深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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終章

対決

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「何をこそこそと話をしている」
「気にするな。戦いを始めようか。フィル、頼む」

「はい、すぐに助けます」
「どんな作戦かと思えばマッチョどもの救出か。だが、今頃何をしに来た?剣聖の男は虫の息だ。マッチョ共も女共も皆我一人で倒した!
 それに素手で戦いを挑む気か?

 たった一人で?

 殴る蹴るで我を倒せると思っているのか?
 我は最強の力を持っている!

 あの槍を何とかした程度で調子に乗るなよ!
 あの槍などより我の方が強い!」

「もう始めていいか?ああ、そうか。疲れたんだろ?時間稼ぎとは、案外せこい奴だな」

 俺は挑発する為バカにするように笑った。

「殺す」

 トランスが殴りかかって来る。
 俺は一瞬で懐に飛び込み、殴る。

 トランスが建物にぶつかり、更に隣の建物に激突し、3軒の建物が倒壊する。

 そして、倒れたトランスに追い打ちをかけるようにパンチを叩きこんだ。

「ぐぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 トランスがくの字に曲がりながら吹き飛ぶが、更に追いついて殴る。

 トランスの足を掴んで地面に投げ落とし、上からパンチを連打する。

 ……倒した手ごたえはあった。
 でも、体が消え始める気配が無い?
 トランスの体が黒く光り、体が小さくなる。

 俺と同じくらいの大きさになり、細マッチョの体形に変わった。

「三段階目、最終形態だ。格闘家だったとはな。珍しいジョブではあるが、それならあの連撃も納得できる。だが、最終形態になった我は無敵だ」

「投資家だ」
「むう?」
「俺は格闘家じゃない。ジョブは投資家だ」

「嘘をつくな。最弱の投資家な訳が無いだろう」

「投資家だ。投資家は最弱と言われているけど最近違うんじゃないかと思っている」

「何を言っている?投資家は最弱だ」

 トランスの体が黒く光る。
 そして俺にパンチを繰り出した。

 俺は両腕をクロスさせて防ぐが、衝撃を抑えきれず後ろに吹き飛んだ。

「我がモードチェンジする事で、MPは完全回復する。そして、我が小さくなったからと言って侮るべきではなかったな。小さくなった分我は力を凝縮させている。しかも重力魔法で我は攻撃を更に強化しているのだ」

「そうか、フィルの言った通りの力だ。奇遇だな。俺の新しい力も似たようなものだ。グラビティコントロール!」
「重力操作だと!」



【トランス視点】

 奴は重力魔法を身にまとい、一瞬で距離を詰めてきた。

 我の拳と奴の拳がぶつかり、撃ち負けた。
 我が吹き飛ばされつつ飛んで空中に退避しようとした。

 だが奴は重力を完全に操り、空を走って我に迫る。

 我の羽を掴まれ、地面に叩き落されると、上から強烈な蹴りを放たれた。
 その後は一方的だった。

 一方的に殴られ、一方的に倒されていく。

「なぜだ、なぜ、我が倒されようとしている?」

 我の体が黒い霧に変わっていく。

「投資家の力だ。
 確かに投資家は最弱からスタートする。
 投資と言えば、普通は長期投資を意味する。
 企業の成長の為に株を買って、成長するまでじっと待つんだ。

 企業に投資して、100万が1年で5%増えるとしたら30年で何倍になると思う?答えは432万を超えるんだ」

「……それと、強くなる事と何の関係があるのだ?」
「投資家の特性もそれと同じなんだ。最初は中々強くなれなかった。でも、どんどん経験値が入るようになり、経験値が有り余るようになり、俺は強くなった。成長が加速していくんだ」

 全部は理解できない。
 だが、我は完成された者として作られた。

 すなわち、成長しない存在と言い変えることも出来る。
 だが、こいつは恐らく、無限に近い成長をし続ける存在だ。

 ……作られた時点で決まっていたのか。
 戦う以前に負けが決まっていた。

 戦う前から、負けていた、か。

 我が霧になり、消えていく。
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