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第51話
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1人部屋で基礎訓練を行う。
基礎訓練が終わるともやもやした感覚があった。
前から感じていた。
スマホの横にある紙にもやもやを書きだす。
『基礎訓練の成果が出なくなった』
『基礎訓練の時間を減らして伸びなくなり、訓練時間を伸ばしても成長出来ない』
『成長が止まったように感じる』
もう、年かもしれない。
スマホが鳴った。
「童子か。もしもし」
『俺を弟子にする話は決めてくれたか?』
「いや、無いな」
『金なら払う! 出来る事なら協力もする!』
童子はカードゲームの勝負をせがんでくる子供のようだ。
「今訓練で伸び悩んでいる、後でな」
一方的に通話を切ってスマホの電源を切った。
一週間、たっぷり時間を使って基礎訓練をしてみよう。
おばあちゃんと一緒に食事を摂る。
しろまろは葉っぱとにんじんを食べている。
「おばあちゃん、今日から一週間基礎訓練にたっぷり時間を使ってみようと思う」
「……何かあったの?」
「今、訓練が伸び悩んでいて、試しにそうしてみたいんだ」
一週間の短い期間でも検証は出来る。
今までの基礎訓練の感覚を振り返ると成長が止まってしまったような気はしている。
これでだめなら新たな何かを探す必要があるだろう。
「豪己さんには言ったの?」
「うん、連絡した」
「なら問題無いわね」
おばあちゃんはしろまろに魔石をあげる。
しろまろはご馳走を食べるように魔石を連続で飲み込んでいる。
おばあちゃんの顔がいつもより暗い。
いつものおばあちゃんはもっと笑顔で魔石をあげる。
何かあったのが分かる。
「おばあちゃん、何かあったの?」
おばあちゃんはしろまろを膝に乗せながら座った。
「実は、姉の孫が介護の仕事をやめて無職なの。姉は死んでしまって、姉の子も生活的には余裕が無くて、仕事を探しても中々難しいみたいなのよ、いい子なんだけど、優柔不断な所があって」
「そっか、もし沙雪と相性が悪くなければ家に住んでもらうのもいいと思う、嫌じゃなければだけど、それに探せば仕事くらいは見つかると思う」
「沙雪ちゃんとの相性はいいわ、2人で連絡先を交換しているし一緒に食事にも行っているわ。でも、これ以上迷惑をかけるのはよくないわ」
「迷惑なんて、俺の方が助けられている。ちょっと待ってて」
俺は即沙雪に連絡した。
『どうしたの?』
沙雪は不安そうな声で言った。
「凄い大事な話ってわけじゃないんだけど、おばあちゃんの、姉の孫、が今介護の仕事をやめて求職中らしいんだけど、家に住ませたいと思った、どう思う?」
『うん、そうしてくれると嬉しい』
「それだけ、話は終わりだ。沙雪、困った事は無いか? 元気でやってるか?」
『大丈夫、ひまわりをお願いね』
「女の人か」
『知らなかったの?』
「今おばあちゃんから話を聞いたから、会った事も無い」
『うん、いい人だよ』
「そっか、それなら安心だな、またな」
『うん』
電話を切るとおばあちゃんが礼をした。
「ごめんなさい、また世話をかけてしまうわね」
「おばあちゃん、出来ればごめんなさいじゃなくありがとうの方が嬉しい」
俺は笑顔で言った。
「ええ、ええ、そうね、ありがとう、本当にありがとう」
食事が終わり訓練を済ませるとリビングが賑やかだった。
おばあちゃんの横に女性が立っていて家事をしている。
その下をしろまろが無意味にステップを踏む。
「あ、どうも、日野ひまわりです」
日野ひまわりはセミロングヘアの黒髪と黒い瞳で顔立ちが整っていた。
少し童顔で可愛い感じだ。
童子や豊香と同年代くらいか。
「よろしくお願いします」
「ふふふ、ひまわりがお世話になるんだから、改まらず、ひまわりと呼んでいいわ」
「うん、気を使わないで」
「うん、そっか、ひまわり、よろしく」
「よろしくお願いします」
「早速だけど、部屋はどこにする? どこでも大丈夫だ」
「う~ん、どこ……」
「……遠慮しなくていいんだ」
「ひまわりは少し優柔不断なのよ」
「そっか、じゃあ、2階の奥の部屋にして後で何かあれば変えるから」
「うん」
ひまわりは曖昧に頷いた。
優柔不断か、ペースを合わせていたら時間がかかりそうだ。
「おばあちゃん、ひまわりも、相談なんだけど」
スマホが鳴った。
また童子か、無視しよう。
「相談なんだけど今から引っ越し業者を手配していいか?」
「で、でもお金が無いから」
「お金はいいや、うん、今頼むから」
ひまわりの住む家は賃貸のワンルームらしい。
契約を解除しなければ賃貸料が発生し続ける。
俺は引っ越し業者に電話をする。
話の途中で荷物の量を聞かれたのでひまわりにスマホを渡した。
「ひまわりの荷物は分からないので本人に変わります。はい、後は頼んだ」
「え、え、あ、どうも、はい」
ひまわりが少し焦りながら電話をする。
「長くなりそうね、達也さん、お茶にしましょう」
「うん、お願い」
その日からひまわりの引っ越しを進めて貰った。
賃貸の契約を解除してもらい引っ越し業者が来ると大量の段ボールが運び込まれ1部屋では収まりきらず2部屋を使った。
前はワンルームだったのに2部屋が埋まった。
家電があった事も考えると余裕が無くなるのは分かるが、家電を処分せずに持って来たか。
ひまわりは物を捨てられないタイプに見える。
「物が多すぎるわね、せめて1部屋に収まるように一緒に物を整理しましょう」
「うん、ごめんなさい」
おばあちゃんはひまわりの家に行って引っ越しの手伝いをしていた。
その時から物を捨てられていない。
ひまわりはおばあちゃんに何度も「物を処分しましょう」と言われていたんだろうな。
引っ越しが落ち着きひまわりの荷物が1つの部屋に物が収まると次は就職についての話をした。
「ひまわりはこの仕事をやりたいとかあるのか?」
「う~ん、特には」
「うん、分かる、俺も学生時代はやりたい事が特に見つからなかった。資格とか、得意なものとかはあるか?」
「介護福祉士、くらいかな」
「次も介護をするの?」
ひまわりはフルフルと首を横に振った。
「ひまわりは職員さんやおじいちゃんにセクハラを受けていたみたいなの、それに色々怒られていたみたい。」
ひまわりは童顔で怒られやすそうに見えた。
それにセクハラを受けやすそうに見える。
例えひまわりが悪くなかったとしても悪者にされて責任を押し付けられてもおかしくない。
「人と関わらない仕事の方がいい感じかな?」
「うん、そっちの方が、いいかな」
「パソコンとか使える?」
「あまり、できない、たまに文章を作るくらい」
「そっか、何も見つからないならパソコンスクールに行ってみないか?」
「でも、お金が無いから」
「お金の問題が無いならいいか?」
「う~ん……」
ひまわりは迷っているようだ。
「一回やってみよう。こういうのはやってみないと合うかどうか分からないから」
こうしてひまわりにはパソコンスクールに通って貰う事になった。
多少強引に進めさせてもらった。
それまでの間童子から何度も連絡が来たが無視した。
俺は一週間集中して基礎訓練をしてみたがそれでも伸びが無い。
訓練方法の見直しが必要なようだ。
基礎訓練が終わるともやもやした感覚があった。
前から感じていた。
スマホの横にある紙にもやもやを書きだす。
『基礎訓練の成果が出なくなった』
『基礎訓練の時間を減らして伸びなくなり、訓練時間を伸ばしても成長出来ない』
『成長が止まったように感じる』
もう、年かもしれない。
スマホが鳴った。
「童子か。もしもし」
『俺を弟子にする話は決めてくれたか?』
「いや、無いな」
『金なら払う! 出来る事なら協力もする!』
童子はカードゲームの勝負をせがんでくる子供のようだ。
「今訓練で伸び悩んでいる、後でな」
一方的に通話を切ってスマホの電源を切った。
一週間、たっぷり時間を使って基礎訓練をしてみよう。
おばあちゃんと一緒に食事を摂る。
しろまろは葉っぱとにんじんを食べている。
「おばあちゃん、今日から一週間基礎訓練にたっぷり時間を使ってみようと思う」
「……何かあったの?」
「今、訓練が伸び悩んでいて、試しにそうしてみたいんだ」
一週間の短い期間でも検証は出来る。
今までの基礎訓練の感覚を振り返ると成長が止まってしまったような気はしている。
これでだめなら新たな何かを探す必要があるだろう。
「豪己さんには言ったの?」
「うん、連絡した」
「なら問題無いわね」
おばあちゃんはしろまろに魔石をあげる。
しろまろはご馳走を食べるように魔石を連続で飲み込んでいる。
おばあちゃんの顔がいつもより暗い。
いつものおばあちゃんはもっと笑顔で魔石をあげる。
何かあったのが分かる。
「おばあちゃん、何かあったの?」
おばあちゃんはしろまろを膝に乗せながら座った。
「実は、姉の孫が介護の仕事をやめて無職なの。姉は死んでしまって、姉の子も生活的には余裕が無くて、仕事を探しても中々難しいみたいなのよ、いい子なんだけど、優柔不断な所があって」
「そっか、もし沙雪と相性が悪くなければ家に住んでもらうのもいいと思う、嫌じゃなければだけど、それに探せば仕事くらいは見つかると思う」
「沙雪ちゃんとの相性はいいわ、2人で連絡先を交換しているし一緒に食事にも行っているわ。でも、これ以上迷惑をかけるのはよくないわ」
「迷惑なんて、俺の方が助けられている。ちょっと待ってて」
俺は即沙雪に連絡した。
『どうしたの?』
沙雪は不安そうな声で言った。
「凄い大事な話ってわけじゃないんだけど、おばあちゃんの、姉の孫、が今介護の仕事をやめて求職中らしいんだけど、家に住ませたいと思った、どう思う?」
『うん、そうしてくれると嬉しい』
「それだけ、話は終わりだ。沙雪、困った事は無いか? 元気でやってるか?」
『大丈夫、ひまわりをお願いね』
「女の人か」
『知らなかったの?』
「今おばあちゃんから話を聞いたから、会った事も無い」
『うん、いい人だよ』
「そっか、それなら安心だな、またな」
『うん』
電話を切るとおばあちゃんが礼をした。
「ごめんなさい、また世話をかけてしまうわね」
「おばあちゃん、出来ればごめんなさいじゃなくありがとうの方が嬉しい」
俺は笑顔で言った。
「ええ、ええ、そうね、ありがとう、本当にありがとう」
食事が終わり訓練を済ませるとリビングが賑やかだった。
おばあちゃんの横に女性が立っていて家事をしている。
その下をしろまろが無意味にステップを踏む。
「あ、どうも、日野ひまわりです」
日野ひまわりはセミロングヘアの黒髪と黒い瞳で顔立ちが整っていた。
少し童顔で可愛い感じだ。
童子や豊香と同年代くらいか。
「よろしくお願いします」
「ふふふ、ひまわりがお世話になるんだから、改まらず、ひまわりと呼んでいいわ」
「うん、気を使わないで」
「うん、そっか、ひまわり、よろしく」
「よろしくお願いします」
「早速だけど、部屋はどこにする? どこでも大丈夫だ」
「う~ん、どこ……」
「……遠慮しなくていいんだ」
「ひまわりは少し優柔不断なのよ」
「そっか、じゃあ、2階の奥の部屋にして後で何かあれば変えるから」
「うん」
ひまわりは曖昧に頷いた。
優柔不断か、ペースを合わせていたら時間がかかりそうだ。
「おばあちゃん、ひまわりも、相談なんだけど」
スマホが鳴った。
また童子か、無視しよう。
「相談なんだけど今から引っ越し業者を手配していいか?」
「で、でもお金が無いから」
「お金はいいや、うん、今頼むから」
ひまわりの住む家は賃貸のワンルームらしい。
契約を解除しなければ賃貸料が発生し続ける。
俺は引っ越し業者に電話をする。
話の途中で荷物の量を聞かれたのでひまわりにスマホを渡した。
「ひまわりの荷物は分からないので本人に変わります。はい、後は頼んだ」
「え、え、あ、どうも、はい」
ひまわりが少し焦りながら電話をする。
「長くなりそうね、達也さん、お茶にしましょう」
「うん、お願い」
その日からひまわりの引っ越しを進めて貰った。
賃貸の契約を解除してもらい引っ越し業者が来ると大量の段ボールが運び込まれ1部屋では収まりきらず2部屋を使った。
前はワンルームだったのに2部屋が埋まった。
家電があった事も考えると余裕が無くなるのは分かるが、家電を処分せずに持って来たか。
ひまわりは物を捨てられないタイプに見える。
「物が多すぎるわね、せめて1部屋に収まるように一緒に物を整理しましょう」
「うん、ごめんなさい」
おばあちゃんはひまわりの家に行って引っ越しの手伝いをしていた。
その時から物を捨てられていない。
ひまわりはおばあちゃんに何度も「物を処分しましょう」と言われていたんだろうな。
引っ越しが落ち着きひまわりの荷物が1つの部屋に物が収まると次は就職についての話をした。
「ひまわりはこの仕事をやりたいとかあるのか?」
「う~ん、特には」
「うん、分かる、俺も学生時代はやりたい事が特に見つからなかった。資格とか、得意なものとかはあるか?」
「介護福祉士、くらいかな」
「次も介護をするの?」
ひまわりはフルフルと首を横に振った。
「ひまわりは職員さんやおじいちゃんにセクハラを受けていたみたいなの、それに色々怒られていたみたい。」
ひまわりは童顔で怒られやすそうに見えた。
それにセクハラを受けやすそうに見える。
例えひまわりが悪くなかったとしても悪者にされて責任を押し付けられてもおかしくない。
「人と関わらない仕事の方がいい感じかな?」
「うん、そっちの方が、いいかな」
「パソコンとか使える?」
「あまり、できない、たまに文章を作るくらい」
「そっか、何も見つからないならパソコンスクールに行ってみないか?」
「でも、お金が無いから」
「お金の問題が無いならいいか?」
「う~ん……」
ひまわりは迷っているようだ。
「一回やってみよう。こういうのはやってみないと合うかどうか分からないから」
こうしてひまわりにはパソコンスクールに通って貰う事になった。
多少強引に進めさせてもらった。
それまでの間童子から何度も連絡が来たが無視した。
俺は一週間集中して基礎訓練をしてみたがそれでも伸びが無い。
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