雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ

文字の大きさ
上 下
78 / 116

第78話 引率

しおりを挟む
 翌日、午前8時前。
 俺は学校に集合した。
 きゅうは寝ながら俺についてきた。

 人だかりが出来ており、マナがメイをおんぶしている。
 先生3人が手招きし生徒の一人が前に出た。

「今日はよろしくお願いします!」
「「よろしくお願いします!」」

「よろしく」

 8時まで後10分。
 メイとマナの他に生徒が30人。
 見た感じ多くが高校1年生か錬金術師か。

「後10分待った方が良いですか?」
「いや、みんな集まっている。出発しよう」
「ゲートに行きます」

 俺は速足で歩きだした。
 みんな時間前に集合か、優秀だな。

 みんなが小走りでついてくるがゲートのドローンで渋滞が起きる。

「皆右と左にあるのドローンも使ってくれ!」

 先生の引率に従って生徒が左右に散った。
 3カ所のドローンから防壁の中に降りてくる。
 みんなは少し遅れはしたが、ランニングのように走って追いついてきた。
 やりやすい。

「ウサギのゲートに入ります」

 ここで時間を使うのは嫌だったので俺が勝手に決めてウサギのゲートに入った。
 クラックの魂が混ざってきている為なのか、自分の心に変化があるようだ。
 俺の中の剛腕な性格に最近気づいた。

 ゲートを少し歩い平らで戦いやすそうな場所に止まった。

「今からサモンモンスターを使います!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。銃を使う生徒と魔法を使う生徒はここに並びモンスターが出たら一斉に撃ち始めてくれ! 近接はここだ。銃と魔法を撃ってウサギが怯んだ所を狙って突撃してくれ」

 生徒が並んでいく。

 キュインキュイン!

「行きます。サモンモンスター!」

 300のウサギが現れた。

「撃て! 撃て撃て!」
 
 ワンテンポ遅れて銃と魔法が放たれた。

「次! 近接の攻撃だ!」
「う、うおおおおお!」
「おりゃあああ!」
「せいやああ!」

 駄目だな、近接も様子を伺って突撃のタイミングが遅れた。
 俺と先生が援護に入る。

 剣の腹でウサギを打ち上げて生徒に飛ばしていく。

「地面に着地する瞬間を狙え!」

 生徒がモンスターに怯えていて動きが悪い。
 慣れが必要だな。

 俺はウサギを近接に飛ばし続けた。

「ガンナーは早くリロードして狙えるウサギを撃ってくれ!」
「は、はい!」

 リロードがぎこちない。
 でも、ウサギを倒せないほど弱いわけではない。
 30人の新入生や生産職に対してウサギが300体は少し多すぎるような気がする。
 サモンモンスターを手加減する必要があるか。
 課題が分かってきた。

 ウサギを倒し終わるとドロップ品を拾う。
 先生が生徒にアドバイスをしていた。

「先生、もう一回行きましょう。次はウサギを少なめに出します」
「頼めるか、助かる」

 2回目のサモンモンスターを使うと、次はすぐに魔法と銃撃が放たれた。
 そして近接も銃使いのリロードが始まるタイミングで突撃し、ウサギを全滅させた。
 2回目で急に動きが良くなった!
 皆真面目だし言われた事はどんどん吸収している!

「次行きましょう!」
「まだ協力してくれるのか?」
「はい、次はもうちょっとウサギを多く出します」

 3回目は生徒の動きが大分良くなった。

「次も行って良いですか?」

 ガンナーの女性が手を挙げた。

「もう弾がありません」
「あ、5分だけの予定だったからな。うん、今日は終わりで、明日はもっとマガジンを持って来て欲しい。今日は終わり!」
「「ありがとうございました!!」」

「……終わり! 帰って大丈夫だぞ?」
「あの、見学していいですか?」
「先生からも頼む、見学させてやってくれ」

「分かりました」
「メイ、起きて!」
「出番、ですか」

 マナが眠っているメイを起こした。
 スティールソードとサモンモンスターでウサギを倒すと歓声が聞こえた。

「凄い! たった1人でこんなに早く倒すなんて!」
「これがソウルランクBの実力!」
「憧れます!」

 違うな、俺がやっている闘いは時間をかけて訓練をすれば誰でもできる。
 みんなの魂は欠けていない。
 その気になれば誰でも強くなれる。 

 でも、始めたばかりの頃は誰だって不安だ。
 最初のきっかけ、自信さえつけば自分達だけでやって行ける。
 何も出来なかった昔を思い出した。
 
「……先生、明日はもう少し長く、皆の訓練に付き合いたいです」
「おお、そうか。やる気を出してくれてせんせいうれしいぞ」

 みんなが喜んだ。

「アキラさん! よろしくお願いします!」
「頼りにしてます!」
「嬉しいです! マガジンを揃えてきます!」

 俺は皆を見送ってから3人でモンスターを狩った。



【次の日】

「生徒が増えてる!」
「50人くらいかしら?」
「昨日の評判が広まってな、参加希望者が増えた。イナセ、たのんだぞ!」
「はい」

 俺は50人が倒す為のモンスターを呼び出した。


【7日後】

「生徒が100人を超えてる!」
「100人突破か、流石イナセだな!」
「「今日もよろしくお願いします!」」

「連続でサモンモンスターを使う!」
「「はい!!」」

 キュイン!キュイン!

「サモンモンスター!」

 キュイン!キュイン!

「まだまだ行くぞ! サモンモンスター!」

 俺は連続でサモンモンスターを使った。

 マナとメイが俺をじっと見ている。

「どうした?」
「結局、皆の為に時間を使っていますね」
「そうかもな」
「これなら、4強決定戦に参加した方が良かったと思うわ」

「参加してるぞ。魔石を納品していないだけでな」
「それは参加していないのと同じよ」
「気が向いたら魔石を納品するさ」

 生徒がモンスターを狩ってドロップ品を拾い集まってきた。

「アキラさん」
「「今日もありがとうございました!!」」
「皆、お疲れ様」

 みんなを見送った後、俺とメイ、マナが残ってモンスターを狩る。

「夏までモンスターを狩って狩って狩りまくる! きゅう、夏になったらゲートの奥に行こう!」
「きゅう♪」

 俺達は夏になるまでモンスターを狩る生活を続けた。











しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...