奪われ続けた少年が助けたおばあちゃんは呪いをかけられたお姫様だった~少年と呪いが解けたお姫様は家族のぬくもりを知る~

ぐうのすけ

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第22話

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 僕とゴリは中央広場の真ん中に立つ。
 その間にプロテクタが立ち、審判を務める。

「試合の前に、言っておくが殺しは厳禁だ。殺そうとした奴は俺がぶっ飛ばす!その上で2人とも言う事はあるか?」

 プロテクタはゴリに魔道マイクを向ける。

「カモンは姫に取り入りずる賢く生きていく卑怯者だ!俺が会社復帰の手紙を送ってやったのに無視するような奴は人じゃねえ!腐った性根をこの闘いで暴いてやる!」

「カモン、何か言ってくれ」
「が、頑張ります」

「カモン、もっと会場を盛り上げるようなコメントは無いか?」
「この闘いでゴリを超えます!」

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

 プロテクタはこういう事に慣れている。
 昔は何をやっていた人なんだろう?

「戦いの前にカモン、鬼人化を使って思いっきりやっていい!お前なら大丈夫だ!それでも心配に思うなら、万が一暴走しても俺がこの試合をぶち壊してでもお前を止めてやる!親父の時みたいにな!!思いっきりやれ!!!」

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

 僕の心が軽くなった。
 周りを見るとプロテクタだけじゃない。
 インスティも笑顔で手を振る。

 思いっきりやっても良いんだ!
 鬼人化を使っても大丈夫なんだ!

「これより試合を始める!それでは位置について!!」
「まあてええよおおおおお!!」

 ゴリが止めた。

「俺のステータスを見せてやる!!カモン、お前も開示しろ!」
「い、嫌です」
「そうか!それが答えだ!お前は弱い自分を晒したくねえんだ!それが答えなんだよ!!」

 何でマイクを向けられた時に言わなかったんだろう?
 ……気まぐれに言う事を変えて怒り出す人だから、そう言う人なのか。
 変わらないな。

「これが俺のステータスだ!」

 ゴリ 男
 下級戦士(????)
 体力:100/100  EXP0/1010
 魔力:50/50    EXP0/51
 器用:50/50    EXP0/51 
 才能:4
 スキル『★ゴリラパワー』『★ゴリラブースト』『剣レベル4(????)』
 武器:ショートソード60
 防具:カニ甲羅のプレートメイル30


 僕は自分のステータスを人には見せない。
 見せずにこっそり開いた。

 カモン  男
 特級ノービス(裁縫・解体・鍛冶・紋章魔法の最終成長率を10倍にする)
 体力:105/200 EXP56/1060
 魔力:100/200 EXP0/1010
 器用:100/200 EXP0/1010
 才能:78
 スキル『★鬼人化:封印中』『短剣レベル8(戦闘力+24%)』『裁縫レベル8』『採取レベル10』『解体レベル7』『生活魔法レベル4』『鍛冶レベル6』『紋章魔法レベル5』
 武器:『★ナイフ召喚レベル10攻撃力100(魔力吸収・斬撃・マーキング・鍛冶攻撃力強化+60・解体攻撃力強化+70)』『★鞘召喚レベル10(異空間収納・自動採取・次元工房・マーキングスラッシュ)』
 防具:『★マント召喚レベル10防御力50(自動防御・魔力自動回復・状態異常耐性・裁縫防御力強化+80)』

 

 戦闘力の計算式がある。
 体力+魔力+器用)×武器や魔法のスキル性能=戦闘力

 僕の場合『(105+100+100)×短剣の戦闘力1.24=378』となる。
 僕の戦闘力は378で、ゴリの戦闘力は240だ。

 戦闘力だけで見ると僕が有利だけど、この戦闘力は武器や防具の能力が加算されていないし、オリジナルスキルは多様すぎて計算に組み込みにくい。

 それとこの闘いでは魔力を使わない戦いになる。
 魔力の値が低めなゴリは戦闘力の差以上に有利になる。
 ゴリの『ゴリラパワー』、そして『ゴリラブースト』の能力次第で簡単にひっくり返される可能性もある。

「気は済んだか?それじゃ試合開」
「待ちな!まだだぜ!」

 ゴリは背中に背負っていた布で巻かれた長物をほどいていく。

「ゴリ、早くしてくんねーか?お前何回進行を止めるんだ?」
「待ってろよ……へへへ、これは俺が特別に作らせたロングソードだ。刃渡りは1.5メートルにもなる。カモン、お前のナイフごときじゃ俺に届かねえ!届くわけがねえんだ!」

 ゴリはどんどん嫌われている。
 観客から声が聞こえる。

「あんなにちっちゃい子供にあんなに長い剣を使うなんて、大人げないわね」
「何回中断するんだよ!」
「話が長い!」
「空気が読めないんだな、だから会社を首になるんだ」

 ゴリは見せつけるようにロングソードをぶんぶんと振り回す。

「俺様のオリジナルスキル、『★ゴリラパワー』があって初めて使いこなせる武器だぜ!おっと、逃げようったってそうはいかねえぜ!これからお前は無様に地面とキスをするんだよ!だが安心しな!!手加減してやるよおおお!!!」

「もう気は済んだか?試合を始めたいんだが?」

  観客から怒鳴り声が聞こえる。

「早く始めろよ!」
「ゴリ!早く始めろ!」
「説明が長いんだよ!」

「俺様の美技を皆が求めてやがるぜ!そろそろ始めるか!一方的な戦いの始まりだ!!!」

「カモンVSゴリの試合」
「待ちな!俺の名前が最初だ!カモンVSゴリじゃねえ!ゴリVSカモンだ!カモンの後に俺の名前が来るのはおかしい」
「分かった分かった。ゴリVSカモンの試合、開始!!」

 ゴリが笑いながら両手にロングソードを持って歩いてゆっくりと近づいてくる。
 僕は右手にナイフ、左手に鞘を持って構えた。

 僕の射程に近づく瞬間に、一歩踏み込んで2メートルの斬撃を3つ飛ばした。

 ゴリのお腹・顔・腕にヒットして赤いマーキングが発生する。

「痛!この卑怯者がああ!!!」

 僕はナイフを鞘にしまった。
 


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