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第34話

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 最近順調だ。
 100人の奴隷少女は順調に力をつけている。
 アクアマリンたちのパーティーも順調に沼地で魔物を狩り続けていた。


 そしてついに来た!

 ニャリスがゴレショを向けて配信する。

「どうも!ニャリスだよ!今日は初の奴隷解放の様子を配信するよ!お母さん、自己紹介をどうぞ」

 俺はお母さんと呼ばれるようになっていた。

「く、くっくっく、魔王だ」
「初の奴隷解放一番乗り!サーシャちゃん、感想が聞きたいな」

「全部お母さんのおかげです。ありがとうございます」

『おめでとう!』
『ついに来たか!』
『お母さんの顔がほっこりしているwwwwwwwwww』
『やり切った顔だwwwwwwww』
『ウケる。何がおかしいかってサーシャちゃんよりお母さんの方が笑顔な点だ』

「最後にお母さんの言葉を貰ってから奴隷解放だよ!」
「うむ、サーシャ、解放おめでとう。奴隷からは解放されたが頼みがある。もし、もっと強くなって、余裕が出来たら奴隷を買って同じように解放して欲しい。これは強制ではなくお願いだ」

「強くなっていっぱい助けます!」
「うむ、左手を出してくれ」
「はい」

「サーシャを奴隷から解放する」

 サーシャの薬指にある紫色の紋章が光のリングに変わる。
 俺はそのリングを抜き取って握りつぶした。
 光が拡散して雪のように降り注いだ。

「おめでとう!」

 パチパチパチパチ!
 ギルドにいたみんなが拍手した。

 順調だ。



 ニャリスが配信を終わらせるとアクアマリン・カノンと一緒に配信を再開した。
 次の手が早すぎる。

「ニャリスだよ!今から私達パーティーの事を話していくね!なんと!私達全員!Cランクに、なりましたあああああああ!!パチパチパチパチ!」

「更に!アクアマリンちゃんに続いてカノンちゃんも借金を返済したよ!前も話したけど2人は私の借金返済を手伝うまで奴隷を続けるよ!」

『2人とも優しい!』
『天使かよ、アクアマリン、好きだ。結婚してくれ』
『アクアマリンが人気か、ニャリスはウザ可愛くて邪魔だろ?俺が貰ってやる。安心しな』
『カノンタン萌え、はあ、はあ』
『ここに犯罪者がいます!』

「さらに報告があるよ!アクリスピちゃんが150憶を奴隷解放の為に寄付してくれたのと、パープルメアちゃんがゴレショを100個寄付してくれたよ。これで不審者が出て来ても皆で見守れるね!」

 奴隷少女のパーティーにはゴレショを渡して配信させている。
 登録者数はそこまで増えなくても見守ってくれて危なくなったら自動で連絡してくれる優しい人もいる。
 配信で稼ぐというよりは魔物や不審者対策の為に寄付されたのだ。

『150憶をお母さんはどう使うんだ?』
『ニャリスタン、聞いてくれ』
『次は美女配信を希望』

「お母さん、アクリスピちゃんからの150憶はどうするの?」
「うむ、奴隷解放された者が奴隷を買った場合、初心者装備とポーション、そして奴隷が宿泊する宿屋の費用を一定期間払う仕組みを作る」

『おお!システム化が進み始めた』
『大きく伸び始めた!』
『次の奴隷は買わないのか?』

「次の奴隷を買わないの?」
「次は少年を買って解放出来る事を証明したい」

『はあ、はあ、可愛い子を希望』
『少年を早くやってほしいです』

「うむ、まずは100人をすべて解放する!これからスライムダンジョンに行く。ついてくるのだ」

「「はーい!」」

 奴隷少女が元気に返事をした。

「私達のパーティー『お母さんの奴隷』も頑張るよ』
「ん?お母さんの奴隷?パーティー名か?それがパーティー名か?おかしくないか?」

「分かりやすいよね?」

『お母さんが気付いた!』
『今気づいたのかよwwwwwww』

「おかあさん、ダンジョンまだあ?」
「早く行こうよ」
「分かった。あまり走るな!前の冒険者にぶつかる!武器にぶつかると危ない!」

 俺はスライムダンジョンに付き添った。

『お母さんすぎるwwwwww』
『お母さんはお母さんだな』
『安心のお母さん品質』

 まあ、順調な方だ。
 俺はスライムダンジョンを巡回して過ごした。

「あ、戦士が同時に前に出ればぶつかる、掛け声を掛け合って連携するのだ」
「はーい!」

「戦士は戦闘に気を取られて位置取りが出来ない。魔法使いは回り込んで攻撃するのだ」
「はーい!」

「ケガをしたらすぐにポーションを使うのだ」
「はーい!」

「ボススライムに1人で挑むな。皆で包囲して戦うのだ」
「はーい!」




 順調に奴隷解放は進んでいった。
 あと半分の50人!

「ニャリスだよ!今日は解放された奴隷少女のその後を取材するよ!」
「くっくっく、魔王だ」
「最初に奴隷解放されたサーシャです」

「奴隷から解放されて、今の生活はどうかな?」

 サーシャがうつむいた。

「どうしたのだ?悩みがあるなら聞こうではないか」
「武器と防具が高くて買えないの。宿屋に泊まって、傷ついたらポーションを使っていると、武器も防具もボロボロになって、お金がたまらないの」

 サーシャの表情が更に暗く成っていく。

「暮らしていくだけで、こんなにお金がかかると思わなかったです。私、今までお母さんに守られていました」

 ニャリスがサーシャを抱きしめた。
 奴隷解放に集中していて解放後のケアがおろそかになっていた。
 スライムを狩り始めた頃は報酬を貰えてうれしくなり、頑張って魔物を狩る。
 だが、冒険者を続けていると気づく。

 武具やアイテムを買い、宿屋に泊まって傷つけばポーションを使う。
 そんな生活を続けているとお金がたまらない事に。

 それを乗り越えて強くなれば楽になるが、今は苦しい状況だ。
 少しづつ強くなってはいるが武具の買い替えが重なり生活が良くなっていく実感を得られにくい時期が今だ。

「……」

『お母さんが考えてる』
『わくわく』

「うっかりしていた。奴隷卒業装備を渡すのを忘れていた」

『今作ったルールだろ!?』
『来た来た来た来たああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!』
『問題が起きても必ず解決策を出してくるのは凄いと思うわ』
『ただ、あまりにも苦労を見せすぎたせいで金持ちが皆まねをしない件』
『ほんとそれな!!』
『更に赤字が膨らむ件』

 俺は収納から素材を取り出して錬金術で装備を作る。

「使うのだ」
「え?でも!」
「使うのだ!ニャリス、奴隷解放済みの少女を集めるのだ!」

「おおお!これは伸びるよ!」
「早くしてくれ」

 俺は解放した奴隷に武具を作って渡した。
 ニャリスは配信を続ける。

「いつまで撮っているのだ?」
「終わるまで?」
「つまらない作業だ」
「好評だよ?」

 俺はニャリスの見せたギルドカードからコメントを見る。

『錬金術師です。高みを知りました。自分の至らなさを痛感するとともにもっと頑張ろうと思いました。ありがとうございます』
『何度問題が起きてもそのたびに起き上がるその姿に胸を打たれた』
『お母さんが不屈すぎる』

「……うむ、だが、もう、素材が足りない。買って来る。受付嬢、アサルトアントの甲殻とトレントの木、それとネットスパイダーの糸が欲しい」
「売り切れです。全部ありません。他の都市が大量に買い付けて行ったんです」

「コラボして取って来ようよ!きっと伸びるよ」

『見たい!』
『見たいです!』
『やろうぜ』
『沼地はどうするんですか?沼地にいるイートトードとうな竜を倒す事でブルーフォレストから大量の食料を供給できていました。ですがそれを無くしてしまったら良くないんじゃないですか?沼地は人気がありません。ですが泥にまみれて頑張っているニャリスちゃんとアクアマリンちゃんの姿を見せる事で不人気の沼地に行く人が増えて結果この国は良くなるでしょう。沼地で継続して魔物を狩るのがいいです』
『↑こいつは転んでパンツが見えるのを期待するだけのエロ』

 最近3人で沼地に行ってもチャンネル登録者が伸びなくなっている。
 変化をつけたいのだろう。

 俺はギルドカードでゲームをしているアクリスピに声をかけた。

「アクリスピ、一緒に魔物を狩りたい。ついて来てくれ」
「ん、分かった」
「ニャリスはパーティーを連れて来てくれ」

「分かったよ!私の配信でいい?」
「好きにしてくれ」
「おっしゃーーー!すぐに連れてくるよ」

 こうして、俺・アクリスピ・ニャリス・アクアマリン・カノンの5人で魔物狩りをする事になった。






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