痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ

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第1話

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  俺のスキル、マイルームに100体のゴブリンが押し寄せて来た。
 倒しても倒しても次のゴブリンが現れてキリがない。

 マイルームの外からは3本角の生えたメスゴブリンが安全地帯からマイルームを見つめてくつろいでいる。

 3本角でメスのゴブリン、ゴブリンクイーンか?
 いや、うぬぼれるな、俺!
 俺如きが戦える相手がゴブリンクイーンなわけが無い!

 俺は自分に甘い!
 それを変えたくてハザマダイエットをしているんだ!
 甘えるな!俺!
 あいつは偽クイーンだ!
 そうに違いない!

 魔法の矢を撃ちだしてゴブリンを倒していくがゴブリンの群れは止まらない。
 門に迫って来た!
 門を超えられれば俺の部屋だ、突破される!

 ドス!ドス!ドス!ドス!ドス!ドス!ドス!ドス!ドス!ドス!ドス!ドス!
 
 門が破壊されるとゴブリンの群れが雄たけびを上げた。

「「ぐぎゃあああああああああああああああああ!」」

 全身から汗が流れる。

 直接戦うのが怖い。

 怖い、か、やはり俺は、甘えている。

 でも、偽クイーンに勝てれば、勝つことが出来れば、何かが変わる気がする。
 勇気を奮い立たせるように大きな声で怒鳴った。

「来いよゴブリンども!偽クイーンも倒してやる!」

 あの時の、

 高校に入学したばかりの俺は、

 こんな命を賭けたダイエットをする事になるとは思いもしなかった。


 ◇


「うめえ!」

 俺(太田太志)は高校のビュッフェを堪能する。

 テーブルには、

 チーズたっぷりのピザ
 カルボナーラ
 コーンスープ
 フライドポテト
 フルーツジュース
 ステーキとデザートが並ぶ。

 2人の幼馴染は心配そうに俺を見つめる。

「もお、あまり食べすぎると健康に悪いよ」

 俺の横に座る紬結(ツムギユイ)がポニーテールを揺らしながら俺に手を添えた。
 これで今日3回目の注意だ。
 
 対面に座るもう一人の幼馴染、木色錬(キイロレン)も俺を止める。

「健康に悪いし、入学早々悪目立ちするのは良くないよ」

 周りを見ると生徒がちらちらとこちらを見ている。

「ふー、目立っているのは俺じゃなくて2人だ」

 ユイは清楚系美人だ。
 さっきから男子生徒がちらちらとユイの事を見ている。
 レンには女子生徒の熱い視線が集まる。
 
 対して俺は全くモテない。
 身長は165センチと身長が少し低い。
 それだけならまだ良かった。

 問題は体重だ。
 130キロで誰がどう見てもデブ。
 最近は家族だけではなく、ユイとレンから健康面を心配されるほどに太っている。
 みんなに食事制限を勧められた。
 でも、色々なダイエットを試しても三日坊主で終わった。

「そ、そんな事、ないよ」
「ユイはフトシの事を心配しているんだ」
「……分かってる、でも、ビュッフェは無料だし、人生楽しまないと損だと思う」

「3日前まで風邪を引いていたよね?あまり食べすぎると体に悪いよ」
「あの時は人生で一番きつかった」
「風邪を引くたびに最高記録を更新してるよね?」
「前回の風邪はかつてないほど苦しかった」
「フトシの話は大げさな所があるからね」

 2人に何回も注意されるとムッとしてしまう。

「そ、そうだ!最近ハザマダイエットが流行ってるみたい」

 俺が不機嫌な顔をした瞬間にユイが喧嘩にならないように話題を変えた。
 ユイは怒りそうになるといつもこういう行動を取る。

 ハザマとはモンスターが現れる異空間だ。
 俺達のようにスキルを持っていて15才になると冒険者としてハザマに入りモンスターを狩る事が出来るようになる。
 スキルを得られる人間は少ない。
 この高校はスキルを持った者の為にあり、学費もビュッフェも無料。
 更に防御効果の付与された制服も無料だ。

「ああ、30キロ痩せた動画は、見た」
「3人で行ってみない?」
「まだ学校の基礎訓練が終わっていないから、ハザマに入るには先生に引率が必要だよ」
「先生にお願いして、フトシも一緒に行こうよ」

「う~ん、でもなあ」
「フトシは顔立ちが整ってるし、うん、痩せたら絶対にモテるよ」
「うんうん。フトシは本気でやると決めたら続けられると思う」

「小学校の頃はダンスでモテていたよね?」
「フトシはダンスをしている時が一番輝いていたよ。僕も羨ましいと思ったんだ」
「何かに熱中できる人は女子にモテるよ?」
「フトシがその気になればなんだって出来ると思うんだ」
「うんうん、私もそう思う」

「……ハザマに、行ってみようかな」

 褒められると嬉しくなってしまう。
 2人は俺の健康を心配して言ってくれている。
 でも、それを分かっていても褒められると乗ってしまうのだ。

 俺は口に入れたピザを噛まずに飲み込むと広いスペースに移動して踊った。
 キレのあるダンスを踊った後、ターンを決めて右手の人差し指を天に掲げる。
 周りからクスクスと笑い声が聞こえる。
 デブが切れのいいダンスを踊ればこうなる。

 みんなが思わず笑ってしまうのは分かる。
 高校に入っても面白キャラで固まってしまう未来が見える。
 でも、痩せれば周りの目が変わってくるかもしれない。
 ……小学校の頃のように。

 太ってモテなくなった俺だけど面白キャラじゃなくて……レンのようにモテたい。

 痩せたい。

 ちやほやされたい。

 ダイエットか。
 やってみよう!

「130キロから目指せ!60キロだ!」

 周りから拍手が起き、俺は更に踊った。





 あとがき
 カクヨムで84話まで先行投稿済みです。(9月18日時点)
 先が気になる方はぜひカクヨムの方もよろしくお願いします。
 https://kakuyomu.jp/works/16817330658743415281
 
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