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投資はコツコツ続ける地味な作業だ

集結する幹部

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 俺はひたすら時間加速をして、皆の生産や回復時間を短縮し続けた。

 フィルが部屋にやって来る。

「ウサットとラビイが任務を終え、ここに来ています。ウサットが会議の開催を希望しています」
「分かった。すぐに開こう」

 結果会議の会場は外になった。
 女王アルルの要望で皆が見ている場所で開くことが決まった為だ。
 絶対ドリアード族がらみのやつだ。

 大きな円卓と椅子に全幹部・女王アルル・グレスが座る。

 始めにアルルが口を開いた。

「まず初めに、ドリアード族どうするかはっきりさせるべきです」

「そうだそうだ!」
「その通りだわ!」
「大事ね!」

 みんな必死だ。

「マナ、皆はどう思ってるんだ?」
「皆、ここに住むって、でも、私はジュンと居る」

 そう言って俺の膝に乗ったまま俺の服を掴んだ」

 エルフから歓声が聞こえる。

「内政の英雄様!ありがとうございます!」
「この恩は忘れません!」

 アルルはほくほくと笑顔を浮かべて俺にお礼を言う。

「よくぞ!大事な宝を手放す決意をしてくれました!ジュン殿はまさに英雄です!エルルの心も体も好きにしてください!」

 悪気が無いのは分かるけど、それは問題発言だろ?
 だが皆気にしていないようだ。
 そして女王アルルは背もたれに深く背を預ける。
 え?なに?
 もう仕事終わってほっとしたみたいなの何なんだ?

 まだ終わってないぞ!
 これからだろ!

 エルルが赤くなりながら言う。

「これから、よろしくお願いしますわ」

 ラビイが『私もするのです』と呟いていたが聞こえないふりをした。

「これでエルル殿は新たな幹部の仲間入りですなあ」
「エルル、よくぞ内政の英雄の心を射止めました!素晴らしい働きです!」

 女王アルルとウサットが笑う。

「わたくしの事はエルルとお呼びください。もうわたくしはジュン様の物。ただの娘ですわ」

 これ長くなりそうだな。

「ラビイ!交易路修復の報告を頼む!」

 俺は強引に会議を進行した。

「両国を繋ぐ交易路は修復したです。今は馬車が1台通れる道が出来ているのです。ですが、錬金部隊が更に道を広げるのです」

「ウサットも報告を頼む」
「食料・鉄・塩の支援物資はすべて到着しております」

「ウサットから物資は頂いています」

 アルルが答えた。

「補足があるです。ロングスパン領とこの地点を結ぶ交易部隊を編成済みなのです」
「これで物資の不足は解消されるか」

「フィルとリースの盗み人の捕縛はどうなっている?」
「48名を捕えました。その事で123名の見張りを魔物狩りに向けることが出来ました」

 人口の1%以上が魔物狩りをするようになるか。
 悪くない。
 今この国は小さな問題をいくつも抱えている。
 こういう微妙な改善を積み重ねて効果を上げていくしかないんだ。

「フィル、リース、ご苦労だった」

「俺からも連絡しておく。ドリアード族の活躍によってこの王都の建築が進んだ。今俺は時間加速のスキルを使い、この王都のみんなの回復力を加速している」

 ラビイとウサットが驚愕の表情に変わる。

「ジュンのスキルを晒したのですか!」
「切り札を晒さねば魔に打ち勝てないという事ですな!我らもなお頑張る必要があります!」
「危機は迫っているのです!」

 周りに居たエルフがざわつく。
 ドリアード族で浮かれていたエルフがただならぬ雰囲気を察知し始めた。

「この会議で大事な事を話している気がするわ」
「俺もそう思う」
「内政の英雄の力は本当は隠した方が良かったの?」
「内政の英雄って私たちが思ってたより凄い人なんじゃない?」
「絶対そうよ」

 更に奴らの登場が場の空気を引き締める。

「事情は察したぜ。だがよお!俺達が居る事を、忘れちゃいねえかい!」

 旦那だ。
 マッチョででかくて声が大きい。
 しかも面倒見がよくて冒険者から慕われている。
 それに良く通る声で言うので普通に話をするだけで説得力があるように見える。

 そして後ろにいる冒険者も体格がいいものが多い。
 エルフは場の雰囲気に飲まれ始めた。

「我も居るのであーる!」

 マッスルアイアンか。
 旦那と同じマッチョだ。

 後ろのマッチョが歓喜の声を上げる。

「おいおいおいおい!俺は何度伝説に立ち会えばいいってんだ!マッチョ3強が揃った!こりゃただ事じゃねえぜえ!何かが始まる予感しかしねえ!!なあ!そうだろお!ウサットさん!だんなあ!マッスル子爵ううううううううう!」

 エルフが場に飲まれ始めた。
 あのマッチョまた来たか。
 もう顔は覚えたぞ。
 絶対マッチョイベントを嗅ぎつけてくる。

 普通隣国まで来るか?
 格闘家の追っかけみたいだよな。


「フロント王国の凄い人が3人揃ったの?」
「きっとそうよ。なんか大きいし、凄い筋肉よ。絶対普通じゃないわ」
「それに声を聞いてると、威厳があるわ」
「た、確かに。何かが起きてる!」

「我ら3人が共闘する事になるとは、光栄です。これからの魔物狩り、胸が躍りますぞ!」
「ウサット!あんたとの因縁はあるが、筋肉腕相撲の前に世界を平和にしねえとなあ!まずはこの国に居る魔物を潰すぜ!」
「我も居るのであーる!」

「私も魔物狩りを続けます!この国に雪が積もる前に終わらせます!」

 ダンジョン消滅を進めてエルフの皆に信頼されたグレスが入ってきた。
 これでマッチョ3強はグレスと同じ凄い人のカテゴリーに入ったか。
 話が微妙におかしくなっている。

「ジュン殿!命じてください!我らの魔物討伐を!」
「へへへ!あんたが行けって言えばいいんだ!それだけだぜえ!」
「我もジュン殿の指示を待つのであーる!だが早く言うのであーる!」
「私に命じてください!この国の魔を払えと!」

 やばいマッチョ3強だが、グレスが居る事でまともな事を言っている者に見える。

 エルフがざわつく。

「俺も、連れて行ってくれないだろうか?」
「私も行くわ!」

 ドリアード族も手を上げる。

「私も行くよ」

 それにより他のエルフは次々と手を上げる。

 そしてアルルが言う。

「内政の英雄、ジュン・ロングスパン、皆があなたの言葉を待っています。英雄の言葉を!」

 王女が言ったら俺が上みたいになるだろ!
 やめてくれ。

 みんなが俺を見る。

「皆で、魔を払え!」

「「うおおおおおおおおおおおおおお!!」」

 こうしてグレスの兵士。
 冒険者。
 マッスルの部隊。
 エルフ。
 ドリアード族。

 力を合わせた混合軍が勢いに乗って魔物を狩る為出陣する。

「……」

 空を見上げる。

「あ、雪だ」

 そうやって俺は現実逃避した。

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