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第18話 脱出計画

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 朝日で目が覚めると、メイとマナは眠っていた。
 リツカが起きて料理を作り始める。

「おはよう」
「おはよう」
「朝はカレーだよ!」

「美味しそうだな」
「まだ早いけど、食べようと思えば食べられるよ」
「いただきます」

 俺はカレーを詰め込むように食べた。
 そしてお代わりして食べた。


「いい匂いがするな」
「兄さん、おかえ!?」

 兄さんは泥で汚れ、ボロボロになって帰ってきた。

「兄さん!」
「ちょっと待っててね」

 キュインキュイン!

「ヒール!」

 光属性の回復魔法で兄さんの傷が癒えていく。
 剣も銃も使えて回復魔法まで出来るのか。

「助かる。お礼は」
「お礼はいいよ」
「リツカ、ありがとう」
「どういたしまして。カレーを食べる?」
「いただきます」

 兄さんは礼をしてカレーを受け取って食べた。

 そして川で服と体を洗ってそのまま眠った。

「ここは今危険だ、皆どんどんボロボロになっていく」
「そうだね、ネットで色々調べてみようか」

 俺とリツカは2人でスマホをチェックしていく。


 イノシシのモンスターが決壊した防壁から北の街に出た。
 そのイノシシは討伐されたが魔法弾丸のストックが切れた。
 防壁内は今イノシシが溢れており対処は後手に回る、か。

「う~ん、昨日より少しは良くなっているけど、ゲートの外も危険みたいだね」
「でも、ここもウサギがあふれ出しそうで怖い。ゲート付近のイノシシはいなくなったみたいだから他のゲートに移動した方がまだ安全な気がする」
「そうだね、昼になったらゲート入り口に向けて出発しようか」

 リツカは結構攻めるタイプだな。

 いったん整理しよう。
 まずは味方からだ。

 リツカはソウルランクCで最も頼りになる存在だ。
 兄さんはソウルランクEではあるが実質俺より強い、が今はボロボロだ。
 俺はDランクになりたてで本調子ではない。
 メイはEランクで酔拳を使った為まだ体調は悪いだろう。
 マナはFランクで魔法弾丸を作ってはいたが、多くて数十発程度。

 万全とは言えない状態だ。

 モンスターの方も考えてみる。
 ウサギのゲート、ここは大量ポップの危険がある、でも外の防壁内にはイノシシのモンスターがうろうろしている。
 やはり、ゲートの入り口に向かい、違うゲートに入った方が安全か。

 夜更かししたマナと夜型のメイは昼に起きる。
 行動タイミングから考えても昼からがベストか。

 今俺が出来る事は……

「もっと食べ物はあるか? 栄養を出来るだけ補給しておきたい」
「あるよ、たくさん食べよう」

 リツカがパンやおにぎり、そしてレトルトの食べ物を差し出した。

「すまない、全部食べて昼まで休む」
「うん、それが良いと思う」

 俺はひたすら食べて、寝転がって休んだ。

 
 全員が起きると5人でパーティーを組んで入り口を目指す。

「おし! 行くか」
「その前に、配信をするよ」

 リツカは差し込むよう配信を始めた。
 スマホをいじるとリツカを中心に半球状の薄い魔法陣が展開された。
 これで全方位配信ができる。

「みんなこんにちわ! 今から第13ゲートのウサギ狩りだよ。目的はウサギのゲートから違うゲートへの移動! それじゃあいくよ~!」

『待ってました』
『おい、クラックがおるで』
『クラックのモデルがゲストか』
『サムライもおるな、こんなキャラいたっけ?』
『知らん』
『マナたん久しぶりやね』

 声が聞こえてくる。

「紹介するね、クラックのモデルで名前はアキラ、そのお兄さんのキドウだよ」

『5人パーティーか』
『パーティーが増えとる』
『まてまて、突っ込むところはクラックに乗ってるあのモフモフだろ!』
『あの肩で佇むモフモフ何?』
『今回情報量が多すぎないか?』

「歩きながら説明するね。レッツゴー!」

 リツカが説明をしながら前を進む。
 俺の事や兄弟の境遇を包み隠さずすべて話していく。


 そして途中でウサギが出てきた。 

「ウサギ発見、いますぐ」
「きああああああい!」

 スパンスパンスパン!

 兄さんがウサギを斬り倒した。

「……説明を続けるね」

『待てって、突っ込みどころがありすぎるだろ!』
『きああああああああい!』
『気合!』
『きああああああああああいいいいい!』

『剣道の叫び声って普通にこんな感じなんだよな』
『きああああああああい!』

 スパンスパンスパン!
 カチン!
 兄さんが無双していく。

「向こうにまた敵だ!」

『クラックはやっぱり斥候持ちか』
『優しそうに見える』

「きあああああああああい!」
「兄さん、無理しないでくれ! 30体以上いるから」

『なんか、珍味のように癖になっている俺がいる』
『真面目にモンスターをたおしてるんだろうけど、笑っちゃう』
『見てしまう不思議な魅力があるよな』

「きああああああああああい!」

『きああああああああい!』
『気合!』
『きああああああああああいいいいい!』

 こうして説明がなかなか進まないまま進んだ。

 入り口に近づくと気配を感じた。

「やばいな、ゲートに10メートル級がいる」


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