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第27話

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 俺はストレージから食料・服・テント・木材などの物資を取り出した。

 村人が驚く。

「す、すごいわ!」
「まるで軍用物資のようだ!」
「これだけあればしばらく生きていける!」

 俺は元気そうな男に声をかける。

「服を!みんなに配ってくれ」

 大きめのかまどをストレージから取り出す。
 かまどの中には薪をセットしてある。

「ファイア」

 かまどに火を起こした。

「炊き出しを手伝ってほしい」
「分かったわ」

 母さんにお願いすると他の女性も手伝い始めた。
 更に父さんに声をかける。

「テントを設置するから組み立てを手伝って欲しい」
「任せろ!」

 そう言いつつ俺の動きを見せて複数のテントを組み立ててもらう。
 これで衣食住は問題無し。
 

「アキ、何?なんでそんなにテントを持ってるの?」
「アルケミストに教えてもらいながら作ったんだ。何度も練習したらたくさんできた。プリンも見ていただろ?」
「そ、そうだけどそう言う事じゃないわ」

「アキ君、どうしてこんなに備蓄していたんですか?」
「そう、それよ!」
「何があるか分からないだろ?」

 日本では震災である日突然家を失う事がある。
 この異世界は魔物の侵攻で良く家屋が壊される。
 想定内の事件だ。

 服が溶かされたら配ればいい。
 家が半壊しても木の板があればなんとかなる。
 食べられた食べ物は貯めておけばいいだけだ。

「全部、アキ君が正しかったのですね」
「ん?」
「私は昔、戦争の準備をするように物資を集めるアキ君をみておかしいと思っていました。変わっていると思っていました。でも今確信しました。アキ君が正解だったと」

「たまたまだろ。何も無ければ俺はおかしい人間のままだ」
「ですが結果アキ君のおかげで皆助かりました」
「暗い話はやめよう」

「今日はキャンプだ!」
「「おーーーーー!」」

「なんでそんなに元気なのよ!」
「暗い顔をするな。子供もいる」
「そ、そう言う事!」

 ダッシュドラゴンに乗っていた冒険者が近づいてきた。

「すまんが俺にも食料を分けて欲しい」
「そうだったな。追加報酬の50万ゴールドだ」

 それを見ていた村人が驚く。

「お前!それは無理をして貯めた金だろう」
「俺達の為に、ううう、涙が止まらねえ」
「将来は立派な旦那様になれるわよ」

 皆勘違いしているけど訓練が進んでからは簡単に稼げるようになった。

「今日助かったのはこの冒険者のおかげだ!俺を運んで、果敢にもアシッドスライムの群れに突撃した英雄だ!」
「アキ、追加報酬を求めた俺を、英雄にしてくれるのか。く、自分が恥ずかしい。だが、俺には3人の子供と妻が、くそ!」

「良いんだ。武具も傷むことを覚悟して、命が無くなる覚悟をして飛び込んでくれただろ?そのお金で子供に美味しい物を食べさせてくれ」
「ぐう、うあああああああああ!!」

 冒険者は号泣し、周りのみんなが拍手する。

「今日は俺のおごりだ!たくさん笑ってたくさん食べよう!!」

 俺は宴会でする乾杯のノリで言った。
 俺は何度も声を掛けられ、たくさん食べ、そして眠った。



 ◇


 
 日の光と共に焚火の前で目を覚ます。
 変態仙人との訓練により回復力が上がって疲れがすぐに取れる。

 ステータスを開く。


 アキ 人族 男
 レベル        20【+7】
 HP      300 /300【+70】
 MP     300 /300【+70】
 攻撃                  300【+70】   
 防御             300【+70】   
 魔法攻撃           300【+70】   
 魔法防御           300【+70】   
 敏捷             300【+70】   
 ジョブ ものまね士   
 スキル『ものまねレベル8』『短剣レベル5』『刀レベル5』『剣レベル5』『槍レベル5』『斧レベル5』『体術レベル5』『弓レベル5』『投てきレベル5』『炎魔法レベル4』『水魔法レベル4』『風魔法レベル5』『土魔法レベル4』『光魔法レベル3』『闇魔法レベル2』『錬金術レベル7』『HP自動回復レベル10』『スタミナ自動回復レベル10』『瞑想レベル10』『訓練効果アップレベル5』『身体強化レベル5』『速度強化レベル5』『隠密レベル5』『感知レベル5』『分析レベル5』『暗視レベル5』『遠目レベル5』『透視レベル5』『採取レベル5』『運搬レベル5』『ストレージレベル5』『騎乗レベル3』



 レベルが7上がった。
 こんなに簡単に上がっていいのか?
 跳ねうさぎの時もそうだったけど、簡単すぎないか?

 いや、今回は運が良かっただけだ。
 慢心はいけない。
 足の遅いアシッドスライムが相手で爆炎ナイフと相性が良かっただけだ。
 遠距離攻撃と炎攻撃があるおかげで一方的に倒せただけだ。


 今足りないのは、レベルか。
 最近レベルを上げたいと思って上げていなかった。

 レベルを上げよう。
 今回は運が良かったけど強い魔物が相手なら簡単に殺される。
 長生きしたい。
 死にたくない。
 慢心は駄目だ。

 その前に村を一周して直せるところは直す。
 その後魔物をたくさん倒してレベルを上げよう。
 おし、やる事は決まった。


 俺は村を見て回った。

 
 橋が、溶けてる。
 新しく作るか。

 ストレージからレンガを取り出してまとめ、錬金術を使う。
 レンガが光って大きなブロックが出来上がった。
 それを川に何個も置く。
 これで橋の足が完成だ。

 更に同じ要領でレンガを繋げてシンプルな橋を作る。
 出来上がると村人が集まっていた。

「木の橋が立派なレンガ橋に変わっているわ!」
「凄い!わずか一日でここまでの出来栄えになるとは!」
「前より立派な橋がもう出来た!」

 日本の橋に比べればシンプルで大したことない橋だけど、喜んでもらえて良かった。

「家を無くして住む家が無い人はどのくらいいるんだ?」
「4軒だ」

 多くの家は半壊で済んだけど、家が倒壊した家族もいる。

「その場所に案内して欲しい」

 俺は村人に案内されるとストレージから家を取り出した。
 俺は父さんと母さんの家を作る際にも練習として何軒も家を作ったのだ。
 父さんと母さんには良い家に住んで欲しかった。
 だから練習した。
 練習した上で父さんと母さんにどういう家が良いか聞いて何回も家を作った。


「少し小さいけど我慢してくれ」
「十分だ!2階建てじゃないか!」

 そう言えば壊れた家は1階建てだったな。
 全員が深々と頭を下げた。

 村人が走って来る

「アキー!屋敷でチョコが呼んでるよ!」
「すぐに行く」



 屋敷に着くと、チョコが笑顔で言った。

「ファースト村の英雄が来ましたよ」
「アキ、お疲れ様ね」

 プリンが笑顔で手を振った。

「相談なのですが、武器と防具を売ってくれませんか?」
「あげるぞ」

 俺はストレージから武具を取り出した。

「よくありません。お金は貰っておきましょう」
「今までの恩返しだ。チョコの訓練があったおかげで今がある。借りは返した」

 俺は屋敷から立ち去る。

「あれ?このままかっこよく立ち去る気ですか?」
「ちょっとレベルを上げて来る」
「急に動き出しますよね?」
「アキはの行動が読めないわ」

 そうかな?
 俺は前からレベルを上げる予定だった。
 むしろ遅すぎる位だ。

「わ、私も行くわ」
「俺のレベルが上がってから一緒に行こう。もう少しプリンに追いつこうと思う」

「もう充分ですよ」
「十分よ」
「違うんだ。俺は固有スキルを使えない。プリンはすぐに固有スキルを覚えて先に行くだろう?行って来る」


 俺はレベル上げの旅に出かけた。

 やっとだ、レベルを上げる!
 たくさん倒して一気に先に進む!

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