8 / 73
第8話
しおりを挟む
更にアクリスピの動画を見ていく。
今度はパープルメアと一緒に雑談をしている。
コラボでアクリスピの登録者数を増やす気か。
『どうも、パープルメアです』
『今から2人で『魔王の奴隷講座』を見ていく』
『私もはまってるよ』
俺の動画が流れ、2人の顔も映る。
だが問題は無いはずだ。
何故なら俺の動画は少ない。
アップしている数が少なければこの形式はすぐ終わる。
『くっくっく、ようこそ我がチャンネルへ。魔王だ!俺の奴隷を紹介する。アクアマリン、挨拶をするのだ』
『おいおい、キャラが定まってないぜ』
パープルメアが口に手を押さえて笑い出す。
アクリスピはにたあっと笑顔を浮かべる。
『くっくっく、助けたくば『アクアマリンが奴隷から解放されるまで』にチャンネル登録をして応援するのだな。俺の動画にそのリンクも貼ってある。くっくっくく』
アクリスピが俺のしゃべり方をマネする。
『くっくっく、可愛そうなアクアマリンを助ける為にチャンネル登録をお願いします。リンクを張っておくのでどうかよろしくです。くっくっくく』
パープルメアがそれを聞いて小刻みに震えるように更に笑いだした。
『魔王さん、ぶどうジュースのおかわりはいりますか?』
『う、うるさい!だが、貰うとしよう。言っておくがワインはジュースの様な物だ。そういう意味なのだ』
アクリスピがまた俺のマネをする。
『ありがたく貰います。アクアマリンに何かあってはいけない。俺は酔うわけにはいかないのだ!』
このパターンがしばらく続く。
『くっくっく、魔王であるこの俺は奴隷を使って優雅に生活を続ける!助けたければ奴隷を買って解放するがいい!アクアマリンを解放したければ投げ銭や繰り返し動画を視聴する事によって解放に近づくだろう!この世に闇がある限り俺のようなものがうごめき続けるのだ!ふはははははははははははは……』
『くっくっく、世の中にはお金持ちが居る一方で借金奴隷のような恵まれない人がいます。借金奴隷を解放したいので寄付や奴隷解放をお願いします!ふはははははははははははは……』
『スライムダンジョンは足場が悪い。洞窟には水が流れている為所々湿っている。洞窟が光っている為見えはするが薄暗くて視界が悪い。足を滑らせないように気を付けるのだな』
『ここは地面が濡れていて視界が悪いです。滑らないように気を付けてください』
アクリスピは完全に俺をからかっている。
俺の動画は少ない。
もうバカには出来ないだろう。
もう終わりなのだ。
2人がしばらく笑うと話題を変えた。
パープルメアが優しい口調で語り出す。
『昔話をします。100年前、苦しい修行で不老の力を手に入れた4人の英雄がいました。厄災の魔物を討伐しましたがその時4人は呪いを受けました。恥ずかしがり屋の英雄は考えました。俺は英雄じゃなかった、そういう事にしよう。こうして他の英雄の手記や機密文書を燃やし、自分の事を英雄から付き人に変えた嘘の絵本をみんなに配り、手を変え品を変え4英雄から3英雄に歴史を改変していきました』
俺の事か!
優しい3英雄が付き人の俺を不憫に思い一緒に英雄にしてくれた、そんなストーリーの3英雄物語を発売した。
『恥ずかしがり屋の英雄はさらに考えました。奴隷が嫌いだ。特に借金奴隷が嫌いだ、と。そこでこの国を含めた周辺4国に働きかけて奴隷を廃止しようとしました。でもうまくいきませんでした。それでも英雄は諦めません。英雄は考えます。孤児院を作ろうと。そして孤児院を作り奴隷は減りましたがそれでも奴隷は無くなりません』
そう、焼け石に水だ。
投資を始めて資産を減らさないようにしつつ持続的に運営できる孤児院協会を立ち上げた。
少しずつ成長しているが孤児院自体がそもそも足りない。
1つの事だけをやっても駄目だ。
世界はそんなに単純ではない。
『他の英雄が呪いを癒す中、恥ずかしがり屋の英雄は呪いを治す事を後回しにして人を助け続けました。最初に呪いが癒えた革新の英雄と協力してインターネット・ギルドカード・魔道具を作り4国を便利な世界に変えました。それでも奴隷を無くすことは出来ませんでした。英雄はさらに考えます。そして魔王の奴隷講座を立ち上げました』
パープルメアはにっこりとほほ笑んだ。
『さて、問題です。彼は今何をしようとしているでしょう?いえ、みんなに何をしてほしいと願っているのでしょうか?英雄も人間です。一人の人間が出来る事は限られています。さて、4人目の英雄は皆にどうして欲しいのでしょうか?』
奴隷制度を廃止すれば国力が落ちる。
この周囲は4か国の島国で形成されている。
仮に4国の内1国が奴隷を廃止すればその国は生産力が落ち、人が流出して衰退する。
奴隷をゼロにはできない。
ならば、100の問題をを90に変える、80に変える。
ゆっくりでいい、時間はたくさんある。
「計画を、変更しないとな。身バレしてしまった」
俺は、アクアマリンのいるギルドに戻った。
今度はパープルメアと一緒に雑談をしている。
コラボでアクリスピの登録者数を増やす気か。
『どうも、パープルメアです』
『今から2人で『魔王の奴隷講座』を見ていく』
『私もはまってるよ』
俺の動画が流れ、2人の顔も映る。
だが問題は無いはずだ。
何故なら俺の動画は少ない。
アップしている数が少なければこの形式はすぐ終わる。
『くっくっく、ようこそ我がチャンネルへ。魔王だ!俺の奴隷を紹介する。アクアマリン、挨拶をするのだ』
『おいおい、キャラが定まってないぜ』
パープルメアが口に手を押さえて笑い出す。
アクリスピはにたあっと笑顔を浮かべる。
『くっくっく、助けたくば『アクアマリンが奴隷から解放されるまで』にチャンネル登録をして応援するのだな。俺の動画にそのリンクも貼ってある。くっくっくく』
アクリスピが俺のしゃべり方をマネする。
『くっくっく、可愛そうなアクアマリンを助ける為にチャンネル登録をお願いします。リンクを張っておくのでどうかよろしくです。くっくっくく』
パープルメアがそれを聞いて小刻みに震えるように更に笑いだした。
『魔王さん、ぶどうジュースのおかわりはいりますか?』
『う、うるさい!だが、貰うとしよう。言っておくがワインはジュースの様な物だ。そういう意味なのだ』
アクリスピがまた俺のマネをする。
『ありがたく貰います。アクアマリンに何かあってはいけない。俺は酔うわけにはいかないのだ!』
このパターンがしばらく続く。
『くっくっく、魔王であるこの俺は奴隷を使って優雅に生活を続ける!助けたければ奴隷を買って解放するがいい!アクアマリンを解放したければ投げ銭や繰り返し動画を視聴する事によって解放に近づくだろう!この世に闇がある限り俺のようなものがうごめき続けるのだ!ふはははははははははははは……』
『くっくっく、世の中にはお金持ちが居る一方で借金奴隷のような恵まれない人がいます。借金奴隷を解放したいので寄付や奴隷解放をお願いします!ふはははははははははははは……』
『スライムダンジョンは足場が悪い。洞窟には水が流れている為所々湿っている。洞窟が光っている為見えはするが薄暗くて視界が悪い。足を滑らせないように気を付けるのだな』
『ここは地面が濡れていて視界が悪いです。滑らないように気を付けてください』
アクリスピは完全に俺をからかっている。
俺の動画は少ない。
もうバカには出来ないだろう。
もう終わりなのだ。
2人がしばらく笑うと話題を変えた。
パープルメアが優しい口調で語り出す。
『昔話をします。100年前、苦しい修行で不老の力を手に入れた4人の英雄がいました。厄災の魔物を討伐しましたがその時4人は呪いを受けました。恥ずかしがり屋の英雄は考えました。俺は英雄じゃなかった、そういう事にしよう。こうして他の英雄の手記や機密文書を燃やし、自分の事を英雄から付き人に変えた嘘の絵本をみんなに配り、手を変え品を変え4英雄から3英雄に歴史を改変していきました』
俺の事か!
優しい3英雄が付き人の俺を不憫に思い一緒に英雄にしてくれた、そんなストーリーの3英雄物語を発売した。
『恥ずかしがり屋の英雄はさらに考えました。奴隷が嫌いだ。特に借金奴隷が嫌いだ、と。そこでこの国を含めた周辺4国に働きかけて奴隷を廃止しようとしました。でもうまくいきませんでした。それでも英雄は諦めません。英雄は考えます。孤児院を作ろうと。そして孤児院を作り奴隷は減りましたがそれでも奴隷は無くなりません』
そう、焼け石に水だ。
投資を始めて資産を減らさないようにしつつ持続的に運営できる孤児院協会を立ち上げた。
少しずつ成長しているが孤児院自体がそもそも足りない。
1つの事だけをやっても駄目だ。
世界はそんなに単純ではない。
『他の英雄が呪いを癒す中、恥ずかしがり屋の英雄は呪いを治す事を後回しにして人を助け続けました。最初に呪いが癒えた革新の英雄と協力してインターネット・ギルドカード・魔道具を作り4国を便利な世界に変えました。それでも奴隷を無くすことは出来ませんでした。英雄はさらに考えます。そして魔王の奴隷講座を立ち上げました』
パープルメアはにっこりとほほ笑んだ。
『さて、問題です。彼は今何をしようとしているでしょう?いえ、みんなに何をしてほしいと願っているのでしょうか?英雄も人間です。一人の人間が出来る事は限られています。さて、4人目の英雄は皆にどうして欲しいのでしょうか?』
奴隷制度を廃止すれば国力が落ちる。
この周囲は4か国の島国で形成されている。
仮に4国の内1国が奴隷を廃止すればその国は生産力が落ち、人が流出して衰退する。
奴隷をゼロにはできない。
ならば、100の問題をを90に変える、80に変える。
ゆっくりでいい、時間はたくさんある。
「計画を、変更しないとな。身バレしてしまった」
俺は、アクアマリンのいるギルドに戻った。
10
お気に入りに追加
504
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう
果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。
名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。
日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。
ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。
この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。
しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて――
しかも、その一部始終は生放送されていて――!?
《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》
《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》
SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!?
暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する!
※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。
※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる