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第95話

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 第四階層の説明が終わった後、次は俺の好きなようにハザマを狩った。
 配信はずっと続いている。

 レイカさんは「いつものように、いつも通りでいいですよ。緊張しなくて大丈夫です」と言って俺を見守った。

 でも、合間合間で、時々話しかけてくる。

「そんなに強いなら、特級にもなれそうですね」
「俺、まだまだなので」
「まるで特級冒険者のような性格ですね」
「え?」
「あ、すいません、集中力を乱してしまいました。いつも通り自分のペースで戦って下さい」
「はい、分かりました」



「強さはもう充分ですね?」
「もっと強くなりたいです」
「はい、いい絵が取れました」
「え?」
「あ、気にしないで集中してください」
「分かりました」



「もう夜の8時ですよ。凄い集中力ですね」
「もう8時、もっと、早くモンスターを倒したいです」
「9時過ぎになっても、好きなだけここにいていいですよ。今は有事、緊急事態ですから」
「ありがとうございます」



「さすがにお腹が空きましたね」
「母さんが作ってくれたサンドイッチがありますが、食べますか?」
「わあ、ありがとうございます!」

 俺はアイテムボックスからサンドイッチと飲み物を出してレイカさんとアマミヤ先生に手渡した。

「アイテムボックスですか、便利ですね」
「ですね」



「プライベートルームはずっと維持できるんですか?」
「出来ます。完全に建物を破壊されたら消えると思いますが」
「例えば、20人近くが数日過ごす事は出来ますか?」
「食べ物とかあれば出来ると思います」

「アイテムボックスを持っていますもんね?」
「そうですね」
「物資を運ぶことも出来ますよね?」
「出来ますよ」

「次は砦無しで戦ってもらう事は出来ますか?」
「分かりました」

 俺は金棒を伸ばしてスケルトンの群れを一振りで全滅させた。

「スケルトンに囲まれても戦えるんですね。自分の身を自分で守れるのはいいですよ」
「スケルトンは剣より打撃の方が効きますからね。相性がいいです」
「そうですね、スケルトンは剣より金棒の方が有利に戦えます」

 俺はたまにレイカさんに話しかけられつつ、ハザマすべてに入りモンスターを倒し終わった。

「もう、日付けが変わりますね」

「そうですね、今日の配信はここまでにしましょう」

『マジで、ハザマを全部食らいやがった!』
『マジでドロップ率100%だと!』
『あいつ、フェイズ1に駆け付けるべきだろ!』
『特級冒険者は走って無駄に疲れている。フトシがフェイズ1の現場前に拠点を作れば特級17人でプライベートルームに寝泊まりして楽にハザマを消滅させられるだろ』
『まずモンスターが出てくる蓋を塞がないとな。特級&フトシアタックで一気に殲滅殲滅!』

「配信を終わる前にフトシ君、アマミヤ先生、何か一言お願いします」
「私は、オオタより弱くてアドバイスは何もできない」

「そうですか。中級レベル3のアマミヤ先生より初級レベル7になったばかりのフトシ君の方が強いと、はい、フトシ君、一言どうぞ」
「もっと、強くなりたいです」
「いいですね」

「え?」
「いえいえ、気にしなくて大丈夫ですよ、では最後に私から、私はモンスター省の官僚としてフトシ君をフェイズ1の現場に連れて行くよう手続きを進めようとしました。ですが国の判断待ちで決断が止まっています。ですが、もし、私にもっと強い権限を与えて下さればすぐにでも決断します。フトシ君をフェイズ1の現場に連れて行くと!」

『レイカ! 応援してるぞ!』
『レイカなら何か変えてくれるかもしれない。フトシを連れて行かないのは日本の損失だ』
『モンスター省は冒険者の犠牲が出て迅速な判断が出来なくなってる、あれは結果失敗だったがやろうとしている事は理解できる』
『冒険者の犠牲が出て政府がビビってる。今は攻めて流れを変えないと駄目だ』
『ハザマを消滅させないとスケルトンの大量発生は終わらない。今は守りじゃなくて攻めの拠点が何より大事』



「今は有事です! 高校生だから、初級レベル7だからとそういう事を言っていられる状況ではありません! 取れる手はすぐに取る! これがモンスター省改革の合言葉です! 私の首をかけるだけで決断が下せるなら、それで国民の皆様の命を守れる可能性が上がるのなら、私はすぐにフトシ君に要請を出します! フェイズ1に向かって欲しいと! 今日の配信を最後までご覧いただき、ありがとうございました!」

 レイカさんの言葉が長い。
 そして、俺を異様に持ち上げてくる。
 そんな力があるわけがない。
 特級があんなにくたくたになって苦戦してるのに俺1人が行って変わるのか?
 冒険者はチームで力を発揮する、この力で、しかも初級レベル7の俺が行って役に立つイメージが出来ない。

 配信が終わるとレイカさんが言った。

「今日はお疲れさまでした。いのりも、フトシ君も、ゆっくり休んでください」

 俺達は解散した。
 後で知る事になる。
 色々な事がバズり、話が大きくなっている事に。
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