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第16話
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キャンプ中、俺は皆に褒められた。
「俺が出ていく前にすべてが終わっていた。手際が良かったぜ」
ファインの言葉に続いてヒロインが俺を褒めると今度はアイラたちが俺を褒めた。
「フィール君、カッコよかったよ!」
「これなら、アイラの将来は安泰ですな」
「ええ、2人はぴったりだわ、いい夫婦になるわね」
「もう、結婚の話を進めてもいいのでは?」
「いや、まだ色々あるんだ」
「よければ他の問題を教えてくれませんかな?」
「まず、無事に故郷にたどり着きたい。そして俺は故郷のみんなに迷惑をかけたんだ。いきなり結婚をしたとして、俺への恨みからアイラがいじめられる可能性もある。それと領地の経営があまり良くない。そして、皆が故郷になじめるか分からない」
当初はボッズの危険から遠ざける為に辺境に両親を移民させる予定だった。
だがボッズは姫騎士がいる俺達の馬車を狙った。
ボッズは完全にアウトだ。
ボッズの危険がなくなった今、故郷の領地が合わなければアイラの両親はまた移住する事になる。
夏休みにイベントが起きてファインはここに訪れる。
だが、今回はボッズが強襲を仕掛けてきたりとゲームと違っている。
そもそも死んでいるはずの俺が生きている時点で色々な事が変わって来るだろう。
アイラの両親はこのまま故郷に来ると言ってくれた。
まずはアイラの両親が住める環境を作る必要がある。
「ふむふむ、他にはありますかな?」
「アイラが、俺と結婚したいかどうかが分からない」
「はっはっはっはっは!」
「ふふふふふ、ふふふふふふ」
アイラの両親が笑い出した。
続いてファインのパーティーも笑う。
「え?え?」
「フィール、どう考えてもアイラはフィールが好きだぜ」
「その通りだよ!私の恋占いでアイラとフィールの相性がいいと言っているのに、フィールはそういうところがあるよね」
チンカウバインが光を放ちながらみんなの周りを飛び回る。
「いやあ、私は冗談かと思いましたよ」
「私もよ、言わなくても、ねえ。アイラは分かりやすいわ」
アイラがくねくねと体をよじりながら赤くなった。
「フィール様は責任感が強いのでしょう。まずは1つ1つ、解決していきましょう」
その日は和やかにキャンプを終え、交代で見張りをしながら過ごした。
道中魔物が出るとファインが倒し、橋が壊れている場所があれば俺の風魔法で馬車を浮かせてすんなり通る事が出来た。
◇
【バイブレーション領】
バイブレーション領は山・川・海・湖・草原・森があり、自然が豊かだ。
人は300人程度と規模は小さい。
森と海に囲まれた集落には数十件の家があった。
集落の中心にフィールの家、領主の館があった。
「レンガ造りの立派な家だぜ」
「ああ、俺が生まれる少し前に建てられていて、そこまで古くもないし民が集まる集会所にもなっている」
家の前まで歩くと父さんと母さん、そしてシルバーヘアの執事と若いメイドが2人外に出て出迎えた。
「ああ!フィール!良く帰って来たわね!」
母さんが俺を抱きしめる。
「フィール、立派になったようだ」
父さんは嬉しそうにほほ笑んだ。
そう、両親はとてもまともで、フィールの事を溺愛した。
その為叱る事が無く、わがままなフィールが完成したのだ。
「か、母さん、父さん、帰ったよ。でも、その前に謝りたいことがあるんだ」
俺は執事とメイド2人に頭を下げた。
「すいませんでした!迷惑をかけてすいませんでした!」
俺はここに到着する前にこうすると決めていた。
執事とメイドが驚いたように目を見開いた。
そして、ゲームのサブクエストにあったイベントを先回りして達成させる。
「父さんと母さんにはワイン、執事にはお金、メイドの2人には可愛い服のお土産があるんだ」
俺は馬車から用意していたお土産を取り出して渡す。
そして渡すたびに頭を下げた。
メイドと執事は俺の顔を何度も見ていた。
「フィールは悪人じゃないよ!私と契約しているんだよ」
「「よ!妖精!」」
みんなが驚いた。
「そうさ!フィールは私と契約しているんだよ!」
そう言って周りを無意味に飛び回る。
執事が涙を流した。
「立派に!立派になられましたな!領主様の血を信じて、信じて、ううううようやく、報われ、うううううう!」
「今まで迷惑をかけた。今思えば石を投げつけたり、急に怒鳴ったり、悪いことをして責任をなすりつけたりと滅茶苦茶だったと思う」
メイドの2人は飛び上がって喜んだ。
「ああ!やっぱり、フィール様が変わった!」
「今までのフィール様ならプレゼントなんて絶対にくれなかったもの!」
「2人にも迷惑をかけた。虫を背中に入れたり、スカートをめくったり、酷い事を何度もした」
フィールはメイドに対して好きな子をいじめるみたいなことを何度もやった。
「フィール、後ろにいるみんなを紹介してくれ」
「ああ……」
俺は皆を紹介して今までの経緯を話した。
「なるほど、分かった。部屋が空いているからしばらくはここに住むといい」
「それと、経営が苦しいと思うから。今話した恋占いの利益を出すよ」
俺は金貨の入った袋を父さんに渡した。
その日から、執事とメイドが妙に優しくなった。
いや、これが本来の姿だと思う。
「俺が出ていく前にすべてが終わっていた。手際が良かったぜ」
ファインの言葉に続いてヒロインが俺を褒めると今度はアイラたちが俺を褒めた。
「フィール君、カッコよかったよ!」
「これなら、アイラの将来は安泰ですな」
「ええ、2人はぴったりだわ、いい夫婦になるわね」
「もう、結婚の話を進めてもいいのでは?」
「いや、まだ色々あるんだ」
「よければ他の問題を教えてくれませんかな?」
「まず、無事に故郷にたどり着きたい。そして俺は故郷のみんなに迷惑をかけたんだ。いきなり結婚をしたとして、俺への恨みからアイラがいじめられる可能性もある。それと領地の経営があまり良くない。そして、皆が故郷になじめるか分からない」
当初はボッズの危険から遠ざける為に辺境に両親を移民させる予定だった。
だがボッズは姫騎士がいる俺達の馬車を狙った。
ボッズは完全にアウトだ。
ボッズの危険がなくなった今、故郷の領地が合わなければアイラの両親はまた移住する事になる。
夏休みにイベントが起きてファインはここに訪れる。
だが、今回はボッズが強襲を仕掛けてきたりとゲームと違っている。
そもそも死んでいるはずの俺が生きている時点で色々な事が変わって来るだろう。
アイラの両親はこのまま故郷に来ると言ってくれた。
まずはアイラの両親が住める環境を作る必要がある。
「ふむふむ、他にはありますかな?」
「アイラが、俺と結婚したいかどうかが分からない」
「はっはっはっはっは!」
「ふふふふふ、ふふふふふふ」
アイラの両親が笑い出した。
続いてファインのパーティーも笑う。
「え?え?」
「フィール、どう考えてもアイラはフィールが好きだぜ」
「その通りだよ!私の恋占いでアイラとフィールの相性がいいと言っているのに、フィールはそういうところがあるよね」
チンカウバインが光を放ちながらみんなの周りを飛び回る。
「いやあ、私は冗談かと思いましたよ」
「私もよ、言わなくても、ねえ。アイラは分かりやすいわ」
アイラがくねくねと体をよじりながら赤くなった。
「フィール様は責任感が強いのでしょう。まずは1つ1つ、解決していきましょう」
その日は和やかにキャンプを終え、交代で見張りをしながら過ごした。
道中魔物が出るとファインが倒し、橋が壊れている場所があれば俺の風魔法で馬車を浮かせてすんなり通る事が出来た。
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バイブレーション領は山・川・海・湖・草原・森があり、自然が豊かだ。
人は300人程度と規模は小さい。
森と海に囲まれた集落には数十件の家があった。
集落の中心にフィールの家、領主の館があった。
「レンガ造りの立派な家だぜ」
「ああ、俺が生まれる少し前に建てられていて、そこまで古くもないし民が集まる集会所にもなっている」
家の前まで歩くと父さんと母さん、そしてシルバーヘアの執事と若いメイドが2人外に出て出迎えた。
「ああ!フィール!良く帰って来たわね!」
母さんが俺を抱きしめる。
「フィール、立派になったようだ」
父さんは嬉しそうにほほ笑んだ。
そう、両親はとてもまともで、フィールの事を溺愛した。
その為叱る事が無く、わがままなフィールが完成したのだ。
「か、母さん、父さん、帰ったよ。でも、その前に謝りたいことがあるんだ」
俺は執事とメイド2人に頭を下げた。
「すいませんでした!迷惑をかけてすいませんでした!」
俺はここに到着する前にこうすると決めていた。
執事とメイドが驚いたように目を見開いた。
そして、ゲームのサブクエストにあったイベントを先回りして達成させる。
「父さんと母さんにはワイン、執事にはお金、メイドの2人には可愛い服のお土産があるんだ」
俺は馬車から用意していたお土産を取り出して渡す。
そして渡すたびに頭を下げた。
メイドと執事は俺の顔を何度も見ていた。
「フィールは悪人じゃないよ!私と契約しているんだよ」
「「よ!妖精!」」
みんなが驚いた。
「そうさ!フィールは私と契約しているんだよ!」
そう言って周りを無意味に飛び回る。
執事が涙を流した。
「立派に!立派になられましたな!領主様の血を信じて、信じて、ううううようやく、報われ、うううううう!」
「今まで迷惑をかけた。今思えば石を投げつけたり、急に怒鳴ったり、悪いことをして責任をなすりつけたりと滅茶苦茶だったと思う」
メイドの2人は飛び上がって喜んだ。
「ああ!やっぱり、フィール様が変わった!」
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「フィール、後ろにいるみんなを紹介してくれ」
「ああ……」
俺は皆を紹介して今までの経緯を話した。
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「それと、経営が苦しいと思うから。今話した恋占いの利益を出すよ」
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