34 / 191
第34話
しおりを挟む
ダンスが終わり席に戻るとちらっと女子生徒を見た。
俺よりもレンを見ている女子生徒が多い。
「お疲れ様、今日のダンスは凄いキレだったね」
「フトシは凄い人気だね」
「レンとユイの方が凄い。あ、そういえばレンとユイのランクはどのくらい上がったんだろ?ランクアップの試験があったんだろ?」
「中級レベル1だよ」
「私は初級レベル7かな」
冒険者ランクは、
初級
中級
上級
特級
と別れている。
更に同じ初級でも
レベル1からレベル10まで細かくランクが分けられている。
冒険者ランクを上げるにはドロップ品の納品ノルマを達成した上で定期的に行われる試験に合格する必要がある。
俺は基礎戦闘訓練が終わってから納品ノルマをこなしておらず試験を受けていない。
俺は初級レベル1
ユイは初級レベル7
レンは中級レベル1か。
女子生徒がレンに話しかける。
「レン君は凄いね。高校を卒業する頃に中級に行ければかなり優秀なのに、2年生になったばかりで中級でしょ?」
「本当に凄いよ」
「レン君は将来有望だね」
「今も大活躍でしょ」
レンに話しかけてから女子同士でレンの話が始まって盛り上がる。
レンに対して黒い感情が噴き出してきた。
……俺は、羨ましいのか。
女子にモテたい、ちやほやされたい。
俺は中学の時何もやってこなかっただけだ。
その間レンは戦闘訓練を受けていた。
3年の差は大きい。
今の俺は、部活の練習には出たくないけど試合には出たがるような、そんな人間だ。
俺はただ、やってこなかっただけだ。
「フトシ、また変な事を考えてない?」
「あ、いや、俺も、ランクを上げようかなと」
「うんうん、いいと思うよ。パーティーを組もうよ」
「僕も手伝うよ」
「いや、俺はまだまだだ。自分で出来る事を全部やってからにしたい」
そう、まだまだなのだ。
俺はレンに嫉妬してしまった。
ダイエットには成功した。
俺はスタートラインに立っただけの状態か。
痩せて終わりではない。
ここからが始まりだ。
もっと頑張ろう。
モンスターを倒して、納品して、試験に受かる!
いきなりレンのようになれると思うなよ、俺!
中級なんて大きな目標は立てるな!
身の程を知れ!
ユイは初級レベル7……俺は、すぐにそこまでは行けないだろう。
「フトシ、フトシ、」
ユイが俺の頬をつんつんした。
「あ、ああ、悪い。目標が決まった」
その瞬間、周りの皆が聞き耳を立てた気がした。
レンはイケメン担当。
俺はお笑い担当なのだろう。
だがそれでいい。
身が引き締まる思いだ。
俺は息を吸い込んだ。
みんなに宣言する。
こうする事で甘えを断ち切る!
「俺は!初級レベル5を目指す!!」
宣言した。
もう後戻りはできない。
自分自身を追い込んだ。
後はダイエットと同じで目標達成の為に動けばいい!
だが、ユイとレンは驚いた顔をした。
目標が大きすぎたか?
「も、もっと上を目指そうよ!」
「フトシ、中級を目標にしてもいいんじゃないかな?」
「いや、まず初級レベル5だ。今の俺が大きな目標を言っても、部活の練習には出たくないけど試合には出たがるような、そんな人間になってしまう」
「……また変な話が始まった」
「フトシ、中級を目指しても誰もバカにはしないし変に思わないよ」
「いや、まずは初級レベル5になれたら、それから考える。俺、まだまだだから」
俺は立ち上がって食堂を出た。
フトシが立ち去った食堂で皆が話し始めた。
「あいつ、絶対中級を狙えるだろ」
「1500メートル走でズボンを押さえながら走って2位を取ってたぞ?」
「それより、訓練の時間に金棒を振ってる時のあの速さがヤバイ。ブオンブオン音が聞こえてくる」
「レン君に隠れて目立たないけど、フトシ君も強いよね?」
「レン君は別格だからね」
「それよりも、更衣室で着替える時、フトシの体を見たか?筋肉が出来上がってるぞ」
「腕の筋肉がいいよね。かっこいい、ちょっと痩せすぎだけど」
「Tシャツの上から筋肉が見える、良い体してやがる」
「あいつ戦士の目をしてる。絶対に修羅場をくぐってるぞ」
「いつもニコニコしてるけど、金棒を持った瞬間に人格が変わったように目つきが変わるんだよなあ。それを見て特級冒険者が刀を持った瞬間にスイッチが入る動画を思い出したわ」
「フトシはこれからますますモテていくのか」
「フトシの俺はまだまだだは、まだまだだ詐欺だからな」
「あいつのあの狂気は何なんだろうな?」
フトシの努力は、細かな表情、動きにより溢れ始め、周りの人間に得体のしれない何かを感じさせていた。
フトシだけがその事を分かっていない。
俺よりもレンを見ている女子生徒が多い。
「お疲れ様、今日のダンスは凄いキレだったね」
「フトシは凄い人気だね」
「レンとユイの方が凄い。あ、そういえばレンとユイのランクはどのくらい上がったんだろ?ランクアップの試験があったんだろ?」
「中級レベル1だよ」
「私は初級レベル7かな」
冒険者ランクは、
初級
中級
上級
特級
と別れている。
更に同じ初級でも
レベル1からレベル10まで細かくランクが分けられている。
冒険者ランクを上げるにはドロップ品の納品ノルマを達成した上で定期的に行われる試験に合格する必要がある。
俺は基礎戦闘訓練が終わってから納品ノルマをこなしておらず試験を受けていない。
俺は初級レベル1
ユイは初級レベル7
レンは中級レベル1か。
女子生徒がレンに話しかける。
「レン君は凄いね。高校を卒業する頃に中級に行ければかなり優秀なのに、2年生になったばかりで中級でしょ?」
「本当に凄いよ」
「レン君は将来有望だね」
「今も大活躍でしょ」
レンに話しかけてから女子同士でレンの話が始まって盛り上がる。
レンに対して黒い感情が噴き出してきた。
……俺は、羨ましいのか。
女子にモテたい、ちやほやされたい。
俺は中学の時何もやってこなかっただけだ。
その間レンは戦闘訓練を受けていた。
3年の差は大きい。
今の俺は、部活の練習には出たくないけど試合には出たがるような、そんな人間だ。
俺はただ、やってこなかっただけだ。
「フトシ、また変な事を考えてない?」
「あ、いや、俺も、ランクを上げようかなと」
「うんうん、いいと思うよ。パーティーを組もうよ」
「僕も手伝うよ」
「いや、俺はまだまだだ。自分で出来る事を全部やってからにしたい」
そう、まだまだなのだ。
俺はレンに嫉妬してしまった。
ダイエットには成功した。
俺はスタートラインに立っただけの状態か。
痩せて終わりではない。
ここからが始まりだ。
もっと頑張ろう。
モンスターを倒して、納品して、試験に受かる!
いきなりレンのようになれると思うなよ、俺!
中級なんて大きな目標は立てるな!
身の程を知れ!
ユイは初級レベル7……俺は、すぐにそこまでは行けないだろう。
「フトシ、フトシ、」
ユイが俺の頬をつんつんした。
「あ、ああ、悪い。目標が決まった」
その瞬間、周りの皆が聞き耳を立てた気がした。
レンはイケメン担当。
俺はお笑い担当なのだろう。
だがそれでいい。
身が引き締まる思いだ。
俺は息を吸い込んだ。
みんなに宣言する。
こうする事で甘えを断ち切る!
「俺は!初級レベル5を目指す!!」
宣言した。
もう後戻りはできない。
自分自身を追い込んだ。
後はダイエットと同じで目標達成の為に動けばいい!
だが、ユイとレンは驚いた顔をした。
目標が大きすぎたか?
「も、もっと上を目指そうよ!」
「フトシ、中級を目標にしてもいいんじゃないかな?」
「いや、まず初級レベル5だ。今の俺が大きな目標を言っても、部活の練習には出たくないけど試合には出たがるような、そんな人間になってしまう」
「……また変な話が始まった」
「フトシ、中級を目指しても誰もバカにはしないし変に思わないよ」
「いや、まずは初級レベル5になれたら、それから考える。俺、まだまだだから」
俺は立ち上がって食堂を出た。
フトシが立ち去った食堂で皆が話し始めた。
「あいつ、絶対中級を狙えるだろ」
「1500メートル走でズボンを押さえながら走って2位を取ってたぞ?」
「それより、訓練の時間に金棒を振ってる時のあの速さがヤバイ。ブオンブオン音が聞こえてくる」
「レン君に隠れて目立たないけど、フトシ君も強いよね?」
「レン君は別格だからね」
「それよりも、更衣室で着替える時、フトシの体を見たか?筋肉が出来上がってるぞ」
「腕の筋肉がいいよね。かっこいい、ちょっと痩せすぎだけど」
「Tシャツの上から筋肉が見える、良い体してやがる」
「あいつ戦士の目をしてる。絶対に修羅場をくぐってるぞ」
「いつもニコニコしてるけど、金棒を持った瞬間に人格が変わったように目つきが変わるんだよなあ。それを見て特級冒険者が刀を持った瞬間にスイッチが入る動画を思い出したわ」
「フトシはこれからますますモテていくのか」
「フトシの俺はまだまだだは、まだまだだ詐欺だからな」
「あいつのあの狂気は何なんだろうな?」
フトシの努力は、細かな表情、動きにより溢れ始め、周りの人間に得体のしれない何かを感じさせていた。
フトシだけがその事を分かっていない。
2
お気に入りに追加
669
あなたにおすすめの小説
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。
真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆
【あらすじ】
どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。
神様は言った。
「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」
現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。
神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。
それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。
あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。
そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。
そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。
ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。
この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。
さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。
そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。
チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。
しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。
もちろん、攻略スキルを使って。
もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。
下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。
これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。
【他サイトでの掲載状況】
本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる