深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

文字の大きさ
上 下
97 / 113
投資はコツコツ続ける地味な作業だ

グレスのダンジョン攻略

しおりを挟む
 俺はエルルをおんぶしてダンジョンに向かう。
 エルルの胸がこすれる発言から背中の感触を意識してしまう。
 
 集中しよう。
 今俺はフィルの充電をしていない。
 魔力が湧いてくる。
 体が軽い、全力で走っても調子がいい!

 俺は走ってグレスの元へ向かった。




 グレスの元にたどり着くと、グレスが話しかけてきた。

「いいタイミングでした」
「消滅タイミングか?」
「そうです」

「今すぐ消滅させていいんだよな?」
「お願いします」

『女神、すぐにダンジョンを消してくれ』
『わーお!良い調子だね』
 
 ダンジョンが消えて複数の魔法陣が現れる。

「エルル!魔法陣から魔物が出てくる!しばらく続くから気を引き締めてくれ!」
「分かりましたわ!」

 エルルは魔法陣が現れた瞬間にアイスアローの詠唱を始める。
 そして魔物が出ると即アイスアローを打ち込み倒す。
 エルルとダンジョン消滅は相性がいいのかもな。

 グレスは剣で華麗に魔物を斬り倒していく。
 グレスの動きは前より良くなっている。
 もう百戦錬磨だ。

 周りの兵もしっかりと攻撃し、順調に魔物を倒した。



「終わったか」
「はい。次のダンジョンの探索と消滅予想の計画も出来ています」
「あれ?もしかして俺の到着が遅れて次のダンジョンの魔物狩りを始めていたのか?」

「そうなります」

 俺とエルルは顔を見合わせた。

「遅れてすまない」
「いえ、わたくしがレベル上げを優先したせいですわ」
「問題ありません。魔物を先行して倒せばいいだけですから」

「ちょっと待っててな」

『女神、ダンジョン消滅のタイミングだが、グレスとメッセージのやり取りをして連携出来ないか?』
『出来るけど繋ぐのに女神力がかかるの。前みたいにグレスの前に映像を出してお知らせした方がまだ女神力の消費は少ないよ』
『それは出来るだけ使わないで欲しい』

 まるでスマホ契約プランのように女神力を消費する。

「グレスにメッセージを送ってもらうのはきついか」
「私は英雄ではありません。私には荷が重い事なのでしょう」

 いや?グレスは英雄だと思うぞ。
 剣聖って、絶対強いやつ。
 聖騎士とか賢者とか勇者とほぼ同じだと思うんだけど?
 グレスは自分に厳しいからな。
 言っても変わらないか。

「次に行こう」
「所で、エルル様とジュン殿は仲がいいようです。もし良ければ、2人には30階に上がって貰い、2人だけで魔物を狩ってもらう事も出来ます。3日は人が来ないでしょう」

 グレスは紳士だ。
 かなり気を使って言葉を選んでいる。

「ぜひ頼む」
「わたくしからも、お願いしますわ」

 俺とエルルは日中は頑張って魔物を倒した。
 
 


 俺とエルルはベッドの上で話をする。

「試しに使ってみたいスキルがあるんだ、時空魔法なんだけど」
「強そうですわね」

「いや、強くはない。詠唱に時間がかかるから戦闘に使えないし、俺の半径数メートルだけしか効果が無い。俺だけ加速するとかできないんだ。ただ、ベッドの周辺の時間を加速すれば効果はあるかもしれない」

「どのくらい時間を加速しますの?」
「10倍だ。効果時間は10時間だ。空間内の加速された中にいる時間で10時間な」
「それでしたら、ベッドで寝る時に使用すれば、10時間たっぷりベッドで休んでも、この外の時間では1時間しか経っていませんわね」

「そうなると思う」
「楽しみですわ。早く使いましょう」

「…………時間加速!」



【10時間後】

「おお!時間加速が消えた!」
「んん、朝ですの?」
「外は暗いな」

 暗いと言ってもダンジョンの中は夜でも真っ暗にはならない。
 視界は多少悪くなるが夜でも活動は出来る。

「魔物を狩ってこよう」
「時間の感覚がおかしくなりそうですわ」
「おかしくなってるからな。仕方ない」

 俺達は魔物を狩って、疲れたらベッドで時間加速をして過ごした。




『時空魔法が強化されました』

『時間加速が強化されました。継続時間が24時間に増加しました。加速効果が24倍に強化されました。効果範囲が半径5メートルに強化されました』

 おお!
 スキル強化してる!

「スキルが強化された!このまま続けよう!」
「いいですわね!」

 こうして俺達は何度も時間加速を使って高速で回復し、魔物を狩った。




 しばらくするとグレスたちがやってきた。
 俺達はそれでも時間加速を使い続け、自分のペースを貫く。



【兵士視点】

 4人の兵士が噂する。

「なあ、内政の英雄とエルル姫は、ずっと戦ってないか?」
「うーん。2時間くらいしか休まず、ずっと戦ってるらしい」
「大丈夫か?」

「体に悪いよな」
「その割には元気そうにも見える」
「俺見てたけど結構ハイペースで魔物を狩ってたぜ」

「俺達は内政の英雄が強いって知ってるが、心配だ」

「俺、グレス隊長に相談してみる。内政の英雄に何かあったら嫌だ」
「そうだな、それがいい」

 兵士たちの間で、内政の英雄はほとんど眠らず戦っている噂が流れた。



「グレス隊長!相談があります!ジュン様の事ですが、寝ていないように見えます!休んでもらうよう進言したいのです!」
「その事か、丁度ジュン殿の修行でスキルが強化された。今日から交代でジュン殿の屋敷で休んでもらう」

「い、いや、そうではなく、私はジュン殿の体の心配をしています!」
「その心配は分かる。実際に見てもらった方が早いだろう。もちろんジュン殿の修行とスキルの件は他言無用だ」

 ごくり!
 兵士はただならない状況を即座に察知した。

「分かりました!」

 選ばれた兵士が中に入ると、屋敷の中はまるで結界のように感じた。
 結界の中と外で雰囲気が違う。

 前にはグレスが立ち、その対面には精鋭のみが整列する。

「この空間の違和感に皆気づいたと思う。この空間はジュン殿のスキル、時間加速によるものだ」

「「時間、加速!」」
「そうだ、この空間内では時間は加速される!そして、ここでの24時間は、外の1時間に該当する」

「つ、つまり、ここで休息を取っても外では数十分しか経っていないと?」
「そうなる、そして、ジュン殿は過酷な修行により、この空間の維持に努めている!」

「な!ここで休むだけで兵士の戦果は数倍に跳ね上がります!」
「その通りだ!その為の君たち選抜部隊だ!」
「俺達は、選ばれ、た」

「その通りだ!君たちはジュン殿の期待を一身に背負っている!」
「時間を歪めるだけの大きなスキルだ。ジュン殿の負担は推して知るべしだ!」

「ジュン様は、苦しみながら、俺達に期待している!」
「そうだ!」

「ジュン様は、身を削りながらこの空間を維持していると?」
「その通りだ!」

「隊長!俺達には全力を尽くす以外の選択肢はありません!」
「そうだ!そしてそれこそが内政の英雄!ジュン・ロングスパンの望みだ!」

「皆に命じる!全力で魔物を狩れ!全力で力を回復させろ!以上!解散!」

 その後、精鋭の兵士たちは全力で魔物を狩り、帰って来て休息する生活を続けた。

 30階の魔物を狩りつくし29階、28階と怒涛の勢いでダンジョンを降りていく。

 2つ目のダンジョンは予定を大幅に上回る速度で消滅する。





 あとがき
 続きが気になる方は、カクヨムで完結まで投稿済みです。
 ではまた!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。 遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。 「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。 「異世界転生に興味はありますか?」 こうして遊太は異世界転生を選択する。 異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。 「最弱なんだから努力は必要だよな!」 こうして雄太は修行を開始するのだが……

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

処理中です...