79 / 191
第79話
しおりを挟む
俺の左右にユイとヒトミが歩く。
この状態で学校に向かうとかなり目立った。
3人でレンに武器を渡しに行くと更に目立った。
ユイと俺が教室に戻り席に座るとため息をついた。
はあ~~。
「どうしたの?」
「ユイとヒトミ、それにレンか、3人は目立つよな」
「1番目立っているのはフトシだよ」
「はっはっは、ご冗談を」
「冗談じゃないよ」
「無い無い」
「……冒険者ランクの試験で目立ってて、フトシは伝説になってるよ」
「そんな!確かに必死だったし、緊張してたし、時間には遅れたけど、俺は伝説を残して死んだみたいな噂は酷くないか!?」
「そ、そうじゃなくてね。轟音を出しながら凄い勢いで走って来たでしょ?」
「余裕が無い姿を見せて必死に謝ったのはいい思い出だ」
「……試験官のお姉さんにグレートオーガの金棒を投げつけてたよね?ミサイルって言われてたよ?」
「近接武器を投げる位余裕が無かった。余裕があれば投げる必要はないよな。俺まだまだだな」
「お姉さんの服がビリビリと破けてたよね?いい装備なのに」
「グレートオーガの金棒は攻撃力が高いからな」
「竹刀を3回折ってたよね?」
「達人なら折る事無く、勝っていたんだろうな。無駄な力が入っている証拠だ」
「……フトシ、あの試験の日から、フトシは上級冒険者を素手で殴り殺せるって噂が立ってるよ?」
「ああ、そういう事か」
「ほっ、やっと分かってくれた?」
「あれだろ、野球で例えると」
「え?え?野球?」
「そう、野球で例えると、レンがホームランを打つよりも、いかにも運動を出来なさそうな人がヒットを打った方が歓声が上がる的な、そういう奴だよな?分かる分かる」
「ち、違うよ!」
「出来ない人のヒットよりレンのホームランの方が凄いのに、ヒットで歓声が上がる、人間の認識は歪んでいる」
「違うから!」
「いい人間が川に飛び込んで猫を助けるより、不良が川に飛び込んで猫を助けた方が拍手が凄い的な奴だ。要はギャップだな。いかにも悪い不良がいい行動を取った。となればマイナスからプラスへの振れ幅は大きい、その時に人は錯覚する。『あの不良、良い奴じゃん』って。猫を助ける行為は同じ良い事なのにみんながその心理マジックに引っかかるんだ」
「フトシ、変な動画を見すぎだから」
「真実だろ」
「フトシは変に純粋すぎる所があるから気を付けた方が良いよ」
「あの動画は真実」
「……フトシ、私の目を見て」
ユイが両手で俺の顔を固定した。
「あれ?この顔、お母さんが小さい子供に言い聞かせる時の顔じゃないか?」
「あ、うん、間違ってないかな」
「いつもより力が強い、いや、ユイってこんなことしないよな?俺怒らせるような事言ったか?」
「怒ってないよ」
「だからそれお母さんの顔」
「フトシ、聞いてね?フトシは、上級冒険者よりも、強いよ?分かる?あんまり、本気で、フトシが戦うと、人が死んじゃうの。分かる?」
「……」
いつもこういう事をしないユイがこういう事をするとドキドキしてしまう。
「おほん、あー。ホームルームの時間だ」
周りを見ると全員が俺とユイを見ていた。
「「すいません!」」
この状態で学校に向かうとかなり目立った。
3人でレンに武器を渡しに行くと更に目立った。
ユイと俺が教室に戻り席に座るとため息をついた。
はあ~~。
「どうしたの?」
「ユイとヒトミ、それにレンか、3人は目立つよな」
「1番目立っているのはフトシだよ」
「はっはっは、ご冗談を」
「冗談じゃないよ」
「無い無い」
「……冒険者ランクの試験で目立ってて、フトシは伝説になってるよ」
「そんな!確かに必死だったし、緊張してたし、時間には遅れたけど、俺は伝説を残して死んだみたいな噂は酷くないか!?」
「そ、そうじゃなくてね。轟音を出しながら凄い勢いで走って来たでしょ?」
「余裕が無い姿を見せて必死に謝ったのはいい思い出だ」
「……試験官のお姉さんにグレートオーガの金棒を投げつけてたよね?ミサイルって言われてたよ?」
「近接武器を投げる位余裕が無かった。余裕があれば投げる必要はないよな。俺まだまだだな」
「お姉さんの服がビリビリと破けてたよね?いい装備なのに」
「グレートオーガの金棒は攻撃力が高いからな」
「竹刀を3回折ってたよね?」
「達人なら折る事無く、勝っていたんだろうな。無駄な力が入っている証拠だ」
「……フトシ、あの試験の日から、フトシは上級冒険者を素手で殴り殺せるって噂が立ってるよ?」
「ああ、そういう事か」
「ほっ、やっと分かってくれた?」
「あれだろ、野球で例えると」
「え?え?野球?」
「そう、野球で例えると、レンがホームランを打つよりも、いかにも運動を出来なさそうな人がヒットを打った方が歓声が上がる的な、そういう奴だよな?分かる分かる」
「ち、違うよ!」
「出来ない人のヒットよりレンのホームランの方が凄いのに、ヒットで歓声が上がる、人間の認識は歪んでいる」
「違うから!」
「いい人間が川に飛び込んで猫を助けるより、不良が川に飛び込んで猫を助けた方が拍手が凄い的な奴だ。要はギャップだな。いかにも悪い不良がいい行動を取った。となればマイナスからプラスへの振れ幅は大きい、その時に人は錯覚する。『あの不良、良い奴じゃん』って。猫を助ける行為は同じ良い事なのにみんながその心理マジックに引っかかるんだ」
「フトシ、変な動画を見すぎだから」
「真実だろ」
「フトシは変に純粋すぎる所があるから気を付けた方が良いよ」
「あの動画は真実」
「……フトシ、私の目を見て」
ユイが両手で俺の顔を固定した。
「あれ?この顔、お母さんが小さい子供に言い聞かせる時の顔じゃないか?」
「あ、うん、間違ってないかな」
「いつもより力が強い、いや、ユイってこんなことしないよな?俺怒らせるような事言ったか?」
「怒ってないよ」
「だからそれお母さんの顔」
「フトシ、聞いてね?フトシは、上級冒険者よりも、強いよ?分かる?あんまり、本気で、フトシが戦うと、人が死んじゃうの。分かる?」
「……」
いつもこういう事をしないユイがこういう事をするとドキドキしてしまう。
「おほん、あー。ホームルームの時間だ」
周りを見ると全員が俺とユイを見ていた。
「「すいません!」」
0
お気に入りに追加
670
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?
さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。
僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。
そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに……
パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。
全身ケガだらけでもう助からないだろう……
諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!?
頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。
気づけば全魔法がレベル100!?
そろそろ反撃開始してもいいですか?
内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる