学園初日で決闘に負けて死ぬ悪役貴族に転生した俺、エロ妖精を助けたら人生が変わった。エチエチイベントを起こすだけでレベルが上がる

ぐうのすけ

文字の大きさ
上 下
35 / 43

第35話

しおりを挟む
マリエル護衛をもっと安全に行うため、『マリエルになるべき気がつかれない道具』が完成した。

「よし、ドルトンさんで実験してみよう!」

新しい道具を実戦で使う前には、必ず実験が必須。
事前に設定の準備をして、道具を装着。ドルトンさんを驚かせにいくことにした。

奥のドルトンさんの作業場に移動する。

「ドルトンさん、ちょっといいですか?」
「ん? なんだ、“サラの嬢ちゃん”か? ハルクなら奴の作業場にいるぞ」

「いえ、私はサラでないですよ、ドルトンさん」
「ん? 何かの冗談か? その声も、どこから、どう見てもサラの嬢ちゃんだろ?」

真面目なサラは冗談を言わない。だからドルトンさんは首を傾げながら、不思議そうにこっちを見てくる。

よし、実験は成功だ。
これ以上騙すのは問題ななりそうだから、種明かしをする。
新しい道具の機能を解除だ。

ポワ――――ン

「ん? なっ⁉ ハ、ハルクだと⁉ どうして、サラの嬢ちゃんが、ハルクになったのだ⁉ これはどういうことじゃ……まさか魔族がワシを化かしにきたのか⁉」

まさかの現象にドルトンさんは目を見開き、言葉を失っている。
作業場あった魔戦斧を手にとり、こちらを威嚇してきた。
あっ……これはマズイ状況だ。

「間違いなくボクですよ! ハルクです! この新しい道具で、姿と声を変えていたんです!」

自分が本当にハルクあることを、慌てて証明する。
でも言ってから、ふと気がつく。こんな道具を見せたところで、魔族じゃないことの証明はできないのだ。

「むっ……その道具は⁉ そんな精密な鍛冶仕事をできるのは、ヤツだけだ。ふう……そうか、本物のハルクか。まったく驚かせやがって」

だがドルトンさんは信じてくれた。魔戦斧を置いて、深い息を吐き出す。
よく分からないけど誤解が解けて、本当によかった。

「すみません、驚かせて。まさか、そんなに信じるとは思わないで。ボクの予想では“少しだけ”サラに似ていた予定だったんですが」

「いや、いや。さっきの姿は、どこからどう見ても“サラの嬢ちゃんそのもの”だったぞ。いったい、その道具はなんだ⁉」

ドルトンさんはこちらに近づき、新しい道具をマジマジと見てきた。今度はちゃんと説明をしないと。

「えーと、これは魔道具を応用して作った鍛冶道具です。機能は『使用者の姿を、他人に似せる』です!」

マルキン魔道具店に『風景を一枚の紙に写す魔道具』と『絵を壁に透写する魔道具』が売ってあった。

ボクはその部品を使い、新たな道具を製造。事前に撮影した人物の容姿に、使用者を見せかける道具を作ったのだ。

さっきサラの顔と格好を、こっそりボクは撮影してきた。そのデータを使い、サラの格好に変身したのだ。

ちなみに声も同じように『音を少しだけ録音する魔道具』と『録音した音を再生する魔道具』を組みわせて、ボクの声をサラの声に変質させたのだ。

「……という訳です。機能は全部、市販の魔道具をそのまま応用しました」

今回の製造はそれほど難しい作業はしていない。
売り物の魔道具を分解して、パーツを取り出し少しだけ改造。
ミスリル・マジックミラーで変身できるように改造。あと超小型ミスリルモーターで声も変質にも改造しておいた。

ちなみにミスリル金属の保護のお蔭で、魔法による妨害や探知も受けつけない仕様だ。

他人の姿と声に変身できる道具……

――――その名も《怪盗百面相ルパル・チェンジャー》だ!

どうですか、ドルトンさん。今の説明で分かってくれましたか?

「――――っ⁉」

説明を聞いて、ドルトンさんは固まっている。いったいどうしたんだろう。

「い、いや、どうしたのだろう、じゃないぞ、小僧⁉ オヌシはとんでもない性能の魔道具を、新たに作りだしたんじゃぞ! 自覚はあるのか?」

「えっ、『とんでもない性能の魔道具』をですか? “少しだけ”他人に変装できるだけの道具ですよ、これは?」

どうしてドルトンさんはここまで興奮しているのだろう。もしかしたら何か問題もあるのだろうか。

「ふう……本人とまったく同じ姿と声に変装でき、魔法による探知も不可能。そんな恐ろしい道具があったら、そんな城やお宝のある場所にも、当人は潜入可能なのじゃぞ!」

「あっ……そうか。でも、安心してください。使うには、特殊な認証取得機能があるので、悪用はできないです!」

買ってきた魔道具の中に『人を認識できる魔道具』があった。
今回はそれを組み込んでいるから、悪用される心配はないのだ。

「なるほど、それならひと安心じゃ。だが、とにかく、とんでもない魔道具を、いや……魔道具を超えた“超魔具”を作り出したモノだな、オヌシは」

ドルトンさんの言う“超魔具”とは魔道具と、鍛冶技術を組み合わせ名称なのであろう。呼び方が格好いいから、ボクも今度から使うことにしよう。

「ところで、その超道具《怪盗百面相ルパル・チェンジャー》は、どう使うのじゃ?」

「とりあえず、マリエルが王都で行く先に出入りしている人物を、今後は撮影と録音してきます。明日以降は《怪盗百面相ルパル・チェンジャー》を装備して、何気ない顔でマリエルに近辺にいる予定です!」

マリエルの王都でのスケジュールは把握済み。その利点を最大限に使い、先回りして準備をしていく。
彼女の護衛騎士や侍女。王城の騎士兵。王都の商館の関係者。色んな人物を、撮影していく予定だ。

ちなみに《怪盗百面相ルパル・チェンジャー》は百人分の姿と声を記録可能。今後は常にマリエルの近くで、密かに護衛ができるのだ。

「ふむ、なるほど、そういう使い方か。気を付けて準備するのだぞ」

「たしかに、そうですね。それじゃ明日の分の準備に、行ってきます!」

ボクは工房を出発。向かう先は王都の“ある場所”だ。
こっそり撮影と録音をして、ついで情報も収集。変装してもバレないように、メモにとって整理しておく。

陽が落ちてから工房に帰宅。
夕食後は《怪盗百面相ルパル・チェンジャー》を更に改造して、使いやすく調整する。

明日から絶対に失敗はできない。
集中して作業していると、あっとう間に夜はふけていく。



翌朝になる。
今日はマリエルにとって大事な日。
彼女がミカエル城に登城して、現ミカエル国王に謁見する日なのだ。

ボクも朝から気合が入りまくり。
早朝から護衛の準備をして、朝食もしっかり食べておく。

執事セバスチャンさんには『今日は徒歩で外出するので、お構いなく』と伝えて、こっそりと庭の工房に向かう。

「サラ、ドルトンさん。それじゃ、マリエルの後を追いましょう!」

「はい、ハルク君。いよいよ王城に潜入するのですね。また秘密の通路を使うのですか?」

「ん、今日は違うよ。“ボクたち三人”は城の正門から、正々堂々と登城するよ」

「ん? “ボクたち三人”? ハルク、キサマ……まさか。ワシらも正面から行くのか⁉」

「はい、ドルトンさん。二人の分の《怪盗百面相ルパル・チェンジャー》も作って、調整しておきました! さぁ、変装して三人でミカエル城に行きましょう!」

こうして王都でも最大の警備が厳しいミカエル城に、ボクたちは超魔具で潜入に挑むのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

処理中です...