魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は世界に1人のトリプルジョブに至る~

ぐうのすけ

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第63話

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 ナイスバズリ散らかし?
 どういう事?

 記者が群がり叫んだ。

「達也さん! ナイスバズリ散らかしスマイルをください!」
「達也さん、今回のナイスバズリ散らかしについて感想をお願いします!」
「ナイスバズリ散らかしが次の流行語大賞の候補に挙がっています。感想をお願いします」
 
 カメラのフラッシュと撮影用のカメラが俺をとらえる。

 カシャカシャカシャカシャカシャ!
 
 俺はナイスバズリ散らかしと1回も言っていない。
 俺言ってないよな?
 
 記者にもみくちゃにされる。

「ちょ、ちょっと!」

 警察が駆けつけてきた。

「下がって下さい! 危険です、下がってください! 暴れないでください!」

 数が多い!
 警察が人のバリケードを作り叫ぶ。

「下がってください!」
「今から達也さんは重要なイベントが控えています! 下がってください!」
「さあ、こちらへどうぞ、デュラハンキラーの乗るバスが待っています」

 俺は記者の質問と警察の叫び声、そして集まった一般の人の歓声を受けながら警察に守られながら歩く。

 警察に守られるような事をした覚えはない。
 警察が来るのおかしくね?
 進むとデュラハンキラーの7人がバスの前に並んでいる。

 工藤さんが1歩前に出た。

「ありがとうございました!」
「「ありがとうございました」」

 工藤さんに続いてメンバーが礼をする。
 意味が分からない。

 カシャカシャカシャカシャカシャ!

 警察が前に出ようとする記者を止める。
 記者は叫びながら質問をしてカメラを構える。
 その周りを一般人と思われる人が群がる。

 工藤さんが俺と握手をする。
 意味が分からない。

 俺はゴーレムの溢れ出しが起きてその後バズリはした。
 でもしばらくしてからは一カ月間淡々とモンスターを狩った。

 北海道でモンスターを狩り青森で少し狩っただけだ。
 時間が経てばモンスターが増える、モグラたたきのようなもので1回狩れば終わりではない。
 今バズる要素が無い。

「達也さんのおかげで童子と豊香がおとなしくなりました。本当にありがとうございます!」

 カシャカシャカシャカシャカシャ!

「い、いや、何もしていませんよ、工藤さんが頑張ったんでしょう」

 工藤さんは目頭に指を当ててあごを震わせ泣きそうになる。

「達也さんはいつも人を立ててくれるんですね」
「え? 何も」

 なんだろう、話が噛み合わない。
 一ヶ月、人と話をしていないからか?

「いえ、達也さんは私にスポットライトを当てようとしています。でもいいんです。達也さんは童子と豊香を変えました。一ヶ月の間ずっとお礼を言いたかった。ありがとうございます! 本当にありがとうございます!」
 カシャカシャカシャカシャカシャ!

 記者が叫びぶ。

「達也さん、またナイスバズリ散らかしをした感想をお願いします!」
「あの工藤さんを男泣きさせ、ナイスバズリ散らかしをした感想をお願いします!」
「ナイスバズリ散らかしスマイルをください!」

「工藤さん、コメントをお願いします! 今の気持ちを一言!」
「工藤さん、やっとお礼を言えた感想をお願いします!」
「達也さんに対する想いをどうぞ!」

 工藤さんが記者に向き合う。

「私は、達也さんにずっとお礼を言いたいとそう思っていました! ですが達也さんが真剣にダンジョンのモンスターを狩り、モンスターの溢れ出しをたった1人で本気で止めようとする姿を見て今まで、今まで何も言えませんでした! それでもずっとお礼を言いたい、ずっとそう思っていました!」

 カシャカシャカシャカシャカシャ!

「今達也さんと向かい合い、私は自然とこうべを垂れていました。今まで考えて用意してきた言葉ではなく、ただありがとうございましたと口に出していました。私はその時知りました。これが感謝なのだと!! これが本当の感謝なのだと分かりました!!!」

 カシャカシャカシャカシャカシャ!

 どういう事?
 意味が分からない。
 本当に俺は何もしていない。

 童子が前に出た。
 いつもなら1番に前に出る童子が今まで黙っていた?
 何かがおかしい。

「俺は達也に託された! 託された俺は次に続く世代を育て、溢れ出しを止める!」

 童子が剣を掲げた。

 カシャカシャカシャカシャカシャ!

 豊香も前に出てきた。

「私、ひまわりさんには負けません。炎上をやめました」

 カシャカシャカシャカシャカシャ!

 ひまわりに負けない?
 何が?
 それと仮に勝負するとして炎上と何の関係があるんだ?
 何の勝負?

「達也さん、会場に向かう前に一言お願いします」

 ごうが用事があって案内が来るとは聞いていた。
 でも忙しそうなごうに細かく聞くのは悪いと思い詳しい事は聞いていない。
 会場ってなんだ?

「すいません、会場などの詳しい事は何も聞いていません。いつもごうには負担をかけっぱなしです」

「ありがとうございます。達也さん! ナイスバズリ散らかしが次の流行語大賞の候補になっています。感想をお願いします」
「その事については何も分かっていません、一ヶ月会話をしなかったせいなのか、疲れているせいなのかうまく受け答えが出来ていないのかもしれません」

 工藤さんが怒ったように叫んだ!

「達也さんは! 達也さんは一カ月間過酷な試練に耐えてきました! すぐにバスに乗せて休んでもらいます!! 取り囲むのはやめていただきたい!!! 達也さん、バスの中へ」
「あ、ありがとうございます?」

 工藤さん、めっちゃ叫んでる。
 工藤さんもこんな声を出すんだな。

 俺はバスに乗り込んだ。



 達也は知らない。
 乗ったバスはごうが予約した会場に向かっている事を。
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