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第41話
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「私は苦しい訓練を受けた後、今度はその男と一緒にスライムの生息地についていく仕事を始めました。テントに泊まり、その男に防具と武器を貰って一緒に戦い続けました。最初はスライムでした。次はボススライムでその次はクリスタルタートル、その次はトレントやリザードマンにゴブリンと、様々な魔物と戦いました。一カ月テントで暮らしながら戦っては家に戻り給金を貰い、また一カ月戦っては戻り給金を貰う仕事です」
『絶対お母さんだ!』
『お母さんの手口すぎる!』
『お母さん、やってんな』
『お母さんが焦ってるぞwwwwwwwwwww間違いない』
コメントが激しく流れる。
「気づけば私はDランク冒険者になっていました。一緒に戦った同年代の子供は年を重ねた今でも仲が良く、ギルドカードでやり取りしています。今考えれば装備を貰い、魔物の報酬は全部子供だけで山分けでした。ありえない高待遇です。そうして私は力をつけました。その後男が紙を作る魔道具を持ってきました。大きな魔道具で、その魔道具を使えば紙を早くきれいに作れました」
『お母さんにお礼を言いたかったんだな。お母さんが賞賛されないのが嫌だったんだな』
『お母さんが助けた少年が後にグランド商会の会長か』
「私はその紙を売ってそれを足掛かりに商会を立ち上げました。母はいつも言っていました。あの時助けてくれたあの人が困ったら助けて欲しいと。しかし私は必死でした。商会を守る為、従業員を守る為に必死でした。つい従業員を厳しく怒ってしまう事もありました。ですがそのたびに思い出すのです。お前は立派だと。何度も言われました。その男の言葉で私は我に返り、態度を改め、また厳しくしすぎては言われた言葉を思い出し、気づけば孫が出来て大きな商会に発展していました。今思えば、冒険者の訓練をしていなければ、商会がここまで大きくなることは無かったでしょう。私は、ふと時間が出来て昔を思い出すたびに思い知ります。ああ、そうか、私は大人になっても心は子供のままで、今でも愚かなのだと!あの時のあの男の言葉で、何度も躓いては起き上がって来たのだと!私は!今もあの男に助けられていたのだと!!」
グランドが感極まって目に涙をためる。
「わ、分かった!あの時の子供だよな!うん、もう配信を止めよう!」
「イクス、最後まで言わせてやれって!」
「イクス、黙って」
俺はドラグとアクリスピに取り押さえられた。
「母が亡くなり、最近孫が『ファイアではない!ハイファイアだ!』と言って遊んでいました。私は孫のギルドカードを覗き込みハッとしました。私を助けてくれたその男が動画に映っているではありませんか!私はすぐにブルーフォレストに連絡しました!手を尽くしてニャリスさんに会いました!いつの間にかいなくなってしまったあの男に会えると!腕にまだらの呪いがあるあの男に会いたいと!会ってお礼を言いたいと!助けになりたいと!そう思いました!」
グランドの目から涙がこぼれていた。
「わ、分かった。もうわかった」
「ありがとうございました。あの時のやさしさのおかげで、今の私があります」
そう言ってグランドはすっと礼をした。
「その上で、1685憶8650万円の寄付を受け取ってください」
これは、この中途半端でキレの悪い額は、出せる分を全部出しているやつだ。
「い、いや、でもあれだ。グランドが困らないか?」
「いえ、息子に商会を譲り、話はつけて来ました」
「……分かったありがたく受け取ろう」
「その上で!お願いがあります!どうかこのお金で私に!私に奴隷の解放を手伝わせてください!会長を退いて時間が出来ると助けてもらったあなたの事を思い出すようになりました!亡くなった母の言葉が何度も脳裏をよぎるのです!時にはあなたが困って私の前に現れて欲しいとすら思いました!助けたい男が困って欲しいと思うほどに私は未熟です!あなたの足元にすら及びません!それでも!それでもなお、手伝わせていただきたいのです!どうかどうかああああああああああああああああああああ!」
グランドが土下座した。
「やめ!お前土下座は駄目だろ!」
俺はグランドの服を引っ張って無理矢理立たせようとした。
だがグランドは髪が乱れ、服が伸びながらそれでも土下座をやめない。
「土下座をやめてくれ!!」
「いいえ!今なら分かります!土下座とはこのような時にこそ行うべきものだと!これが!この想いが感謝なのだと今なら分かります!!」
グランドの服を引っ張って土下座をやめさせようとするが、グランドは地面に張り付いたように動かない。
「ま、孫が見たら悲しむ!」
「構いません!今分かって貰えずとも!大人になってから分かって貰えればいい!私は今!自分に、自分自身に対して恥じる事は何一つやっていません!自分には嘘をつきたくありません!自分を騙すことなどできません!」
グランドは土下座をキープし続けた。
「どうか私に恩返しをさせてください!私が批判を受けます!呪いを悪化させながら犠牲になり続けるあなたを見続けるのは苦しい!いえ、分かっていながら何もしないでいる私が汚い人間に見えるのです!私は未熟ですがあなたの盾になることは出来ます!どうかあああああああああああああああああああああ!」
「分かった!分かった!」
『かつてこんなにかっこいい土下座を見た事があっただろうか?』
『最初は笑ってみてたけど、だんだん感動して来た』
『面白過ぎるwwwwwwwwwwwwww』
『初めて土下座で鳥肌が立った』
『お母さんの想いがグランド商会を動かしたのか』
『むしろお母さんがいなければグランド商会は無かった』
『おかあさん、大好き』
『土下座される方が焦っている不思議な状況』
『土下座をしている方が強気なんだよなwwwwww』
「分かった!分かったから土下座をやめてくれ!」
グランドはやっと土下座をやめて俺と握手をした。
その後にコメントを見ると、コメントが激しく流れていた。
◇
俺はグランドと対談をして配信が終わった。
「すみません、この年になって、みっともない姿を見せました。少しだけ、一人にさせてください」
そう言ってグランドが出ていった。
「ふぉおお!伸びてるよ!あれ?お母さんのチャンネルが100万を突破してる」
「なんでだよ!俺は配信も動画投稿もしていない!」
「どういう事!私頑張ってるのに!」
「それはねえ。私達4人で対談をするわ」
「4英雄対談だ」
「ん、イクスのチャンネルで独占公開」
「あれえ?初耳なんですけどおおお!?」
「言ってないからだぜ」
「事前に言ったら、お母さんは策を練って来る。お母さんには奇襲が効果的」
「さあ、配信を開始しましょう」
3対1か、抵抗は無駄だろう。
俺は配信をスタートした。
「パープルメアです」
「ドラグだ」
「アクリスピ」
「……魔王だ」
『お母さんのライフはゼロよ!』
『お母さんが置物になってるwwwwww』
『疲れているよなwwwww』
『お母さん、ご自愛ください』
配信はパープルメアがゴレショの供給不足について語っていた。
そしてアクリスピとドラグがゲームの裏話を語る。
◇
配信が終わる間際に俺はゆっくりと、大きく息を吸った。
そしてゆっくりと、息を吐きだした。
「ため息が長すぎだろ。ははははははははははははははは!」
ドラグが俺を指差して笑う。
「お母さん、100万登録突破、おめ、ぷくく」
アクリスピが途中で耐えられなくなり笑い出す。
「もお、笑っちゃかわいそうよ」
「お前も笑ってるぜ?」
「パープルメア、我慢せずに笑った方がいい。我慢するの、良くない」
パープルメアも耐えられなくなり手で顔を押さえて笑い出した。
『みんな仲がいいよなwwwwww』
『お母さんだけが置物になっているのが面白過ぎる』
『みんな笑っているのにお母さんだけ疲れているwwwwww』
『お母さん以外はみんな爆笑しているのがつぼにハマった、笑いすぎて腹が痛い』
『今日は感動して笑えた。お母さん魔王、ありがとう!』
俺は出来るだけ息を吸い込んでチャージした。
「配信を終わる!!!!!」
俺が大声で言った瞬間に3人は爆笑した。
俺は、そっとゴレショをオフにして、配信を終了させて部屋を出る。
『絶対お母さんだ!』
『お母さんの手口すぎる!』
『お母さん、やってんな』
『お母さんが焦ってるぞwwwwwwwwwww間違いない』
コメントが激しく流れる。
「気づけば私はDランク冒険者になっていました。一緒に戦った同年代の子供は年を重ねた今でも仲が良く、ギルドカードでやり取りしています。今考えれば装備を貰い、魔物の報酬は全部子供だけで山分けでした。ありえない高待遇です。そうして私は力をつけました。その後男が紙を作る魔道具を持ってきました。大きな魔道具で、その魔道具を使えば紙を早くきれいに作れました」
『お母さんにお礼を言いたかったんだな。お母さんが賞賛されないのが嫌だったんだな』
『お母さんが助けた少年が後にグランド商会の会長か』
「私はその紙を売ってそれを足掛かりに商会を立ち上げました。母はいつも言っていました。あの時助けてくれたあの人が困ったら助けて欲しいと。しかし私は必死でした。商会を守る為、従業員を守る為に必死でした。つい従業員を厳しく怒ってしまう事もありました。ですがそのたびに思い出すのです。お前は立派だと。何度も言われました。その男の言葉で私は我に返り、態度を改め、また厳しくしすぎては言われた言葉を思い出し、気づけば孫が出来て大きな商会に発展していました。今思えば、冒険者の訓練をしていなければ、商会がここまで大きくなることは無かったでしょう。私は、ふと時間が出来て昔を思い出すたびに思い知ります。ああ、そうか、私は大人になっても心は子供のままで、今でも愚かなのだと!あの時のあの男の言葉で、何度も躓いては起き上がって来たのだと!私は!今もあの男に助けられていたのだと!!」
グランドが感極まって目に涙をためる。
「わ、分かった!あの時の子供だよな!うん、もう配信を止めよう!」
「イクス、最後まで言わせてやれって!」
「イクス、黙って」
俺はドラグとアクリスピに取り押さえられた。
「母が亡くなり、最近孫が『ファイアではない!ハイファイアだ!』と言って遊んでいました。私は孫のギルドカードを覗き込みハッとしました。私を助けてくれたその男が動画に映っているではありませんか!私はすぐにブルーフォレストに連絡しました!手を尽くしてニャリスさんに会いました!いつの間にかいなくなってしまったあの男に会えると!腕にまだらの呪いがあるあの男に会いたいと!会ってお礼を言いたいと!助けになりたいと!そう思いました!」
グランドの目から涙がこぼれていた。
「わ、分かった。もうわかった」
「ありがとうございました。あの時のやさしさのおかげで、今の私があります」
そう言ってグランドはすっと礼をした。
「その上で、1685憶8650万円の寄付を受け取ってください」
これは、この中途半端でキレの悪い額は、出せる分を全部出しているやつだ。
「い、いや、でもあれだ。グランドが困らないか?」
「いえ、息子に商会を譲り、話はつけて来ました」
「……分かったありがたく受け取ろう」
「その上で!お願いがあります!どうかこのお金で私に!私に奴隷の解放を手伝わせてください!会長を退いて時間が出来ると助けてもらったあなたの事を思い出すようになりました!亡くなった母の言葉が何度も脳裏をよぎるのです!時にはあなたが困って私の前に現れて欲しいとすら思いました!助けたい男が困って欲しいと思うほどに私は未熟です!あなたの足元にすら及びません!それでも!それでもなお、手伝わせていただきたいのです!どうかどうかああああああああああああああああああああ!」
グランドが土下座した。
「やめ!お前土下座は駄目だろ!」
俺はグランドの服を引っ張って無理矢理立たせようとした。
だがグランドは髪が乱れ、服が伸びながらそれでも土下座をやめない。
「土下座をやめてくれ!!」
「いいえ!今なら分かります!土下座とはこのような時にこそ行うべきものだと!これが!この想いが感謝なのだと今なら分かります!!」
グランドの服を引っ張って土下座をやめさせようとするが、グランドは地面に張り付いたように動かない。
「ま、孫が見たら悲しむ!」
「構いません!今分かって貰えずとも!大人になってから分かって貰えればいい!私は今!自分に、自分自身に対して恥じる事は何一つやっていません!自分には嘘をつきたくありません!自分を騙すことなどできません!」
グランドは土下座をキープし続けた。
「どうか私に恩返しをさせてください!私が批判を受けます!呪いを悪化させながら犠牲になり続けるあなたを見続けるのは苦しい!いえ、分かっていながら何もしないでいる私が汚い人間に見えるのです!私は未熟ですがあなたの盾になることは出来ます!どうかあああああああああああああああああああああ!」
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『かつてこんなにかっこいい土下座を見た事があっただろうか?』
『最初は笑ってみてたけど、だんだん感動して来た』
『面白過ぎるwwwwwwwwwwwwww』
『初めて土下座で鳥肌が立った』
『お母さんの想いがグランド商会を動かしたのか』
『むしろお母さんがいなければグランド商会は無かった』
『おかあさん、大好き』
『土下座される方が焦っている不思議な状況』
『土下座をしている方が強気なんだよなwwwwww』
「分かった!分かったから土下座をやめてくれ!」
グランドはやっと土下座をやめて俺と握手をした。
その後にコメントを見ると、コメントが激しく流れていた。
◇
俺はグランドと対談をして配信が終わった。
「すみません、この年になって、みっともない姿を見せました。少しだけ、一人にさせてください」
そう言ってグランドが出ていった。
「ふぉおお!伸びてるよ!あれ?お母さんのチャンネルが100万を突破してる」
「なんでだよ!俺は配信も動画投稿もしていない!」
「どういう事!私頑張ってるのに!」
「それはねえ。私達4人で対談をするわ」
「4英雄対談だ」
「ん、イクスのチャンネルで独占公開」
「あれえ?初耳なんですけどおおお!?」
「言ってないからだぜ」
「事前に言ったら、お母さんは策を練って来る。お母さんには奇襲が効果的」
「さあ、配信を開始しましょう」
3対1か、抵抗は無駄だろう。
俺は配信をスタートした。
「パープルメアです」
「ドラグだ」
「アクリスピ」
「……魔王だ」
『お母さんのライフはゼロよ!』
『お母さんが置物になってるwwwwww』
『疲れているよなwwwww』
『お母さん、ご自愛ください』
配信はパープルメアがゴレショの供給不足について語っていた。
そしてアクリスピとドラグがゲームの裏話を語る。
◇
配信が終わる間際に俺はゆっくりと、大きく息を吸った。
そしてゆっくりと、息を吐きだした。
「ため息が長すぎだろ。ははははははははははははははは!」
ドラグが俺を指差して笑う。
「お母さん、100万登録突破、おめ、ぷくく」
アクリスピが途中で耐えられなくなり笑い出す。
「もお、笑っちゃかわいそうよ」
「お前も笑ってるぜ?」
「パープルメア、我慢せずに笑った方がいい。我慢するの、良くない」
パープルメアも耐えられなくなり手で顔を押さえて笑い出した。
『みんな仲がいいよなwwwwww』
『お母さんだけが置物になっているのが面白過ぎる』
『みんな笑っているのにお母さんだけ疲れているwwwwww』
『お母さん以外はみんな爆笑しているのがつぼにハマった、笑いすぎて腹が痛い』
『今日は感動して笑えた。お母さん魔王、ありがとう!』
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