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第20話
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【次の日】
またチャンネル登録者数が増えていた。
動画をアップしてないのになんでだよ!
そんな事を考えながらギルドに向かった。
ギルドに入ると全員が俺を見た。
受付嬢が俺に向かって歩いてくる。
パープルメアは何か飲みながらお菓子を食べていた。
アクリスピとアクアマリンも一緒に座ってた。
嫌な予感がした。
「お、お邪魔しました」
俺は扉を閉めようとした。
アクリスピが走って来る。
俺はバックステップで下がるがアクリスピは素早い。
アクリスピが接近して迫った瞬間回避した。
だがパープルメアが魔法の鎖で俺を追跡してきた。
それも躱した。
「イクス、今配信中、力を見せるのは良くない」
「なん、だと」
受付嬢が歩いてくる。
「ダメですよ。魔王さんが警戒してしまいます。私から説明しますね。そろそろ次の奴隷を購入しませんか?」
「く、くっくっく、それは俺も考えていた所だ」
今まで忙しくて奴隷を購入できていなかった。
俺は今話題になっている。
ならどうすれば良いか?
そう、暗黒時代に答えは出ている。
社会不安となり批判を避けるため権力者が行う事は1つだ。
新しい敵を作る事だ。
これを応用する。
新しい配信者をたくさん作りだし、俺を埋もれさせる。
ライバルを作ることでそっちに目を向けさせる。
そして奴隷を解放する協会を設立してオートで働いてもらうのだ。
俺は少しずつ衰退してみんなが忘れ去る。
「魔王の奴隷講座で動画配信もしながら買いましょう」
「うむ、くっくっく、哀れな奴隷を購入して見せつける。くっくっく、いいだろう。だが他の策がある。それも試したい」
「私は魔物狩りに行ってきますね」
アクアマリンの機嫌が悪くなったように見えた。
気のせいか?
「うむ、気を付けるのだぞ。無理はしなくていい。危なくなたら逃げてくるのだ」
「行ってきます!」
アクアマリンは出かけて行った。
「……おほん」
俺はゴレショを起動させて配信をスタートした。
「くっくっく、魔王だ。これから哀れな奴隷を買い、俺の富を増やしてもらう、くっくっく」
みんなが生暖かい目で見守る。
まずは奴隷解放の協会を作る。
俺は冒険者に声をかけた。
「くっくっく、Bランク冒険者ギーク、奴隷を買って育ててみる気はないか?」
「勘弁してくれ、お母さんじゃないんだ。お母さんみたいにうまくは出来ない」
俺は頭をフル回転させる。
コメントを見る事を忘れて勧誘を続けるが断られた。
「金は用意すると言っているのだ」
「無理だ。魔王様の頼みでもそれは無理だ。金なら出すから魔王様がやってくれ」
「ぐぬぬぬ」
「くっくっく、エルナ、お前のパーティーで奴隷を」
「無理ね。お母さんのように親身になって解放出来そうにないわ」
「金は出す。最初からうまくいかなくてもいいのだ。くっくっく、報酬を別途出そう」
「ごめんなさい。無理なの。本当に無理なの」
俺はまともそうな冒険者に声をかけすべて断られた。
パープルメアにも断られた。
「私は魔道具を作る仕事があって難しいわね」
アクリスピにも断られた。
「無理、お金は出す。イクスがやって」
『お母さん全滅してるwwwwwww』
『ハードルを上げすぎたからだろ。億越え装備を供給したのは間違いだった』
『お母さんの苦労をみんな知ってるからな』
『何年もかけて結果を出す苦行感を出し過ぎたのが敗因』
『まともな人ほど受けない罠』
『受けるのは金目当てのクズが多くなると思うけど、そういう人にはやらせたくないんだろうな』
『お母さんに金を出すからお母さんに全部やってほしいわ』
『ほんとそれな』
「今回は仕方がない。俺が奴隷を選ぶ」
「今回は下調べをしてあるわ」
パープルメアが俺に資料を見せる。
「ここまで出来るならパープルメアがやればいいではないか」
「魔道具の急なトラブルが起きる事もあるの。特にクリスタルサーバーが故障すると長くなるわ。時間は空けておきたいのよ」
「魔王さん、全部買いましょう」
受付嬢が笑顔で言った。
「うーむ、いきなり全員は厳しい。まだパーティーとして安定する所まで到達していないのだ」
「まずは見に行きましょう。地下室へゴーです」
俺は地下室に向かった。
「おすすめの一人目はこの子よ」
パープルメアがまた資料を見せる。
「は!大人の女性ではないか!」
「1憶ゴールドよ。それだけじゃないわ。すでに動画配信をしていて1万の登録者数がいるわ。そしてDランク冒険者よ」
俺は資料を読み上げる。
「ニャリス、18才。ダンジョン動画配信で生活するも、親の借金により借金奴隷になる、か」
「このままではファンの男に買われてひどい目に合うわよ?」
「むう、だが、この動画の趣旨は子供を買って育てる事にあるのだ」
「この子は買って放置でいいわ。手間は、かからないとは言わないけど、子供じゃないならそこまで手間はかからないわ。私が魔道銃を寄付するわ。アクアマリンと組ませればパーティーとして安定すると思うわ。それに動画配信で収益も出るしイクスなら買えるわよね?買ったうえで他の子を育てればいいじゃない」
「この動画の趣旨は小さく始めて大きく育てる事にある。心を持った小金持ちなら実践可能であることを証明したい」
「それには時間がかかるわ。それよりも100人の内1人でも救えるなら救いましょう。イクスにはその力もお金もあるわ。大丈夫、私も時間があればサポートするわ。お金も出す、あなたにしか出来ない事があるのよ」
『パープルメアとお母さんが揉めてる』
『ガチの言い合いだ』
『でも、パープルが勝つんじゃないか?』
『というか、可愛そうだから買うだろ?』
『情に訴えかけるスタイル』
『お母さんとお母さんの会話すぎる』
『Dランクで登録者1万人、1億なら安くね?』
『安い。需要と供給で買い手が限られているから値段が下がっているだけだな』
『すぐに元は取れるだろう』
ネコ族の女性、ニャリスが必死で訴えかける。
「買って!このままだと男の人に買われてひどい目に合うから!たくさん働くから買って!動画配信の収入はもうあるからすぐに働けるよ!」
ニャリスは頭に猫の耳と後ろに尻尾が生えている。
銀髪のショートカットに青い瞳、背は、低くはないがアクアマリンより少しだけ小さいか。
「早く買って次を買う。早く契約して。私がダンジョンに連れて行く」
「アクリスピ、お前が買ってもいいんだぞ?」
「縛られるの、嫌い」
こいつは自由を奪われるのを極端に嫌がる。
「気が向いたら手伝って貰うぞ?」
「ん、分かった。気が向いたら手伝う」
「はあ、分かった。すぐに契約しても問題無いか?」
「大丈夫!すぐにダンジョンにも行けるから!」
俺は上に戻って支払いを済ませてニャリスを買った。
装備は初心者セットのタイツ防具にした。
次はコストをかけずに奴隷で利益を上げるのだ。
「魔道銃をあげるわよ」
「……はあ!高いやつじゃないか」
「寄付で貰う事もあるでしょ。寄付があれば遠慮せず貰いましょう」
「分かった、アサシンタイプという事だったが、念のため魔力の適性をチェックしたい」
「もうチェックしてあるわ。アサシンタイプね」
「なら問題無しか」
「戦えるか確かめる」
アクリスピがやる気を出した。
任せていいだろう。
「スライムのダンジョンに行って戦えることを見せるよ」
ニャリスは俺が渡したゴレショとギルドカードを使いこなし、手馴れた様子で配信をスタートさせていた。
急にニャリスのテンションが上がった。
「みんな!ニャリスだよ!奴隷になったけど今話題の魔王様に買ってもらって……」
流石配信者、アクリスピと一緒にダンジョンに出かけつつ今までの経緯を説明している。
俺はギルドカードで動画配信の様子をチェックする。
「魔王さん?次の奴隷を選びましょう?」
「すまん、少し待つのだ」
『動画配信中に動画を見るお母さんwwwwww』
『ニャリスは大丈夫かしら?お母さん心配だわ』
『シュールすぎる』
『向き合う姿勢が真剣だ』
『こんなに真剣な向き合い方ってある?』
「イクス、配信を止めましょう」
「む、配信を終わらせるがニャリスの配信は引き続き続く。終わったらそちらに行くのだな。くっくっく」
俺は配信を終了させた。
またチャンネル登録者数が増えていた。
動画をアップしてないのになんでだよ!
そんな事を考えながらギルドに向かった。
ギルドに入ると全員が俺を見た。
受付嬢が俺に向かって歩いてくる。
パープルメアは何か飲みながらお菓子を食べていた。
アクリスピとアクアマリンも一緒に座ってた。
嫌な予感がした。
「お、お邪魔しました」
俺は扉を閉めようとした。
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「行ってきます!」
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「……おほん」
俺はゴレショを起動させて配信をスタートした。
「くっくっく、魔王だ。これから哀れな奴隷を買い、俺の富を増やしてもらう、くっくっく」
みんなが生暖かい目で見守る。
まずは奴隷解放の協会を作る。
俺は冒険者に声をかけた。
「くっくっく、Bランク冒険者ギーク、奴隷を買って育ててみる気はないか?」
「勘弁してくれ、お母さんじゃないんだ。お母さんみたいにうまくは出来ない」
俺は頭をフル回転させる。
コメントを見る事を忘れて勧誘を続けるが断られた。
「金は用意すると言っているのだ」
「無理だ。魔王様の頼みでもそれは無理だ。金なら出すから魔王様がやってくれ」
「ぐぬぬぬ」
「くっくっく、エルナ、お前のパーティーで奴隷を」
「無理ね。お母さんのように親身になって解放出来そうにないわ」
「金は出す。最初からうまくいかなくてもいいのだ。くっくっく、報酬を別途出そう」
「ごめんなさい。無理なの。本当に無理なの」
俺はまともそうな冒険者に声をかけすべて断られた。
パープルメアにも断られた。
「私は魔道具を作る仕事があって難しいわね」
アクリスピにも断られた。
「無理、お金は出す。イクスがやって」
『お母さん全滅してるwwwwwww』
『ハードルを上げすぎたからだろ。億越え装備を供給したのは間違いだった』
『お母さんの苦労をみんな知ってるからな』
『何年もかけて結果を出す苦行感を出し過ぎたのが敗因』
『まともな人ほど受けない罠』
『受けるのは金目当てのクズが多くなると思うけど、そういう人にはやらせたくないんだろうな』
『お母さんに金を出すからお母さんに全部やってほしいわ』
『ほんとそれな』
「今回は仕方がない。俺が奴隷を選ぶ」
「今回は下調べをしてあるわ」
パープルメアが俺に資料を見せる。
「ここまで出来るならパープルメアがやればいいではないか」
「魔道具の急なトラブルが起きる事もあるの。特にクリスタルサーバーが故障すると長くなるわ。時間は空けておきたいのよ」
「魔王さん、全部買いましょう」
受付嬢が笑顔で言った。
「うーむ、いきなり全員は厳しい。まだパーティーとして安定する所まで到達していないのだ」
「まずは見に行きましょう。地下室へゴーです」
俺は地下室に向かった。
「おすすめの一人目はこの子よ」
パープルメアがまた資料を見せる。
「は!大人の女性ではないか!」
「1憶ゴールドよ。それだけじゃないわ。すでに動画配信をしていて1万の登録者数がいるわ。そしてDランク冒険者よ」
俺は資料を読み上げる。
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「このままではファンの男に買われてひどい目に合うわよ?」
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『というか、可愛そうだから買うだろ?』
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『安い。需要と供給で買い手が限られているから値段が下がっているだけだな』
『すぐに元は取れるだろう』
ネコ族の女性、ニャリスが必死で訴えかける。
「買って!このままだと男の人に買われてひどい目に合うから!たくさん働くから買って!動画配信の収入はもうあるからすぐに働けるよ!」
ニャリスは頭に猫の耳と後ろに尻尾が生えている。
銀髪のショートカットに青い瞳、背は、低くはないがアクアマリンより少しだけ小さいか。
「早く買って次を買う。早く契約して。私がダンジョンに連れて行く」
「アクリスピ、お前が買ってもいいんだぞ?」
「縛られるの、嫌い」
こいつは自由を奪われるのを極端に嫌がる。
「気が向いたら手伝って貰うぞ?」
「ん、分かった。気が向いたら手伝う」
「はあ、分かった。すぐに契約しても問題無いか?」
「大丈夫!すぐにダンジョンにも行けるから!」
俺は上に戻って支払いを済ませてニャリスを買った。
装備は初心者セットのタイツ防具にした。
次はコストをかけずに奴隷で利益を上げるのだ。
「魔道銃をあげるわよ」
「……はあ!高いやつじゃないか」
「寄付で貰う事もあるでしょ。寄付があれば遠慮せず貰いましょう」
「分かった、アサシンタイプという事だったが、念のため魔力の適性をチェックしたい」
「もうチェックしてあるわ。アサシンタイプね」
「なら問題無しか」
「戦えるか確かめる」
アクリスピがやる気を出した。
任せていいだろう。
「スライムのダンジョンに行って戦えることを見せるよ」
ニャリスは俺が渡したゴレショとギルドカードを使いこなし、手馴れた様子で配信をスタートさせていた。
急にニャリスのテンションが上がった。
「みんな!ニャリスだよ!奴隷になったけど今話題の魔王様に買ってもらって……」
流石配信者、アクリスピと一緒にダンジョンに出かけつつ今までの経緯を説明している。
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「魔王さん?次の奴隷を選びましょう?」
「すまん、少し待つのだ」
『動画配信中に動画を見るお母さんwwwwww』
『ニャリスは大丈夫かしら?お母さん心配だわ』
『シュールすぎる』
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『こんなに真剣な向き合い方ってある?』
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本家の当主がまともに管理せず、領地は放置状態。にもかかわらず、税の徴収だけ行うことから人々から嫌悪され、さらに近年はその長男であるリーヴ・ユーグの悪名高さもそれに拍車をかけていた。
容姿端麗、文武両道…というのは他の貴族への印象を良くする為の表向きの顔。その実態は父親の権力を駆使して悪ガキを集め、街の人々を困らせて楽しむガキ大将のような人間だった。
悪知恵が働き、魔法も使え、取り巻き達と好き放題するリーヴを誰も止めることができず、人々は『ユーグ家』をやっかんでいた。
さらにリーヴ達は街の人間だけではなく、自分達の分家も馬鹿にしており、中でも分家の長男として生まれたアシック・ユーグを『無能』と呼んで嘲笑うのが日課だった。だが、努力することなく才能に溺れていたリーヴは気付いていなかった。
自分が無能と嘲笑っていたアシックが努力し続けた結果、書庫に眠っていた魔法を全て習得し終えていたことを。そして、本家よりも街の人間達から感心を向けられ、分家の力が強まっていることを。
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