痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ

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第13話

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【雨宮いのり視点】

 最近オオタが少し変わった。
 前までは調子が良くて大げさな人間、そう思っていた。

 だが今は熱心にハザマでノートを取っている。
 放課後になると毎日ハザマに来てデータを集めている。

 最初はすぐに諦めるかと思ったが一カ月続いている。
 そう言えば前にツムギが言っていたな。

『フトシは本当にやると決めたら極端なくらい道を極めようとします』

 考えてみれば思い当たる節はある。
 ダンスの練度が異様に高い。
 今も時間を忘れて没頭している。

「オオタ、データ集めは順調か?」
「はい、そろそろ終わりです」
「ノートを見てもいいか?」
「いいですけど、ぐちゃぐちゃですよ?」

「いいんだ」

 ノートを見ていくと、確かに最初はぐちゃぐちゃだった。
 何度も着眼点を変えてシンプルに重要なデータだけを集めるように改善されている。

 そして最後は見やすくすっきりとまとまっており、赤ペンで丸く囲っていた。



ゴブリン     門まで30秒   HP100
ベビーガーゴイル 門まで60秒   HP50 
リトルスケルトン 門まで60秒   HP200
リトルゴーレム  門まで120秒 HP500



「このゴブリンの門まで30秒というのは魔法陣から最後の部屋に来るまでの時間で、HPはアローで計算した仮の値か」

「そうです。アローの能力が上がると攻撃力が増えるので何発で倒せるかじゃなくて仮のHPで計算するようにしました。はははは、1ページにもならないデータを集める為にこんなにかかってしまいました」

「いや、かなりいい。今アロー、一発のダメージは30か?」
「そうです。魔石を食べて能力値が上がってもアローの攻撃力は増えませんでした。でもアローが強化されればアローの攻撃力が増えます。アローを強化すればダメージが10増える計算です。目標はベビーガーゴイルを1撃で倒せるようにあと2回アローを強化して、その次はゴブリンを1撃で倒すようにしたいですね」

「オオタは才能があるな」
「いえ、凄いのはレンとユイですよ。もうゴブリンがたくさん出るハザマに行っていますから」

「確かに、タイムアタックなら2人には勝てないだろう。だが、継続戦闘能力で考えればオオタの強さは群を抜いている」
「……継続戦闘能力」

「そうだ、門とシャドーランサーが破壊されない限り何回でも戦える。アローは無尽蔵に使え、シャドーランサーはダメージを受けない限り疲れを知らない。もちろん今は格下に対してだけ有効だが、もし、オオタの目標であるゴブリンをアローの1撃で倒せるようになれば2人の効率を超えるだろう」

「それは大げさですよ」
「何度も消耗せず戦えるマイルームの力は対ゴブリンに対してはかなり有利に働くだろう。オオタのアローが成長した先をイメージしてみろ。1秒に一発、1撃でゴブリンを倒せるようになったとしたらどうだ?」
「……マイルームを出して座っているだけで戦闘が終わります」
「そうだ、それを何回でも出来る。しかもゴブリンのハザマは不人気で入れるハザマは多い」

「……ゴブリン30体までなら、門にたどり着く前に倒せるようになる」
「そうだ。オオタの能力は格下に対してはチートのような能力になるだろう」
「おおおおお!希望が見えてきました」

「所でオオタ、痩せたか?」
「まだ110キロですよ」
「この前まで120キロだった。ペースが早すぎるな。体調は悪くないか?」

 オオタの額を押さえて顔色をチェックする。
 手を持って爪の伸び具合を確認した。

「だ、大丈夫です」

 オオタの顔が赤くなった。
 可愛いな。

 それに、褒めればすぐにその気になる所も素直でいい。
 だが、もう私の引率は必要無くなった。
 少し寂しさも感じる。
 才能の無い私と違って、オオタは更に先に進んでいくだろう。
 私を超えて、更に先に行く。

「オオタ」
「はい?」
「これで引率は終わりだ。オオタは問題無く、いや、他の生徒より安心だ」
「おお!ありがとうございます!」

「だが、ゴブリンのハザマは死亡率が高い。何かおかしいと思ったらすぐに逃げてくれ。死ななければ何度でも再チャレンジできる。おかしいと思えばすぐ先生を頼ってくれ」
「分かりました。アマミヤ先生!ありがとうございます!」
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