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第17話 抜刀術
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暗くなってくると目が覚めた。
「目が覚めた?」
「リツカ、おはよう。少し、まずい状況だな」
「そうだね、ウサギの発生率が多すぎるよ」
「大量発生の前触れだとしたら、イノシシを突っ切ってでも脱出する必要があるけど、リツカ以外ボロボロだ。兄さんを呼んだけど、イノシシの群れを突破できるか分からない」
「兄さんが来れたら脱出しよう。今日は休もうか」
「眠いか?」
「うん。お休み」
「リツカは夜になると寝るわよ、朝型なのよ」
「メイは夜型だよな?」
「そうね」
「パーティーとしては合わないんじゃないか?」
「大丈夫です☆」
「うわ、起きていたのか」
「今起きました、私が寝たらリツカが私を背負います、リツカが寝たら私が背負います。リツカが迷子になったら斥候術でアキラが見つけます☆」
「見つけるのはいいんだけど、俺より兄さんの方が強い」
「キドウのソウルランクがEで、アキラのソウルランクがD、でも、キドウはスキルが普通じゃないですからね」
「普通じゃないってどういう事?」
「兄さんのスキル技量は異様に高い……人が、兄さんが来る!」
兄さんが笑顔で俺に手を振った。
暗くて顔が良く見えない。
兄さんが焚火に近づくとメガネが割れて頭から血が流れていた。
「兄さん! 血! 血が出てる!」
「イノシシに手こずってしまってな。メガネを割ってしまった」
メガネはメイがプレゼントした自動修復機能付きのものだ。
伊達メガネはどうでもいい、それよりも兄さんの血だ。
「回復カードをあげるわよ?」
「いや、高価なものは受け取れない」
「えええ! 今使わないでいつ使うのよ! 使うのは今でしょ!」
「寝て起きれば治る」
「兄さんが血を流すって、外はまだ危ないんだな……」
「アキラ、どうした?」
「モンスターが来る」
「私の出番が来たようだ」
「兄さんが出るなら俺が」
「2人とも休みなさいよ!」
「普通に考えて私の出番ですよね?」
「いや、兄としてアキラにかっこいい所を見せておきたい」
兄さんがすっと前に出た。
「ちょっと! ウサギが20体でその内1体は3メートル級よ!」
「キドウは普通に倒しますよ」
「ソウルランクEよね!? 危ないわよ!」
「アキラ、下がっていろ。休め」
「……分かった、でも、1回でも攻撃を受けたら前に出るから」
「分かった」
兄さんが腰から刀を鞘事抜き、左手に鞘を持ち、右手に柄を持って構えた。
「あれが兄さんの抜刀術、刀剣術を鍛えてさらにその先にあるスキルだ」
「Eランクで高等スキルを覚えてるの!」
兄さんにウサギ3体が殺到した。
刀を抜刀斬りで一体を倒し、斬った刀で突き刺して二体目を倒すと、鞘をウサギに叩き飛ばした。
カチン!
そして即座に刀は納刀されて元の構えに戻っている。
すべての動きが一連の型のように美しく、そして速い。
3メートル級と雑魚が同時に兄さんに襲い掛かる。
兄さんがすれ違うと雑魚3体が魔石に変わった。
ザンザンザンザンザン! カチン!
斬る音と、納刀の音だけが聞こえる。
「何を、したのよ?」
「3メートル級が影になって見えなかった。分からない」
兄さんが更に仕掛ける。
「きあああああああい!」
兄さんが光をまとった。
「兄さんの気合スキルだ! 10秒間攻撃力が上昇する!」
納刀したまま3メートル級に近づくと3メートル級が魔石に変わった。
抜刀術は鞘に刀をひっかけるようにして抜くことでデコピンのような強攻撃を繰り出したり、素早く抜くことで速い攻撃を繰り出したりと兄さんは抜刀斬り1つ取っても高度な動きを使い分けている。
「え? もう終わったの!」
「キドウは強いんですよ」
「ソウルアップしても、俺は兄さんには敵わない」
兄さんは無傷のまま雑魚を倒して戦闘が終わった。
「スキル技量が普通じゃないわ。あの人が血を流すほど外は酷いのよね?」
「多分、今脱出しようとしたら俺達の誰かが死ぬだろう」
「スマホを見るとまだイノシシがゲートから出て来ていて、防壁を守る冒険者に弾丸の供給が追い付かなくなっています。それと防壁が一か所突破されましたね」
「今はゲートの入り口付近にイノシシがいるみたいなんだよなあ」
「その通りだ。ゲート付近ですら危ない」
「魔法弾が無いのもまずいわね、モンスター狩りが遅れるわ」
「防壁の上から一方的に攻撃出来なくなるからな、被害が増えるだろう」
「落ち着くまで後数日かかるかもしれないわね」
「私が見張りを引き受けよう」
「兄さん、休んでくれ」
「休みなさいよ!」
「無茶です!」
兄さんは全員に反対されたが、それでも見張りを務めた。
「目が覚めた?」
「リツカ、おはよう。少し、まずい状況だな」
「そうだね、ウサギの発生率が多すぎるよ」
「大量発生の前触れだとしたら、イノシシを突っ切ってでも脱出する必要があるけど、リツカ以外ボロボロだ。兄さんを呼んだけど、イノシシの群れを突破できるか分からない」
「兄さんが来れたら脱出しよう。今日は休もうか」
「眠いか?」
「うん。お休み」
「リツカは夜になると寝るわよ、朝型なのよ」
「メイは夜型だよな?」
「そうね」
「パーティーとしては合わないんじゃないか?」
「大丈夫です☆」
「うわ、起きていたのか」
「今起きました、私が寝たらリツカが私を背負います、リツカが寝たら私が背負います。リツカが迷子になったら斥候術でアキラが見つけます☆」
「見つけるのはいいんだけど、俺より兄さんの方が強い」
「キドウのソウルランクがEで、アキラのソウルランクがD、でも、キドウはスキルが普通じゃないですからね」
「普通じゃないってどういう事?」
「兄さんのスキル技量は異様に高い……人が、兄さんが来る!」
兄さんが笑顔で俺に手を振った。
暗くて顔が良く見えない。
兄さんが焚火に近づくとメガネが割れて頭から血が流れていた。
「兄さん! 血! 血が出てる!」
「イノシシに手こずってしまってな。メガネを割ってしまった」
メガネはメイがプレゼントした自動修復機能付きのものだ。
伊達メガネはどうでもいい、それよりも兄さんの血だ。
「回復カードをあげるわよ?」
「いや、高価なものは受け取れない」
「えええ! 今使わないでいつ使うのよ! 使うのは今でしょ!」
「寝て起きれば治る」
「兄さんが血を流すって、外はまだ危ないんだな……」
「アキラ、どうした?」
「モンスターが来る」
「私の出番が来たようだ」
「兄さんが出るなら俺が」
「2人とも休みなさいよ!」
「普通に考えて私の出番ですよね?」
「いや、兄としてアキラにかっこいい所を見せておきたい」
兄さんがすっと前に出た。
「ちょっと! ウサギが20体でその内1体は3メートル級よ!」
「キドウは普通に倒しますよ」
「ソウルランクEよね!? 危ないわよ!」
「アキラ、下がっていろ。休め」
「……分かった、でも、1回でも攻撃を受けたら前に出るから」
「分かった」
兄さんが腰から刀を鞘事抜き、左手に鞘を持ち、右手に柄を持って構えた。
「あれが兄さんの抜刀術、刀剣術を鍛えてさらにその先にあるスキルだ」
「Eランクで高等スキルを覚えてるの!」
兄さんにウサギ3体が殺到した。
刀を抜刀斬りで一体を倒し、斬った刀で突き刺して二体目を倒すと、鞘をウサギに叩き飛ばした。
カチン!
そして即座に刀は納刀されて元の構えに戻っている。
すべての動きが一連の型のように美しく、そして速い。
3メートル級と雑魚が同時に兄さんに襲い掛かる。
兄さんがすれ違うと雑魚3体が魔石に変わった。
ザンザンザンザンザン! カチン!
斬る音と、納刀の音だけが聞こえる。
「何を、したのよ?」
「3メートル級が影になって見えなかった。分からない」
兄さんが更に仕掛ける。
「きあああああああい!」
兄さんが光をまとった。
「兄さんの気合スキルだ! 10秒間攻撃力が上昇する!」
納刀したまま3メートル級に近づくと3メートル級が魔石に変わった。
抜刀術は鞘に刀をひっかけるようにして抜くことでデコピンのような強攻撃を繰り出したり、素早く抜くことで速い攻撃を繰り出したりと兄さんは抜刀斬り1つ取っても高度な動きを使い分けている。
「え? もう終わったの!」
「キドウは強いんですよ」
「ソウルアップしても、俺は兄さんには敵わない」
兄さんは無傷のまま雑魚を倒して戦闘が終わった。
「スキル技量が普通じゃないわ。あの人が血を流すほど外は酷いのよね?」
「多分、今脱出しようとしたら俺達の誰かが死ぬだろう」
「スマホを見るとまだイノシシがゲートから出て来ていて、防壁を守る冒険者に弾丸の供給が追い付かなくなっています。それと防壁が一か所突破されましたね」
「今はゲートの入り口付近にイノシシがいるみたいなんだよなあ」
「その通りだ。ゲート付近ですら危ない」
「魔法弾が無いのもまずいわね、モンスター狩りが遅れるわ」
「防壁の上から一方的に攻撃出来なくなるからな、被害が増えるだろう」
「落ち着くまで後数日かかるかもしれないわね」
「私が見張りを引き受けよう」
「兄さん、休んでくれ」
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兄さんは全員に反対されたが、それでも見張りを務めた。
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