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第125話
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「これです!」
「サードプレイスか」
「そうです! 何度も経営危機に陥り、その度に柔軟に運営方針を変えて奇跡の復活を遂げた日本最大のハザマ施設です! 施設隣に人工ビーチ! 施設の上は冒険者用の宿泊&リラックススペースが充実しています! まだい行った事はありませんよね!? 行きましょう!」
「皆で、行ってみるのもいいかもしれないけど……」
「どうしました? こういうの、好きですよね?」
「そうだけど、まだ砦のスキルを進化させてなかったり、色々考えたいんだ」
「え? 進化できるのに進化しないんですか?」
「進化すると、しばらく使えなくなるから」
「フトシ、もうアシュラは倒したから、進化してもいいんじゃない? 最近色々あっただけで今はもう大丈夫だよ」
母さんが俺を見た。
「フトシは色々考えがあるのよね?」
「うん」
「明日は家族会議にしましょう。おかあさんからも相談があるのよ」
「明日のいつから?」
「明日は朝食を食べて、その片付けが終わってからにしましょう……ヒトミちゃん、どうしたの?」
「フトシさん、進化を忘れるほどユイとの旅行は楽しかったですか?」
「いや、そうじゃなくて、進化してからダンジョン省に呼ばれるかもしれないだろ」
「それは明日の会議で判断します」
「ヒトミ? 怒ってる?」
「旅行」
「ん?」
「私も旅行に行きたいです!」
【総理視点・会議室】
与党議員と経営者が集まり、会議を開いていた。
「……という事でまとめますと、アシュラ戦で冒険者の犠牲が多くなった事によりハザマ施設の合理化が急務となっております。合理化によってハザマを見張る人員を守りから攻めへと転換させるのが今回の要点課題です」
議員から声が上がる。
「冒険者減税をするだけで海外に流出している冒険者を押さえる事が出来る。アメリカの冒険者は最高税率が37%負担で他の優遇も充実している、だが日本のトッププレイヤーは最高税率55%だ、冒険者優遇は世界の流れだが日本は遅れている!」
「冒険者の税率を変えても税収は大きく変わらない、税率を引き下げるべきだ」
「何を言っている! そんな事をしたら国民の批判を受ける! 日本の国民はとにかく上を叩く!」
「だが、冒険者が供給する魔石の買い取り価格自体が安い。魔石は医療、電力の土台だ、魔石が安く、税が重いとなれば冒状者は二重課税と同じような目にあっている!」
「魔石不足で停電など起きていない! 回復カード不足は問題視されていない!」
「すでに回復カードは不足しつつある! 足りなくなってからでは遅いのだ!」
「足りなくなっていないと言っている!」
「すでに中級以上の冒険者が不足している! 回復カードを作る錬金術師にも多大なる犠牲が出た! 時間差で問題が起きる事は目に見えている! 現実を見んか平和ボケのクズが!」
「何だと!」
「今はハザマの合理化についてのみ議論しましょう!! ハザマの合理化に論点を絞りましょう!!」
議員同士が喧嘩する。
◇
喧嘩を始めた議員2人は退場した。
「とにかくだ、ハザマの合理化は必要だ」
「そうは言っても、今まで合理化しようとするたびに批判が出て、結局は徐々に合理化を進めるしかなかった」
「そうだな、合理化を進めようとするたびに、『農業の補助金問題が先だ』『無駄な協会への補助金を止めずにハザマ施設だけを狙い撃ちにしている』と論点ずらしの声が多い。だが民意を無視することは出来ん、たとえ国民が損をする結果になろうともな」
「なるほど、確かに今まではそうでした。しかし、今回のアシュラ戦でハザマの合理化に追い風が吹いています。この資料をご覧ください。今回の調査では合理化賛成の声が前回より33%ほど上昇しています」
「また国民の手のひら返しか」
「ハザマの合理化が出来ていればアシュラ災害で冒険者の被害はかなり抑えられていたはずだ。あれは結局数で押し負け、包囲された結果の惨事だった」
「この国一番の抵抗勢力はマスコミを含めた国民自身なのだがな」
「すべてを政治家のせいにされるのは本当に疲れる」
「国民の言う通りにし、問題が起きれば批判が起きる。いつもの事だろう」
金入勝が立ち上がった。
50代で迫力があり太った顔のイメージ通り剛腕で知られる経営者だ。
「今は日本の有事! 何もせずにいればそれこそ感情で動く国民の批判を受けかねません! ハザマの合理化は進めるべきです!超大型施設の建造は1号施設が終わり、2号施設もじきに立ち上がります! 建設費用は私が負担していますから、政治家の皆さんに批判が行く事はありません!」
批判は来ないと言われて議員たちは黙った。
決まりだな。
「検討が終わりました。異次元のハザマ施設合理化案を推し進めます」
「サードプレイスか」
「そうです! 何度も経営危機に陥り、その度に柔軟に運営方針を変えて奇跡の復活を遂げた日本最大のハザマ施設です! 施設隣に人工ビーチ! 施設の上は冒険者用の宿泊&リラックススペースが充実しています! まだい行った事はありませんよね!? 行きましょう!」
「皆で、行ってみるのもいいかもしれないけど……」
「どうしました? こういうの、好きですよね?」
「そうだけど、まだ砦のスキルを進化させてなかったり、色々考えたいんだ」
「え? 進化できるのに進化しないんですか?」
「進化すると、しばらく使えなくなるから」
「フトシ、もうアシュラは倒したから、進化してもいいんじゃない? 最近色々あっただけで今はもう大丈夫だよ」
母さんが俺を見た。
「フトシは色々考えがあるのよね?」
「うん」
「明日は家族会議にしましょう。おかあさんからも相談があるのよ」
「明日のいつから?」
「明日は朝食を食べて、その片付けが終わってからにしましょう……ヒトミちゃん、どうしたの?」
「フトシさん、進化を忘れるほどユイとの旅行は楽しかったですか?」
「いや、そうじゃなくて、進化してからダンジョン省に呼ばれるかもしれないだろ」
「それは明日の会議で判断します」
「ヒトミ? 怒ってる?」
「旅行」
「ん?」
「私も旅行に行きたいです!」
【総理視点・会議室】
与党議員と経営者が集まり、会議を開いていた。
「……という事でまとめますと、アシュラ戦で冒険者の犠牲が多くなった事によりハザマ施設の合理化が急務となっております。合理化によってハザマを見張る人員を守りから攻めへと転換させるのが今回の要点課題です」
議員から声が上がる。
「冒険者減税をするだけで海外に流出している冒険者を押さえる事が出来る。アメリカの冒険者は最高税率が37%負担で他の優遇も充実している、だが日本のトッププレイヤーは最高税率55%だ、冒険者優遇は世界の流れだが日本は遅れている!」
「冒険者の税率を変えても税収は大きく変わらない、税率を引き下げるべきだ」
「何を言っている! そんな事をしたら国民の批判を受ける! 日本の国民はとにかく上を叩く!」
「だが、冒険者が供給する魔石の買い取り価格自体が安い。魔石は医療、電力の土台だ、魔石が安く、税が重いとなれば冒状者は二重課税と同じような目にあっている!」
「魔石不足で停電など起きていない! 回復カード不足は問題視されていない!」
「すでに回復カードは不足しつつある! 足りなくなってからでは遅いのだ!」
「足りなくなっていないと言っている!」
「すでに中級以上の冒険者が不足している! 回復カードを作る錬金術師にも多大なる犠牲が出た! 時間差で問題が起きる事は目に見えている! 現実を見んか平和ボケのクズが!」
「何だと!」
「今はハザマの合理化についてのみ議論しましょう!! ハザマの合理化に論点を絞りましょう!!」
議員同士が喧嘩する。
◇
喧嘩を始めた議員2人は退場した。
「とにかくだ、ハザマの合理化は必要だ」
「そうは言っても、今まで合理化しようとするたびに批判が出て、結局は徐々に合理化を進めるしかなかった」
「そうだな、合理化を進めようとするたびに、『農業の補助金問題が先だ』『無駄な協会への補助金を止めずにハザマ施設だけを狙い撃ちにしている』と論点ずらしの声が多い。だが民意を無視することは出来ん、たとえ国民が損をする結果になろうともな」
「なるほど、確かに今まではそうでした。しかし、今回のアシュラ戦でハザマの合理化に追い風が吹いています。この資料をご覧ください。今回の調査では合理化賛成の声が前回より33%ほど上昇しています」
「また国民の手のひら返しか」
「ハザマの合理化が出来ていればアシュラ災害で冒険者の被害はかなり抑えられていたはずだ。あれは結局数で押し負け、包囲された結果の惨事だった」
「この国一番の抵抗勢力はマスコミを含めた国民自身なのだがな」
「すべてを政治家のせいにされるのは本当に疲れる」
「国民の言う通りにし、問題が起きれば批判が起きる。いつもの事だろう」
金入勝が立ち上がった。
50代で迫力があり太った顔のイメージ通り剛腕で知られる経営者だ。
「今は日本の有事! 何もせずにいればそれこそ感情で動く国民の批判を受けかねません! ハザマの合理化は進めるべきです!超大型施設の建造は1号施設が終わり、2号施設もじきに立ち上がります! 建設費用は私が負担していますから、政治家の皆さんに批判が行く事はありません!」
批判は来ないと言われて議員たちは黙った。
決まりだな。
「検討が終わりました。異次元のハザマ施設合理化案を推し進めます」
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