雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ

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第77話 フードファイト

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 マナがソウルアップした次の日、メイと俺は食堂に座って食事を食べる。

「もぐもぐもぐもぐごくり! はむはむ」

 俺は飲み込むように食事を食べる。

「おいひいです。もぐもぐもぐもぐ」

 メイはチャクラヒールを自分に使いつつ胃腸を回復させて食事を食べ続けた。

 くちゃくちゃくちゃくちゃ!

 きゅうも楽しそうに食事を食べる。

 生徒が俺とメイを何度も見るが気にしてはいけない。

 マナが子羊のような足取りで同じテーブルに座った。

「マナ、成長痛なら、私が食べ物を持ってきますよ?」
「大丈夫よ」
「無理はしないでください」
「問題無いわ」

「……」
「メイ、何よ」
「……」
「嫌な予感がするわ」
「……えい、つん!」

「あああああ! 痺れる! やめなさいよ」
「つんつんつん! マナをつんつんすると楽しいです☆」
「あはあああ! やめ、あああああ!」

「胸も成長しましたか? つん!」
「ひいい! ちょっと」
「そろそろやめておこう」
「マナは反応が面白いです」

 リツカがプレートを置いてマナの隣に座った。

「……」
「リツカ、やめなさいよ」

 ツンツン!

「あああああ! リツカまで!」

 メイとリツカがマナをつんつんして遊ぶ。

 周りを見ると男子生徒の顔が赤い。
 先生が近づいてきた。

「イナセ君、そろそろ魔石を納品しませんか?」
「後でやりますね。昨日は調子に乗りすぎて血が足りません。たくさん食べて眠らないとまずい気がします」

「そ、そう、ソウルランクBになったから、出来れば4強決定イベントに参加して欲しいと思ったんだけど。ただ魔石を納品するだけでいいのよ?」
「はい、後で納品します! もぐもぐ」

「早めに頼むわね」
「もぐもぐ、ゴクリ、こくり」

 全員が俺を見た。

「先生から4強イベントの話を5回も断るのはアキラくらいだよ」
「断ってないぞ。うやむやにしただけだ」
「躱すのは5回じゃなく6回ですよ。私とマナの魔石納品でアキラがどのくらい魔石を持っているかバレるんですから」

「前向きに検討しよう」
「それ、昔のドラマにある役人の人が何もやらない時の返事じゃないですか」
「でも、暇が出来たら本当に納品しに行くぞ。もぐもぐ」

「アキラ、いつ暇になるの?」
「さあ、食べて寝て起きてゲートに行って物資を集めつつ兄さんとゲート奥に行く調整をしてゲートの奥に行きたいし、新しい魔法も覚えたい」

 魔石を何度も納品しに行くのは無駄だ。
 4強に選ばれて表彰されるのも文章を考えて全生徒の前で発表したりする時間も無駄だ。
 東高校では4強になると生徒を指導する役割も与えられる。

 今はモンスターを狩れば狩った分能力が上昇する。
 成長期が終わるまではひたすらにモンスターを狩る。

 そもそも4強より、きゅうが導いたあの場所に行く方が大事だ。
 帰ろうとしたあの時、きゅうの寂しそうな仕草が今でも胸に残っている。
 強くなってきゅうが行きたがっていたゲートの奥へ行く!

「きゅう、ゲートの奥に行くのが先だよな?」
「きゅう♪」
「やっぱり奥に行きたいか。たくさん食べてたっぷり眠ろう」

 ガツガツガツガツ!
 くちゃくちゃくちゃくちゃ!

「お代わりに行って来る」
「「……」」

 俺が食事を取って席に戻ると先生が4人やってきた。
 そして俺を囲む。

「イナセ君、魔石の納品は夏までしなくていいわ。その代わり、朝の10分だけ生徒の為にサモンモンスターを使って欲しいのよ」
「いや、5分もかからない。朝学校前に集合してゲートに入り、サモンモンスターを使ってもらい、後は自由にモンスターを狩って貰って構わない」
「イナセ君の時間は出来るだけ奪わないようにするわ」
「今錬金術師や1年生の能力アップを行っていてね。ぜひ協力して欲しい」

 先生がパターンを変えてきた。
 4人掛かりで俺を囲んで4人で説得し始めたか。
 断っても面倒だと思わせる動き。

 これは、そろそろ断るコストが上がって来たか。

「分かりました。ただし、寝坊した生徒は問答無用で置いて行きます。時間きっちりで出発します。それと、おかしなことを言うようですが最近僕はソウルアップしたての頃集合時間に遅刻した実績があります。人には遅刻したら置いて行く、でも自分は遅刻する、僕はそんなふざけた事を言う人間です。これでは生徒が納得しないでしょう」

「いや、構わない。ソウルアップしたばかりなら朝起きられない事もあるだろう。それで頼む」
「毎日朝8時にグラウンド横に集合、でいいですね?」
「わ、分かりました」

 次の日から、朝の訓練が決まり先生が去っていった。

「先生、やりますね。アキラの性格を対策してうまく交渉しています☆」
「面倒だと思わせて協力させているわね」
「そう言えば、アキラをどうするか先生が会議してたって、噂になっていたよ?」
「5分だけなら、まあいいか。お代わりして来る」
「フードファイトですか?」

「まだまだ食べられるよな? きゅう」
「きゅう♪」

 きゅうがこくりと頷いた。

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