50 / 116
第50話 道場
しおりを挟む
「何ですか?」
「まずは落ち着いて話をしたんだ。向こうで話をしよう」
校長先生が満面の笑顔だ。
「……はい」
職員室に座ると、校長先生が笑顔のまま話を始めた。
「コーヒーと、お茶、どっちがいいかな?」
「コーヒーでお願いします」
「硬くならず、座ってくつろごう」
「はあ」
俺はソファに座って待つ。
コーヒーが置かれると校長先生が対面に座った。
「大活躍だったね。10メートル級をソロで討伐した。中々出来る事じゃない」
「ありがとうございます」
「所で、ステータス測定を受けて見ないか?」
ステータス測定を受ければ近接ランクやHPランク、持っているスキルが詳しく分かる。
でも金と時間がかかる。
「お断りします」
「理由を、聞かせてくれるかな?」
「僕は、兄さんに4強になって欲しいんです。手伝いたいです。僕がいなければ兄さんはとっくに4強になっていました。放課後は道場に行って兄さんが4強になる作戦を練りたいんです」
「測定は予約さえしておけばそこまで時間はかからない。それに今なら余裕で費用も払えるはずだ」
「今は時間が惜しいです」
「兄さんにも同じことを言われたよ。そういう所は似ているね。でも、兄さんは4強になりたいとは思っていないよ?」
「だと思います、それでも兄さんには学校を卒業する前に4強になって欲しいです。今ステータス測定は受けません」
「……そうか、分かった。うん、無理だけはしないで欲しい」
「はい、ありがとうございました」
俺は職員室を出た。
放課後になるとライカさんと兄さんが教室に来た。
「メイはいないの?」
「メイは今学科試験を受けています」
「そう」
「見てきますね、あ、来ました」
「合格しました! 今日から2年生になるまで学校に行かなくていいですよ!」
「おめでとう」
「頑張ったな」
「良かったじゃない」
「きゅう♪」
「きゅうの機嫌もいい」
「きゅうも祝福してくれるんですか?」
「きゅう♪」
きゅうが兄さんに飛び乗った。
「あ」
「きゅう♪」
次はライカさんに飛び乗った。
「ふふふ、可愛いわね。懐かしい感じがするわ」
「私もだ」
「きゅう♪」
そして俺に飛び乗る。
「次は私」
きゅうは俺の肩で佇む。
メイに抱き着く気配が無い。
「こ、来ないんですか!」
「……」
「私にだけ懐いてないです!」
「……」
「きゅう、メイがさみしがるから」
「きゅう」
きゅうがメイに飛び乗ってすぐに俺の肩に戻った。
「アキラが言ったから飛び乗ってる感が凄いです!」
俺はきゅうを両手で抱いた。
じっと見つめるが何を考えているのか分からない。
「きゅう、何なんだろうな? メイがイメチェンをしたからか?」
「きゅきゅう」
「ソウルスキルを発動しているからか?」
「……」
よく分からない。
きゅうがふわっと浮き上がった。
「何故か聞いても反応がない。謎だけど諦めよう」
「そ、そんな!」
「道場に行こう」
「謎が解けてないですよ!」
「研究室でも駄目だったんだ。俺達に謎解きは難しいだろ」
メイがきゅうを抱っこしようとするとすっと躱した。
「あ、素早いです。と見せかけて!」
「きゅきゅう♪」
きゅうがメイの手を素早く躱す。
「はっはっは、仲がいいじゃないか」
「遊ばれてるだけです。えい!」
「きゅう♪」
メイの手をきゅうが躱しつつ道場に到着した。
道場に入ると子供たちがきゅうを追い回す。
「きゅう、大人気だな。それに楽しそうだ」
「良く来ましたね」
「「先生、よろしくお願いします」」
「子供たちの練習は終わりにしましょう、久しぶりに稽古を受けなさい」
「お父さん、キドウとメイで打ち合ってみるのが良いと思うわ」
兄さんが刀を抜くとライカさんが刀を回収し、兄さんが鞘を両手で構えた。
「ブラックスターの力を試してみたいです☆」
「うむ、思う存分に蹴りを繰り出してくれ」
「遠慮なく!」
メイがジャンプして更に空中でジャンプする。
そして兄さんの頭上に蹴りを繰り出す。
それを兄さんが鞘で打ち返すとメイがその反動で高く舞い上がり、また二段ジャンプをして兄さんに蹴りを放った。
着地するだけじゃなくて、刀を蹴ってジャンプしても二段ジャンプが再使用できるようになるのか。
メイが上から蹴りを放ち、それを鞘で打ち返す。
その動作を何度も繰り返した。
「それまで! 分かりました。メイさん」
「はい☆」
「まだソウルスキルの扱いに慣れていませんね?」
「そうかもです」
「今度はジャンプ蹴り無しでキドウ君に攻撃をしてください」
「分かりました。せい!」
ガキン! ガキンガキンガキンガキンガキン!
「それまで! 基本の鍛錬も必要です」
「ありがとうございました☆」
「次はキドウ君とアキラ君、打ち合ってみなさい」
俺は剣を抜いて鞘を両手で構えた兄さんと打ち合うが刀無しでも兄さんの攻撃を突破できない。
「それまで! アキラ君、攻撃のタイミングが微妙にずれています。能力値が急に上がって、微調整が追い付いていません。普段の戦いではその部分を意識するように」
「ありがとうございます!」
「まずは落ち着いて話をしたんだ。向こうで話をしよう」
校長先生が満面の笑顔だ。
「……はい」
職員室に座ると、校長先生が笑顔のまま話を始めた。
「コーヒーと、お茶、どっちがいいかな?」
「コーヒーでお願いします」
「硬くならず、座ってくつろごう」
「はあ」
俺はソファに座って待つ。
コーヒーが置かれると校長先生が対面に座った。
「大活躍だったね。10メートル級をソロで討伐した。中々出来る事じゃない」
「ありがとうございます」
「所で、ステータス測定を受けて見ないか?」
ステータス測定を受ければ近接ランクやHPランク、持っているスキルが詳しく分かる。
でも金と時間がかかる。
「お断りします」
「理由を、聞かせてくれるかな?」
「僕は、兄さんに4強になって欲しいんです。手伝いたいです。僕がいなければ兄さんはとっくに4強になっていました。放課後は道場に行って兄さんが4強になる作戦を練りたいんです」
「測定は予約さえしておけばそこまで時間はかからない。それに今なら余裕で費用も払えるはずだ」
「今は時間が惜しいです」
「兄さんにも同じことを言われたよ。そういう所は似ているね。でも、兄さんは4強になりたいとは思っていないよ?」
「だと思います、それでも兄さんには学校を卒業する前に4強になって欲しいです。今ステータス測定は受けません」
「……そうか、分かった。うん、無理だけはしないで欲しい」
「はい、ありがとうございました」
俺は職員室を出た。
放課後になるとライカさんと兄さんが教室に来た。
「メイはいないの?」
「メイは今学科試験を受けています」
「そう」
「見てきますね、あ、来ました」
「合格しました! 今日から2年生になるまで学校に行かなくていいですよ!」
「おめでとう」
「頑張ったな」
「良かったじゃない」
「きゅう♪」
「きゅうの機嫌もいい」
「きゅうも祝福してくれるんですか?」
「きゅう♪」
きゅうが兄さんに飛び乗った。
「あ」
「きゅう♪」
次はライカさんに飛び乗った。
「ふふふ、可愛いわね。懐かしい感じがするわ」
「私もだ」
「きゅう♪」
そして俺に飛び乗る。
「次は私」
きゅうは俺の肩で佇む。
メイに抱き着く気配が無い。
「こ、来ないんですか!」
「……」
「私にだけ懐いてないです!」
「……」
「きゅう、メイがさみしがるから」
「きゅう」
きゅうがメイに飛び乗ってすぐに俺の肩に戻った。
「アキラが言ったから飛び乗ってる感が凄いです!」
俺はきゅうを両手で抱いた。
じっと見つめるが何を考えているのか分からない。
「きゅう、何なんだろうな? メイがイメチェンをしたからか?」
「きゅきゅう」
「ソウルスキルを発動しているからか?」
「……」
よく分からない。
きゅうがふわっと浮き上がった。
「何故か聞いても反応がない。謎だけど諦めよう」
「そ、そんな!」
「道場に行こう」
「謎が解けてないですよ!」
「研究室でも駄目だったんだ。俺達に謎解きは難しいだろ」
メイがきゅうを抱っこしようとするとすっと躱した。
「あ、素早いです。と見せかけて!」
「きゅきゅう♪」
きゅうがメイの手を素早く躱す。
「はっはっは、仲がいいじゃないか」
「遊ばれてるだけです。えい!」
「きゅう♪」
メイの手をきゅうが躱しつつ道場に到着した。
道場に入ると子供たちがきゅうを追い回す。
「きゅう、大人気だな。それに楽しそうだ」
「良く来ましたね」
「「先生、よろしくお願いします」」
「子供たちの練習は終わりにしましょう、久しぶりに稽古を受けなさい」
「お父さん、キドウとメイで打ち合ってみるのが良いと思うわ」
兄さんが刀を抜くとライカさんが刀を回収し、兄さんが鞘を両手で構えた。
「ブラックスターの力を試してみたいです☆」
「うむ、思う存分に蹴りを繰り出してくれ」
「遠慮なく!」
メイがジャンプして更に空中でジャンプする。
そして兄さんの頭上に蹴りを繰り出す。
それを兄さんが鞘で打ち返すとメイがその反動で高く舞い上がり、また二段ジャンプをして兄さんに蹴りを放った。
着地するだけじゃなくて、刀を蹴ってジャンプしても二段ジャンプが再使用できるようになるのか。
メイが上から蹴りを放ち、それを鞘で打ち返す。
その動作を何度も繰り返した。
「それまで! 分かりました。メイさん」
「はい☆」
「まだソウルスキルの扱いに慣れていませんね?」
「そうかもです」
「今度はジャンプ蹴り無しでキドウ君に攻撃をしてください」
「分かりました。せい!」
ガキン! ガキンガキンガキンガキンガキン!
「それまで! 基本の鍛錬も必要です」
「ありがとうございました☆」
「次はキドウ君とアキラ君、打ち合ってみなさい」
俺は剣を抜いて鞘を両手で構えた兄さんと打ち合うが刀無しでも兄さんの攻撃を突破できない。
「それまで! アキラ君、攻撃のタイミングが微妙にずれています。能力値が急に上がって、微調整が追い付いていません。普段の戦いではその部分を意識するように」
「ありがとうございます!」
11
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)
@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」
このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。
「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。
男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。
「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。
青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。
ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。
「カクヨム」さんが先行投稿になります。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる