深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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終章

イツキとジュンの対峙

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【イツキ視点】

 俺は何も分かっていない王にジュンの無能を説いてやったが、この王は聞き分けが悪い。
 王はジュンが上級ダンジョンの魔物を狩っている功績を持ち出すが、それはジュンがずる賢く立ち回り、自分をよく見せているだけだ。

「だから、何度言えばわかる!ジュンは無能だ!」
「ジュン殿は結果を出しているのだ」

「それはジュンの力ではない」
「仮にジュン殿本人の力でないにしても、その部下の手柄はジュン殿の手柄になる」

 兵士が慌てて会話に割り込んでくる。

「失礼します!ジュン殿が王城の前に突然現れました!」
「そうか、手間をかけさせるがすぐにここに通してくれ」
「了解しました!」

 ふん、やっと現れたか。
 化けの皮を剥いでやる。

「ジュン、貴様は情報操作をして自分の手柄を捏造しているな」
「俺が具体的に何をしたんだ?」
「ふん、ずる賢く立ち回っても無駄だ。目に見える部分だけ良く見せているのだろう?」

「魔石の事か?ちょうどいい。食料や物資と交換して欲しい」

 奴は俺との話を強引に終わらせ、王と話を始めた。
 やはりそうか、痛い所を突かれて強引に話を逸らした。
 これこそジュンがごまかして手柄を捏造した証拠だ。

 ジュンは魔石をストレージから取り出す。
 なん、だ!?あの魔石の量は!
 まるで何年も貯めこんだかのようなあの大量の魔石は何だ!?
 
 そうか、分かったぞ。
 金で魔石をかき集め、手柄を捏造しているのだ!

「どこから魔石をかき集めたかは知らんが、そんなに手柄が欲しいか。本当は倒してもいない魔石を取り出して手柄を捏造しているのだろう?」

「何を言っているんだ?俺は魔石と食料を交換しているだけだ。何の手柄を捏造しているんだ?」
「上級ダンジョンの魔物を倒していないのだろう?大方他からかき集めた魔石なのだろう」

「倒しているぞ。俺じゃなく、俺の仲間だけどな」
「認めたか。王よ、こいつは無能だ」

「待て、ジュン殿の部下が魔物を倒しているのだ。結果この国は助かっている」
「ジュンは魔物を倒していない」
「そうではない。人を使う事もまた能力の1つなのだ」
「ジュンは人にやらせて自分では動かない無能だ」

「あ~あれか?俺が仲間を呼んで魔物狩りをしているのが気に入らないのか?それとも、自分が魔将を倒せないからイラついているか?もしうまくいかないなら魔将討伐も俺が引き受けるぞ?」

「なんだと!貴様!馬鹿にするなよ!」

 俺はジュンに殴り掛かった。
 だが、ジュンは片手で俺の拳を止める。
 止められた手が、動かせん!
 それどころか、手を、つかまれた手がミシミシと音を立てて握りつぶされる!

「双方やめよ!戦うのなら魔物と闘うのだ!勝負をしようではないか。どちらが多く魔将を倒せるか勝負で決着をつけようではないか!」

「俺はそれでいい。イツキが逃げなければな」
「何だと!馬鹿にするなよ!」
「双方やめよ!」

「怒鳴って勝負から逃げるのか?イツキ」
「やってやる!貴様などぶっちぎって圧勝してやる!邪魔だけはするなよ!」

 俺は魔将を倒すためすぐに出かけた。
 万能の魔将ゴブルがいる場所は分かっている。



 夜も更け、暗くなったが奴らは俺を甘く見て隠れもせずゴブリンが群れて野営している。
 俺は堂々と正面からゴブルに決闘を申し込み、そして打ち負かしてやる。

「【万能】の魔将ゴブルよ!俺との決闘を申し込む!」

 ゴブルが出てくる。
 背の低いゴブリンの割には背が大きいが、俺よりは小さい。
 奴は剣と杖と弓を持っており、俺を見て笑う。

「ついてくるごぶ」

 ゴブルについて行き、森の中にある開けた場所で剣と大楯を構えて対峙した。
 周りをゴブリンが囲んで観戦する。

「ふ、素直に決闘を受けるか。首と胴が離れてから後悔するがいい」
「何を言っているゴブ?決闘を受けた覚えはないごぶ」

「何を言っている!」
「ついてくるごぶと言っただけごぶ。弓を放つごぶ!」
「や、やめろ!!卑怯だと思わんのか!やめ!ぐう!」
 
 周りのゴブリンから一斉に矢を放たれ、ゴブルも後ろに下がりつつ矢を打って来
た。

 俺は矢を盾で防ごうとするが、俺の鎧に矢が刺さっていく。
 1本の矢は大したダメージではないが矢の雨が全方位から迫って来る。
 
「次!魔法攻撃ごぶ!」

「卑怯者がああああ!」

 俺は全力で包囲の1点に盾を突き出しながら突撃し、その場を脱した。

 俺は重鎧と大楯を持ち、しかも高い防御力を持っている。
 だが、全身に矢が刺さり、炎で身を焼かれ、氷で凍傷となり痛みを感じながら走った。
 矢が皮膚に届かなくても衝撃でダメージを受ける。

「ゴブルめ、次は必ず倒す!」

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