次はもっと痛い思いをする」
「それは勘弁してほしい」
「無理だな。もっと怖がり、命乞いをするまで追い詰めてその余裕な顔を恐怖に染め上げてやる」
「そうならないように頑張るわ~」
「シールドラッシュうううううううううううう!」
盾の突撃を避けきれずダガーで受けるとまた俺もろとも吹き飛ぶ。
そして追い打ちをかけるように更に突撃を仕掛けて来て何度も何度も俺を吹き飛ばす。
そして俺の腹を盾の刃で斬りつけた。
「がは!」
「がははははははは! 痛いか? 痛いだろう!」
「痛たたた、回復のカード」
回復のカードを体に押し付けるとカードが消えて徐々に傷が癒えていく。
「回復のカードでは回復は追いつかん」
「それでも使わないよりはいいでしょ、だって痛いんだから」
「全く、回復のカードを何枚持っているのだ?」
「日本国民の生産力を甘く見ない方がいい」
「生産だけで俺は倒せない」
「俺はこんなだけど、みんなは真面目なのよ、日本人は真面目が多いから」
「人が多いのだろう? だがお前はここで死ぬ」
「全力で避けるよ~」
「その顔がむかつく」
「それもよく言われるねえ」
「シールドラッシュうううううううううううう! 立てなくなるまでシールドラッシュを続ける! そしてそのむかつく顔を恐怖に染め上げるううう!」
俺は何度も何度も攻撃を受けた。
◇
太ももと肩、脇腹に盾の刃を受けてそれでもあきらめない。
「しぶといやつが! そのむかつく顔をやめろお!」
「生まれつきこんな顔なんだって!」
円盾の攻撃をダガーで受け流す。
そしてレッドボーンを見るがあっちはまだ倒せないようだ!
「お前も向こうも全部死ぬ!」
「死にたくないんだなあ!」
「全部むだだああ!」
「諦めたらそこで試合終了でしょう!」
「恐怖しろ! 絶望しろ! 希望を持つな! まだいけるみたいな顔をするなああああ!」
「俺は1000才までは生きるって決めて、ぐぎいいいい!」
「またヒットした! 苦しいだろう! 痛いだろう! 希望を捨てれば楽になる!」
「顔がむかつくだけでそこまで必死になる? 生まれつきなんですけどおおお! うわあああああ!」
「さっきの攻撃を避けたか、お前、何か持っているな」
「はあ、はあ、希望を胸に持っているからねえ」
「そうではない、スキルを持っているな」
「いつも希望を持ち続ける。それが人間だよ」
「タヌキめ! 化けの皮をはいでやるううううううううううう!」
そう、俺はソウルスキルを持っている。
底力:HP・MP・スタミナの減少、状態異常を受ける事で発動し、消耗するほど効果がアップする。
効果は命中率・回避率・防御力・攻撃力・治癒力のアップだ。
ただの外れスキルだ。
自分から追い詰められに行くバカはいない。
効果の発動には痛い思いや苦しい思いをし、追い詰められる必要がある。
ゲームなら自分のHPを減らして底力を発動してプレイする事もあるだろう。
だが追い詰められるほど死が近くなる。
誰だって死にたくないし追い詰められるのはごめんだ。
と言うか追い詰められたくない。
今俺は底力&回復のカード、そして無駄話で何とか命を繋いでいた。
だが奴はムキになって攻撃を始めた。
顔がむかつくってなんだよ!
顔の作りについて言うなよ!
変えようがない事を言ってもしょうがない!
痛いし息が切れて苦しいし怖い。
その事で俺は今死なずにすんでいる。
だが……奴を倒せる気がしない。
このダガーじゃ無理だ。
手榴弾でも無理だ。
俺の能力は完全に斥候向きで火力は無い。
せめて向こうがレッドボーンを倒してくれれば。
……おいおいおい!
レッドボーンがスケルトンをキドウたちに集中させだした!
数で押しつぶす気だ!
冒険者が頑張って数を減らしちゃいるが、レッドボーンはムキになってスケルトンを発生させている!
「向こうは死ぬ、お前も死ぬううううう!」
「ぐうう! くっそ!」
「いい顔になってきた! もっとだ! もっと恐怖しろ! もっと絶望しろ!」
俺の底力程度じゃ、覆せない!
どうする!
何か手は無いか!
なにか、何かあれば!
その時気づいた。
俺は視線がバレないようにすぐ目線をブルーホイールに戻した。
「きょろきょろして、焦りだしたか、更にいい顔になった!」
「ここらへんで帰ってくれないか?」
「がははははははははは! 帰って欲しいか、恐怖と絶望、実にいい、だが断るううううううううううううううう!」
俺はブルーホイールに視線を向けたまま、目の端でアキラを見た。
アキラの体がうっすらと輝いている。
希望の光が見える。
まだまだ、頑張れる。
死にたくはないし死なせるのもごめんだ!
「向こうが気になるか? お前がどんなに頑張ってもこの盾の刃に斬り刻まれて死ぬだけだ。向こうがどんなに頑張ってもスケルトンの数に押しつぶされて死ぬだけだ」
「悪いけど、あきらめが悪いもんで。それに死にたくは無いわ~」
「ふん、大した力が無い割に余裕なのかバカなのか、気の抜けた奴だ」
「やる気が無いは良く言われるねえ」
「腕の傷が痛そうだな」
「え? 心配してくれる?」
「いや? 次はもっと痛い思いをする」
「それは勘弁してほしい」
「無理だな。もっと怖がり、命乞いをするまで追い詰めてその余裕な顔を恐怖に染め上げてやる」
「そうならないように頑張るわ~」
「シールドラッシュうううううううううううう!」
盾の突撃を避けきれずダガーで受けるとまた俺もろとも吹き飛ぶ。
そして追い打ちをかけるように更に突撃を仕掛けて来て何度も何度も俺を吹き飛ばす。
そして俺の腹を盾の刃で斬りつけた。
「がは!」
「がははははははは! 痛いか? 痛いだろう!」
「痛たたた、回復のカード」
回復のカードを体に押し付けるとカードが消えて徐々に傷が癒えていく。
「回復のカードでは回復は追いつかん」
「それでも使わないよりはいいでしょ、だって痛いんだから」
「全く、回復のカードを何枚持っているのだ?」
「日本国民の生産力を甘く見ない方がいい」
「生産だけで俺は倒せない」
「俺はこんなだけど、みんなは真面目なのよ、日本人は真面目が多いから」
「人が多いのだろう? だがお前はここで死ぬ」
「全力で避けるよ~」
「その顔がむかつく」
「それもよく言われるねえ」
「シールドラッシュうううううううううううう! 立てなくなるまでシールドラッシュを続ける! そしてそのむかつく顔を恐怖に染め上げるううう!」
俺は何度も何度も攻撃を受けた。
◇
太ももと肩、脇腹に盾の刃を受けてそれでもあきらめない。
「しぶといやつが! そのむかつく顔をやめろお!」
「生まれつきこんな顔なんだって!」
円盾の攻撃をダガーで受け流す。
そしてレッドボーンを見るがあっちはまだ倒せないようだ!
「お前も向こうも全部死ぬ!」
「死にたくないんだなあ!」
「全部むだだああ!」
「諦めたらそこで試合終了でしょう!」
「恐怖しろ! 絶望しろ! 希望を持つな! まだいけるみたいな顔をするなああああ!」
「俺は1000才までは生きるって決めて、ぐぎいいいい!」
「またヒットした! 苦しいだろう! 痛いだろう! 希望を捨てれば楽になる!」
「顔がむかつくだけでそこまで必死になる? 生まれつきなんですけどおおお! うわあああああ!」
「さっきの攻撃を避けたか、お前、何か持っているな」
「はあ、はあ、希望を胸に持っているからねえ」
「そうではない、スキルを持っているな」
「いつも希望を持ち続ける。それが人間だよ」
「タヌキめ! 化けの皮をはいでやるううううううううううう!」
そう、俺はソウルスキルを持っている。
底力:HP・MP・スタミナの減少、状態異常を受ける事で発動し、消耗するほど効果がアップする。
効果は命中率・回避率・防御力・攻撃力・治癒力のアップだ。
ただの外れスキルだ。
自分から追い詰められに行くバカはいない。
効果の発動には痛い思いや苦しい思いをし、追い詰められる必要がある。
ゲームなら自分のHPを減らして底力を発動してプレイする事もあるだろう。
だが追い詰められるほど死が近くなる。
誰だって死にたくないし追い詰められるのはごめんだ。
と言うか追い詰められたくない。
今俺は底力&回復のカード、そして無駄話で何とか命を繋いでいた。
だが奴はムキになって攻撃を始めた。
顔がむかつくってなんだよ!
顔の作りについて言うなよ!
変えようがない事を言ってもしょうがない!
痛いし息が切れて苦しいし怖い。
その事で俺は今死なずにすんでいる。
だが……奴を倒せる気がしない。
このダガーじゃ無理だ。
手榴弾でも無理だ。
俺の能力は完全に斥候向きで火力は無い。
せめて向こうがレッドボーンを倒してくれれば。
……おいおいおい!
レッドボーンがスケルトンをキドウたちに集中させだした!
数で押しつぶす気だ!
冒険者が頑張って数を減らしちゃいるが、レッドボーンはムキになってスケルトンを発生させている!
「向こうは死ぬ、お前も死ぬううううう!」
「ぐうう! くっそ!」
「いい顔になってきた! もっとだ! もっと恐怖しろ! もっと絶望しろ!」
俺の底力程度じゃ、覆せない!
どうする!
何か手は無いか!
なにか、何かあれば!
その時気づいた。
俺は視線がバレないようにすぐ目線をブルーホイールに戻した。
「きょろきょろして、焦りだしたか、更にいい顔になった!」
「ここらへんで帰ってくれないか?」
「がははははははははは! 帰って欲しいか、恐怖と絶望、実にいい、だが断るううううううううううううううう!」
俺はブルーホイールに視線を向けたまま、目の端でアキラを見た。
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まだまだ、頑張れる。
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