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第6話

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 俺は即座にものまねを発動し、相手の動きに合わせるように同じ動きを再現する。

「う~ん、振り遅れてますね。ものまねレベルが足りないかもです」
「後は……短剣のレベル不足か!」
「身長差もありますね。全力を出せばギリギリ打ち合える程度に調整しますよ」

 俺の動きより少し早い速度でチョコが連撃を繰り出す。
 
「いいですねいいですね!少しずつ早くしていきますよ!」

 カン!カン!カカン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!ン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!

『短剣レベル3→4』

 もうレベルが上がったのか!
 色んなスキルが3以上に上がらないと思っていたけど、いや、今までの訓練も効いている!

「レベルが上がりましたね!もっと速くします!」
「ぐ、ぐおおおおおお!!!速い速い!」

 俺は動けなくなるまでチョコと短剣で打ち合った。



 地面に寝ころび、息を整えるとプリンがムスッとして俺を覗き込む。
 パンツが見えているぞ。

「ずるい!次は私がアキとする!」

『私がアキとする』の言葉で俺は良からぬことを考えてしまった。
 18才になってからベッドの上で言って欲しいです。
 言葉だけでもいいので。

「アキ君はしばらく動けませんよ。次は私とやりましょう。構えてください」
「ふ、ふふん。私は生まれ変わったのよ!」
「忍者のレアジョブになっただけで強くなれませよ。使いこなす努力が必要です」

「分かってるわよ」
「もっと言うとものまね士になってもアキ君は強くなると思いますよ。アキ君は天才ですから」
「天才じゃないぞ」
「話が逸れましたね。訓練開始です!」

 チョコはプリンと打ち合いを始めた。



 俺とプリンは交代で3セットチョコと打ち合った後、地面に寝ころぶ。

「アキ、ステータスを見せて」



 アキ 人族 男
 レベル     1
 HP          29/36【+1】
 MP      43/65
 攻撃               56   
 防御          32【+1】
 魔法攻撃        45
 魔法防御        30
 敏捷          69【+1】
 ジョブ ものまね士   
 スキル『ものまねレベル3』『瞑想レベル3』『水魔法レベル3』『炎魔法レベル3』『スタミナ自動回復レベル3』『短剣レベル【3→4】』『弓レベル3』『風魔法レベル3』『土魔法レベル3』『光魔法レベル1』『闇魔法レベル1』『訓練効果アップレベル1』


 疲れてちょっとでも速度を落とすとチョコの打ち込みを受けた為、HPも上がった。
 しかしスキルが見にくくなって来たな。

『スキルの並べ替えを実行しますか?』

 ……出来るのか。
 俺はすぐにスキルを並び替えた。


 アキ 人族 男
 レベル     1
 HP          29/36【+1】
 MP      43/65
 攻撃               56   
 防御          32【+1】
 魔法攻撃        45
 魔法防御        30
 敏捷          69【+1】
 ジョブ ものまね士   
 スキル『ものまねレベル3』『短剣レベル【3→4】』『弓レベル3』『炎魔法レベル3』『水魔法レベル3』『風魔法レベル3』『土魔法レベル3』『光魔法レベル1』『闇魔法レベル1』『スタミナ自動回復レベル3』『瞑想レベル3』『訓練効果アップレベル1』


「あ、スキルを並び替えた!」
「前から出来たのか?」
「出来るよ、知らなかったの?」
「……うん」
「スキルの覚えは良いのに抜けてるわね」
「アキ君はアンバランスですね」

「……HPは私が勝ってる。防御と敏捷も私が勝っている」

 プリンはステータスを指差しながら勝っている部分だけ指を差していく。
 可愛いな。

 プリンと俺の話が終わったタイミングでチョコが話しかけてくる。

「試合はレベル上げにはいいですが、長時間できないんですよね~。アキ君、明日から午前の魔法訓練も一緒にやりませんか?」

 確かに、ものまね士なら地道に瞑想と魔法の訓練をするより、見てそれをマネしてレベルを上げた方がいいだろう。

「行く」

 その瞬間プリンが笑顔になった。

 家に帰ると母さんはまだ暗そうにしていた。
 父さんは出来るだけ何もなかったかのようにしている。

「父さん、母さん、俺は気にしてないよ。明日から午前中も屋敷で魔法の訓練をするんだ」

 そう言って食事を摂って眠る。

 父さんと母さんの話し声が聞こえる。

「本当に気にしてないようね」
「ああ、ものまね士も今の時代悪くないのかもしれない。戦争があっても徴兵されにくくなるだろう?」
「そ、そうよね。アキの安全を考えれば強くなくてもいいのよ」

 心配をかけていたようだけど、本当に俺は気にいていないんだ。
 俺は、大丈夫……

 すー、すー



【翌日の朝】
 
「さあ、今日も元気に行きましょう!」

「……」
「……」

「眠い」
「私もよ」

 子供の体な為かまだ眠い。

「目を覚ますために魔法訓練より先に追いかけっこをしましょう。お嬢様が逃げる役、私追う役、アキ君は私のマネをしてついて来てください!5・4」

「ちょっと待ってよ!」

 プリンが逃げる。
 プリンの動きが早い!
 速度強化か!
 速度強化は斥候系が使えるスキルでMPを消費しながら速度を引き上げるスキルだ。
 もちろん忍者も使える。
 なるほど、速度強化は使用中常にMPを消費する。
 魔導士の魔法じゃないけど魔力訓練と言えば魔力訓練だ。


「3・2・1、スタートです!」

 チョコも速度強化を使いちらっと俺を見る。
 チョコなら速度強化を使わなくてもプリンを捕まえる事が出来る。
 ものまねの為に使ってくれているのか。
 ありがたい!

 逃げるプリンにチョコが追い付いて背中に氷を入れる。
 俺もマネして氷を生成し、チョコの背中に氷を入れようとして避けられた。

「アキ君、まだまだですね!」

 プリンは土魔法で砂をかけられ、小さな炎を当てられ微妙に熱い思いをし、空気弾を撃たれる。
 チョコは笑いながら4属性の魔法でプリンを追い詰める。

「お嬢様、この程度ですか?そんなんじゃまた氷を入れちゃいますよ!」
「こ、これから、ひゃあ!冷たい!」
「あははははははは!楽しいですね!」

 そう言いながら俺の攻撃をすべて避けつつプリンは悲鳴を上げ続けた。



 俺とプリンは並んで地面に寝ころぶ。

「チョコのジョブって何なの?色々出来るよね?」
「チョコは!ひゃあん!」

 チョコがプリンに氷を入れる。
 氷入れが気に入ったようだ。

「お嬢様、駄目ですよ~。乙女の秘密です」

 俺はものまね士
 プリンは忍者
 チョコのジョブが謎過ぎる。
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