奪われ続けた少年が助けたおばあちゃんは呪いをかけられたお姫様だった~少年と呪いが解けたお姫様は家族のぬくもりを知る~

ぐうのすけ

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第4話

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 カモンが覚醒したその頃、カモンの父スモークは酒・たばこ・ギャンブルで有り金をすべて失っていた。

 スモークは戦士の亜種『サムライ』のジョブを授かり、『鬼人化』の能力を使いこなす才に恵まれていた。
 だが性根が腐っていた。

 わずか12才の子から金を奪い、家に入れず食事も与えない。
 妻が生前、カモンの為に用意してくれた脇差(短い刀)を奪い取り腰に差す。

 妻が死に子供だけになっても一切世話をしない。
 カモンより酒・たばこ・ギャンブルが大事で、切らすと激怒して暴れ回る。



 この国、ロック王国には3つの都市がある。
 この第三都市ライススラッシュは人口1万
 第一都市・王都ロックの人口が10万
 第二都市フードフィールドの人口が5万

 過去、魔物の活性化により村にいた者はほぼ3つの都市のいずれかに流れた。
 そして規模の小さい第三都市から更に人口が流れ過疎化が進んだ。
 今、第三都市は最も人口が少ない田舎の位置づけである。

 そして人口1万の都市で子供を働かせ領主に土地代を払わず酒・たばこ・ギャンブルを続けるスモーク。
 西地帯では危険人物として有名である。

 そのような経緯もあり、5名の兵士小隊が家に押し掛けた。

「スモーク!出てこい!借金と土地税を払え!払えないならすぐにここを明け渡し強制労働をして貰う!」
「やかましい!後で払う!」
「話を聞け!すぐに払えないなら家を売却し、強制労働をして貰う!」

 スモークが酔っ払い、酒を飲みながら扉を開ける。

「おい!てめえ後で払うって言ってんだろうが!」
「酒を飲まずに話を聞け!」
「おめえが話を聞けよ!」

 なんだこいつらは偉そうに!

 後で払う!
 そう言ってるだろうが!

 ぶっ飛ばすぞ!

「もういい!スモークを取り押さえる!総員戦闘態勢!」
「払うと言ってるだろうが!鬼人化!ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 酒を飲み冷静な判断を失い、更に鬼人化を使ったことで精神が高ぶる。

「ぐろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 スモークの体を紫色の怪しい光が包み、目が赤く光る。

 5人の兵士がたじろぐと俺は笑って脇差を引き抜いた。
 刀に紫色のオーラが伝わる。

「どけよ!」

「借金と土地税を払え!払えないならすぐにここを明け渡し強制労働だ!今すぐ選べ!」
「払うと言ってるだろうがあああああしつこいんだよおおおお!!」

 スモークは高速で動き脇差で3人を斬りつける。
 その隙に逃げ出した。
 丸く防壁で囲んだ都市を東北から南西に一直線に分断するように作られたスラッシュ防壁を抜け、東の貧民街に姿を消した。




【ブラックポーション㈱社長、ゴリ視点】

 生意気にも薬草ダンジョンに潜るカモンを追ったが、でかいスケルトンが出てきた。
 倒せなくはねえがEXPスティールを使われて能力を下げられるのは勘弁だぜ。

 カモンの奴、俺様から逃げやがって、折角また可愛がってやろうと思ったのによお!

 カモンの奴は前から気に入らなかったんだ。

 この俺様を差し置いて持ち家を持ってやがる。
 ノービスの分際で生意気なんだよ!

 それに髪と目の色が俺様と被っているのも気に入らねえ!
 この漆黒でクールな黒髪と瞳は俺様の持ち味だった。
 だがあいつは何で俺と同じ黒目黒髪をしてやがるんだ!
 むかつくぜ!

 そして小さいからってグリーンポーションの女共に可愛がられてんじゃねえよ!
 無能のノービスの癖に生意気なんだよ!
 あの会社に可愛がられ、ちやほやされるのは俺の役目だ!

 しかも奴は俺が声をかけてやったら挨拶もせず逃げ出しやがった。
 折角また可愛がってやろうとしたのに礼儀がなってねえぜ!

 だがやっと俺様の家が完成する。
 30年ローンで手に入れた家があれば女は寄って来る。
 そして俺は社長でもある。

 家・金・権力・女、すべてが手に入る。
 
 おっといけねえ。
 今は薬草集めだ。

「おい!お前!前に出ろ!」
「お、俺っすか!」
「カモンがいねえんだから下っ端のお前が行くのが当然だろうが。早くしろ!それともカモンのように可愛がりが必要か?」
「でも自分は壁役じゃなくて斥候っすよ」
「いいから行けよ!!」

 こうして新しい壁役を颯爽と任命し、素早く仕事をこなす。
 ふ、俺の管理能力は高い。
 斥候が奇声を上げているが、すぐに慣れるだろう。



「魔物を倒したら今度は薬草採取だろうが!おい!壁役をこなした程度でばててんじゃねえよ!採取だろうが!」
「なら壁役は社長がやってくださいよ」
「黙れ!」

 そう言って部下を殴った。
 こうすれば皆いう事を聞く。

 俺様は薬草採取をサボらねえよう見張る。
 社長の仕事は管理、俺は戦わず見張る。



 朝になる前にタワーに戻る。

「解体班!サボってんじゃねえぞ!」
「それが、カモンがのろのろして現れないせいか解体が遅れてるんです」
「カモンなら辞めた」

「は?」
「カモンは会社を辞めた。後はお前らでノルマをこなせ!」
「カモン無しでこの量をですか?」
「なんだ?お前カモンごときが居なくなったくらいで支障が出るのか?カモンよりお前らの方が仕事を出来ると言っていただろ?」

 解体班が焦り出す。

「どうした!返事いいいいい!」
「はい!すぐに始めます!」

 解体班が仕事を始めたが、何故か汗を掻いていたように見えた。
 
 ……そうか、二日酔いか!


 次は皮なめしだな。
 ち、ここも遅れているのか。

「お前ら、仕事が遅れてっぞ!」
「カモンが来ないせいで足を引っ張っているんです」
「あいつなら会社を辞めた」
「ええええ!」

 その瞬間皮なめし班のリーダーが汗を掻きだした。

「どうした?」
「いえ、すぐに仕事を始めます」

 なんだ?解体班と同じ反応だったような?
 いや、気のせいだろう。
 俺様は疲れている。

 休息が必要だろう。
 だが、何故か胸騒ぎがする。
 やはり休息が必要か。

 俺様は最近の激務で疲れているに違いない。
 


 ゴリはいつものように皆を怒鳴り、脅した後休息を取った。

 俺はコーヒーを飲みつつ自分のステータスが書かれた紙を眺める。


 ゴリ 男
 下級戦士(????)
 体力:100/100   EXP0/1010
 魔力:30/50    EXP0/31
 器用:50/50       EXP0/51 
 才能:3
 スキル『★ゴリラパワー』『★ゴリラブースト』『剣レベル3(????)』
 武器:ショートソード60
 防具:カニ甲羅のプレートメイル30



 ★がオリジナルスキルで、レベル上げの必要が無い完成されたスキルだ。
 ()内の記載は紙に書かれている為????になっている。

 笑っちまうぜ。
 俺は戦士のジョブだ。
 戦士のおかげで体力上昇率は2倍だ。
 体力が100もあれば打たれ強く、力も強く、スタミナも高くなる。
 これだけでも特別な存在だ。
 更にゴリラパワーとゴリラブーストのスキルまで持っている。
 戦士とオリジナルスキル、この組み合わせで俺は皆より優秀な戦闘力を持っている。
 更に剣スキルのおかげで近接戦闘力は15%もアップする。

 俺の進化は更に止まらねえ。

 身体強化のスキルを覚え、レベルさえ上げれば中級戦士にジョブアップ出来る。

 持ち家ももうすぐ手に入る。

 俺はすべてを手に入れる!



 ゴリの予想を裏切るように、ブラックポーションの経営はほころびを見せ始める。
 ゴリがそれに気づくのはもう少し後の事となる。
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