雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ

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第41話 イベント戦

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【対決イベント2日目】

 俺は配信をしながら斥候術でモンスターを見つけて狩った。
 イノシシが分散していてスティールソードが使えない。
 サモンモンスターも使えない。

 関係ない。
 俺は全力で戦った。

 ハンダは強い、しかも決して油断をしない。
 ああいう人間は対決の相手としては厄介だ。
 もう強いのに更に上を目指そうとしている。
 
 ハンダは、金持ちだから強いんじゃない。
 あの粘り強さで上に這い上がって来たんだ。

『頑張れ! アキラ!』
『アキラ、応援してるぞ』
『アキラ君、頑張って!』

 応援する声が増えてきた。
 出来るだけイノシシを狩るが、数が減ってきた。
 ゲートの奥に行かないと数が上がらない。


【対決イベント3日目・最終日】

 今日もイノシシが少ない。
 奥に行かないともういないか。
 ハンダのパーティーは優秀だ。
 ハンダは5メートル級をソロで倒す力がある。

 ゲート近くのモンスターはもういない。

 ハンダが強いから諦める?
 冗談じゃない。
 関係ない、相手が強いハンダでもハンダでなくても、全力で出来る事をやるだけだ。
 ハンダ以前に自分に負けたら駄目だろ!
 今できる最大……
 今できる事。

 俺はイノシシを倒しつつ奥に進んだ。
 1人で奥に進むのは危険ではある。
 でも、そう決めた。


 奥に進むとイノシシが増えた。
 でももう時間が無い。
 ……5メートル級だ!
 1体倒せば魔石50個分!

 絶対に倒す!

 キュインキュイン!

「スティールソード!」

『なんだ? アキラが急に動き出したぞ!』
『5メートル級のイノシシだ!』
『斥候術か!』
『スティールソード使う意味あったか?』

『ある、1撃で死なない5メートル級は連撃で回復しつつ戦える』
『スティールソードはタフな大型相手にもそこそこ有効だ』
『危なくね?』
『その不利を覆すためのスティールソードだ。それに』

 キュインキュインキュインキュイン!

「ディフェンスダウン!」

『奇襲&ディフェンスダウン&スティールソードか!』
『これなら行ける!』
『奇襲ラッシュが凄すぎる。あの連撃強すぎないか?』
『アキラの技量が高い、今この瞬間も強くなっている』

 俺はラッシュで5メートル級を追い詰めた。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 こっちを向いて反撃をしてくるが、突撃前のイノシシはそこまで強くない。

 イノシシが倒れて剣を突き立てるとイノシシがジャラジャラと魔石を吐き出す。
 スティールソードを消して魔石を拾った。

『魔石50個ゲット!』
『奇襲がうまく決まりすぎた』
『この3日でまた強くなっている。高校生のイベント対決はだから面白い』
『分かる、高校生は後先考えず必死だからな。熱量が違う』
『熟練冒険者には無い面白さがある』
『アキラがまた走りだしたぞ?』

 キュインキュインキュインキュイン!

「スティールソード!」

『イノシシの群れだぞ!』
『5メートル級とイノシシが100体以上、やばくね!』
『死ぬぞ!』

「「ぶひいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」」

『今回は奇襲じゃないし群れだ!』
『イノシシを走らせたらまずいんだって』
『もう走り出した。来るぞ!』

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!

 近づくイノシシを横に避けながら剣で斬った。

『気合サムライのように避けながら斬ってる!』
『突進の勢いを利用して斬り抜けの1撃で確実に仕留めてる!』
『やはり強くなっている! 伸びがおかしい!』
『でもイノシシ相手にあの戦い方は綱渡りだぞ! 危ない』

 スパンスパンスパンスパン
 通り抜けたイノシシが魔石に変わっていった。

 最後に5メートル級が突撃してきた。
 イノシシの攻撃とすれ違うように斬り抜けた。

『気合侍の動きだ!』
『5メートル級の突撃を躱して斬るのは難しい。技量が高いんだ』
『次の突撃が来るぞ!』

「ぶひいいいいいいいいいいいい!」

 今度は横に飛びつつ前足を思いっきり切りつけた。

 5メートル級が転倒すると後ろから迫って斬りつけた。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
 
 ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!

 5メートル級が魔石を吐き出した。

「はあ、はあ、はあ、次!」

 校長『対決イベントは終了です。学校に戻ってください』

「……終わったか」

 もっと早く奥に来るべきだった。
 ペース配分を失敗した。



 今回のイベントは終わった。
 ゆっくり帰ろう。
 俺は歩いて帰った。


 ◇


 暗くなり、学校に戻るとみんなが待っていた。
 
「待ってたのか」

『疲れているから皆言えなかったんだ』
『1万人同接おめでとう』

「え? そっか、ありがとう」

「来たようだね、結果を発表するよ」

 校長先生が手招きした。
 兄さんとメイも集まる。
 成長痛があるだろうに、無理してきたんだな。



「お疲れ様、ゆっくり休みなさい」
「楽しかったよ、とても興奮した」

 リツカとマナも笑顔で出迎えてくれた。

 校長に変わって司会が結果発表を行う。

「それでは結果を発表します。1日目、イナセパーティーは501ポイント、ハンダパーティーは300ポイント、2日目、イナセパーティーは220ポイント、ハンダパーティーは350ポイントです!」

 画面に2日目までの合計ポイントが表示された。

 イナセパーティー721ポイント
 ハンダパーティー650ポイント

『アキラがリードしている、行けるんじゃないか?』
『いや、アキラは2日目以降失速している。でもハンダパーティーは追い上げている』
『アキラは斥候術がある、1人でも結構強いぞ』
『それを超えるほどハンダチームが強いのよ』
『俺はアキラを信じる』

 ドラムロールが流れ、ライトが照らされた。


「3日目、アキラパーティーは303ポイント、ハンダパーティーは412ポイント!」

 画面に結果が表示された。

 イナセパーティー1024ポイント
 ハンダパーティー1062ポイント

「結果は38ポイントのリードでハンダパーティーの勝利です!」

 その瞬間にギャラリーの生徒からハンダに怒鳴り声が飛ぶ。

「ハンダ! ハンデを貰って勝って嬉しいか!」
「金で魔法弾が打ち放題だもんな! 金持ちだから勝てたんだろ!」
「ただ札束で殴り勝っただけだ!」
「ボンボンが金の力で勝って何が嬉しい! 調子に乗るな!」
「4強も金で買ったんだろ!」

「不適切な発言はやめてください!」

 司会の声をかき消すようにハンダに対する怒鳴り声が増えていく。

 これは酷い。
 ただの嫉妬だ。
 そう言えば先生が言っていたな、この高校は昔のネットのようだと。
 昔の日本は、本当に酷かったんだな。

 ハンダは何も言い返さず黙っていた。
 相手にしない気か、だが、このまま終わるのはむかつく。
 
『アキラ、ガツンと言ってやる必要がある、変われ』
「いや、俺が言う」

 俺は司会に近づいた。
 マイクを奪い取ろうとした。

 その瞬間に校長が地面を蹴った。
 マッチョな校長が司会のお姉さんを通り過ぎると突風が巻き起こり、司会の持っていたマイクを握っていた。

「だまれごらああああああああああああああああ!!」
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