深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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投資はコツコツ続ける地味な作業だ

グレスのダンジョン攻略

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 俺はエルルをおんぶしてダンジョンに向かう。
 エルルの胸がこすれる発言から背中の感触を意識してしまう。
 
 集中しよう。
 今俺はフィルの充電をしていない。
 魔力が湧いてくる。
 体が軽い、全力で走っても調子がいい!

 俺は走ってグレスの元へ向かった。




 グレスの元にたどり着くと、グレスが話しかけてきた。

「いいタイミングでした」
「消滅タイミングか?」
「そうです」

「今すぐ消滅させていいんだよな?」
「お願いします」

『女神、すぐにダンジョンを消してくれ』
『わーお!良い調子だね』
 
 ダンジョンが消えて複数の魔法陣が現れる。

「エルル!魔法陣から魔物が出てくる!しばらく続くから気を引き締めてくれ!」
「分かりましたわ!」

 エルルは魔法陣が現れた瞬間にアイスアローの詠唱を始める。
 そして魔物が出ると即アイスアローを打ち込み倒す。
 エルルとダンジョン消滅は相性がいいのかもな。

 グレスは剣で華麗に魔物を斬り倒していく。
 グレスの動きは前より良くなっている。
 もう百戦錬磨だ。

 周りの兵もしっかりと攻撃し、順調に魔物を倒した。



「終わったか」
「はい。次のダンジョンの探索と消滅予想の計画も出来ています」
「あれ?もしかして俺の到着が遅れて次のダンジョンの魔物狩りを始めていたのか?」

「そうなります」

 俺とエルルは顔を見合わせた。

「遅れてすまない」
「いえ、わたくしがレベル上げを優先したせいですわ」
「問題ありません。魔物を先行して倒せばいいだけですから」

「ちょっと待っててな」

『女神、ダンジョン消滅のタイミングだが、グレスとメッセージのやり取りをして連携出来ないか?』
『出来るけど繋ぐのに女神力がかかるの。前みたいにグレスの前に映像を出してお知らせした方がまだ女神力の消費は少ないよ』
『それは出来るだけ使わないで欲しい』

 まるでスマホ契約プランのように女神力を消費する。

「グレスにメッセージを送ってもらうのはきついか」
「私は英雄ではありません。私には荷が重い事なのでしょう」

 いや?グレスは英雄だと思うぞ。
 剣聖って、絶対強いやつ。
 聖騎士とか賢者とか勇者とほぼ同じだと思うんだけど?
 グレスは自分に厳しいからな。
 言っても変わらないか。

「次に行こう」
「所で、エルル様とジュン殿は仲がいいようです。もし良ければ、2人には30階に上がって貰い、2人だけで魔物を狩ってもらう事も出来ます。3日は人が来ないでしょう」

 グレスは紳士だ。
 かなり気を使って言葉を選んでいる。

「ぜひ頼む」
「わたくしからも、お願いしますわ」

 俺とエルルは日中は頑張って魔物を倒した。
 
 


 俺とエルルはベッドの上で話をする。

「試しに使ってみたいスキルがあるんだ、時空魔法なんだけど」
「強そうですわね」

「いや、強くはない。詠唱に時間がかかるから戦闘に使えないし、俺の半径数メートルだけしか効果が無い。俺だけ加速するとかできないんだ。ただ、ベッドの周辺の時間を加速すれば効果はあるかもしれない」

「どのくらい時間を加速しますの?」
「10倍だ。効果時間は10時間だ。空間内の加速された中にいる時間で10時間な」
「それでしたら、ベッドで寝る時に使用すれば、10時間たっぷりベッドで休んでも、この外の時間では1時間しか経っていませんわね」

「そうなると思う」
「楽しみですわ。早く使いましょう」

「…………時間加速!」



【10時間後】

「おお!時間加速が消えた!」
「んん、朝ですの?」
「外は暗いな」

 暗いと言ってもダンジョンの中は夜でも真っ暗にはならない。
 視界は多少悪くなるが夜でも活動は出来る。

「魔物を狩ってこよう」
「時間の感覚がおかしくなりそうですわ」
「おかしくなってるからな。仕方ない」

 俺達は魔物を狩って、疲れたらベッドで時間加速をして過ごした。




『時空魔法が強化されました』

『時間加速が強化されました。継続時間が24時間に増加しました。加速効果が24倍に強化されました。効果範囲が半径5メートルに強化されました』

 おお!
 スキル強化してる!

「スキルが強化された!このまま続けよう!」
「いいですわね!」

 こうして俺達は何度も時間加速を使って高速で回復し、魔物を狩った。




 しばらくするとグレスたちがやってきた。
 俺達はそれでも時間加速を使い続け、自分のペースを貫く。



【兵士視点】

 4人の兵士が噂する。

「なあ、内政の英雄とエルル姫は、ずっと戦ってないか?」
「うーん。2時間くらいしか休まず、ずっと戦ってるらしい」
「大丈夫か?」

「体に悪いよな」
「その割には元気そうにも見える」
「俺見てたけど結構ハイペースで魔物を狩ってたぜ」

「俺達は内政の英雄が強いって知ってるが、心配だ」

「俺、グレス隊長に相談してみる。内政の英雄に何かあったら嫌だ」
「そうだな、それがいい」

 兵士たちの間で、内政の英雄はほとんど眠らず戦っている噂が流れた。



「グレス隊長!相談があります!ジュン様の事ですが、寝ていないように見えます!休んでもらうよう進言したいのです!」
「その事か、丁度ジュン殿の修行でスキルが強化された。今日から交代でジュン殿の屋敷で休んでもらう」

「い、いや、そうではなく、私はジュン殿の体の心配をしています!」
「その心配は分かる。実際に見てもらった方が早いだろう。もちろんジュン殿の修行とスキルの件は他言無用だ」

 ごくり!
 兵士はただならない状況を即座に察知した。

「分かりました!」

 選ばれた兵士が中に入ると、屋敷の中はまるで結界のように感じた。
 結界の中と外で雰囲気が違う。

 前にはグレスが立ち、その対面には精鋭のみが整列する。

「この空間の違和感に皆気づいたと思う。この空間はジュン殿のスキル、時間加速によるものだ」

「「時間、加速!」」
「そうだ、この空間内では時間は加速される!そして、ここでの24時間は、外の1時間に該当する」

「つ、つまり、ここで休息を取っても外では数十分しか経っていないと?」
「そうなる、そして、ジュン殿は過酷な修行により、この空間の維持に努めている!」

「な!ここで休むだけで兵士の戦果は数倍に跳ね上がります!」
「その通りだ!その為の君たち選抜部隊だ!」
「俺達は、選ばれ、た」

「その通りだ!君たちはジュン殿の期待を一身に背負っている!」
「時間を歪めるだけの大きなスキルだ。ジュン殿の負担は推して知るべしだ!」

「ジュン様は、苦しみながら、俺達に期待している!」
「そうだ!」

「ジュン様は、身を削りながらこの空間を維持していると?」
「その通りだ!」

「隊長!俺達には全力を尽くす以外の選択肢はありません!」
「そうだ!そしてそれこそが内政の英雄!ジュン・ロングスパンの望みだ!」

「皆に命じる!全力で魔物を狩れ!全力で力を回復させろ!以上!解散!」

 その後、精鋭の兵士たちは全力で魔物を狩り、帰って来て休息する生活を続けた。

 30階の魔物を狩りつくし29階、28階と怒涛の勢いでダンジョンを降りていく。

 2つ目のダンジョンは予定を大幅に上回る速度で消滅する。





 あとがき
 続きが気になる方は、カクヨムで完結まで投稿済みです。
 ではまた!
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