深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

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投資はコツコツ続ける地味な作業だ

フィルとリースの警備

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 俺とエルルはダンジョンから走って戻った。
 さすがに7日籠るのはまずいだろ。

 

 ダンジョンから出てロングスパン領から離れると俺はエルルに言った。

「今から全力で走る。おんぶするぞ」
「分かりましたわ、次はお姫様抱っこでお願いしますわね」

 俺はエルルをおんぶして全力で走った。



 ラビイの部隊が居る場所の手前でスピードを落とす。

「ちょ、胸が、こすれて」
「す、すまない」

 俺はエルルを下ろした。

「い、いえ、ベッドで聞いてはいましたが、これが戦闘力500ですのね。ベッドで感じてはいましたが凄すぎますわ」

「ラビイに魔石を渡してからすぐエルウィン王国に行こう」
「そうですわね。7日間いるなら、エルウィン王国のダンジョンで魔物狩りをするべきでしたわね」

「そうだよな。ついつい長居してしまった」
「わ、わたくしも、その、よくて、言い出せませんでしたわ」
「これから挽回しようか」
「ですわね」

 俺はラビイの近くに行く。

「よ、ラビイ!」
「ジュン!」
「渡したいものがある」

 俺は魔石をストレージから取り出した。

「こ、こんなに!大きいのです!」
「わ、わたくしが無理を言ってレベルを上げていたのですわ」

 レベルか。
 昼はそうだな。

 他の者も集まって来る。

「こんなに一杯!大きい!」
「太いのもあるわ!」
「皆でたくさん錬金術をするのです!」

 錬金術師が盛り上がる。

「俺達はすぐにエルウィン王国に行く」
「分かったのです」

 ラビイが俺の耳元に口を近づける。
 そしてささやく。
「次は私とするのです」

「そ、そうか。分かった」

 ラビイは笑顔で俺とエルルを見送った。



 俺は走ってエルウィン王国にたどり着く。

「おかしいですわ。人が多いですの」

 理由はすぐに分かった。
 ドリアード族だ。

 ドリアード族がカートに乗って植物魔法を使うさまをエルフが見つめる。
 ドリアード族の握手会で魔石を回収するアルル。
 女王なのに何やってるんだ……

 お布施のようにお菓子を配る満面の笑みを浮かべるおばあちゃん。

 ドリアード族のおかげでこの王都は定期的にエルフが訪れる巡礼地のような状態になっていた。

 そこにリースがやって来る。

「盗みをする者は捕まったか?」
「まだ5人だけにゃあ」
「上出来だろ。多分、盗みをする奴は限られていると思う。100も居ないんじゃないか?」

「フィルが居ればもっと楽にゃあ。今エルフのみんなはたまにここに来るようになったにゃあ。ここにフィルが居れば楽にゃあ」
「魔力チャージは8割以上終わってるから、出すか」

 王城の部屋を借りて、人目の付かない場所でフィルを出した。

「な、なんですの!」
「フィル、翼と天使の輪を隠してくれ」
「分かりました」

「事情は分かるな?」
「はい、リースと共にエルフの盗みを働く者を捕えます」

 フィルが窓を開けた。

「居ました。あの2つの民家の間に居る髪がツンツンの男性です」
「任せるにゃあ!」

 リースがあっという間に男エルフを拘束する。

「盗みをする者は捕まえるにゃあ!」
「お、俺は何もやっていない!」

 アルルが騒ぎを聞きつけて近づく。

「事情を聞きます。もし、私に虚偽の発言をしたとなれば、罪は重くなります。ですが、この場で白状するというなら、罪を軽くしましょう」

「ぐ!盗み、ました」
「よろしい。素直が一番です」

「フィル、リースと一緒に散歩に行ってきてくれ」

 散歩=巡回だ。

「はい、捕まるのは、そうですね。エルフ全部合わせて50名も居ないでしょう」

「フィル、チャージはどのくらい持つか分かるか?」
「本気で天眼を使わなければ、30日は持つと思います」
「分かった」

 30日もあれば多くの盗みを働く者が捕まるだろう。
 なんせここに居るだけでドリアード族を見に多くのエルフが集まって来る。
 ここで待ち構えるだけでいいのだ。

「それでは失礼します」

 フィルが立ち去った。

「な、なな、なんですか!天使ですわ!天使ですわよね!」
「そうだな。詳しい事は後で話す。この件は俺の戦闘力と同じで秘密だ」

 エルルが息を呑みこむ。

「分かりましたわ」

「俺は、グレスの居るダンジョンに行こうと思っている。他に俺が出来る事はあると思うか?」
「ダンジョンに行くのがいいと思いますわ」

「やっぱそれしかないか。行こう!ダンジョンに!」
「はい!」

 俺とエルルはダンジョンに向かった。




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