雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ

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第49話 登校

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 俺は冬休み中、剣の型と魔法の基本訓練をして過ごし、冬休みが終わるとメイと俺は車で第13ゲート西高校に登校した。
 ソウルアップで激しい運動はしなかった為だ。

 全員が俺とメイを見る。
 派手に暴れてそれが配信で流れ、更にメイはゲームと同じ清楚モードで登校している。
 目立つよな。

 教室に入ると生徒が机に座っていたり、たばこを吸っていたり、酒を飲んだりしている。
 ぎゃははははは! と笑う声が聞こえるがいつもの事なのでスルーした。
 そして始業直前になっても席が歯抜けのように空いている。
 死んだかサボりで学校に来ない、いつもの事だ。

 西高校の生徒は4校の中で死亡率がトップクラスに高い。
 自信過剰で苦しい訓練はやりたがらない。
 モンスターに飛び込んだり、先生の言う事を聞かず基本を守らない生徒が多い。
 更には大人を敵に回すような行動を取り続ける問題児も多い。

 クラスに1人くらいいるやばいやつ・無才・貧乏人。

 落ちこぼれを集めた動物園、それが西高校だ。

 いかつい先生が入って来るが生徒が席に座らないのもいつも通りだ。

「席に着け!」

「ぎゃはははは! それでよお、あんまり生意気を言うもんだからとっちめてやったぜ!」
「マジかよ、所で割井のやつはどうした?」
「ウサギに殺された」
「ぎゃはははははは! ざまあ! 調子に乗り過ぎなんだよ、気分がいいわ、ぎゃははははははは!」

 先生は大きな声でホームルームを続ける。

「今日から4強を決める魔石の納品ランキングが始まる!! 学校の4強を目指して頑張って欲しい!!」

 学校では最も魔石をたくさん納品した生徒の中から トップ4人を決める競争が行われている。
 ルールはシンプルで期間内に魔石をどれだけ納品したかでランキングが行われ、ぶっちぎりで得点が良ければ無条件で4強となる。
 納品数が僅差の生徒は直接戦い4強を決める。

 ちなみに金で魔石を買って納品しても4強になれる。
 更には生徒を脅して魔石を巻き上げて納品する生徒もいる。
 だが、4強を決めた後、4校の競い合いでボロが出る為ズルをすれば後で酷い目に合うのだ。

 13ゲート市としては、魔石と肉をたくさん納品して欲しい思惑がある。
 納品して貰えばもらうほどモンスターの脅威が減り、エネルギーが安定供給出来て魔法弾や回復のカードなどの防衛装備も整う。
 競争は大歓迎なのだ。
 高校を休んでゲートでモンスター狩りをする事も出来る為、留年しない程度に休んでモンスターを狩る生徒は多い。

「何か質問はあるか?」
「先生、学科の飛び級試験を受けたいです!」

 メイが手を挙げた。

「分かった。1年生までの試験でいいか?」
「はい!」
「別室で行う。他にあるか? ……ホームルームは以上だ。最期にお前ら! 元気が有り余っているならゲートにでも行ってこい!! 授業の邪魔をするなら高校に来なくていい!!!」

 ぴしゃん!

 先生が強めに戸を閉めて出て行った。
 先生がいなくなると生徒がゲラゲラと笑う。

「またクマがブチ切れたぜ。ぎゃはははは!」
「へっへっへ、たまにはゲートで俺の美技を見せてやるか」
「1人で行ってこい、今寒いだろうが」
「確かに寒いぜ、春になったら本気を出す」

 春も夏も秋も冬も本気を出さないんだろうな。

「俺は行くぜ」
「俺も行くわ」
「俺もな」

 3人が立ち上がった。
 そして俺の前で止まった。

「お前、調子に乗るなよ!」
「お前に出来るんなら俺にも出来るんだよ!」

「そっか、行ってらっしゃい」

「ハンダ、お前も調子に乗るなよ!」
「のってないべ」

「ふん、俺の本気を見せてやる。行くぞ!」
「「おう!」」

 3人が教室から出て行った。
 いつものパターンだと、適当にモンスターを狩って午後には帰って来るだろう。
 いちいちマウントを取らないと気が済まないのか。

 俺は、ああはならないように頑張ろう。
 4強はライカさんと、兄さん、そしてハンダと他の誰かだろう。
 と言うか、兄さんには卒業前に4強になって欲しい。
 兄さんをみんなが過小評価している、それが嫌だ。
 ライカさんや道場の先生とも話をしてみよう。
 俺はスマホで皆に連絡した。


 ……おし、放課後は道場に集合だ。
 
「イナセ君、こっちに来なさい」
「校長、先生?」

 マッチョな校長先生が俺に満面の笑顔で手招きをした。
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