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第49話

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 俺は毎日偽クイーンのハザマで戦った。
 朝早く起きて偽クイーンのハザマでオーガを狩り、ヒトミを学校に送り迎えして、学校が終わるとまたオーガを狩った。
 クイーンを倒さずにオーガを出させて倒し続ける。

 途中から偽クイーンがオーガを出さなくなった。
 俺は拠点の門を攻撃して偽クイーンの周りにいるオーガをぶちのめした。
 そうすると偽クイーンは逃げながら焦ったようにオーガを出すようになった。
 途中で1本角のオーガが混ざって出てきたが気にせず倒していった。

 1本角だろうが1撃で倒せる!

 むしろ都合がいい!


 魔石はすべて食べ続け一カ月が経過した頃、アマミヤ先生が授業の初めに警告した。

「最近オーガのハザマが消えている。ゴブリンと同じで原因は不明だが中級冒険者に連れられてオーガのハザマに入る際は十分に注意するように」

 今回はハザマを消していない。
 俺のせいじゃないだろう。
 でも……1本角のボスが途中からたくさん出て来て、たくさん倒していたような気もする。

 他のハザマからやって来たボスを俺が倒している?
 いや、気のせいだろう。
 俺如きが世の中に影響を与えられる訳が無い。
 うぬぼれるな!
 謙虚に考えろ!
 調子に乗って今まで痛い目にあってきた!

 今日の戦闘訓練も素振りだ。
 それが終わったらまたハザマで戦おう。

 戦闘訓練が始まると、俺はゆっくりとフォームを確認するように素振りをした。

「いつも熱心だな」
「アマミヤ先生」
「アオイとはうまくやっているか?」
「ええ、大丈夫です」

 そう言いつつアクシデントが色々あった。
 昨日はヒトミが階段から俺に落ちて来たり、風呂に入ろうとすると着替え中のヒトミがいたり、朝起きると隣にヒトミが寝ていたり、何故か吸い寄せられるように2人でくっつくことが多かった。
 ジョーカーの幸運効果か。

「ん?グレートオーガの金棒が、ずいぶん傷んでいるな」
「武器の確認は基本ですよね。でも、買い替えるのはもったいなくて」
「いや、そうそう痛むような武器ではないはずだ。グレートオーガの金棒はかなり質が高い」

 グレートオーガのハザマは上級冒険者がいないと入れない。
 ハザマのドロップは質がいい為、グレートオーガの金棒は錬金スキルで違う武具に加工して売られているらしい。

「ええ、良い武器ですよ」
「どんな使い方をすればそこまで傷むんだ?」
「重いので殴った時の衝撃が強いのかもしれません」

 そう言えばオーガの魔石を食べる度に力が増していた。
 最近金棒で殴るとオーガがオーバーキル状態で倒れているような気がする。
 でも、レンに比べればまだまだだ。

 レンはありえない速さで剣を振っている。
 しかも雷でバチバチ光ってるし。
 周りから歓声が聞こえてレンは物凄く目立っていた。
 あれは避けられないわ。

 ユイを見るとヒトミに作って貰ったロングナイフを両手で持って振っている。
 動きが綺麗で舞っているようにも見える。
 綺麗なのは動きに無駄がない証拠だ。

 レンもユイも動きが綺麗なんだよな。
 俺は窓を鏡代わりに金棒を振るフォームを確認した。
 無駄を無くして綺麗な動きにしたい。


 ヒトミの武器販売は好調なようで俺の口座残高は増え続けている。
 ユイとレンがサブウエポンとしてヒトミの武器を買ったおかげで良い宣伝になったようだ。
 予想外にも2年生や3年生にも武器が売れている。
 サブウエポンが学校で流行った為だ。

 みんな強い人のマネをしたがるよな。
 レンとユイの宣伝効果が半端ない。
 このままだと卒業する前に俺の通帳残高は余裕で1000万は超えるんじゃね?

 でも、ヒトミの力でお金が手に入っている。
 俺の力じゃない、錬金術でデザインの良い武器を作ったのはヒトミだ。
 ……俺ももっと頑張ろう。

 俺は隅でひたすら金棒を振った。
 ネット動画を参考にして前よりは動きが良くなった気がする。


 放課後になるとヒトミを家に送って山に走った。
 水分を補給して気を引き締める。

「よし、今日もハザマで魔石集めだ!」

 後ろから走る足音が聞こえる。
 ヒトミだ!

「ハザマが、何でここに!」

 まずい!バレた!






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