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第32話 依頼
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「む、何がおかしい?」
「きゅうを撫でる動きがアキラと同じだからおかしくて」
「きゅうは全然気高くて雄々しくないわよ」
「きゅうが好きなんですね、ぷふ!」
「この世界の常識はよく分からんな。言いたいことは言った。体を返す」
体の支配権が俺に戻った。
マジでか、何で笑われているのか分からないのか。
あんなに怒っていたのに『きゅうは雄々しくて気高い』とか言ってにこにこしながらきゅうを撫でたらそりゃ笑われる。
雄々しくて気高い=きゅうが可愛いにしか聞こえない。
スマホが震えた。
「……」
「どうしました?」
「西高校の4強からだ」
13ゲートの4高校では、学校で強い生徒4人を選び4強を決める。
更にそこから学校間で競争させるイベントがある。
学校内で競わせ、学校間でも競わせて冒険者の質を上げる狙いがあるが、討伐イベントでモンスターを狩って貰う事で大発生を抑えて魔石と肉をたくさん納品して欲しい思惑もある。
第13ゲートの獣は肉をドロップするが肉の価格が安い。
そして魔石はエネルギー源と回復のカードなどのアイテム作成に欠かせない。
あの手この手でモンスターを倒してもらい、納品を促す仕組みが整っているのだ。
「……依頼が入ってる」
依頼はスマホのマッチング機能で簡単にできるようになっている。
「4強の誰からですか?」
「ハンダ、半田狩人から農地のイノシシ狩りを斥候術で手伝って欲しいと、明日からだって」
「いいね! みんなで行こう!」
「いやいや、皆で来られると報酬でハンダが気を使うだろ?」
「報酬はいいよ」
「とりあえず、依頼は受けておく」
ピコン!
報酬前払いで15万が振り込まれた。
太っ腹だな。
条件をよく見ると、達成で更に15万か。
「今日も泊っていくよね? 明日は一緒に向かおう」
「所で、ゲームの動画はアップしますか?」
「そうだ、アキラのクラック討伐をアップするね?」
「分かった。でも、俺がただチュートリアルをクリアするだけの動画に需要があるのか?」
「ありますよ☆」
「アキラにクラックの魂が憑依して、そのクラックがクラックを倒した感じになるわね。伸びると思うわ」
「アキラの個人情報がどんどん漏れてますね☆」
「俺は、気にしない、皆の方が大変だろ。街で急に腕を掴まれたりとかな」
「アキラは優しいね」
「アキラは前から優しいですよ」
「そうね、そうだと思うわ」
みんなに褒められると不思議な気持ちになる。
「またゲームします?」
「クラック、もう怒らないか?」
『慣れてきた』
メイドさんが前に出た。
「それよりも、気功を受けませんか? 特にアキラ様とメイ様は受ける事を強くお勧めします」
「そうだね、明日に備えて頼むよ」
「かしこまりました、こちらへどうぞ」
俺はメイドのお姉さんから気功を受けた。
普通に俺に乗って来るし、気功を使う時に「ふ、くうう!」と吐息のような声を漏らす。
更に体を触って癒す系の気功で気持ちよさよりも恥ずかしさの方が勝った。
「はあ、はあ、はあ、はい、終わりました。お疲れ様です」
お姉さんはだらだらと汗を掻き、顔が火照っていた。
まるで激しい運動を終えた後のように息を切らす。
「ありがとうございました」
「ふふふ、可愛いですね」
「え?」
「いえ、失言でした。お疲れさまでした」
「ありがとうございました」
気功を受ける前より体が軽い、俺はよく食べてその日はたっぷり眠り、次の日依頼の農地に向かった。
車から降りるとハンダが出迎える。
「よく来たな……」
「悪い、連れがいるんだ」
4人がハンダの前に立つとハンダが驚いた。
「おめえ! 多すぎんだろ!」
「きゅうを撫でる動きがアキラと同じだからおかしくて」
「きゅうは全然気高くて雄々しくないわよ」
「きゅうが好きなんですね、ぷふ!」
「この世界の常識はよく分からんな。言いたいことは言った。体を返す」
体の支配権が俺に戻った。
マジでか、何で笑われているのか分からないのか。
あんなに怒っていたのに『きゅうは雄々しくて気高い』とか言ってにこにこしながらきゅうを撫でたらそりゃ笑われる。
雄々しくて気高い=きゅうが可愛いにしか聞こえない。
スマホが震えた。
「……」
「どうしました?」
「西高校の4強からだ」
13ゲートの4高校では、学校で強い生徒4人を選び4強を決める。
更にそこから学校間で競争させるイベントがある。
学校内で競わせ、学校間でも競わせて冒険者の質を上げる狙いがあるが、討伐イベントでモンスターを狩って貰う事で大発生を抑えて魔石と肉をたくさん納品して欲しい思惑もある。
第13ゲートの獣は肉をドロップするが肉の価格が安い。
そして魔石はエネルギー源と回復のカードなどのアイテム作成に欠かせない。
あの手この手でモンスターを倒してもらい、納品を促す仕組みが整っているのだ。
「……依頼が入ってる」
依頼はスマホのマッチング機能で簡単にできるようになっている。
「4強の誰からですか?」
「ハンダ、半田狩人から農地のイノシシ狩りを斥候術で手伝って欲しいと、明日からだって」
「いいね! みんなで行こう!」
「いやいや、皆で来られると報酬でハンダが気を使うだろ?」
「報酬はいいよ」
「とりあえず、依頼は受けておく」
ピコン!
報酬前払いで15万が振り込まれた。
太っ腹だな。
条件をよく見ると、達成で更に15万か。
「今日も泊っていくよね? 明日は一緒に向かおう」
「所で、ゲームの動画はアップしますか?」
「そうだ、アキラのクラック討伐をアップするね?」
「分かった。でも、俺がただチュートリアルをクリアするだけの動画に需要があるのか?」
「ありますよ☆」
「アキラにクラックの魂が憑依して、そのクラックがクラックを倒した感じになるわね。伸びると思うわ」
「アキラの個人情報がどんどん漏れてますね☆」
「俺は、気にしない、皆の方が大変だろ。街で急に腕を掴まれたりとかな」
「アキラは優しいね」
「アキラは前から優しいですよ」
「そうね、そうだと思うわ」
みんなに褒められると不思議な気持ちになる。
「またゲームします?」
「クラック、もう怒らないか?」
『慣れてきた』
メイドさんが前に出た。
「それよりも、気功を受けませんか? 特にアキラ様とメイ様は受ける事を強くお勧めします」
「そうだね、明日に備えて頼むよ」
「かしこまりました、こちらへどうぞ」
俺はメイドのお姉さんから気功を受けた。
普通に俺に乗って来るし、気功を使う時に「ふ、くうう!」と吐息のような声を漏らす。
更に体を触って癒す系の気功で気持ちよさよりも恥ずかしさの方が勝った。
「はあ、はあ、はあ、はい、終わりました。お疲れ様です」
お姉さんはだらだらと汗を掻き、顔が火照っていた。
まるで激しい運動を終えた後のように息を切らす。
「ありがとうございました」
「ふふふ、可愛いですね」
「え?」
「いえ、失言でした。お疲れさまでした」
「ありがとうございました」
気功を受ける前より体が軽い、俺はよく食べてその日はたっぷり眠り、次の日依頼の農地に向かった。
車から降りるとハンダが出迎える。
「よく来たな……」
「悪い、連れがいるんだ」
4人がハンダの前に立つとハンダが驚いた。
「おめえ! 多すぎんだろ!」
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