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第64話 テロリストの策

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【テロリスト・サブ視点】

 おとり共は人質を1階に集め、1階に密集している。
 しかも馬鹿正直に番号を書き込んだフルフェイスを装備して配信をしている。
 集団になれば気が大きくなって何でも出来ると思い込む。
 バカは本当に助かるぜ。
 その隙にヘッドと2人で2階から上の商品を片っ端から収納した。

 後は屋上に出て隣のビルに飛び乗り逃げるだけでいい。

「へへへ、ヘッド、そろそろ逃げようぜ」
「ああ、そろそろ潮時だ」

 2人で屋上に出ると複数のドローンが飛んでいた。

 パンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!

 隣のビルにいた冒険者にヘッドが撃たれた。
 いや、制圧専用の特殊部隊か!
 皆マットブラックの戦闘服で統一されており、ビルに等間隔で並んで5人でアサルト銃を構えている。
 しかも屋上の入り口を狙えるように位置取りをして気配まで消していた!
 テロリスト制圧専用のチームだ!
 

「サンダーボルト!」
「ヘッド! 下がるぜ!」
「ち、くそが!」

 雷撃が飛んでくるのを見て俺とヘッドは素早く階段に戻った。
 まずい! 
 奴らがこっちに向かってくる!


 2人で下に降りる。
 1階から攻めて来ていたソウルランクBのキドウとライカ、それに他の冒険者はおとりだった!
 配信をしていたのも目くらまし、屋上からの制圧がメインだったか!

 冒険者の数が少ないと思っていた!
 余裕だと思っていたが違う!

 やばいのは屋上だ!
 1階から逃げた方がまだましだ!
 上から気配がする!

「10人が追って来る! 全員ソウルランクCはあるぜ! おとりに押し付けて1階から逃げるしかねえ!」

 2人で1階に走った。


 1階に降りると乱戦が始まっていた。

「お、お前ら! 人質を殺すぞ!」

 冒険者がおとりを睨んだ。

「殺した瞬間にお前を殺す!」
「テロリストに譲歩はしない!」
「殺せ! テロリストは皆殺しだ! 今殺しても罪にはならない! 皆殺しだ!」

「あいつら! 人質を無視して皆殺しにする気だぜ!」
「くそ! ライカとキドウがやべえ! あの2人さえいなければ!」

 テロリストに譲歩はしない、これが今の常識だ。
 だがキドウが手加減をしておとりを戦闘不能にしていく。
 ライカが雷撃でおとりを気絶させていく。

「作戦2だ」
 
 ヘッドが小さな声で言った。
 俺は思いっきり叫んだ。

「降参だああああ! 殺さないでくれええええええ! みんな手を挙げろおおおおお!」

 みんなで手を挙げる。
 後ろから制圧部隊の10人が駆けつけて俺達を押さえつけた。
 俺は押さえつけられながら人質に向かってアイコンタクトを送った。

  パリン!

 外のガラスが割れた。
 東高校のリツカと西高校のアキラ、どっちも高校の4強だ。
 後1人のメイドは誰か分からないが、恐らく2人よりは強くない。

「あれ? 制圧したのかな?」
「ガラスを割る直前に制圧されてた」
「じゃあ、器物破損だね! でも、こういうのはやってみたかったんだ」
「……ドンマイ」

 俺は叫んだ。

「特殊部隊をやれ!」

 人質10人が急に立ち上がって全員がハンドガンを撃った。
 人質におとりのガンナーを紛れさせていた。
 この奇襲は防ぎきれねえだろう。

 パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!

 マガジン10発のハンドガンを10人が撃ち尽くした。
 特殊部隊が倒れていく。

「次も撃て! お前ら暴れろ!」

 10人がリロードして銃を撃つ。
 更に降参したふりをしたおとりが暴れ出して特殊部隊を襲った事で特殊部隊が全員倒れ乱戦状態まで盛り返す。

「次はライカだ!」

 パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!

 ライカを狙って弾丸が放たが、キドウがライカの前に立った。
 刀で銃を防ぎきれず無数の銃弾を浴びた。
 キドウが倒れた瞬間にアキラが叫んだ。

「ハンダ! 殺せ!」
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