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第18話

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「ケガはないか?」

「太ももが、いて、」
「出血がひどい。でも、ポーションは高いし」

 俺は太ももに手をかざした。

「次からためらわずすぐにポーションを使うのだな」
「え?痛く、無い?」

「私は肘が痛くて」
「ひびが入ったか」

 手をかざして傷を治した。

「あ、ありがとうございます」
「くっくっく、困った時はお互い様だ」

「もうお腹が空いた」
「あんたさっき食べたばかりじゃない」

「うむ、いかん、いかんなあ。育ちざかりはもっと食べるのだ」

 俺はパンサンドを差し出した。

「ありがとうございます。うま!これうま、の、喉に、詰まって」

 俺は水魔法で水球を作った。

「ごくごく、ぷはああ!あ、ありがとうござい、ます。はあ、はあ、助かった」
「くっくっく、気を付けるのだな」

「はあ~。自信を無くしました。私達にアサルトアントはまだ早かったんですかね?」
「受付のお姉さんに何度も反対されたしなあ」
「早かった。スライムのダンジョンでもっと力をつけるのだ。飽きるほどにスライムを倒す頃には力が増しているだろう。それからまた挑戦すればいいのだ」

「「ありがとうございます」」

「もっと言えばここにいる12人でまとまって行動し、奥にいるボススライムを狩るのがおすすめだ」

「「頑張ります!」」

 俺は12人を見送った。



 俺は動画のコメントをチェックしていたが、掲示板は全く見ていなかった。
 掲示板により俺の知らぬ間に事が進んでいた。



【Eランクの俺、魔王様とアクアマリンと一緒にアサルトアントの巣に向かって助けて貰う】

1:★魔王様と一緒にアサルトアントの巣に行ったら傷を治してもらってパンサンドを貰って水も貰ってアドバイスも貰った!魔王様は良い人!感動した!

2:落ち着け、★スレ主、時系列から順に説明しろ

3:★時系列。俺達12人の冒険者が魔王様とアクアマリンのアサルトアント討伐についていく事になった→巣にたどり着く前に苦戦→魔王様は配信が終わってからも優しかった。詳しくは『ご主人様とアサルトアントを倒しに行く』を見てくれ

4:リンク飛んだけどこれ今日配信のやつ!

5:何でアクアたんと一緒に行く事になった?

6:★受付嬢が魔王様にお願いして俺達を連れて行ってくれることになった。    

7:証拠は?

8:★証拠はないけど背が大きくて盾を持ってるのが俺

9:身バレ上等か

10:アクアマリンは優しいからあんまり近くに寄らないでください。アクアマリンを困らせてしまうので

11:↑アクアマリンの信者が来たか。無視してOK

12:証拠にならない。証拠を出せと言った

13:↑こいつも無視でいい。続きを頼む

14:★俺達スライム狩りから次のアサルトアントにステップアップしようとした。でも受付嬢は反対した。そこに魔王様とアクアマリンが来て受付嬢が魔王に俺達を任せた。正確に言えば押し付けだな。俺達に身の程を分かって欲しかったんだと思う

15:まあ、口で言っても分からないなら痛い目に合ってもらうしかない。

16:★で、魔王様についていったら凄かった。魔王様は魔法でアサルトアントを瞬殺してハンドガンでアサルトアントを瞬殺してその後ナイフで瞬殺した。近くで見ていると何をしているかちゃんと分からなくて、後でスローで見てやっと理解できたわ。それよりもその後が凄かった。魔王様が12体のアサルトアントの群れに飛び込んで魔力を放出してた。あれは『挑発』のスキルだと思う。それで魔王様が狙われるんだけど素手で全部躱してた。その隙に後ろから攻撃したけど、俺は攻撃を食らってしまった。魔王様に出会わずパーティーだけで連戦になったら死んでいたかもしれない

17:★で、戦闘が終わると俺達を見て配信を止めた。気を使ってくれたことに罪悪感を覚えたし反省してる

18:★言いたかったのはここからだ。配信が終わった後も魔王様は優しかった

19:早く言え

20:ここまで連投しておいてじらすな!早く言え

21:どこ行った。★主は食事中か?

22:ここまで来てドロンは怪しい

23:落ち着け、今の内に動画を見てくる

24:もうとっくに見た。リアルタイムで見たわ

25:アクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくな

26:↑★主、こいつ消してくれ

27:アクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくなアクアマリンに近づくな

28:★すまん、遅くなった。これ以上荒らしたら退場させる

29:つづきはよ

30:待ってたぜ

31:お前何で仮面を引きはがさなかった?

32:★続きを書いていく。俺は太ももを噛みつかれた。でも俺達にとってポーションは貴重だ。それを見て魔王様は何も言わず俺に手をかざして傷を治してくれた。ヒールとかそういうのを言わずに無詠唱で治してくれた。その後ポーションはすぐ使うように注意を受けた。その後は他のパーティーの傷も癒して、お腹が空いた俺にパンサンドをくれた。手際が良すぎていつ出したのか分からなかった。その後俺が喉にパンサンドを詰まらせると水魔法で水を飲ませてくれた。

33:★魔王様には感謝しかない。更にアドバイスもしてくれた。俺達12人でボススライムを狩るように言ってくれた。冒険者じゃない人には分からないかもしれないけど、アドバイスをすると怒り出す冒険者もいる。アドバイスはリスクでしかない。知らない振りをする人もいる中ここまで言ってくれたことには感謝しかない

34:全部お前が作り出した問題だ

35:★そう思う。否定はしない

36:↑やめろ、ただでさえ失敗したばかりだ。もう懲りてるだろ?

37:あんまり責めるな。これから直していけばいい話だ

38:きにすんな。★主、続けてくれ

39:★近くで見て思った。お母さんは絶対に万能の救い手・イクスだ

 こうしてスレは1000を超えて更にその2、その3と作られ魔王の話題は広まっていった。


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