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第45話
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「ニャリス、まだ配信を続けていたのか」
「お母さんの復帰配信だよ」
俺は無言でゴレショを取り出して配信コメントを確認する。
『あ!お母さんがコメントを見ている!』
『好都合だ!お母さんが一番寒そうだからな!まず自分の防寒具を作ろうか』
『ホントそれな』
『お母さん、ご自愛ください』
『呪いが癒えたから自分の調子がいいと錯覚してないか?今まで氷水に漬かっていたけど今は水風呂だから氷水じゃない分温かいみたいになってないか?』
『↑うまい表現だ。分かりやすい』
『厄災の呪いで痛みを感じる部分がおかしくなってるんだ。あんまり言うなよ。可哀そうだろ』
『ゲームのあのシーンを見ればお察しだな。まともに痛みを感じていたらお母さんは今頃狂っていただろう』
「本当に調子がいいぞ?」
『呪いがやばすぎたからそれよりはマシだろうな』
『マジでブルーフォレストの冬に防寒具を着ないっておかしいからな』
『見ろ、お母さんの頭に雪が積もっている』
俺が何度も大丈夫だと伝えるが分かって貰えないようだ。
グランドが歩いてきた。
「さすがイクスさんです。私も、防寒具の件は考えていたのですが……」
グランドが渋い顔をした。
「グランドが解決できない、となれば、厄介な問題があるのか?」
「はい、まず1つに防寒装備用の素材が高騰しています。それだけならまだ良かったのですが、今は奴隷購入が順調に進んだ結果解放済みの者を含め1256名が押し込められるようにあの家に住んでいます。その為新しい住居の建設に錬金術師が力を使っているのです」
素材が無いという事は完成品も不足しているだろう。
「つまり、素材が高く、手に入ったとして作り手となる錬金術師が建築に追われて手が足りない。更に新しい奴隷が増えすぎて必要な防寒具の数自体も増えたと。その上住居が足りない影響で人が過密になり風邪がうつりやすい状況を招き、新たな奴隷を購入し住まわせる家が足りず奴隷購入が停滞している、か」
「そうです。更に小さな問題として魔物を倒せばどうしても魔物の返り血や泥で汚れてしまいます」
「冬の洗濯だけでも一苦労、か」
「そうなのです」
俺はギルドカードを取り出した
「……パープルメア、洗濯用の魔道具があったな?送ってくれ。うん、詳しくは今張り付けた配信のリンクを見て欲しい。すまん、頼む」
ギルドカードをしまい、腕をボキボキと鳴らす。
「ニャリス、配信は終わりだ。パーティーで毛皮を集められるだけ集めてくれ!人員選別はパーティーに任せる」
「閃いたよ!毛皮1000枚分チャレンジ配信をするね!」
「そうしてくれ。俺はトレントを狩って来る。家の素材を用意して俺が家を建てる」
家さえ建てれば錬金術師の手は空く。
過密状態が和らぎ風邪がうつりにくくなる。
新たな奴隷購入も進んでいくだろう。
今の停滞は家の不足だ。
コストをかけてギルドに住まわせるにしても収容人数に限界があり、コストをかけた分奴隷購入が遅れる。
家の建設はコストの削減効果もある。
「申し訳ありません。また、頼らせていただきます」
「グランド、お前はよくやっている。優秀なグランドがいるおかげで俺はこうして出かけられる」
俺は走ってトレントを狩りに行った。
ギルドカードを閉じた後も、コメントは流れ続ける。
『お母さんっていちいちお礼を言うよな』
『それは俺も思ってた』
『お母さんは人の世話よりこういうソロプレイのほうが好きなんだろう』
『お母さんの建築動画をアップして欲しい』
『おお!お母さんのチャンネルに寄付が集まっていく!みんないい奴で感動するぜ。俺も、1万ゴールドだけだけど寄付しよ』
『1万は多い方だ。みんなが1万を寄付したらそれだけでとんでもない額になるぜ』
『多分、コスト削減を考えて、お母さんの土地にみんなが住んでいる』
『寄付が多く集まって資金に余裕が出来れば、グランド会長代理の判断が変わる』
『つまり?コストを犠牲にして多くの奴隷を一気に購入するスピード重視の解放に方針転換するって事か?』
『それもあるだろう。でもそれは一例で、そういう判断の幅が無数に増えていくイメージだな』
こうしてイクスに寄付が集まっていく。
「お母さんの復帰配信だよ」
俺は無言でゴレショを取り出して配信コメントを確認する。
『あ!お母さんがコメントを見ている!』
『好都合だ!お母さんが一番寒そうだからな!まず自分の防寒具を作ろうか』
『ホントそれな』
『お母さん、ご自愛ください』
『呪いが癒えたから自分の調子がいいと錯覚してないか?今まで氷水に漬かっていたけど今は水風呂だから氷水じゃない分温かいみたいになってないか?』
『↑うまい表現だ。分かりやすい』
『厄災の呪いで痛みを感じる部分がおかしくなってるんだ。あんまり言うなよ。可哀そうだろ』
『ゲームのあのシーンを見ればお察しだな。まともに痛みを感じていたらお母さんは今頃狂っていただろう』
「本当に調子がいいぞ?」
『呪いがやばすぎたからそれよりはマシだろうな』
『マジでブルーフォレストの冬に防寒具を着ないっておかしいからな』
『見ろ、お母さんの頭に雪が積もっている』
俺が何度も大丈夫だと伝えるが分かって貰えないようだ。
グランドが歩いてきた。
「さすがイクスさんです。私も、防寒具の件は考えていたのですが……」
グランドが渋い顔をした。
「グランドが解決できない、となれば、厄介な問題があるのか?」
「はい、まず1つに防寒装備用の素材が高騰しています。それだけならまだ良かったのですが、今は奴隷購入が順調に進んだ結果解放済みの者を含め1256名が押し込められるようにあの家に住んでいます。その為新しい住居の建設に錬金術師が力を使っているのです」
素材が無いという事は完成品も不足しているだろう。
「つまり、素材が高く、手に入ったとして作り手となる錬金術師が建築に追われて手が足りない。更に新しい奴隷が増えすぎて必要な防寒具の数自体も増えたと。その上住居が足りない影響で人が過密になり風邪がうつりやすい状況を招き、新たな奴隷を購入し住まわせる家が足りず奴隷購入が停滞している、か」
「そうです。更に小さな問題として魔物を倒せばどうしても魔物の返り血や泥で汚れてしまいます」
「冬の洗濯だけでも一苦労、か」
「そうなのです」
俺はギルドカードを取り出した
「……パープルメア、洗濯用の魔道具があったな?送ってくれ。うん、詳しくは今張り付けた配信のリンクを見て欲しい。すまん、頼む」
ギルドカードをしまい、腕をボキボキと鳴らす。
「ニャリス、配信は終わりだ。パーティーで毛皮を集められるだけ集めてくれ!人員選別はパーティーに任せる」
「閃いたよ!毛皮1000枚分チャレンジ配信をするね!」
「そうしてくれ。俺はトレントを狩って来る。家の素材を用意して俺が家を建てる」
家さえ建てれば錬金術師の手は空く。
過密状態が和らぎ風邪がうつりにくくなる。
新たな奴隷購入も進んでいくだろう。
今の停滞は家の不足だ。
コストをかけてギルドに住まわせるにしても収容人数に限界があり、コストをかけた分奴隷購入が遅れる。
家の建設はコストの削減効果もある。
「申し訳ありません。また、頼らせていただきます」
「グランド、お前はよくやっている。優秀なグランドがいるおかげで俺はこうして出かけられる」
俺は走ってトレントを狩りに行った。
ギルドカードを閉じた後も、コメントは流れ続ける。
『お母さんっていちいちお礼を言うよな』
『それは俺も思ってた』
『お母さんは人の世話よりこういうソロプレイのほうが好きなんだろう』
『お母さんの建築動画をアップして欲しい』
『おお!お母さんのチャンネルに寄付が集まっていく!みんないい奴で感動するぜ。俺も、1万ゴールドだけだけど寄付しよ』
『1万は多い方だ。みんなが1万を寄付したらそれだけでとんでもない額になるぜ』
『多分、コスト削減を考えて、お母さんの土地にみんなが住んでいる』
『寄付が多く集まって資金に余裕が出来れば、グランド会長代理の判断が変わる』
『つまり?コストを犠牲にして多くの奴隷を一気に購入するスピード重視の解放に方針転換するって事か?』
『それもあるだろう。でもそれは一例で、そういう判断の幅が無数に増えていくイメージだな』
こうしてイクスに寄付が集まっていく。
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