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第79話
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俺の左右にユイとヒトミが歩く。
この状態で学校に向かうとかなり目立った。
3人でレンに武器を渡しに行くと更に目立った。
ユイと俺が教室に戻り席に座るとため息をついた。
はあ~~。
「どうしたの?」
「ユイとヒトミ、それにレンか、3人は目立つよな」
「1番目立っているのはフトシだよ」
「はっはっは、ご冗談を」
「冗談じゃないよ」
「無い無い」
「……冒険者ランクの試験で目立ってて、フトシは伝説になってるよ」
「そんな!確かに必死だったし、緊張してたし、時間には遅れたけど、俺は伝説を残して死んだみたいな噂は酷くないか!?」
「そ、そうじゃなくてね。轟音を出しながら凄い勢いで走って来たでしょ?」
「余裕が無い姿を見せて必死に謝ったのはいい思い出だ」
「……試験官のお姉さんにグレートオーガの金棒を投げつけてたよね?ミサイルって言われてたよ?」
「近接武器を投げる位余裕が無かった。余裕があれば投げる必要はないよな。俺まだまだだな」
「お姉さんの服がビリビリと破けてたよね?いい装備なのに」
「グレートオーガの金棒は攻撃力が高いからな」
「竹刀を3回折ってたよね?」
「達人なら折る事無く、勝っていたんだろうな。無駄な力が入っている証拠だ」
「……フトシ、あの試験の日から、フトシは上級冒険者を素手で殴り殺せるって噂が立ってるよ?」
「ああ、そういう事か」
「ほっ、やっと分かってくれた?」
「あれだろ、野球で例えると」
「え?え?野球?」
「そう、野球で例えると、レンがホームランを打つよりも、いかにも運動を出来なさそうな人がヒットを打った方が歓声が上がる的な、そういう奴だよな?分かる分かる」
「ち、違うよ!」
「出来ない人のヒットよりレンのホームランの方が凄いのに、ヒットで歓声が上がる、人間の認識は歪んでいる」
「違うから!」
「いい人間が川に飛び込んで猫を助けるより、不良が川に飛び込んで猫を助けた方が拍手が凄い的な奴だ。要はギャップだな。いかにも悪い不良がいい行動を取った。となればマイナスからプラスへの振れ幅は大きい、その時に人は錯覚する。『あの不良、良い奴じゃん』って。猫を助ける行為は同じ良い事なのにみんながその心理マジックに引っかかるんだ」
「フトシ、変な動画を見すぎだから」
「真実だろ」
「フトシは変に純粋すぎる所があるから気を付けた方が良いよ」
「あの動画は真実」
「……フトシ、私の目を見て」
ユイが両手で俺の顔を固定した。
「あれ?この顔、お母さんが小さい子供に言い聞かせる時の顔じゃないか?」
「あ、うん、間違ってないかな」
「いつもより力が強い、いや、ユイってこんなことしないよな?俺怒らせるような事言ったか?」
「怒ってないよ」
「だからそれお母さんの顔」
「フトシ、聞いてね?フトシは、上級冒険者よりも、強いよ?分かる?あんまり、本気で、フトシが戦うと、人が死んじゃうの。分かる?」
「……」
いつもこういう事をしないユイがこういう事をするとドキドキしてしまう。
「おほん、あー。ホームルームの時間だ」
周りを見ると全員が俺とユイを見ていた。
「「すいません!」」
この状態で学校に向かうとかなり目立った。
3人でレンに武器を渡しに行くと更に目立った。
ユイと俺が教室に戻り席に座るとため息をついた。
はあ~~。
「どうしたの?」
「ユイとヒトミ、それにレンか、3人は目立つよな」
「1番目立っているのはフトシだよ」
「はっはっは、ご冗談を」
「冗談じゃないよ」
「無い無い」
「……冒険者ランクの試験で目立ってて、フトシは伝説になってるよ」
「そんな!確かに必死だったし、緊張してたし、時間には遅れたけど、俺は伝説を残して死んだみたいな噂は酷くないか!?」
「そ、そうじゃなくてね。轟音を出しながら凄い勢いで走って来たでしょ?」
「余裕が無い姿を見せて必死に謝ったのはいい思い出だ」
「……試験官のお姉さんにグレートオーガの金棒を投げつけてたよね?ミサイルって言われてたよ?」
「近接武器を投げる位余裕が無かった。余裕があれば投げる必要はないよな。俺まだまだだな」
「お姉さんの服がビリビリと破けてたよね?いい装備なのに」
「グレートオーガの金棒は攻撃力が高いからな」
「竹刀を3回折ってたよね?」
「達人なら折る事無く、勝っていたんだろうな。無駄な力が入っている証拠だ」
「……フトシ、あの試験の日から、フトシは上級冒険者を素手で殴り殺せるって噂が立ってるよ?」
「ああ、そういう事か」
「ほっ、やっと分かってくれた?」
「あれだろ、野球で例えると」
「え?え?野球?」
「そう、野球で例えると、レンがホームランを打つよりも、いかにも運動を出来なさそうな人がヒットを打った方が歓声が上がる的な、そういう奴だよな?分かる分かる」
「ち、違うよ!」
「出来ない人のヒットよりレンのホームランの方が凄いのに、ヒットで歓声が上がる、人間の認識は歪んでいる」
「違うから!」
「いい人間が川に飛び込んで猫を助けるより、不良が川に飛び込んで猫を助けた方が拍手が凄い的な奴だ。要はギャップだな。いかにも悪い不良がいい行動を取った。となればマイナスからプラスへの振れ幅は大きい、その時に人は錯覚する。『あの不良、良い奴じゃん』って。猫を助ける行為は同じ良い事なのにみんながその心理マジックに引っかかるんだ」
「フトシ、変な動画を見すぎだから」
「真実だろ」
「フトシは変に純粋すぎる所があるから気を付けた方が良いよ」
「あの動画は真実」
「……フトシ、私の目を見て」
ユイが両手で俺の顔を固定した。
「あれ?この顔、お母さんが小さい子供に言い聞かせる時の顔じゃないか?」
「あ、うん、間違ってないかな」
「いつもより力が強い、いや、ユイってこんなことしないよな?俺怒らせるような事言ったか?」
「怒ってないよ」
「だからそれお母さんの顔」
「フトシ、聞いてね?フトシは、上級冒険者よりも、強いよ?分かる?あんまり、本気で、フトシが戦うと、人が死んじゃうの。分かる?」
「……」
いつもこういう事をしないユイがこういう事をするとドキドキしてしまう。
「おほん、あー。ホームルームの時間だ」
周りを見ると全員が俺とユイを見ていた。
「「すいません!」」
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