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第70話

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 ごうの車で家のみんながやってきた。
 ハンドスピナーの5人はおばあちゃんの食事を食べてひまわりと連絡先を交換した。
 ごうのサポートとしてひまわりに連絡係をお願いする時に使うのだ。
 しろまろとおばあちゃんも来ていてハンドスピナーの5人が代わる代わるしろまろを抱く。
 抱くときに「おおおお!」と声を漏らしていた。

 食事の途中でデュラハンキラーとダブル1期生10人全員が揃った。
 ひまわりは全員と連絡先を交換しておばあちゃんとしろまろ、ひまわりはごうの車の中で待機した。
 ごうが俺の隣に並んだ。

「少し早いけど配信を始めていいか?」
「大丈夫です」
「OK]
「早く始めようぜ」
「大丈夫です」

 みんなが違う言葉で同意した。
 配信を始める前に時間をPRしているが前後する可能性がある事も一緒に伝えている。
 配信を見逃しても後で見る事が出来る。

「始めます!」

 ドローンを飛ばした。

「どうも、達也です、今から合同の訓練を始めます」

 全員のパーティー名と名前を自己紹介する。

「今日は新と童子も早かったな」

 新は早起きじゃなければ余り遅れない。
 童子が前に出た。

「俺は達也の意思を継ぐ! キリ!」
「うん、はい、みんなやる気満々のようです」

『達也が童子をさらっと流してて草』
『童子はやる気はあるんだ、空回りしててもな』
『てか、みんなが遅れなかったのはハンドスピナーのフライング配信のおかげじゃね?』
『あり得る!』
 
 ハンドスピナーの5人がスマホを見ている。
 そしてカメラ目線で言った。

「くっくっく、その通りだ!」

 ハンドスピナーの5人がハンドスピナーを回す。
 シュルシュルシュル!

『普通に連絡してみんなに知らせようよwwwwww』
『ハンドスピナーは背中で見せるタイプなんだよ』
『棒立ちフライング配信の意図は遅刻防止だったのか!』

「剣を使うダブル1期生は童子先生と打ち合いをして欲しい。童子先生、頼みます」
「任せてくれ」
「おっし! 最初は俺が勝負するぜ!」
「新だけはこっちだ」

「新、何かやった?」
「今の内に正直に言った方がいいよ」
「俺何は何もしてねえ!」

『新、やったな』
『また新か』
『先生怒りませんから正直に言ってください』

「新、今回は悪い事じゃない、新技の基礎を覚えてみないか?」
「新しい技? なんだ?」
「これだ」

 俺は右手を銃の形にして上に向ける。
 人差し指から黒い弾丸を撃ちだした。

 パンパンパンパン!
 ツインハンドの片手版だ。

「おおおおお! ハンドガンか! いいねえ!」
「その前にダブルの黒魔法と白魔法はレベル6の先生から指導してもらって。新、今からやりながら見せる」

『ついにツインハンドの秘密が明らかになる!』
『ハンドガンだけでも使いたいよな』
『てか片手でツインハンドを使う技はハンドガンなのか?』
『多分決まってないけどハンドガンが分かりやすくて良いんじゃね?』
『ネットで技名が決まって正式名称になる事が多いよね』

 みんなは訓練を始めずに俺の周りに集まってきた。
 見学が悪いわけじゃない。
 そのまま進めよう。

「まずは基本のショットがあるよな? これがただのショットだ」

 俺は手の平からこぶし大の魔法弾を上に放つ。

『発動が早い!』
『上に手を挙げた瞬間に出してる!』
『杖無しなのも凄い』
『達也は技量が高いタイプだよな』
『ただのじゃなくて技量がもうすでに高い』

「で、ハンドガン、まあ名前は何でもいいんだけど、片手でツインハンドを使うとこうなる」

 パンパンパン!

 黒くて小さい弾丸の形をした魔法が連続で上に飛んでいく。

「この形態にするにはいくつものことを覚える必要がある。1つ1つ行くぞ、まずショットの球体を作る」

 俺はこぶし大の魔法球を作る。

「で、これを圧縮する」

 俺は魔法球を圧縮して小さな丸い球に変えた。

「で、撃ちだす」

 パン!

「で、最初にこぶし大の球体を作らず、最初から圧縮した小さい球を作る、これが出来ると早く、貫通力のある攻撃が出来るし圧縮した分飛距離も伸びる。最初はこれがおすすめだ。これを最初にやろう。新、やって見て欲しい」

 新が右手の人差し指を立てて上に上げ左手で右手首を押さえた。

 パン! パン! パン! パン!

 新の弾丸はぎこちなく、そして軌道が安定しない。
 でも新は勘が良い。
 すぐにある程度までのざっくりとした正解にたどり着く。

「連射は難しいぜ」
「最初は誰だって出来ない。新は基礎訓練を積み重ねたおかげである程度出来ている。最初はこれを練習すれば良い」

 みんなが俺のマネをして黒い弾丸を飛ばそうとする。

『みんなぎこちない』
『いや、十分凄いからな』
『最初から基礎の積み重ねが必要か、もう心が折れた』

「それに馴れたら今度は丸い球体じゃなく、実物の銃の弾丸をイメージする」

 俺は球体ではなく弾丸の形をした黒い魔法の塊を作った。

「更に回転させる。分かりやすいように弾にロケットの羽のようなのを弾丸にをつけた、回転しているのが分かると思う」

 黒い弾丸がくるくると回る。

「このようにくるくると回す、もっと高速で回すぞ。高速回転、この状態で撃つ!」

 パアン!

「これが出来るようになれば飛距離と命中精度が増す、圧縮しつつ弾丸の形にしながら黒い魔力を固めて高速回転させて発射、それを高速で繰り返せばハンドガンの完成だ」

『ぎゃあああああああああ! 難易度が一気に跳ね上がった!』
『弾丸を作りつつ回転して速く撃てばいいからとか普通なら無理だろ』
『なるほど、私には無理な事が分かりました、ありがとうございます!』

「基礎訓練を疎かにすればツインハンドは出来ない。もしハンドガンを試してみて覚えるのが難しい、圧縮すら出来ないと感じた場合基礎訓練不足だ。試してみて全く手ごたえが無ければ基礎訓練をもっと増やして練習するのがいいだろう」

 黒魔法を使うみんなが俺のマネをする。
 一番出来ているのが新だった。
 基礎訓練に特化したのは間違いじゃなかった。
 圧縮した丸い魔法弾を撃ちだし続ける。

「新、後は自分と向き合って詰み上げるしかないから」

 凜が俺の前に歩いてきた。

「私は?」
「え?」
「樹はピンポイントバリアで、新はハンドガンだよね?」

「そうだな……」
「私は?」
「このままでいい、凜は大容量の魔力があるからもう持ち味が有ると言っていい」

「技は何も無いの?」
「教えられるのが無い、樹と新は戦士のと魔力感知が出来るから魔力を感知しながら練習できる。凜はそういうのじゃないから、冒険者レベル6からでいいんじゃないか?」

 戦士の感覚強化は技を習得する練度を高める。
 でも凜にはそれが無い。
 オリジナルの技はレベル6になってから鍛錬を積み重ねていけば自然と見えてくるはずだ。
 レベル5の時点で感覚強化無しなら無理に覚える必要はない。
 バリアを同時に2つ出せる凜は十分技量が高い方ではある。

「でも、私だけ何も技が無い」
「焦らなくていいんだ」

「そんなあ」
「……俺と樹、新は似ている部分があるけど……凜は覚えるとすれば俺に無い何かだと思う、豊香と一緒に練習すれば何かが見えるかもしれない」



 達也のツインハンドの技量が高すぎる件でバズった。



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