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第58話
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家に沙雪が帰ってきた。
明日まで学校が休みなのだ。
ウエイブウォークの3人とごうも呼んで家で食事会を開いた。
凜を呼んで沙雪を少しでも喜ばせたかった。
沙雪と凛とひまわり、それとおばあちゃんは楽しそうに話をする。
相性ってやっぱ大事だよな。
豊香の時は沙雪の危険がかなり悪かった。
おばあちゃんとひまわりがカツカレーを持って来る。
ごうのカツカレーはフードファイトのように山盛りだ。
新がごうの器を見た。
「俺もやってみたい」
「食べたらおかわりすれば良いでしょ」
「ひまわり、新に大盛りを頼む」
「やったぜ!」
「うん、出来るけどカツが揚がるまで待てる?」
「待てるぜ、みんなは食べていてくれ」
「新の分は俺が貰おう、一旦席に着こう、いただきます」
「「いただきます」」
ひまわりがすぐに立ち上がってカツを揚げ始めた。
「ちょっと新、ひまわりさんが食べられないでしょ」
「ひまわりさんは世話好きそうだ。こういうのが好きなんだよ」
「新、その言い方はダメだ」
ウエイブウォークはいつもこんな感じだ。
新が注意を受け、新はあまり気にしない。
今はカツカレーだ。
「カツカレーがうまい」
カツカレーのカツを口に入れるとサクッとした歯ごたえとジューシーな肉のうまみ、そしてカレーの味で満たされる。
カツカレー最高。
「……おじさんってカツカレー好きだよね?」
「好きだぞ」
「まあ、ひまわりは良いお嫁さんになれるわね」
おばあちゃんは俺に結婚を勧めてくる。
ごうにも結婚を勧めたり誰か良い人がいないか聞く事がある。
おばあちゃんは結婚するのが当然と考える価値観を持っているのだ。
でも自分はおばあちゃんだからと結婚は諦めている。
「え? でもひまわりとおじさんが一緒になれば豊香さんが怒るよ?」
「沙雪ちゃん、選ぶのは達也さんよ。ねえ、達也さん」
俺は口に入れかけたカツを口に入れて咀嚼して飲み込んだ。
「デュラハンを倒すまでそういうのは考えないけど、そうだな、豊香はそこまで悪い人間ではないと思う」
最初は豊香の事が本当に分からなかった。
今でもよく分からない部分はある。
魔眼で観察して分かった事がある。
豊香は正義感が強い。
そして正義感の強い奈良君を思いだした。
奈良君はその気になれば冒険者組合をやめて楽にお金を稼ぐことが出来るのにやめない。
その理由は正義感だ。
例え辞める事になってでもこのままでは駄目だと思ったことは上に言うし改善案も出す。
いつでもやめて良いと思っている奈良君が冒険者組合支所のトップに向いていた。
もっと言えば方針を決める本部のトップに向いているとさえ思う。
ごうが口に入れたカレーを飲み込んで話し始めた。
「おう! 達也から見た豊香の感想を教えてくれ」
「言っておくけどそこまでは分かってないからな」
「いいぜ」
「そうだな、豊香は正義感が強くて相手が何かやってきたらミラー返しをしていいと思っている。でも配信で豊香の正義感は皆に伝わらないだろう。それに豊香はネタ発言が多い。奈良君を見習ってほしい」
「奈良の感想も教えてくれ」
「奈良君は凄いぞ。細かい事はあまり言わない。その上で本当に駄目だと思った事だけをピンポイントで突いてどうすればいいかの案まで出す。それで叩かれてもいいし冒険者組合をやめてもいいと思っている。そのおかげで部下からは慕われているけど、上には煙たがられているだろうな」
「奈良は、確かにそういう所がある。いつか失脚させられそうでひやひやするぜ。なるほどな、豊香は奈良を見習った方がいい、確かにそうかもな」
「デュラハンキラーの工藤さんは大変だろうな。豊香だけじゃなく、もう1人いる」
「童子か」
「うん。童子は自分と向き合ってたまに人を教える事で自分の個性が見えてくるはずだ、そうなればレベル7だろう」
凜がボソッと言った。
「童子さんと新が似てる」
「似てねえよ」
「似てるよ」
樹も同意する。
「似てねえよ!」
「「似てる」」
「そう言えばデュラハンキラーの中で童子だけがしろまろに嫌われていたな」
新の目が輝く。
「ダメダメ! それ言っちゃ駄目!」
「新、しろまろが怖がるよ、やめておこう」
新がしろまろに近づくとしろまろが隅に隠れた。
「カモン! しろまろ!」
「大きい声を出すとしろまろびくってなっちゃうから!」
新がしろまろを掴んで左脇に抱えるとしろまろが体を捻って暴れる。
新の腕から脱出すると逃げ出した。
その姿を見て俺とごうが笑う。
「ははははは、怖がらせているじゃないか、童子と同じだ」
「お約束だぜ!」
おばあちゃんとひまわり、そして沙雪も笑うと樹と凜も笑い出した。
「だめか、しろまろ、ごめんな」
「童子より、新のほうが少しマシだな」
童子は懲りなかったが新はしろまろに謝る。
新の方が素直な気がする。
「先生、新を褒めると調子に乗っちゃう
「褒めるまではいかないだろ」
「おっしゃー! 次は剣でも童子さんに勝つ!」
「ほらああ、調子に乗っちゃう」
沙雪も、新も、樹も、凜も、みんな元気そうでよかった。
「しろまろ、出て来い、もう掴まないから、ダメか」
「しろまろは臆病よ、でも頑張る時は頑張るのよ、ねえ、しろまろ」
おばあちゃんがしろまろを抱き上げた。
おばあちゃんの言っている意味が分からなかった。
頑張る場面が思い浮かばないのだ。
でも、買い物の時は馬のようにおばあちゃんを運んでいる、頑張っていると言えなくもない。
それにおばあちゃんはしろまろを元気づけようとしているのかもしれない。
「一軒家が欲しいぜ」
新は急に話題を変えた。
「皆を呼んで庭でバーベキューがしたい」
「新、最近武器を買い替えたばかりだよね?」
「借金はしないでよね」
「しねえよ!」
「バーベキューなら家で出来るわ。ねえ、達也さん」
「そうだぞ、俺がいなくてもおばあちゃんとひまわりに余裕があればいつでも大丈夫だ。沙雪も呼んでくれると嬉しい」
「新は庭でバーベキューがやりたいだけよね?」
「ここでやった方がいいよ、今は皆で冒険者レベル6を目指そう」
「おばあちゃんとひまわりがいいなら明日やってもいいぞ」
「ん? 達也はダンジョンに行くだろ?」
「そうだな、でもみんなには楽しんで欲しい」
俺はダンジョン遠征に行く。
俺は基礎訓練で能力が伸びなくなった。
なので遠征をして北海道や東北、冒険者が少なく溢れ出しリスクがある不人気ダンジョンを回ってくる予定だ。
伸び無くなれば他の事を始めてみて自分と向き合いたい想いがあった。
ついでに何度も配信をしてデュラハンを倒す宣伝をしたい。
溢れ出しのリスクが起こりそうなダンジョンでモンスターを狩る事で溢れ出しを防止できる。
北海道と東北は移動に時間がかかる、でもあの2点の溢れ出しを抑えられれば自衛隊の移動が減る。
自衛隊に余裕が出来れば冒険者の招集も減る。
国の効率アップにもつながり自衛隊を防から攻に変えたい派の主張が発言力を増す。
溢れ出しが起きそうなダンジョンでモンスターを狩る行動を実行しつつデュラハンを倒す仲間を集めるPRする事で批判を避ける事も出来る。
「僕達は何日かダンジョン配信を控えるよ。毎日先生の事を宣伝しておくよ」
「俺達は基礎訓練とバーベキューをしようぜ」
俺がダンジョン配信をしている時にウエイブウォークがダンジョン配信をしてしまうと視聴者数の奪い合いのようになってしまう。
気を使ってくれているのだ。
「うん、頼む。ごちそうさま、カツカレーもスープもサラダも全部美味しかった。行ってくる」
俺は飛行機で北海道に向かった。
この時達也はまだ知らない。
バズリ散らかしムーブの種をばら撒いていた事を。
明日まで学校が休みなのだ。
ウエイブウォークの3人とごうも呼んで家で食事会を開いた。
凜を呼んで沙雪を少しでも喜ばせたかった。
沙雪と凛とひまわり、それとおばあちゃんは楽しそうに話をする。
相性ってやっぱ大事だよな。
豊香の時は沙雪の危険がかなり悪かった。
おばあちゃんとひまわりがカツカレーを持って来る。
ごうのカツカレーはフードファイトのように山盛りだ。
新がごうの器を見た。
「俺もやってみたい」
「食べたらおかわりすれば良いでしょ」
「ひまわり、新に大盛りを頼む」
「やったぜ!」
「うん、出来るけどカツが揚がるまで待てる?」
「待てるぜ、みんなは食べていてくれ」
「新の分は俺が貰おう、一旦席に着こう、いただきます」
「「いただきます」」
ひまわりがすぐに立ち上がってカツを揚げ始めた。
「ちょっと新、ひまわりさんが食べられないでしょ」
「ひまわりさんは世話好きそうだ。こういうのが好きなんだよ」
「新、その言い方はダメだ」
ウエイブウォークはいつもこんな感じだ。
新が注意を受け、新はあまり気にしない。
今はカツカレーだ。
「カツカレーがうまい」
カツカレーのカツを口に入れるとサクッとした歯ごたえとジューシーな肉のうまみ、そしてカレーの味で満たされる。
カツカレー最高。
「……おじさんってカツカレー好きだよね?」
「好きだぞ」
「まあ、ひまわりは良いお嫁さんになれるわね」
おばあちゃんは俺に結婚を勧めてくる。
ごうにも結婚を勧めたり誰か良い人がいないか聞く事がある。
おばあちゃんは結婚するのが当然と考える価値観を持っているのだ。
でも自分はおばあちゃんだからと結婚は諦めている。
「え? でもひまわりとおじさんが一緒になれば豊香さんが怒るよ?」
「沙雪ちゃん、選ぶのは達也さんよ。ねえ、達也さん」
俺は口に入れかけたカツを口に入れて咀嚼して飲み込んだ。
「デュラハンを倒すまでそういうのは考えないけど、そうだな、豊香はそこまで悪い人間ではないと思う」
最初は豊香の事が本当に分からなかった。
今でもよく分からない部分はある。
魔眼で観察して分かった事がある。
豊香は正義感が強い。
そして正義感の強い奈良君を思いだした。
奈良君はその気になれば冒険者組合をやめて楽にお金を稼ぐことが出来るのにやめない。
その理由は正義感だ。
例え辞める事になってでもこのままでは駄目だと思ったことは上に言うし改善案も出す。
いつでもやめて良いと思っている奈良君が冒険者組合支所のトップに向いていた。
もっと言えば方針を決める本部のトップに向いているとさえ思う。
ごうが口に入れたカレーを飲み込んで話し始めた。
「おう! 達也から見た豊香の感想を教えてくれ」
「言っておくけどそこまでは分かってないからな」
「いいぜ」
「そうだな、豊香は正義感が強くて相手が何かやってきたらミラー返しをしていいと思っている。でも配信で豊香の正義感は皆に伝わらないだろう。それに豊香はネタ発言が多い。奈良君を見習ってほしい」
「奈良の感想も教えてくれ」
「奈良君は凄いぞ。細かい事はあまり言わない。その上で本当に駄目だと思った事だけをピンポイントで突いてどうすればいいかの案まで出す。それで叩かれてもいいし冒険者組合をやめてもいいと思っている。そのおかげで部下からは慕われているけど、上には煙たがられているだろうな」
「奈良は、確かにそういう所がある。いつか失脚させられそうでひやひやするぜ。なるほどな、豊香は奈良を見習った方がいい、確かにそうかもな」
「デュラハンキラーの工藤さんは大変だろうな。豊香だけじゃなく、もう1人いる」
「童子か」
「うん。童子は自分と向き合ってたまに人を教える事で自分の個性が見えてくるはずだ、そうなればレベル7だろう」
凜がボソッと言った。
「童子さんと新が似てる」
「似てねえよ」
「似てるよ」
樹も同意する。
「似てねえよ!」
「「似てる」」
「そう言えばデュラハンキラーの中で童子だけがしろまろに嫌われていたな」
新の目が輝く。
「ダメダメ! それ言っちゃ駄目!」
「新、しろまろが怖がるよ、やめておこう」
新がしろまろに近づくとしろまろが隅に隠れた。
「カモン! しろまろ!」
「大きい声を出すとしろまろびくってなっちゃうから!」
新がしろまろを掴んで左脇に抱えるとしろまろが体を捻って暴れる。
新の腕から脱出すると逃げ出した。
その姿を見て俺とごうが笑う。
「ははははは、怖がらせているじゃないか、童子と同じだ」
「お約束だぜ!」
おばあちゃんとひまわり、そして沙雪も笑うと樹と凜も笑い出した。
「だめか、しろまろ、ごめんな」
「童子より、新のほうが少しマシだな」
童子は懲りなかったが新はしろまろに謝る。
新の方が素直な気がする。
「先生、新を褒めると調子に乗っちゃう
「褒めるまではいかないだろ」
「おっしゃー! 次は剣でも童子さんに勝つ!」
「ほらああ、調子に乗っちゃう」
沙雪も、新も、樹も、凜も、みんな元気そうでよかった。
「しろまろ、出て来い、もう掴まないから、ダメか」
「しろまろは臆病よ、でも頑張る時は頑張るのよ、ねえ、しろまろ」
おばあちゃんがしろまろを抱き上げた。
おばあちゃんの言っている意味が分からなかった。
頑張る場面が思い浮かばないのだ。
でも、買い物の時は馬のようにおばあちゃんを運んでいる、頑張っていると言えなくもない。
それにおばあちゃんはしろまろを元気づけようとしているのかもしれない。
「一軒家が欲しいぜ」
新は急に話題を変えた。
「皆を呼んで庭でバーベキューがしたい」
「新、最近武器を買い替えたばかりだよね?」
「借金はしないでよね」
「しねえよ!」
「バーベキューなら家で出来るわ。ねえ、達也さん」
「そうだぞ、俺がいなくてもおばあちゃんとひまわりに余裕があればいつでも大丈夫だ。沙雪も呼んでくれると嬉しい」
「新は庭でバーベキューがやりたいだけよね?」
「ここでやった方がいいよ、今は皆で冒険者レベル6を目指そう」
「おばあちゃんとひまわりがいいなら明日やってもいいぞ」
「ん? 達也はダンジョンに行くだろ?」
「そうだな、でもみんなには楽しんで欲しい」
俺はダンジョン遠征に行く。
俺は基礎訓練で能力が伸びなくなった。
なので遠征をして北海道や東北、冒険者が少なく溢れ出しリスクがある不人気ダンジョンを回ってくる予定だ。
伸び無くなれば他の事を始めてみて自分と向き合いたい想いがあった。
ついでに何度も配信をしてデュラハンを倒す宣伝をしたい。
溢れ出しのリスクが起こりそうなダンジョンでモンスターを狩る事で溢れ出しを防止できる。
北海道と東北は移動に時間がかかる、でもあの2点の溢れ出しを抑えられれば自衛隊の移動が減る。
自衛隊に余裕が出来れば冒険者の招集も減る。
国の効率アップにもつながり自衛隊を防から攻に変えたい派の主張が発言力を増す。
溢れ出しが起きそうなダンジョンでモンスターを狩る行動を実行しつつデュラハンを倒す仲間を集めるPRする事で批判を避ける事も出来る。
「僕達は何日かダンジョン配信を控えるよ。毎日先生の事を宣伝しておくよ」
「俺達は基礎訓練とバーベキューをしようぜ」
俺がダンジョン配信をしている時にウエイブウォークがダンジョン配信をしてしまうと視聴者数の奪い合いのようになってしまう。
気を使ってくれているのだ。
「うん、頼む。ごちそうさま、カツカレーもスープもサラダも全部美味しかった。行ってくる」
俺は飛行機で北海道に向かった。
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