身バレしないように奴隷少女を買ってダンジョン配信させるが全部バレて俺がバズる

ぐうのすけ

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第9話

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 ギルドの近くにある宿に泊まり、動画をチェックする。
 情報の整理が必要だ。

 アクアマリンはアクリスピが3回も配信に割り込んで魔物を呼びよせ倒したことで魔物の生命力を吸収し短期間で力が増している。
 もう、スライムの群れに襲われても問題無く対処できるだろう。
 まさかの1万以上の登録者数を数日で突破するとは!

 アクリスピのチャンネル登録者数は20万を超えている。
 伸びが早い。
 動画をチェックすると俺に関するヒントを小出しにしている。
 
 パープルメアの動画を開くとライブ配信をしている?

『アクアマリンコラボ、ゴレショの使用感を聞く雑談配信』

 アクアマリンのチャンネル登録者数は一気に増えるだろう。
 強い冒険者の配信も確かに伸びる。
 だが危なっかしくてハラハラする配信者の方が伸びたりする。

 俺とアクアマリンは2人に目を付けられた。
 アクアマリンには次のステップに進んでもらうか。

 俺は『魔王の奴隷講座』のコメントを眺める。

『魔王様どこ?恥ずかしくてお隠れになった?』
『次の配信はいつですか?いやあ、笑わせて頂きました。次のネタ配信も楽しみにしています』
『やる事が回りくどすぎる』
『魔王様の仮面を引きはがしたくなってくる』
『うまいですね。これでアクアマリンちゃんの奴隷解放は時間の問題でしょう』
『魔王様やさしいいいい!!!』
『普通に金で奴隷を解放したら?バカなの?』
『スライム討伐だけさせてアクアちゃんが飽きてますよ?もう奥に行ってもいいでしょう』
『2人目のどれいまだあ?』
『仮面が目立ちすぎる。隠れたいの?目立ちたいの?意味不明』

 批判的なコメントもあるがそれは想定内だ。
 4国の島国は温和な者が多い。
 だがこういう人間はいる。

 それよりも、パープルメアとアクリスピが俺をいじったおかげで俺がネタ扱いされている。
 特に仮面の扱いが酷い。

 パープルメアとアクリスピがコラボして俺の仮面を笑う。

『これ、これ、隠れたいの?目立ちたいの?ぷくくくく』
『もやもやした顔が来たら真っ先に見ちゃうわね。ある意味、ふふふふ、魔王みたいね』

 その後もツッコミは続く。
 仮面をいじられ俺の性別がバレ、身バレした。
 更に解析専門の動画サイトが動き出した。
 アクアマリンの装備価値を解析する動画まで上げられ始めた。

 動画を検索すると色々出てくる。

『アクアマリンの装備は1億越え』
『損をしてアクアマリンちゃんを解放する魔王様』

 色々解析され始めた。

 完全にやられた。
 俺の想定を超えてアクリスピのチャンネルが伸びた。
 パープルメアを巻き込んで俺をネタにした。
 俺が手を打つ前にその手を潰すように先手を打たれ続けた。

 俺が数日戻ってこない事を知られたか!

 やる事が多くなった。
 1つ1つ進める。
 まずはアクアマリンの育成計画を修正する。
 俺はギルドに向かった。


 ◇

 
 ギルドに入ると冒険者が声をかけて来た。

「魔王様、その仮面、いかしてるぜ。ぷふ」
「おい、笑わずに最後まで言いきれよ。くっくっく」

 アクリスピ、俺の仮面をネタ化して仮面を取らせる作戦が効いている。
 だがアクリスピの術中にはまる気はない。
 仮面は取らない。

「アクアマリン、調子はどうだ?」
「はい、たくさん倒せるようになりました」
「うむ、動画を見た。次のステップに進む。剣の扱いにはだいぶ慣れた。次は魔法だ」
「はい!」

「スライムを倒して背負ってギルドを往復するのは疲れるだろう?次は生活魔法の収納を練習するのだ」
「はい!」

「早速ダンジョンに行こうではないか」
「はい!」

 ダンジョンに向かった。



 配信を開始してダンジョンに入った。
 アクアマリンがスライムを倒す。

「収納してみるのだ」
「でも、失敗したら」
「気にするな。失敗してもいいのだ。石ころで試すより真剣に訓練できるだろう。やってみるのだ」

「収納!」

 アクアマリンがスライムを収納した。

「良いだろう。取り出してみるのだ」

 問題無く無事にスライムが出てきた。

「うむ、いいだろう。魔物を狩りつつ疲れてくるまで収納を繰り返すのだ。毎日毎日続ける事で負担は減っていく」
「はい!」

「くっくっく、精々頑張って俺に富を運ぶのだな。だが、魔力を使いすぎて倒れないように気を付けるのだぞ」
「はい!」

 俺はしばらく収納講座を行う。
 俺とアクアマリン両方の配信を行っている為視聴数は2つに割れる。

 だがメインは配信後の動画アップによる繰り返しの視聴と投げ銭だ。

 俺は自分のコメントを確認する。

『やさしいいい、もうネタにしか見えない』
『その仮面は取らないんですか?ずっとネタを続けるんですか?』
『配慮が凄い、口調に反して行動が丁寧すぎる』
『最高!面白い!分かりやすい!俺も収納を練習しよ!』
『魔王のくせに丁寧だなwww』
『元気にしてたようで安心した』
『魔力を使いすぎて倒れないように気を付けるのだぞ←やさしい魔王すぎる』

 コメントが多すぎて見きれないが、問題は無いようだ。

「大分成長したようだな。次からは少し奥のポイントで魔物を狩るのだ」
「はい!」

 ダンジョンの奥に移動する。
 アクアマリンはとても素直だ。
 まるで兵士訓練を思い出す。


 大きいスライムが現れた。

「ボススライムだ!一人で行けるか?」
「大丈夫です。倒します!」

 そう言ってショートソードを抜いて連続攻撃を繰り出す。
 ボススライムがべちゃんと地面に転がり動かなくなった。

「今回は俺が魔物を回収する。もっと戦うのだ」
「はい!」

 数十体のスライムが群れで現れた。

「行けます!」

 スライムが飛び込みモーションに入る前に急接近して倒していく。
 ジャンプ攻撃を繰り出したスライムにはカウンターを決める。
 すれ違い抜けるとスライムがべちゃっと地面に落ちる。

「俺が回収しておこう。奥にはボスクラスが3体いる」
「大丈夫です!」

 アクアマリンが急接近して1体を倒した。
 2体がジャンプ攻撃を繰り出し、1体の攻撃を受けるが、ひるむことなく冷静に刃を突き出して攻撃を食らわせた。
 ボスクラスが一方的に斬り刻まれていく。

 ボス3体を相手にしても余裕で立ち回っている。
 3体のボスクラスを倒すと俺を見てニコッと笑った。

「これからは1人で奥を探索しても問題無いだろう。だが無理はするなよ。くっくっく、貴様は俺に富を運ぶ金の鶏だ。俺の為に富を運び続けるのだ」
「はい!」

『優しいいいいいいいいい!』
『アクアマリン、応援したくなってきた!チャンネル登録しました!』

 アクアマリンの戦闘のセンスはずば抜けている。
 天才タイプだな。
 これなら魔法もすぐに使いこなせるだろう。

「イクス、元気でやってる?」

 奴が来た。

「アクリスピか」


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