雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ

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第107話 タイムアタック

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 六角全員が俺を見た。
 今の俺は万全ではない。
 カースウォーでヘイトを集めた。
 HPは半分も残っていない。
 MPはあまり残っていない為使える闇魔法は限られている。
 スタミナはあまりない。

 これは賭けだ。

 カースウォーは残り1分。

 ファイブマジックでチャージ無視魔法。
 使えるのは残り4発。
 左手の爪4本に六芒星が光る。

 俺が狙うのは六角の1体。
 剛腕のブラウンフランケンだ。
 フランケンシュタインのような見た目で身長2メートルほどの大男だ。
 六角最強のパワーを持ち、拳で殴って来る近接タイプ。

「ディフェンスダウン! ディフェンスダウン! スティールソード!」

 ディフェンスダウンを2回当て、俺の左手爪に光る六芒星が3つ消えた。
 残りは1つ!

「どっせーい!」
「ぐおおおおおおおおおおおお!」
 
 右手を大振りに振りかぶって放つパンチにグレイブレイブの斬撃を合わせる。
 強力な右ストレートと交差するように腕を斬りつけた。
 そして素早く振りかぶって腕を上から斬りつける。
 下段から腹を斬り上げてバックステップで後ろに下がるとブラウンフランケンが地面を踏み鳴らしてついてきた。

 俺は連撃を当てて生命力を吸いながらHPとMP、スタミナを吸っていく。
 ブラウンフランケンが地面を殴ると爆発が発生して俺は吹き飛ばされた。
 そして俺に迫ってくる。

 こいつはパワータイプで常に俺を狙ってくるだろう。
 ゲームと同じで助かる!

 六角から距離を取った位置で打ち合う。
 大ぶりな攻撃にカウンターを何度も合わせてグレイブレイブで斬りつける。
 カースウォーが切れれば簡単には倒せなくなる。
 一気に決める必要がある!

「ぐおおおおおおおおおおおお!」

 ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!

 1撃を繰り出すたびに轟音が鳴る。
 1撃を当てる度にブラウンフランケンの大きな体が衝撃を受ける。

『アキラの動きが人間離れしている!』
『1分だけの超強化か、闇魔法の技量を上げまくって、戦士としての技量を上げないとこの動きは出来ない。アキラ以外にこの戦法を使える人間はいない!』
『おおお! 六角が始めて受ける超攻撃か!』

 カースウォーの身体能力向上で強引にカウンターを決め続ける。

「おりゃあ!」

 ドゴン!
 渾身の一撃でブラウンフランケンを斜めに袈裟斬りにした。


「ばか、な!」

 ブラウンフランケンが倒れて霧になって消えていく。

 ブラックハンドが叫んだ。

「カースウォーは1分だけの強化だ! ファイブマジックのチャージ省略は1回しか残っていない! 残虐のブルーホイール、最強の防御力でカースウォーが切れるまで足止めしてくれ!」

 ブルーホイールが笑って俺に迫る。
 青いオーガで、手には大きな丸い盾の周りにはギザギザとチェーンソーのように刃がついている。
 そしてその刃が高速で回る。

 キュイーーーン!

「むう、俺の防御力は六角最強。カースウォーが終わるまでに倒せると思うな!」

 高速回転した盾を構えて俺に近づく。

 ガガガガガキーン!

 俺の剣が高速回転する盾の刃に弾かれて後ろに飛んだ。

「ああ、確かにカースウォーでお前を倒す事は出来ない。ディフェンスダウンを使っても防御力を削り切る事は出来ない!」
「負けを認めるか!」

 俺は後ろを向いて走った。

「逃げるとは、小物感が!」
「ブルーホイール! 奴を足止めしろ! 奴の目的はお前ではない!」

 ブラックハンドが叫んだ。

 気づかれたか。
 いい位置まで走る事が出来た。
 回復したMP、残ったカースウォーの時間、そして最後1発のチャージ省略をあいつに使う。

 悲しみのブルーフラワー。
 青い花のようなオーブを持った青白い肌の女デーモン。
 あいつは魔法タイプだ。
 ゲームと現実は違う、だが、大まかな特性はゲームと同じだ。
 ブルーフラワーは撃たれ弱い。

 俺はブルーフラワーに向かって走った。
 ゲームと違い無言で氷魔法を放って来るが魔力の流れでやる事は分かる。

 氷の花が扇上の散弾に飛ぶバラマキ攻撃を受けつつそれでも前に走る。
 1発1発で致命傷にはならない。

 次に横に飛んで氷の花爆発をかわした。

 そして直線状に迫る地面から無数に突き出す花の槍を躱した。
 ブルーフラワーまで後10メートル!

 他の六角が俺を邪魔しに来る。

 後10メートル、射程範囲だ。

 俺が使うのは唯一の攻撃闇魔法。

 本来ならチャージ時間が長すぎて使う機会があまりない闇魔法。

 スティールソードでMPは回復した。
 前世の闇魔法コンボ!

 ファイブマジックからのカースウォーで攻撃力を引き上げた上で放つあの魔法。

「ダークソード!」

 ゴオオオオオオオオオオオオ!
 空気が振動する。
 10メートルに伸びる闇の魔法剣を振りかぶり、そして振り下ろした。

 ドッコーン!

「ひゃああああああ!」

 ブルーフラワーが黒い霧に変った。

『すげえ! あっという間に六角の内2体を倒した!』
『闇魔法の使い方がうますぎる! 判断が的確過ぎるぞ!』
『救世主! 救世主だ!』
『一気に流れを変えたぞ!』

『絶望を希望に変えた! まさに希望の光!』
『かっこいい! 絶望を何度も希望に変えた!』
『アキラがいれば行ける! 行けるぞ!』

 六角の2体が俺の前に立った。

「魂砕きのブラックハンドが相手をしよう」

 黒いデーモン、ゲームでは指揮官をやっていたな。

「最強のパープルフォグ様が、うぜえお前を殺してやるよ」

 黒紫色をしたスケルトンが俺を睨む。

 六角の内強い2体が俺1人を狙う。

 カースウォーが切れた。

 MPは殆どない。

 本当の戦いはここからか。

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