学園初日で決闘に負けて死ぬ悪役貴族に転生した俺、エロ妖精を助けたら人生が変わった。エチエチイベントを起こすだけでレベルが上がる

ぐうのすけ

文字の大きさ
上 下
16 / 43

第16話

しおりを挟む
 キャンプ中、俺は皆に褒められた。

「俺が出ていく前にすべてが終わっていた。手際が良かったぜ」

 ファインの言葉に続いてヒロインが俺を褒めると今度はアイラたちが俺を褒めた。

「フィール君、カッコよかったよ!」
「これなら、アイラの将来は安泰ですな」
「ええ、2人はぴったりだわ、いい夫婦になるわね」
「もう、結婚の話を進めてもいいのでは?」

「いや、まだ色々あるんだ」
「よければ他の問題を教えてくれませんかな?」
「まず、無事に故郷にたどり着きたい。そして俺は故郷のみんなに迷惑をかけたんだ。いきなり結婚をしたとして、俺への恨みからアイラがいじめられる可能性もある。それと領地の経営があまり良くない。そして、皆が故郷になじめるか分からない」

 当初はボッズの危険から遠ざける為に辺境に両親を移民させる予定だった。   
 だがボッズは姫騎士がいる俺達の馬車を狙った。
 ボッズは完全にアウトだ。

 ボッズの危険がなくなった今、故郷の領地が合わなければアイラの両親はまた移住する事になる。

 夏休みにイベントが起きてファインはここに訪れる。
 だが、今回はボッズが強襲を仕掛けてきたりとゲームと違っている。 
 そもそも死んでいるはずの俺が生きている時点で色々な事が変わって来るだろう。

 アイラの両親はこのまま故郷に来ると言ってくれた。
 まずはアイラの両親が住める環境を作る必要がある。



「ふむふむ、他にはありますかな?」
「アイラが、俺と結婚したいかどうかが分からない」
「はっはっはっはっは!」
「ふふふふふ、ふふふふふふ」

 アイラの両親が笑い出した。
 続いてファインのパーティーも笑う。

「え?え?」

「フィール、どう考えてもアイラはフィールが好きだぜ」
「その通りだよ!私の恋占いでアイラとフィールの相性がいいと言っているのに、フィールはそういうところがあるよね」

 チンカウバインが光を放ちながらみんなの周りを飛び回る。

「いやあ、私は冗談かと思いましたよ」
「私もよ、言わなくても、ねえ。アイラは分かりやすいわ」

 アイラがくねくねと体をよじりながら赤くなった。

「フィール様は責任感が強いのでしょう。まずは1つ1つ、解決していきましょう」

 その日は和やかにキャンプを終え、交代で見張りをしながら過ごした。

 道中魔物が出るとファインが倒し、橋が壊れている場所があれば俺の風魔法で馬車を浮かせてすんなり通る事が出来た。



 ◇



【バイブレーション領】

 バイブレーション領は山・川・海・湖・草原・森があり、自然が豊かだ。
 人は300人程度と規模は小さい。
 
 森と海に囲まれた集落には数十件の家があった。
 集落の中心にフィールの家、領主の館があった。

「レンガ造りの立派な家だぜ」
「ああ、俺が生まれる少し前に建てられていて、そこまで古くもないし民が集まる集会所にもなっている」

 家の前まで歩くと父さんと母さん、そしてシルバーヘアの執事と若いメイドが2人外に出て出迎えた。

「ああ!フィール!良く帰って来たわね!」

 母さんが俺を抱きしめる。

「フィール、立派になったようだ」

 父さんは嬉しそうにほほ笑んだ。
 そう、両親はとてもまともで、フィールの事を溺愛した。
 その為叱る事が無く、わがままなフィールが完成したのだ。

「か、母さん、父さん、帰ったよ。でも、その前に謝りたいことがあるんだ」

 俺は執事とメイド2人に頭を下げた。

「すいませんでした!迷惑をかけてすいませんでした!」

 俺はここに到着する前にこうすると決めていた。
 執事とメイドが驚いたように目を見開いた。

 そして、ゲームのサブクエストにあったイベントを先回りして達成させる。

「父さんと母さんにはワイン、執事にはお金、メイドの2人には可愛い服のお土産があるんだ」

 俺は馬車から用意していたお土産を取り出して渡す。
 そして渡すたびに頭を下げた。
 メイドと執事は俺の顔を何度も見ていた。

「フィールは悪人じゃないよ!私と契約しているんだよ」

「「よ!妖精!」」

 みんなが驚いた。

「そうさ!フィールは私と契約しているんだよ!」

 そう言って周りを無意味に飛び回る。

 執事が涙を流した。

「立派に!立派になられましたな!領主様の血を信じて、信じて、ううううようやく、報われ、うううううう!」
「今まで迷惑をかけた。今思えば石を投げつけたり、急に怒鳴ったり、悪いことをして責任をなすりつけたりと滅茶苦茶だったと思う」

 メイドの2人は飛び上がって喜んだ。

「ああ!やっぱり、フィール様が変わった!」
「今までのフィール様ならプレゼントなんて絶対にくれなかったもの!」

「2人にも迷惑をかけた。虫を背中に入れたり、スカートをめくったり、酷い事を何度もした」

 フィールはメイドに対して好きな子をいじめるみたいなことを何度もやった。

「フィール、後ろにいるみんなを紹介してくれ」
「ああ……」

 俺は皆を紹介して今までの経緯を話した。



「なるほど、分かった。部屋が空いているからしばらくはここに住むといい」
「それと、経営が苦しいと思うから。今話した恋占いの利益を出すよ」

 俺は金貨の入った袋を父さんに渡した。

 その日から、執事とメイドが妙に優しくなった。
 いや、これが本来の姿だと思う。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

処理中です...