深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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終章

最強の魔将

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 俺達はビッグ王国の王都でゆっくり休んだ。
 連戦が続き、皆疲れていたのだ。

 イツキが出かけて6日目でボロボロになりながら帰ってきた。
 イツキは崩れ落ちるように倒れ、魔王を倒したが、呪いを受けた事。
 そして最強の魔将がいる事を伝えて眠りについた。

「大変です!デーモンが現れました!」

 皆が外に出て雪が降る空を見上げる。
 灰色の曇った空から、125体のデーモンと、明らかに大きい3メートルほどある痩せたデーモンが飛んで王都に迫って来る。

「デーモンよ!蹂躙せよ!」

 でかくて痩せたデーモンの号令を受けて125体のデーモンが降下して乱戦が始まる。
 デーモンが爪を振り下ろすたびに人が死んでいく。

「まずい!デーモンのレベルは50だ。早く倒さないと被害が大きくなる!」

 魔将が真っすぐに俺を見つめた。
 俺のレベルを一瞬で感知したのか!?
 こいつの魔力、動き、今までの魔将とは違う!

「我は最強の魔将、トランス!貴様を殺す!」

 トランスは背中に背負った槍5本を俺に投げつけた。
 1本が俺の近くに来ると大爆発を引き起こし、周りにいた者が倒れる。

 く、まるで誘導ミサイルだ。

「俺は飛んでくる槍を引き付ける!デーモンは皆に任せた!」

 俺が王都の外に走り槍を誘導する!

 俺の後から音速を超える槍が迫ってきた。



【グレス視点】

「デーモンの魔将よ!私と勝負してもらおう!」
「ぐふふ、よかろう」

「皆はデーモンを倒すのだ!トランスは私がひきつける」

 私の前に魔将が降り立つ。
 3メートルほどの巨体を見上げる。
 見た目はデーモンだが、ガリガリに痩せている。
 右手には剣、左手には杖を構えている。

 周りから歓声を浴びる。

「グレス様が来てくれたわ!」
「もう大丈夫だ!俺達は助かったんだ」

「避難しろ!ここは危険だ!」

 魔将の魔力を浴び、トランスとの格の違いを思い知る。

「私の名はグレスだ!」
「ぐふふ、我の名はトランス!」


 トランスの動きを見ても分かる。
 私は、トランスに勝てないだろう。
 いや、勝てなくてもいい。
 今はデーモンを皆に倒してもらう。

 私はただ、死ぬまでトランスを引き付ければいい。
 出来るだけ、立って、立ち続け、そして死のう。



 ◇



【ウサット視点】

 私は必至で奇襲してきたデーモンをクワで倒していった。

 グレス殿殿に目をやると、血まみれで立っている。
 トランスの剣で吹き飛ばされ、それでもなお、立ち上がろうとしている。
 グレス殿を死なせてはいけない。

「グレス殿!交代するのです!」

 私はトランスの前に立ちはだかるように立った。

「我もいるのであーる!」
「俺もいるぜえ!」

 私と、マッスル卿、そして旦那もいる。

「まさか、魔将を相手に私達3人だけで共闘する時が来るとは、心が躍りますなあ!」
「うむ、行くのであーる!」
「へへへ!グレスは周りの兵士に預けたぜえ!」

「次は貴様らか。雑魚一人だけでは、本気で戦うことも出来ん。我を楽しませて見せろ。そして死ね」

 3人で一斉にトランスに襲い掛かった。

「ふぉおおおおおお!」
「うおおおおおおお!」
「ぐぬうううううう!」

 3人の攻撃でトランスを後ろに吹き飛ばした。

 トランスが後ろの建物にぶつかり、建物が倒壊する。

「ほう?力だけはあるようだな。だが、これでどうだ?」

 トランスが持つ左手の杖が光って、黒い重力波を撃ち出した。
 私達3人が地面にめり込んでいく。

「面白いおもちゃだろう?言っておくが我の魔力は一切使っていない。この魔道具の力を引き出しただけだ」

「負けませんぞ!筋肉の扉第二門!解放!」
「切り札を使うぜ!マッスルディスティニー!」
「本気を出すのであーる!筋肉道!修羅!」

 私達3人の筋肉が隆起し、躍動する。
 私達3人は重力に逆らうように立ち上がり、一歩、そして一歩と前に出る。

「ふむ、出力全開!ゴミはゴミらしく、這いつくばれ!」

 私達は更に地面にめり込む。
 地面が陥没し、轟音が響く。

「筋肉の扉!完全開放!」
「マッスルディスティニー2!」
「筋肉の扉・極!」

 我ら3人の志は同じ。
 皆が限界を超え、後先考えず筋肉道を貫こうとしている。

 筋肉に嘘はつけない。

 筋肉に偽ることは自分を偽る事と同義。

 今ここで筋肉と対話し、限界を超えたままトランスに向かい走っていく。

「ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「ぐぬうううううううううううううううううう!」

「無駄だ」

 トランスに向かって走る私達を、重力が遮る。
 何度も重力波で後ろに吹き飛ばされ、それでも諦めずに何度も前に出ようとする。

 その時、トランスの持つ杖にヒビが入った。
 ヒビが大きくなり、杖が砕けていく。

「はあ、はあ、これで、重力波は使えませんぞ!」
「それがどうしたというのだ?邪魔な荷物が無くなって動きやすくなったわ」

 トランスは両手で剣を構えた。

 飛び込むマッスル卿と旦那が剣で吹き飛ばされ、その隙をつくようにトランスのすねにクワをヒットさせた。
 クワがトランスのすねに突き刺さるが、トランスは私ごと地面を蹴るようにして私を蹴り潰そうとする。

 私は血を流しながら、トランスの足を押し返した。

「俺もいるぜえ!」

 旦那が攻撃する瞬間にトランスのすねを掴んで引っ張る。
 更に死角からマッスル卿が攻撃を繰り出し、トランスを攻撃していった。

 3人でトランスを囲み、轟音を打ち鳴らしながらトランスを攻撃し続けた。

「みんな離れるです!」

 ラビイの合図で3人が後ろに飛んだ瞬間にエルルの氷の矢が突き刺さる。

 ラビイ・マナ・リースのゴーレムとシャドーがトランスを攻撃し、マナが植物のツタでトランスを拘束する。

「効かんわ!」

 植物のツタを引きちぎる瞬間に皆がトランスを集中攻撃する。

 トランスが倒れる。

 
「た、倒したのです!」
「へへ、やったぜえ!」

 皆が喜ぶ中、私は異変に気付いた。

「まだですぞ!」

 トランスの体がが光って逆再生するように起き上がる。
 そして体が膨れあがった。
 トランスの体がマッチョに変わった。

「ふ、ふはははははははは!言い忘れていたが、我を倒しても二段階目がある。二段階目に移行した我は、最強だ」
 
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