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第131話

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「フトシ君、いい、中々いい。楽しくなって来た」

『最初から楽しそうだった件』
『最初から楽しみに待ってたやんwwwwww』
『休みの日だけ早く起きる小学生の顔してたで?』

「いや、ただ金棒を持っただけ」
「いや、いい! 言わなくていい! 持っただけで、その目を見ただけで分かる、最低でも中級レベル6以上ある事がすぐに分かった! 次に行こう! 次は素振りをして欲しい!」

『シンの目は確かだ。今までいろんな冒険者を見て、実際に自分でモンスターと戦ったその蓄積が、シンにランクを教えている』
『素振りでどのくらい上がるんだろうな?』

 俺はスマホを取り出した。
 コメントを見ると話がおかしくなっている。
 ゆっくり素振りをしよう。

 早く振れとか言われてないし。
 俺はゆっくり金棒で素振りをした。

「素晴らしい! 中級レベル9だ!」 
「えええええええ!!」

『おいおいおい!ゆっくり武器を振ってそれでもランクが上がったぜ!』
『前代未聞だな』
『上の者にしか分からない何かがあるんだろうぜ』

「次はあそこにある岩を割って欲しい!」
「でも、それをやってしまうと金棒に傷がついてしまいます」
「構わない! 壊せるのならなおいい!」

「気を使いますよ」
「金棒が壊れても気にしなくていい! 思いっきりやって欲しい! その方が僕も嬉しい!」

「分かりました」

 思いっきりやった方が良いのか。
 俺は走って金棒で岩を割った。
 更に砕けて空中に飛び散った岩を割っていく。
 その後は下に落ちた岩も割っていく。

「上級レベル6! 上級レベル10! 測定不能!」

『測定不能を出しやがった! 上級レベル10越え確定だ!』
『やっぱりフトシは強いんだって! 悪い噂は嘘だったんだよ』

 轟音で声が聞こえない?
 いや、声が出ていないんだ!
 俺は中級レベル9止まりなのか!
 本気でやろう!
 全力で岩を割り続ける!

『フトシは割れって言ったら岩を粉々にするまでやるのか!』
『徹底的なあの動きがやばいな』
『金棒が傷むの意味が分かった』
『狂戦士過ぎる』

「頑張って割ってみましたが、俺は中級レベル9ですか」
「いや、少なくとも上級レベル10を超えている」
「え?」
「上級レベル10を超えている」

「フトシ君は僕より強い」

 んんん?
 確かに、グレート系は相手に出来ると思っていた。
 でも、

「特級冒険者に試験を受けさせてもらって上級レベル1でしたよ?」
「上級は恩恵が大きいからどんなに優秀でも上級レベル1で一旦止める。で、冒険者の納品金額があまりにも低い場合は注意があってその次に勧告が来る。それでもドロップ品を納品しなければ中級レベル10に格下げになる」

『日本によくある意味不明な慣習だな』
『他の先進国では昇進ルールが分かりやすく厳格化されてて自動でランクが下がる』
『日本は現場力が高すぎるからトップがルールを厳格化しないのもある』

『前に上級に上がった冒険者が遊んでモンスターを狩らず、世間から税金の無駄遣いだとバッシングをされていた。要は厳格化していない国が悪い』
『もっと言うと他の先進国では日本のようにお役所がこのままだとランクが下がりますよとか注意喚起をしに来る事は無い。全部スマホで、自分の状況を知る事が出来る』

『フトシが言葉を飲み込めずに固まっている』
『シン! もっと言って!』
『フトシ君を目覚めさせるんだ!』

「フトシ君、君は強い!」
「まじ、すか」
「そこでだ、僕に稽古をつけて欲しい!」

「え」
「僕の攻撃をすべて弾いて欲しい。頼めるか?」
「はい、大丈夫です」

 シンさんが杖と銃を地面に置いて剣を構えた。

『シンは全力で剣のみで斬りかかる気じゃないか?』
『全力だな』
『大丈夫か? シンの方が?」

「全力で斬りこむ!」

 シンさんが走って剣を振りかぶった。

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